人間は、必ず死期を誰かに看取ってもらえるわけではありません。
孤独死の形で、誰にも知られることなく死亡してしまうケースがあります。
昨今、地域のコミュニティが薄れている事実があり、また高齢化が年々進行している中で孤独死も増加している状況です。
では、そもそも孤独死とは一体どのような状況を指すのでしょうか。
この記事では、孤独死の定義や実際に孤独死を発見した際の対処、そして回避する対策などを紹介します。
いざ、自分が孤独死を発見した際に慌てないよう、そして孤独死とならないようにしっかりと内容を理解しましょう。
目次
孤独死とは
孤独死とは、誰にも看取られることなく住居内などで生活中の突発的な病気などによって死亡することを指します。
主に一人暮らしの方に発生するケースが大半となり、特に病気が重篤化しても助けを呼べずに死亡している状況のことを言います。
ただし、孤独死には正確な定義がなく、様々な解釈がある状況です。
具体的には、各団体で以下のような状況を孤独死と定義付けています。
- 2週間毎程度に見守る者がおらず独居または高齢者のみ世帯の高齢者が死亡した場合(2006年 新宿区高齢者保健福祉協議会)
- 異状死の内、自宅で死亡した一人暮らしの人が死亡した場合(2010年 東京都監察医務院)
- 従来から周囲との交流がなく、地域から孤立をしている状況で誰にも看取られず一人で死亡した場合(2016年 日本災害看護学会)
さらに、過去の孤独死の事例を基に、社会との交流が少なく孤立していて、誰にも看取られず自宅敷地内で死亡して死後発見される場合を孤独死と定義したケースもありますが、これには議論の余地があると判断されています。
以上のように、様々な定義が入り乱れている状況でありますが、一般論として独り暮らししている方が死亡して発見された場合、孤独死と考えられますが、以下の要素によって定義が不明確となっています。
- 死亡場所
- 世帯類型
- 自殺の有無
- 社会的孤立
- 看取りの有無
- 年齢基準
- 死後経過時間
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孤立死との違い
孤独死同様に、孤立死も明確な定義は存在しません。
孤立死とは、家族や近隣住民との関わりが希薄な状態で、社会から孤立していて誰にも看取られることなく死亡するケースを指す場合が多いです。
孤独死は、ある程度周囲との交流がある中で、死亡する直前から交流が途絶えて孤独な状態で死亡するケースを指す場合が多く、普段から交流がない孤立死とは若干ニュアンスが異なります。
また、生涯未婚の方が増加傾向にある点も、孤立死の要因として考えられています。
孤独死が増加している要因
日本では、年々高齢化が加速している状況となっています。
2019年に内閣府が発表したデータによれば、65歳以上の人口は3,589万人を超えて総人口に占める65歳以上人口の比率は28.4%となりました。
高齢者人口の増加により、高齢者の一人暮らしも年々増加傾向しており、社会問題化しているのが高齢者の孤立死です。
単純に、高齢者の一人暮らしが増えている状況で、突発的な疾病などで死亡してしまい、孤独死として発見されるケースが増えています。
高齢者の一人暮らしが増えている理由としては、核家族が増えたという側面もあります。
核家族化して離婚や死別によって一人暮らしとなるケースが増加し、孤独死も比例して増加している形です。
さらに、昨今では地域のコミュニティが希薄化している点も孤独死が増加している要因として考えられています。
地域コミュニティの希薄化では、以下のような問題点があります。
- 自治会や町内会加入率の低下
- 近所付き合いの希薄化
- 地域活動の担い手不足
例えば、近所付き合いがあって毎日挨拶する関係性であった場合、数日間にわたって顔を見ない日が続くと、何かあったのかと心配になるものです。
周囲が心配して探すと、住居内で衰弱した状態で発見されて助かるなどの事例もあります。
