人が亡くなる場合、必ずしも病院などの場所で誰かに看取られながら死期を迎えるわけではありません。
残念ながら、誰にも看取られることなく亡くなられてしまうケースがあります。
特に、1人暮らしをしていて急病などで亡くなられた場合、孤独死の形で発見されるケースもあるのです。
もし、親族などが孤独死の形で発見された場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
この記事では、孤独死発見時の処理の流れを詳しく解説します。
目次
孤独死とは?孤独死を発見した後の流れ・対処法
孤独死とは、誰にも看取られることなく1人で亡くなられたことをします。
2022年11月に公表された、「第7回孤独死現場レポート」によると、孤独死の割合は以下のようになっています。
死因 | 割合 |
病死 | 66.8% |
自殺 | 9.8% |
事故死 | 1.2% |
不明 | 22.1% |
合計 | 100% |
圧倒的に多いのが病死であり、その他不明というケースも多いです。
病死とは、主に突発的に亡くなられるような病気以外にも、徐々に足が不自由になって生活がままならなくなり、やがて死亡するケースも見られます。
近所付き合いが希薄になっている昨今、もし死亡していてもなかなか気付いてもらえず発見が遅れる場合があります。
実際に、死亡してから発見されるまでの日数は、平均16日以上となっているのです。
全体 | 男性 | 女性 | |
3日以内 | 41.2% | 39.7% | 48.1% |
4日から14日 | 27.9% | 28.3% | 25.7% |
15日から29日 | 14.0% | 14.6% | 11.4% |
30日から89日 | 14.1% | 14.7% | 11.6% |
90日以上 | 2.8% | 2.8% | 3.1% |
平均日数 | 18日 | 18日 | 16日 |
もし、孤独死されたことを発見した場合、以下のような流れで対処することになります。
- 警察に連絡・現場検証
- 身元確認・遺族への連絡
- 死亡届の提出・葬儀の実施
- 特殊清掃の実施
- 遺品整理・不用品の処分
各対処の詳細は、以下のとおりです。
警察に連絡・現場検証
孤独死の可能性がある方を発見した場合、基本的にすぐに救急車を呼んでください。
救急車が到着すると、救急隊員が生死を確認して、生きていれば病院に搬送し、事件などの可能性があれば警察へ通報されます。
また、事件性がない場合でも警察に連絡して孤独死の原因を把握しなければなりません。
警察が到着したら、現場検証や家宅捜索がおこなわれます。
事件性がないと判断されるまでの間は、家族であっても現場に立ち入ることはできません。
現場検証や家宅捜索がおこなわれている間は、現場に存在する金品などは一時的に没収される形となる点にも注意が必要です。
身元確認・遺族への連絡
警察の現場検証などにより、遺体の身元を明らかにします。
そして、親子や兄弟、親戚など故人と血縁の近い順番に連絡が入ります。
もし、近しい親族が存在しない場合は、2親等や3親等まで連絡が取られる場合もあるのです。
身元が判明するまでは保管庫で安置され、別途安置費用が遺族に請求されます。
死亡届の提出・葬儀の実施
警察による検視がおこなわれ、死体検案書が作成されるまでの間は、遺体は警察署が預かる形となります。
遺体が引き渡されるまでの間は、死亡届を提出したり葬儀を執りおこなうことはできません。
孤独死発見から遺体を引き取るまでの日数としては、事件性がない場合では半日から数日程度かかります。
また、検視が実施されるケースにおいては、10日から2週間程度かかり、さらにDNA鑑定をおこなう場合は1ヶ月程度かかる場合もあるのです。
無事、遺体が引き渡されるタイミングで死体検案書が作成されますが、死体検案書は死亡届をも兼ねています。
右半分の死亡届の欄に、故人や届出人の戸籍の情報を記入して、最寄りの役所に7日以内に提出してください。
同時に、葬儀の準備を進める必要もあります。
特殊清掃の実施
一通りの処理が完了したら、遺体が発見された場所の清掃が必要になる場合があります。
亡くなられてすぐに発見された場合は特に汚れ等は気になりませんが、すでに数日経過している場合は腐敗している可能性が高いです。
腐敗すると、体液が周囲に流れ出てしまい悪臭が発生して部屋にいられないような状況となってしまいます。
また、ウジ虫やハエなどの害虫などが湧いた状態となっているため、個人で対処するのは難しいです。
さらに、伝染症などに感染しているリスクがあり、手で触れてしまうと自分自身に伝染病が感染してしまうため注意が必要です。
以上のように、孤独死で亡くなられた場合は周囲の特殊清掃を実施しなければならないケースが多く見られます。
特殊清掃は、基本的に専門業者に作業を依頼する必要があります。
また、遺品整理業者などでも特殊清掃に対応しているケースがあるため、後に実施する遺品整理と合わせて作業を依頼するケースが大半です。
