人が亡くなった際に、生前使用していたものが遺品として残ります。
遺品は、適宜整理して必要なものと不要なものとに分類する必要があります。
遺品を片付ける行為を、一般的に遺品整理と呼びますが、実際にどのように進めればよいのか悩むものです。
また、遺品整理をおこなう際にどのような点に注意すればよいのでしょうか。
この記事では、遺品整理を始める時期や注意点について解説します。
遺品整理とは?
遺品とは、故人が残した遺産のなかで動産など物品全般を指す言葉となります。
また、同時に故人が生前に使用していた以下のような古物として財産価値の薄い物品も含まれます。
- 生活雑貨
- 衣類
- 家具
- 家電製品など
遺品整理とは、上記のようなものを残すものと処分するものに仕分けする作業のことです。
なお、残すものについては遺品を遺族で分け合う形見分けをおこなったり、そのまま家に残しておく方法が取られます。
遺品整理において、以下のようなものはすぐに処分せず、1年以上保管しておき改めて必要可否を判断する必要があります。
- 日記
- 手紙
- 手帳
- 預金通帳
さらに、以下のようなものは財産として処分できません。
- 貴重品(金品や通帳印鑑など)
- 思い出の品(写真や手紙など)
- 衣類など(衣服や布団など)
- 家具や家電製品(生活家電や箪笥など家具類)
- 食料品(冷蔵庫内の生鮮食品など)
遺品整理を行う時期
少子高齢化や核家族化が進む中で、独居老人の孤独死が社会問題化しており、家具や生活用品が大量に残された状態で住人が亡くなると、残された家族としては遺品の整理と廃棄が負担となるケースも多いです。
そこで、遺品整理を実施するタイミングがとても重要となります。
遺品整理は、基本的にいつまでに実施しなければならないルールは存在しません。
ただし、遺族にとって心の整理が付いたタイミングに行なうのがベターです。
これは、人によって心の整理がつくタイミングがバラバラであり、長い年月がかかる場合があります。
この際に考慮しなければならないのが、遺品整理にはさまざまな手続きがある点です。
なかには、親族と一緒になって対応しなければならないこともあるため、法事のタイミングなどを見計らって実施する場合があります。
そこで、代表的な実施のタイミングとしては、以下があります。
- 四十九日後
- 諸手続き後
- 葬儀後
- 相続前
繰り返しになりますが、遺品整理を実施するタイミングは特に決まりはないため、上記タイミングを参考にして都合の良いときに実施してください。
遺品整理をおこなわないとどうなる?
遺品整理は必ず実施しなければならないものではありませんが、基本的には対応した方がよい場合が多いです。
実際に、遺品整理をおこなわなかった場合、以下のような影響が発生するリスクがあります。
- 費用を払い続けなければならない
- 相続税が発生するものがある
- 他の遺族とトラブルになる場合がある
- 犯罪や災害に巻き込まれる場合がある
- いつまでも遺族の気持ちの整理がつかない
各リスクについて、詳しく解説します。
費用を払い続けなければならない
遺品のなかには、レンタルサービスを利用しているものが含まれている可能性があります。
また、故人が使用していたサブスクリプションサービスがある場合、そのまま気づかず放置しておくと費用を払い続けなければなりません。
遺品整理をおこなっていれば、定期的に費用が発生するものを把握して、解約などの手続きをおこなえますが、遺品整理をしないと解約するきっかけがなくなる点に注意が必要です。
相続税が発生するものがある
相続税とは、亡くなられた方の財産を受け継ぐ際にかかる税金のことです。
財産と聞くと一般的には現金のイメージが強いですが、以下のようなものも財産に含まれるのです。
- 家
- 車
- 家電
- 骨董品
- 美術品など
遺品整理によって、相続税がかかるものを明確にしておかないと、後でトラブルになるリスクがあるため注意が必要です。
他の遺族とトラブルになる場合がある
遺品整理を実施しないで放置していると、遺品の取扱いに関して遺族とのトラブルに発展するリスクがあります。
また、誰が遺品整理するのかについて、自分が行ないたくないと押し付け合いになるケースも散見されます。
