断捨離がブームになって以降、片付けるということに対して関心が高まりつつあります。
整理という意味では、生前整理や遺品整理が当たり前のように行われていますが、生前整理の前段階として老前整理をおこなうケースも増えています。
老前整理は、より早い段階で整理をはじめることで大きなメリットを得られるのです。
では、老前整理とは一体どのような作業を指すのでしょうか。
この記事では、老前整理とは?メリットや始めるタイミング、やり方について詳しく解説します。
目次
老前整理とは?
老前整理とは、自分自身が老いる前のタイミングで整理したり、老いてしまうために備えるために実施したりする整理のことです。
老前整理と生前整理との相違点としては、老前整理はあくまでも自分自身のために実施するものとなります。
一方で、生前整理は残された家族に対して実施する意味合いがあるため、同じ整理であっても目的が異なるのです。
また、生前整理の場合は老年時に病気が発症したり施設に入居したりした後に実施することが多いです。
さらには、自分が他界した後の遺族に対して負担をかけさせないために実施する整理となります。
老前整理の場合は、あくまでも今後迎える老後の生活をより楽に過ごすために、身辺整理を実施する形となります。
老後を迎えると、徐々に自分の身体が衰えていくことを実感し始めるタイミングです。
また、健康のことを考えつつ、本当に必要なものだけに囲まれて、老後の生活を送れるかが重要です。
そこで、老前整理としてものを整理していく必要があります。
ほかにも、最近ではミニマリストと呼ばれる、必要最小限のものだけを揃えて生活するスタイルが増えつつあります。
特に、30代あたりからミニマリストの考え化が根付いており、老前整理として整理を始める方も多く見られる状況です。
老前整理を始めるタイミング
老前整理は、老後を見据えて実施する整理となりますが、どのタイミングから実施するというルールは一切存在しません。
自分が必要と感じたタイミングから、老前整理を始めることになります。
ただし、タイミングを逸すると思うように老前整理を進められない場合が多いです。
そこで、以下のようなタイミングから実施するとよいでしょう。
- 自身が病気を患った場合
- 子どもが経済的に独立した場合
- 将来に不安を感じ始めた場合
- 退職や転職を決断した場合
自分が病気を患った場合、今後の人生をどのように送るべきかの大きな転換期となる場合が多いです。
特に、身体に障害が発生した場合、生活スタイルを見直す必要もあります。
そこで、老前整理をおこなうことで不要なものを処分したり、生活設計を見直したりして、今後の人生をより送りやすくなります。
また、老前整理をおこなうタイミングとしては、子供が独立したり転職、退職を決断するなど、人生において大きな転換期で始める場合が多いです。
子どもが独立した場合、経済的にも若干余裕が生まれてきます。
そこで、老前整理によって資産をどのようにしていくのかなどをしっかりと検討して、今後の人生設計を立てることになります。
また、退職や転職する場合、収入が大きく変化する可能性が高いです。
そこで、老前整理においてしっかりと今後どのように人生を送るのかを考えて、対策を図っていくことになります。
以上のように、老前整理をいつ行うべきかは、自分が置かれている状況などによって異なります。
老前整理を行うメリット
老前整理は、生前整理と似たようなイメージがありますが、より早い段階で実施することで様々なメリットあります。
老前整理の主なメリットは、以下の3点です。
- 老後の生活が充実する
- 体力・気力があるうちに整理できる
- 生活資金を見直せる
各メリットの詳細について、解説します。
老後の生活が充実する
日本では、多くの企業が60歳で定年を迎えます。
今まで、毎日のように会社に出勤して働いていたものが、定年を迎えるとがらっと生活が変わります。
これによって、セカンドライフをどのように送るのかをしっかりと考えなければなりません。
セカンドライフをいかに充実させるかについては、早めの準備が必要です。
定年を迎えたタイミングで今後の人生を考えればいいと考える方もいますが、実際に充実したセカンドライフを送る方の傾向をみると、早めに準備を始めていた場合が多いです。
特に、セカンドライフでは資金面と体調面の2つの側面で蓄えておくことが重要となります。
蓄えがない状態で定年を迎えたとしても、お金がないので何もできない、資金的には余裕があるものの体調がすぐれないので何もできない、という事態を招いては意味がありません。
そこで、老前整理として準備を進めれば、よりセカンドライフを充実させることができるでしょう。
体力・気力があるうちに整理できる
生前整理の場合、どちらかと言えばある程度自分の終末が見えてきたタイミングで実施することになります。
人間は、年齢を重ねる度に徐々に体力や気力が低下していくものです。
生前整理ではものを処分する作業をおこないますが、重量のある家具を持ち上げるのも一苦労します。
また、資産を整理する作業もかなりの気力がいるため、高齢になってから実施するのはかなり大変です。
そこで、老前整理の形で実施しておくことで、まだフレッシュな状態で対応できるため整理がはかどる場合が多いです。
また、高齢になると認知能力が低下することで、残すものと捨てるものの判断が遅くなる可能性もあります。
その意味でも、老前整理として実施することによるメリットは大きいと言えます。
生活資金を見直せる
老前整理によるメリットとして、無駄な出費を抑制できるという点があります。
