人生の最後を迎えるにあたり、生前整理をするケースが多いです。
死後に遺品整理をする場合、残された家族に対して大きな負担となるため、基本的に生前整理を進める方がよいされています。
ただし、生前整理とは多岐にわたるため、どのようなことをすればよいのか悩みがちです。
では、生前整理では具体的にどのようなことをおこなえば良いのでしょうか?
この記事では、生前整理でおこなうことをリストとして紹介すると同時に、効率よく生前整理を進めるポイントを紹介します。
目次
生前整理とは
はじめに、生前整理とはどのような行為なのかについて紹介します。
生前整理とは、自分が元気なうちに自分の持ち物などを整理する行為を指します。
具体的には、持ち物を残すものと処分するものに分類し、処分するものは廃棄したりリサイクルしたりする形が一般的です。
生前整理をすることで、もし亡くなられた後に残された家族が遺品整理をするボリュームを減らせるため、負担を軽減可能です。
遺品整理において、作業自体が力仕事になるため大変であると同時に、残す・残さないの判断に困ります。
よって、生前の段階で残す・残さないの判断をしておくことで、遺品整理をスムーズに進められるメリットがあります。
また、生前整理をおこなうことによるメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
- 相続問題を回避できる可能性が高まる
- 今後の人生を前向きに考えられる
生前整理を始めるうえで、特に決まりはありません。
自分が好きなタイミングで始められますが、基本的にはまだ体力的に余裕がある段階でスタートさせるのがおすすめです。
また、自分ひとりではなく家族のサポートを受けて実施すれば、必要なものをは起きしてしまうなどのトラブルを回避できます。
生前整理でやることをリスト化するメリット
生前整理をおこなう上で、リストを作成して対応するのがおすすめです。
なぜリストを作成して対応するべきなのかと言えば、抜け・漏れを回避できるためです。
生前整理は実に多岐にわたるため、ついつい漏れが発生しがちです。
単純にものの整理だけをおこなうのではなく、生前整理では遺言書の作成や財産目録の作成なども対象となります。
そこで、作業開始前にリストを作成することで、漏れを回避できるのです。
また、事前にリストを作成して作業の全体像を明確にすることで、スケジュールを立てて計画的に対応できるメリットもあります。
よって、原則として生前整理のリストを作成して、対応するようにしましょう。
生前整理でやっておきたいこと8選
生前整理を実施する上で、やっておきたい内容を明確にする必要があります。
特に、生前整理では以下8つをおこなうことをおすすめします。
- 持ち物の整理
- 不動産の整理
- デジタルデータの整理
- サービスの見直し・解約
- 遺言書の作成
- 財産目録の作成
- エンディングノートの作成
- 葬儀・お墓の準備
各実施項目の詳細は、以下のとおりです。
持ち物の整理
一般的に、生前整理といえば持ち物の整理を連想するケースが多いです。
先に紹介したとおり、自分の所有物について残すものと処分するものに分類する作業をおこないます。
基本的には、広いスペースを確保して自分の持ち物を広げて残すものと処分するものに仕分ける形で進めるのが一般的です。
もし、残すべきかどうかを悩む場合は、一旦保留しておき後日判断するのがおすすめです。
一通りの仕分けが完了したら、残すものは保管場所を決めて保管してください。
処分すると決めたものは、廃棄するか買取などリサイクルやリユースすることを検討します。
生前整理業者に依頼すれば、買取にも対応してもらえるケースが多いためおすすめです。
不動産の整理
生前整理において、相続のことを考えて不動産の整理を考える必要があります。
不動産の方法としては、主に以下があります。
- 子に相続し住み続ける
- 生前贈与する
- 売却する
- 賃貸として活用する
- シェアハウスとして活用する
- リースバックする
なお、生前贈与する場合は取得した際に余計に税金が必要な場合もあるため、よく検討する必要があります。
また、そのまま残す場合は相続することになりますが、遺産分割をおこなう際に均等に分割する目的で不動産を共有名義として複数人で所有権を維持する場合があります。
この場合、売却や賃貸への利用が困難になるケースもあるため、注意が必要です。
デジタルデータの整理
生前整理では、目に見えるものだけでなく、デジタルデータの整理も必要です。
デジタルデータとは、主に以下のようなものを指します。