勝手に形見分けしたり、価値の高い物を勝手に自分のものにされたなどのトラブルもよく見られるため、誰がどのタイミングで遺品整理するのかを明確にすることが重要となります。
犯罪や災害に巻き込まれる場合がある
遺品整理をおこなわず、空き家の状態で放置していると、思わぬ犯罪や災害に巻き込まれるリスクがあります。
空き巣に入られたり、空き家を狙った放火が発生したりするリスクがあり、さらに空き巣に若者がたむろするなどの問題も発生する場合があります。
以上のように、遺品整理しないまま放置していると犯罪や災害に巻き込まれるリスクがあるため、注意が必要です。
いつまでも遺族の気持ちの整理がつかない
遺品整理を実際に行なおうとした場合、残された家族にとっては実に心身に負担の大きいものとなります。
ただし、遺品整理を行なうことで故人の死を冷静に受け止めて、次の一歩へ進むための重要な機会ともなるのです。
遺品整理しないと、いつまでも故人への想いが断ち切れず、つらい日々を送らなければなりません。
遺族の気持ちの整理のためにも、早めに遺品整理をおこなうことをおすすめします。
遺品整理の方法
遺品整理をおこなう場合、大きく自分自身で進める方法と遺品整理業者に依頼する方法があります。
各方法において、進め方が異なるためそれぞれに適切な対応が必要です。
ここでは、遺品整理を自分で進める場合、遺品整理業者に依頼する場合それぞれの手順を紹介します。
自分で進める場合
自分で遺品整理を進める場合、以下のステップで実施します。
- スケジュールを立てる
- 遺品を仕分けする
- 遺品の処分・形見分けを行う
各ステップの詳細は、以下のとおりです。
【STEP1】スケジュールを立てる
遺品整理をおこなう場合、始めに実施すべきなのがスケジュールの明確化です。
遺品整理を行なったうえで、各種手続きに進む必要がある場合、遺品整理が完了しないと次のステップに移行できません。
そこで、ゴールを明確にして逆算する形でスケジュールを立てる方法があります。
これにより、確実に遺品整理を完了させたいタイミングと、それに間に合わせるための方法を明確にできます。
また、単純にこれから遺品整理を始めるにあたって、利用できるリソースなどを明確にした上でスケジュールを立てる方法もおすすめです。
スケジュールを立てることで、遺品整理として実施すべきことが明確になって、効率的に遺品整理を進められるメリットがあります。
自分ひとりではなく、ほかの家族などと一緒に遺品整理を進める場合、家族の都合などを確認しながらスケジュールを立てるようにしましょう。
【STEP2】遺品を仕分けする
遺品整理の本作業となる、遺品の仕分けに入ります。
仕分けるとは、残すべきものと処分すべきものに分類してく作業のことです。
仕分ける際には、故人の遺言が残されている可能性があり、遺言がある場合は反映させたうえで仕分けなければなりません。
また、遺言がない場合でも故人の想いを最優先にして仕分け作業をおこなってください。
広いスペースを確保した上で、遺品を残すものと処分するものに分類してきますが、もし残すかどうかを悩むものがあった場合は、一旦保留にしておき後日改めて判断するとよいでしょう。
故人や自分だけの意思を反映するのではなく、ほかの家族や親族の意見も取り入れて作業してください。
作業時には、力仕事も伴うため、無理はせず怪我をしないように手袋などを着用して作業しましょう。
【STEP3】遺品の処分・形見分けを行う
遺品の仕分けが完了したら、遺品の処分をおこないます。
なお、遺品を処分するにあたって形見分けするものがあれば、廃棄せず形見分けしてください。
形見分けは、通常は忌明けの法要が済んだタイミングで実施し、仏式の場合は四十九日法要の後、神式の場合は五十日祭や三十日祭の後に実施します。
キリスト教では、形見分けという考え方自体が存在しませんが、1ヶ月命日の追悼ミサ以降で形見分けをするケースが多いです。
形見分けする場合、形見の品を贈る方を自宅に招いたり、形見の品を先方に持参したりして実施します。
形見分けもせず処分する遺品がある場合、主に以下のような方法で処分します。
- 自治体のごみ出しルールに従い処分
- 不用品回収で回収してもらう
- リサイクルショップで買取対応してもらう
- フリマアプリなどで売却する
