孤独死と聞くと、一般的には高齢者が自宅などで息を引き取るケースを連想しがちです。
ただし、実際には若者でも孤独死として発見されるケースがあります。
よって、必ずしも高齢者ばかりを孤独死として疑うのではなく、若者でも孤独死してしまうリスクがあることを受け止める必要があります。
では、若者が孤独死する原因にはどのようなものがあるのでしょうか。
この記事では、若者が孤独死する原因や、孤独死しやすい人の特徴や対策方法を解説します。
目次
若者の孤独死は増えている?
孤独死と聞くと、一般的には高齢の方が老衰や病気などによって亡くなるパターンを想像しがちです。
ただし、実際には東京23区内だけでも20~30代の孤独死は250人前後もいるのです。
一般社団法人日本少額短期保険協会が2019年に発表した「第4回孤独死現状レポート」によれば、以下の割合で孤独死を遂げているとされているデータがあります。
20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 70代 | 80代~ | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 3.1% | 5.7% | 10.0% | 18.6% | 32.9% | 23.4% | 6.4% |
女性 | 8.3% | 7.8% | 11.6% | 13.7% | 21.0% | 20.1% | 17.5% |
はやり、60代から70代の方が孤独死の割合が多いものの、女性の20代では8.3%もの方が孤独死として発見されているのです。
また、人数ベースで見た場合、以下のように男性の方が女性よりも若者の孤独死が2倍から3倍ほど多いという傾向があります。
20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 70代 | 80代~ | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 87名 | 157名 | 276名 | 514名 | 912名 | 647名 | 177名 |
女性 | 48名 | 45名 | 67名 | 79名 | 121名 | 116名 | 101名 |
以上より、若者であっても孤独死で発見される可能性があるのです。
若者の孤独死が起こる原因
若者が孤独死する原因としては、主に以下のようなものがあります。
- 社会的孤立
- 経済的な困窮
- 精神的ストレス
各原因について、詳しく解説します。
社会的孤立
若者が孤独死する場合の主な要因として、社会的孤立が挙げられます。
社会的孤立とは、家族や地域とのコミュニティがほぼない状態のことです。
これは、決して本人が望んでいるわけではなく、 本人の感情とは関係ない部分で孤立しているケースが大半です。
現代社会では、地域コミュニティが希薄になりつつあります。
昔であれば、近所の方とすれ違う際に挨拶だけでなく一言二言かけるのが一般的でしたが、今では挨拶すらしない、隣の人の顔すら知らないというケースが多いです。
特に若者においては、雇用情勢の悪化により社会的孤立が増えていると言われています。
具体的には、若者が勤労という形で社会参加できないため、社会的孤立するケースが多いです。
また、現代社会では情報化社会となったため、インターネットを活用して気軽に対人関係を築き上げることができる一方で、自分から一方的に関係を断ち切って自分の意思で孤立することを選択できるリスクもあります。
以上のような事情もあり、若者が社会的孤立となってしまい、体調が悪化しても誰も頼る人がいなくなり、自宅などで亡くなり孤独死として発見されるケースがあります。
経済的な困窮
経済的な困窮によって、孤独死してしまうケースも多く見られます。
先に紹介したとおり、雇用情勢の悪化によって定職を見つけることができずに、安定した収入を得られていない若者も多く見られます。
収入が少なく困窮してしまうと、健康的な食事ができなくなり、体調を崩してしまうケースも多いです。
また、体調不良であっても病院に行くお金もないという場合もあるのです。
特に、家賃や光熱費、社会保険などの支払いに追われてしまうと、本来確保すべき生活費を切り詰めなければならなくなり、最終的に体調悪化により孤独死として発見される場合があります。
精神的ストレス
厚生労働省が公表した「平成30年版 自殺対策白書」では、若者の自殺の原因の約60%が精神的な苦痛と挙げています。
また、その中でも孤独感が最も多く挙げられている状況です。
近年、SNSの普及によって他者との比較や評価がより簡単になったため、自己肯定感が低下しやすくなっている事情もあります。