- スマートフォンやパソコン内のデータ
- 各種クラウドサービスに保存しているデータ
- 各種SNSやサービスのアカウント情報
例えば、スマートフォンの中には自分で撮影した写真が保存されているケースが多いですが、この写真が思い出の品となるためバックアップを取るなどの対応が必要となるのです。
デジタルデータの整理をおこなうメリットには、主に以下のような点が挙げられます。
- 遺産相続において資産を把握できる
- 葬式の際に用意する遺影で最新の写真を使える
- 不要な有料サービスの支払いをストップできる
- SNSやブログのなりすまし被害を防止できる
- 大切なデータの流出や紛失を防止できる
また、スマートフォンで撮影した写真の中には、ほかの家族に見られたくないものがあるものであり、生前整理をしておくことで自分だけの秘密にできる点も見逃せません。
スマートフォンやパソコンのデータについては、不要なものは処分して、必要なものは他のデバイスやクラウドサービスなどにバックアップを取ってください。
アカウント情報については、エンディングノートなどにIDとパスワードを残しておくとよいでしょう。
なお、今後使用する見込みがない場合はアカウント削除しておくのも得策です。
サービスの見直し・解約
各種有料サービスを利用している場合、サービス内容の見直しや解約を生前整理としておこなう必要があります。
例えば、保険などの契約内容についても、自分の体調などを考えて最適なものに契約し直すのもおすすめです。
また、昨今ではサブスクリプションサービスを利用する機会が増えていますが、不必要なものがあれば解約しましょう。
もし契約を継続する場合は、アカウント情報をエンディングノートに残し、死後に残された家族が解約できるように準備を進めてください。
遺言書の作成
遺言書とは、故人が残した相続などに対する方向性を示した書き物であり、法的効力のあるものです。
もし、遺言書に相続に関する記載を残すと、その内容が最優先されます。
法的拘束力がある正式な遺言書を作成することにより、基本的に遺言書のとおりに遺産分割がおこなわれるため、相続トラブルのリスクを減少できます。
他にも、遺言書では以下の効力を持たせることが可能です。
推定相続人の廃除 | 相続させたくないと感じる非行があるケースにおいて推定相続人から相続権を奪還できる |
相続分の指定 | 相続人の間でも割合に差をつける |
遺産分割方法の指定と遺産分割の禁止 | 遺産の分割方法を指定する、または5年を期限として遺産の分割を禁止する |
相続財産の処分(遺贈)に関すること | 法定相続人ではない、第三者や団体などに相続財産を遺贈する |
内縁の妻と子の認知に関すること | 婚姻関係にない女性との間に子どもがいるケースにおいて、遺言書で認知して子どもを相続人に追加できる |
後見人の指定 | 親権者が不在で未成年の子どもが残された場合、第三者を後見人に指定することによりで財産管理などを委任できる |
後見人の指定 | 親権者が不在となり未成年の子どもが残された場合、第三者を後見人に指定することにより財産管理などを委任できる |
相続人相互の担保責任の指定 | 担保責任が発生した場合の負担者や負担の割合を指定できる |
遺言執行者の指定または指定の委託 | 遺産相続で必要な手続きを実施する遺言執行者を指定する、または第三者に指定を依頼できる |
遺言書には、以下の種類が存在します。
- 自筆証書遺言:遺言者が遺言書本文を自書して作成する遺言書
- 公正証書遺言:公証人に作成してもらう遺言書
- 秘密証書遺言:内容を秘密にしたまま存在だけを公証役場から認証を受ける遺言書
遺言書は、作成方法を誤ると法的効力がなくなるため、公正証書遺言として作成するとミスを防止できるのでおすすめです。
財産目録の作成
生前整理の段階で、相続を見据えて財産の整理を実施しておくことも重要です。
資産整理の主な内容としては、財産目録の作成があります。
財産目録とは、ある期間において保有しているすべてのプラスの財産とマイナスの財産を、区分・種類ごとに一覧としてまとめたものです。
プラスとマイナスの財産は、主に以下のようなものが該当します。
プラスの財産 | マイナスの財産 |
不動産 現金 預貯金 株式 保険 骨董品 貴金属 |
借金 |
相続においては、マイナスの財産も相続しなければならず、トラブルの原因となりがちです。
そこで、財産目録を作成してどの程度の財産があるのかを把握しておくことが重要です。
そのうえで、銀行や証券口座、クレジットカードなどをまとめて一本化すれば、残された家族が遺品整理する際に負担を軽減できます。