- 施設などに寄付する
- 個人売買や譲渡する
大きく、廃棄、買取・売却、譲渡という3つの方法があります。
基本的には、リユース可能なものは買取・売却して、使えないものは廃棄する流れが一般的です。
廃棄する場合、ものによって処分方法が異なるためよく確認してください。
遺品整理業者に依頼する場合
遺品整理業者に遺品整理を依頼する場合、以下のステップで実施します。
- 複数業者を比較して問い合わせる
- 訪問見積もりを行う
- 契約を交わして作業を実施する
各ステップの詳細は、以下のとおりです。
【STEP1】複数業者を比較して問い合わせる
遺品整理業者に遺品整理を委託する場合、業者選びから始める必要があります。
遺品整理業者と言っても、実に多くのパターンの業者が存在します。
具体的には、遺品整理だけを対応する業者から、ハウスクリーニングや遺品の買取、そして相続のサポートまで幅広い範囲に対応してくれる業者もいるのです。
よって、自分がどのような作業を依頼したいかによって、依頼する業者を選定してください。
また、遺品整理業者に作業を依頼する場合、当然費用が発生するため安い費用で依頼できる業者を選定したいものです。
そこで、複数業者から相見積もりを取得して、費用相場を把握した上で最適な業者を選定してください。
【STEP2】訪問見積もりを行う
遺品整理は、基本的に部屋の広さに応じて費用が決まる形が多いです。
ただし、同じ広さの部屋であったとしても、遺品の量に応じて作業時間や対応する作業スタッフの人数が変化する可能性があります。
また、マンションの上階で遺品整理する場合、処分するものを運び出すのに一苦労するものです。
そこで、実際に遺品整理の作業をおこなう場所などを訪問見積りにより確認してもらうと、より正確な費用を把握できます。
【STEP3】契約を交わして作業を実施する
見積もりを取得して、特に問題ない場合は遺品整理業者と契約を締結します。
契約時には、契約内容を再度確認して齟齬が無いように注意しましょう。
実際に契約を結んだら、事前に整合した日に遺品整理がおこなわれます。
遺品整理をする上での注意点
遺品整理を行なう上では、注意すべきポイントがあります。
特に、以下のような点に注意して対応してください。
- 作業する時間帯に気を配る
- 期日のある書類を先に片付ける
- 相続人とよく話し合っておく
各注意点について、詳しく解説します。
作業する時間帯に気を配る
遺品整理において、注意したいのが作業する時間帯です。
遺品のなかには、タンスなどの大型な家具なども含まれますが、搬送する際に意外と大きな音が発生する場合があります。
また、小物を運ぶ際にもマンションなどであれば下の階に騒音として聞こえる場合があるのです。
よって、基本的には夜中に作業しないことをおすすめします。
また、上階のマンションで日中に遺品整理をおこなう場合、荷物を外に運び出すためにエレベーターを使用することになります。
この際に、エレベーターを占有してしまう可能性があるため、なるべく人がエレベーターを利用しない時間帯を見計らって対応してください。
期日のある書類を先に片付ける
遺品整理の対象となるものには、死後に発生する年金や相続の手続きのように、期限があるものも含まれます。
もし、期限が過ぎた後に遺品整理をおこなってしまうと、必要な手続きがおこなえなくなります。
そこで、期日のある書類が含まれている場合は、優先して対応して特に期限がないものは後回しにするなどのメリハリを付けた対応が必要です。
相続人とよく話し合っておく
遺品整理において、絶対に避けたいのが相続に関するものを勝手に処分してしまうことです。
そこで、相続人との間でよく会話してどれを残すかなどを決定してください。
事実、法的には相続人が行うことになっているため、ほかの相続人がいる場合も適切に会話した上で対応しましょう。
まとめ
遺品の片付けは、精神的に辛い中で対応しなければなりません。
また、実施する上で注意すべき項目があり、特に相続に関するものは勝手に処分するとトラブルの元となるため注意してください。
今回紹介したポイントを参考に、遺品片付けを効率よく完了させましょう。
ティプロでは、遺品片付けのサポートをおこなっていますので、お困りのことがあればお気軽に相談ください。