以上のように、普段から付き合いがある状況では孤独死を防止できる可能性がありますが、地域コミュニティが希薄になりつつある昨今では誰にも気づかれないまま死亡して発見されてしまうケースが増えているのです。
孤独死を発見された際の流れ
もし、身内などを孤独死の状態で発見した場合、適切な対処が望まれます。
- 孤独死を発見した場合、以下の流れで対処してください。
- 救急車か警察を呼ぶ
- 警察による現場検証・遺族への連絡
- 遺族が遺体を引き取る
各対処法について、詳しく解説します。
救急車か警察を呼ぶ
もし孤独死を発見した場合、特に身内の場合は大きなショックを受けるでしょう。
動揺している状態で冷静な行動をとるのはとても難しく、また早期発見の場合は外見に著しい変化がないため、生存自体もはっきりしていない場合があります。
もし、生存しているのかどうかも判断できない状態の場合、すぐに119番に連絡して救急車を呼んでください。
また、110番に連絡して警察を呼ぶ方法もあります。
特に、事件かどうかも判別できないような状態では、現場の状態保存が重要となるため、警察に連絡して指示を仰ぐ方法が有効的です。
遺体に触ると状態が変化したり、死因によっては伝染病にかかるなどのリスクがあったりするので、基本的に遺体には触れないようにしてください。
なお、救急車を呼んでも事件性があると判断された場合、救急隊員から警察に連絡する仕組みとなっています。
警察による現場検証・遺族への連絡
警察に連絡すると、すぐに警察官が駆け付けて事件性の有無について調査を開始します。
現場の状況確認において、通報者や家族、管理会社、大家さんにも立ち合いを要求して聴取されるケースもあります。
なお、警察による現場検証を行っている際には、立ち合いを要求される場合以外は原則として室内への立ち入りは不可能です。
遺体の検案などを実施した後、事件性がないと判断されたタイミングで初めて第三者の入室が可能です。
もし、家族や保証人と連絡が取れるケースでは、このタイミングで原状回復や残された遺品などの運び出し方法などを相談しておく必要があります。
遺族が遺体を引き取る
現場検証などがすべて完了したら、遺体は警察の車で搬出されて、遺体安置所で保管されます。
そして、最終的には遺族が遺体を引き取る形となりますが、事件性がない場合は通常1日から2日で遺体の検案・搬出が終了し、遺体安置所に入室可能です。
その後、真っ先に腐敗臭とハエの拡散防止対策をおこない、安置する場所を決定して安置先に搬送します。
遺族がいない場合
もし、孤独死された方の遺族がいない場合は、役所が故人の戸籍を辿って親族を探し出し、遺体の引き取りと火葬、埋葬を依頼する流れとなります。
また、故人の近隣住人や入居施設で葬儀を引き受けるケースも多く見られます。
それでも、遺体を引き取る方が現れない場合、行旅病人及行旅死亡人取扱法に従って死亡地の自治体が火葬します。
自治体が火葬や埋葬を執り行う場合、法律に基づいた最低限の火葬と供養となり、宗教儀礼である葬儀は一切執り行いません。
よって、質素な形での葬儀となるケースが大半です。
孤独死を避ける対策4選
孤独死を避けるためには、主に以下のような方法があります。
- 親族と定期的に連絡する
- 地域の人たちと交流する
- 自治体や民間企業のサービスを利用する
- 老人ホームを利用する
各対策の詳細は、以下のとおりです。
親族と定期的に連絡する
孤独死を避ける対策として、親族と定期的に連絡を取り合うのがおすすめです。
例え離れて暮らしていても、電話などの手段で連絡を取ることは可能です。
また、スマートフォンを使いこなせる方であれば、SNSのグループを作成してコミュニケーションを取るのもよいでしょう。
親族と定期的に連絡を取り合うことで、もし死亡した後でもスムーズに対応してもらえるメリットがあります。
地域の人たちと交流する
近くに親族が住んでいない場合、地域の人と関わりを持つことはとても重要です。