特殊清掃は、特殊な薬液などを使用して汚れを徹底的に落とす作業となります。
また、遺体が発見された周囲の見た目上の汚れを除去できても、臭いが壁などに染みついてしまい臭いが残るケースもあるのです。
そこで、壁を含めて清掃する必要がある場合もあります。
さらに、特殊清掃しても臭いが取れない場合は床や壁などを張り替えるなどの対処が必要です。
遺品整理・不用品の処分
特殊清掃を完了させた後に、遺品整理をおこないます。
遺品整理とは、故人が使用していたものなどについて、残すものと処分するものに分類する作業のことです。
故人が生前に生前整理の形で仕分けているケースもありますが、突然死の場合は残された家族が整理しなければなりません。
遺品整理において、重要となるのが故人の意思に基づいて整理しなければならない点です。
整理する人が不要と判断していても、故人にとっては大切なものである可能性があるため、あくまでも故人の立場に立って整理する必要があります。
遺品整理の結果、不要と判断した場合は処分しなければなりません。
処分方法としては、自治体のごみ収集に従って処分する方法や、リユースできる場合は買い取ってもらう方法などがあります。
遺品整理は、ほとんどの人が初めての体験となるため、どのように進めてよいのか悩みがちです。
そこで、遺品整理業者などの専門家に依頼すれば、スムーズに遺品整理をおこなうと同時に、不用品を買い取ってもらえるなどのサービスがあるのでおすすめです。
孤独死の処理でかかる費用相場
孤独死を発見した場合、処理するために専門業者などを利用しなければなりません。
主にかかる費用をまとめると、以下のようになります。
項目 | 費用 |
葬儀代 | 20万円から200万円 |
遺品整理費用 | 30万円から100万円 |
相続手続き費用 | 30万円から120万円 |
相続放棄費用 | 10万円から30万円 |
相続税申告費用 | 30万円から120万円 |
大家への損害賠償 | 10万円から100万円 |
そのほか、直近の保険料など支払いを滞納している場合は、負担が必要です。
以上のように、孤独死の処理では最大で500万円近くかかることになります。
孤独死の費用は誰が負担する?
孤独死の費用は、基本的に亡くなった本人が負担しなければなりません。
ただし、亡くなられているため実際には相続人が故人の遺産や保険金で支払う必要があります。
また、住居の特殊清掃の費用については以下のような順番で負担するのが一般的です。
- 借り主(遺産・保険金)
- 相続人や連帯保証人
- 保険会社・保証会社
- 大家や不動産業者
では、持ち家と賃貸物件の場合は誰が負担するのでしょうか?
持ち家の場合
持ち家の場合は、子供などの法定相続人が清掃費用を支払う義務があります。
但し、所有者が孤独死清掃をおこなうことなく格安で物件を売りに出すケースもあります。
子の場合、住宅を購入した方が特殊清掃やその他の費用を支払わなければなりません。
また、特殊清掃の費用を支払えない場合、3か月以内に家庭裁判所へ相続放棄の手続きを取る必要があります。
賃貸物件の場合
賃貸物件の場合は、連帯保証人または保証機関に真っ先に連絡が入ります。
次に、法定相続人の血縁の近い順番に連絡が入って、費用が請求されます。
法律上のトラブルを防止するためには、早急に賃貸借契約の内容をチェックして、連帯保証人であるかどうかを確認してください。
孤独死の原状回復にかかる費用負担を減らすコツ
孤独死の原状復帰にかかる費用を減らすためには、そもそも孤独死とならないように対策することが重要です。
まずは、定期的に声がけしてコミュニケーションを取ることから始めてください。
毎日対面していて、急に姿を見せなくなったら孤独死している可能性が考えられるため、すぐにアクションを取ることができます。
次に、近くに住んでいない場合は各種の見守りサービスを利用するのもおすすめです。
見守りサービスは、自治体サービスを利用する場合と、民間サービスを利用する場合があります。
本格的にセンサーを用いたサービスもあり、リアルタイムで情報を得ることも可能です。
最後に、大屋として住居を提供している場合は孤独死保険に加入することで、もし孤独死を発見した場合でも保険が適用されて費用を補填してもらえます。
まとめ
孤独死を発見した場合、とても悲しいものですが、即座に対応しなければならない作業があります。
特に、死亡届の提出は期限が決められており、確実に実施する必要があります。
また、孤独死の処理に多くの費用がかかってしまうのは事実です。
ティプロでは、孤独死などの特殊清掃・消臭にも対応していますので、ぜひお気軽にご相談ください。
広島で遺品整理業をはじめて12年になります。遺品整理を通じで超高齢化社会の問題に日々直面していくなか、お客様のいろんな心配ごとを解決させて頂いています。同じようなトラブルに直面している方々の少しでもお役に立てればと考えこのサイトを立上げました。
★取得資格★
「遺品整理士」「特定遺品整理士」「不用品回収健全化指導員」「特定国際種事業者」「産業廃棄物処理業者」 「宅地建物取引業」