住居内を整理することで、新しいものを購入する場合に本当に必要なものなのかを検討する思考が生まれます。
例えば、洋服は常に新しいものを購入してしまいがちですが、老前整理においてタンスなどを整理してみると、まだまだ身に付けられる衣服が多くあることに気づきがちです。
そこで、新たに購入しようとしていても、もったいないという気持ちになって購入を控える可能性が高まります。
ほかにも、現在契約しているサービスが実は不要であって、解約することで月々の無駄な出費を抑えることができるなどのメリットもあります。
老前整理で新しいものを購入する機会が減ることで、生活資金を見直すことが可能となり、より余裕を持って生活できるようになるでしょう。
老前整理の方法
老前整理は、主にものの整理が中心となります。
ものの整理の順番としては、以下のように実施します。
- 使う物と使わない物に分類する
- 不要な家具・電化製品を処分する
各ステップの詳細は、以下のとおりです。
使う物と使わない物に分類する
老前整理の大変な作業として、ものの仕分けがあります。
仕分けとは、必要なものと不要なものを分類する作業のことです。
住居の中にはさまざまなものが存在しますが、それぞれのものに対して、使用するものと使用しないものに分類しなければなりません。
使用するものはそのまま残す形となりますが、使わないものは押し入れにしまったり場合によっては処分することも検討します。
この仕分け作業において、いかにミニマリストの考え方を導入できるかがポイントです。
もったいないと考えてしまうと、結果としてほとんどのものを残すことになり、老前整理をおこなう意味がありません。
よって、思い出のものや高価なもの、そして使用する機会の多いもの以外は、多少もったいないと感じても処分することをおすすめします。
また、老前整理は基本的に自分のためにおこなう作業となりますが、ものによっては家族と相談した上で残す、残さないを判断してください。
不要な家具・電化製品を処分する
仕分け作業において不要と判断したものについては、処分を検討してください。
なお、処分とは廃棄処分のほかにもリサイクルショップなどに買取ってもらったり、不用品回収業者に回収してもらうなどの方法があります。
当然、買取ってもらった方が売却益を得られるためお得となりますが、無料回収してもらうだけでも廃棄費用を抑えることが可能です。
特に、家電の場合は通常廃棄する場合は家電リサイクル法に従ってリサイクル量を請求されてしまいます。
そこで、不用品回収業者などを有効活用すれば、お得に処分することができます。
ほかにも、使用できる家具や家電であれば、各種施設に寄付するという手段も有効的です。
老前整理の注意点
老前整理をおこなう際に、注意すべきポイントがあります。
特に、以下のような点に注意が必要です。
- スケジュールを決めて進める
- 自分の持ち物だけ整理する
- 業者選びに注意する
各注意点について、詳しく解説します。
スケジュールを決めて進める
老前整理は、短時間で完了できるようなものではありません。
場合によっては、長期にわたって実施しなければならないケースも多数あります。
そこで、スケジュールを決めて計画的に進める必要があります。
自分一人ではなく、ある程度協力者を募って実施しなければならない場合、なおさら明確な対応スケジュールを作成しなければなりません。
また、不要になったものを自治体のごみ出しルールに従い廃棄する場合、ごみ出しの日に合わせて作業した方が効率よく処分できます。
単に実施日数だけを決めるのではなく、総合的な観点で多雨王スケジュールを明確にしましょう。
自分の持ち物だけ整理する
老前整理では、基本的に自分の持ち物だけを整理する形で進めてください。
住居にあるものは、当然自分だけのものではなく他の家族のものも多数含まれます。
もし、自分だけの意思で仕分けてしまうと、家族の大切にしていたものまで処分してしまう可能性があります。
どうしても、自分以外の持ち物を処分したい場合は、家族と一緒になって対応を図りましょう。
業者選びに注意する
老前整理をおこなう際に、不要品の処分を業者に依頼する場合があります。
また、老前整理を全般的に業者にサポートしてもらうこともあります。
業者に依頼することで、どのように老前整理を進めればよいのかをサポートしてもらえるので、効率よく作業を進めることが可能です。
ただし、老前整理を依頼する業者の中には、悪徳業者も少なからず存在します。
悪徳業者の場合、見積もりには盛り込まれていなかった費用を請求されたり、ものを勝手に処分してしまうなどのトラブルが発生します。
また、ものを処分する際に必要となる許可を得ていないことで、不法投棄されるリスクがあるのです。
よって、業者選びは慎重におこなってください。
まとめ
老前整理は、差し迫って実施するわけではなく、ある程度余裕をもって実施することになります。
ただし、計画的に実施しないと思うように進められないものです。
今回紹介した内容を参考に、しっかりと計画をもって進めてセカンドライフを豊かにしましょう。
ティプロでは、お客様の老前整理を誠心誠意サポートしておりますので、もしお困りのことがあればお気軽にご相談ください。
現代は、超高齢化時代と言われています。一人住まいの方が増え、もしもの時は残された身の回りの生活用品の整理にご遺族は途方にくれることになります。遺品整理士として、専門的な知識と豊富な経験から、遺品の整理や生前整理などのお手伝いをさせていただきます。