さらに、マイナスの財産は可能な限り清算しておくことも重要です。
そのうえで、財産目録を更新して常に最新の情報を記載してください。
エンディングノートの作成
エンディングノートとは、自分の終末に向けて家族や友人に対して伝えておくべき事項や自分の希望などを書き留める書類のことです。
エンディングノートと類似した位置づけとして遺言書がありますが、遺言書は法的効力がありますが、エンディングノートには法的効力はありません。
ただし、自分の希望などを記録として残すことができ、また遺言書のように堅苦しくなく気軽に作成できるメリットがあります。
また、特に決まったフォーマットも指定されていないため、手書きでもPCなどで作成しても特に問題となりません。
もし、作成時にどのようにして作成すればよいか悩む場合は、書店などで販売されているエンディングノートを購入して作成するのがおすすめです。
エンディングノートは、一般的に以下のような項目を含めて作成します。
- 自分の基本情報について
- 財産や資産について
- 身の回りのことについて
- 家族や親族について
- 友人や知人について
- ペットについて
- 医療や介護の方針など
- 葬儀やお墓について
- 相続や遺言書について
- 連絡先
- 自分からのメッセージ
ここで注意したいのが、エンディングノートに相続に関することを記載するケースです。
繰り返しになりますが、エンディングノートは遺言書のように法的効力がなく、相続に関する事柄を記載しても希望が必ずしも通るわけではありません。
もし、自分の希望をしっかりと反映させたい場合はエンディングノートではなく遺言書に記載しましょう。
葬儀・お墓の準備
生前整理として、葬儀の準備を進めておく場合もあります。
特に、遺影については自分がどのようなものを利用してほしいかの希望を伝えておくのがおすすめです。
また、葬儀の演出などの希望も伝えられるメリットがあります。
生前の段階で葬儀の内容を決めておくことを生前予約と呼び、葬儀会社も基本的に生前予約を受け付けている場合が多く見られます。
ほかにも、葬儀だけでなく生前整理でお墓の準備をするケースも多いです。
生前整理でお墓を準備する場合、以下のようなメリットがあります。
- 自分好みのお墓を建てられる
- 家族の負担を軽減できる
- 相続税が課せられない
場合によっては、先祖のお墓の改葬を検討することも重要です。
生前整理を上手に進めるポイント
生前整理を上手に進めるためのポイントとして、以下のような点が挙げられます。
- やることリストを元に計画的に進める
- 体力・判断力があるうちに始める
- 家族や専門家に頼る
各ポイントについて、詳しく解説します。
やることリストを元に計画的に進める
生前整理を進める前の段階で、やることリストを作成することになりますが、このリストを確実に完了させるための計画が必要です。
特に、時間がかかる項目については計画的に実施しないと、完了しないまま死期を迎えてしまう可能性があります。
よって、各項目に対してどの程度の時間がかかるのかを明確にして、明確なスケジュールを立てて対応しましょう。
もし、時間がかかる項目がある場合は家族などのサポートを受けておこなうことも検討してください。
体力・判断力があるうちに始める
生前整理において、特にものの整理をおこなう際には体力が必要です。
特に、タンスなどの重いものを運ばなければならない場合、体力がないと対応できません。
よって、なるべく若いうちに対応するのがおすすめです。
また、不動産の整理をおこなう際には適切な判断力が問われますが、年を重ねる度に判断力も低下するため、その意味でも早い段階で対応するようにしましょう。
家族や専門家に頼る
生前整理を1人ですべて対応することは、とても難しいものです。
そこで、まずは家族のサポートを得て実施するのがおすすめです。
これにより、作業のサポートを受けるだけでなく残すものと残さないものをお互い話し合って対応することで、後でトラブルに発展することを防止できます。
また、家族以外にも生前整理業者などの専門家に頼るのもおすすめです。
これにより、効率よく作業を進められ、また遺言書などの作成サポートを受けられるメリットもあります。
まとめ
生前整理を進めるにあたり、絶対に漏れなく確実に対応したいものです。
そこで、今回紹介したようにリストを作成して、抜け漏れなく確実に対応することが重要です。
生前整理を滞りなく対応して、残された家族に負担をかけないようにしましょう。
ティプロでは、生前整理をサポートしていますので、お困りの場合はお気軽にご相談ください。