これにより、精神的なストレスや不安を増幅して自殺などにより発見されるケースがあるのです。
また、無気力状態となり、何もやる気が起きない状態でやがて自宅がセルフネグレクトとなってしまい、体調を崩して孤独死してしまう場合もあります。
孤独死しやすい若者の特徴
孤独死しやすい若者の特徴としては、主に以下のような場合があります。
- 一人暮らしをしている人
- 生真面目・プライドが高い人
- 人との関わりが少ない人
- 趣味がない人
- 非正規雇用・過重労働の環境にいる人
各特徴について、詳しく解説します。
一人暮らしをしている人
一人暮らししている人の場合、単純に体調の変化などをほかの家族などに見られることがないため、孤独死のリスクが高まります。
また、実際の生活の状況が把握できないため、例えば生活困窮でまともに食事ができていない状況なども、把握できないのです。
生真面目・プライドが高い人
真面目な人は、一見すると定職について自分の体調などにもしっかりと気を配り、孤独死とは無縁な印象があります。
ただし、実際には真面目でしっかりしたタイプの人ほど他人に迷惑をかけたがらず、結果としてセルフネグレストとなってしまうリスクが高いのです。
また、プライドが高い人も同様に、他人に頼ることができずに自分が窮地におかれている状況でも弱みを見せられず、状態が悪化して孤独死として発見される場合があります。
人との関わりが少ない人
人との関わり合いがない人の場合、社会的孤立となりがちです。
これにより、もし体調を崩していたとしても気付いてもらえないなどにより、孤独死として発見されるケースが多いです。
人との関わり合いが少なくなる理由としては、性格的な問題以外にも精神的な疾患による場合もあります。
趣味がない人
趣味がない人の場合、人との交流が少なくなるため孤独死となる傾向が強いです。
趣味があれば、もし気分的に落ち込むことがあったとしても、趣味で気晴らしになりストレス発散やリフレッシュできます。
趣味がないと、リフレッシュする機会がなくなり、飲酒によってストレスを発散するという場合があります。
飲酒によるストレス発散は危険であり、アルコール依存症になったりアルコールで体調を崩してしまい、孤独死として発見される可能性もあるので要注意です。
非正規雇用・過重労働の環境にいる人
非正規雇用で働く人の場合、安定した収入を得ることができずに生活が困窮するケースがあります。
これにより、本来受けるべきものを受けられなくなり、病気にかかっても放置してしまい孤独死する可能性が考えられます。
また、過重労働している人の場合も、精神的にも肉体的にも追い詰められ、休まる暇がなくなり精神的に病んでしまいがちです。
若者の孤独死を防ぐための対策
若者の孤独死を防止するためには、以下のような対策をおこなってください。
- 積極的にコミュニケーションをとる
- 部屋を綺麗にする
- 心療内科・健康診断を受診する
各対策について、詳しく解説します。
積極的にコミュニケーションをとる
孤独死を防止するためには、如何に社会的孤立させないかが重要です。
そこで、積極的にコミュニケーションを取ることにより、孤立を防ぐ効果があります。
自ら、家族や友人、近隣の方に対して会話することで、相手も自分自身の変化に気付いてもらえるメリットもあります。
ストレスを感じない程度に、地域行事などに参加してコミュニケーションを取るようにしましょう。
部屋を綺麗にする
部屋を綺麗にしておくことも、孤独死対策として有効的です。
部屋が汚い状態の場合、不衛生となり様々な疾患を引き起こすリスクがあります。
また、導線も確保できない部屋の場合、怪我などのリスクも高まるのです。
そこで、常に部屋を綺麗な状態にしておきましょう。
心療内科・健康診断を受診する
孤独死の原因となるセルフネグレクトを引き起こす要因として、認知症や精神病であるケースが多いです。
もし、認知症がある場合は自分が置かれた状況を正しく判断できなくなるのです。
また、精神疾患が日常生活における判断力や行動する力を低下させるケースがあるため、しっかりと治療することが重要となります。
また、精神疾患以外にも定期的に健康診断を受診して、早期に病気を発見して治療する対応を図ってください。
まとめ
若者であっても、孤独死で発見される可能性は否定できません。
特に、セルフネグレクトに陥ると健康な人であっても孤独死を引き起こす要因となります。
今回紹介した内容を参考に、孤独死を発生しないような対策を図ってください。
ティプロでは、孤独死で発見された場合の特殊清掃に対応しておりますので、お気軽にご相談ください。