孤独死する件数は、女性より男性の方が多いと言われていますが、これには理由があり男性が周囲の人と関わりを持つケースが少なく、ひきこもりきりになりがちであるためと言われています。
地域の人と交流を持つために、地域のイベントに参加したり、毎日外出して近所の人と会ったら挨拶して軽く会話するだけでも十分効果があります。
自治体や民間企業のサービスを利用する
各自治体では、孤独死を防止するために様々なサービスを提供しています。
自治体における代表的な事例としては、以下のようなものがあります。
自治体名 |
取組名 |
詳細 |
福島県三島町 |
町の防災端末(TV電話)を活用した見守り通報サービス |
概ね75才以上の一人暮らしの高齢者を対象として希望者にペンダントを配付し、自宅内で発生した緊急時に、そのペンダントを押すことにより、民間委託会社へ自動通報され、状況により救急車の手配、予め登録した協力員、家族などへ連絡する。 24時間対応で自己負担あり(500円/月) |
茨城県下妻市 |
ひとりぐらし老人給食サービス |
65才以上のひとりぐらし高齢者に毎月2回給食を届ける。各地区の民生委員が、毎月2回(第1・第3木曜日)に給食を届け安否確認、健康維持、孤独感の解消を図る。 |
栃木県下野市 |
民間事業者と連携した見守り活動 |
民生委員児童委員とタイアップして、一人暮らし高齢者・高齢者のみ世帯等・障碍者・特定疾患患者の要援護世帯を把握し、継続的に見守りを実施。 民生委員、新聞配達員、郵便配達員、水道メーター検針員、ヤクルト販売員等(高齢者見守りネットワーク協力機関)を活用し、新聞や郵便物がたまる、日中もカーテンが閉まっている、水道使用量が少ない等普段と違う状況があった場合、高齢福祉課に通報(転送電話で24時間対応)。 通報を受けた高齢福祉課又は社会福祉課は、要援護者の担当民生委員児童委員と連絡を取り、緊急時の連絡先に連絡し、安否確認等を実施。 |
岡山県真庭市 |
要援護者台帳の作成 |
要援護者台帳を作成するにあたり、民生委員に一人暮らし高齢者、高齢者世帯を訪問し登録を促す。(同意確認) その訪問をした際、その方の状況等を把握し、適切な支援を継続的に行っていく。 |
あくまでも一例であり、多くの自治体が孤独死を防止するサービスを提供しています。
自治体が提供するサービスであるものの、一部では自己負担が必要となるサービスもあるため、内容はよく確認してください。
他にも、民間企業でも孤独死を防止するためのサービスを提供しています。
民間サービスでは、接触型、非接触型、対面型の3種類のサービスを提供しており、代表的なサービスは以下のとおりです。
- みまもりサポート(ALSOK)
- 親の見守りプラン(セコム)
- みまもりホットラインiポット(象印)
- 見守りコンセントWi-Fi-plug(パワーエレック)
- 遠くても安心プラン(東京電力)
- 見守り電気(アイキューフォーメーション)
- くらし見守りサービス(東京ガス)
- みまもり訪問サービス(郵便局)
- ごえん
- 見守りにーよんコール
- 孤独死防止サービス
民間サービスを利用する場合は費用がかかりますが、より手厚いサービスを期待できます。
老人ホームを利用する
様々な孤独死対策をおこなっても、高齢者が一人暮らしとなった状態では孤独死を完全に回避することは不可能です。
もし、孤独死を避けるためには誰かと一緒に生活するしか対策はありません。
例えば、老人ホームなど高齢者のための生活支援施設へ入居すれば一人暮らしを解消できます。
また、職員が24時間体制で健康管理をおこなってくれたり、仲間を作れるなどのメリットがあります。
まとめ
孤独死は、高齢化社会を迎えている日本で社会問題化しています。
孤独死を遂げないように、普段からコミュニケーションをしっかりと取って孤独死を防止しましょう。
また、自治体や民間サービスを利用するのもおすすめです。
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