終活とは、人生の終焉に向けて活動すること。この言葉は、ジャーナリストの佐々木広人氏が『週刊朝日』に連載したコラムの中で生まれた造語だといわれています。
当初は、人生折り返し地点を過ぎたシニア世代に向けて、葬儀や墓の準備、財産相続について生前のうちに計画を立てて活動していくことと考えられていました。
ところが近年になり、生涯未婚率の増加とともに、自身がもしもの時に備え、早いうちから準備を進めていく若年層の「終活」が注目を浴びています。
時代の流れとともに人生のエンディングに対する考え方は変化していきました。現代の「終活」は、ひと昔前のように高齢者が死期を迎えるための活動ではなく、「自分らしく生きるために……」というポジティブな活動に変わりつつあります。
目次
◆終活、何からはじめる?
▼エンディングノートからはじめてみよう
近年では、終活の一環として「エンディングノート」がブームになっています。エンディングノートとは、自らが生きてきた証を家族のために残しておくものです。
自分にもしものことがあった時に備え、残された遺族への希望やメッセージを生前のうちに書き記しておこう、という一つの教えです。また、自身にとっても、”残された人生をどう過ごしていくか”、について見つめ直すきっかけとなります。
▼エンディングノート、どうやって書く?
エンディングノートは遺言書のように法的効力がないものです。したがってルールなどは一切ありません。家族との想い出や自身のこと、死後の要望などについて自由に書き記すことができます。
また、エンディングノートには、大量な遺品を整理する家族の負担を減らす役割があります。シニア世代のに人であれば、介護に関する希望や葬儀や墓の要望など、パートナーや子どもに自らの想いをしたためます。
お気に入りのノートに自由に書き記しても良いですし、終活項目が充実している市販のエンディングノートでも構いません。近年では、パソコンやスマートフォンで簡単に入力できるエンディングノートも増えています。
インターネットの普及とともに、スマートフォンを使いこなす高齢者の方も多いですし、アプリを使ってブログのように写真を添付するなどして少しづつ書き溜めていく方もいるようです。
◆エンディングノートの目的と内容
病気や事故で危篤状態になってしまったり、認知症や寝たきりになり家族に想いを伝えられないまま死を迎える方は少なくはないようです。
もしもの時に……残された家族にとってありがたい存在がエンディングノートなのです。とはいっても、人生に一度しかないエンディングノートに何を書けばよいか悩む人も多いことでしょう。
ここで、エンディングノートに記載する具体的な内容を解説します。
1.葬儀・納骨・墓について
家族が亡くなった時、まずはじめに考えなければならないのがお葬式。葬儀の規模や参列者、喪主は誰を希望するか、納骨して欲しい霊園の名称・所在地・連絡先など、具体的な要望があれば書き記しておくと遺族が助かります。
近年になり、遺影用の写真を生前のうちに撮影する人が増えています。遺影に使って欲しい写真や、納棺の際に一緒に納めて欲しい物を記載するのも良いでしょう。
すべてエンディングノートの通りに従うことは困難かもしれませんが、大切な故人の想いを受け取ることができます。
2.財産について
故人が残した財産は、相続人を中心に細々とした手続きが必要です。まずは、種類ごとに項目を作り具体的に記載していくと良いでしょう。
現金・預貯金・不動産・生命保険・有価証券など、自分名義の財産をすべて書き出しましょう。
預貯金は金融機関名と支店名、口座番号など明確に記載します。生命保険は加入した保険会社、保険の種類、証券番号、契約者と受取人の名前を正確に記載しましょう。なお、通帳・印鑑・証券類など貴重品の保管場所をエンディングノートに記載しておくことも重要ですよ。
3.ペットについて
ペットを飼育している方は、残されたペットのためにエンディングノートに書き記しておくことをおすすめします。
ペットの種類、名前、性別、年齢、かかりつけの動物病院名、所在地と電話番号、性格や好きな食べもの、既往歴など、遺族がペットの世話をする時のために書き記しておきましょう。
4.大切な人へのメッセージ
お世話になった恩師や地元の友達へのメッセージなど、大切な人への想いを綴るのも良いかもしれません。直接メッセージが届くとは限りませんが、故人の忘れられない人への想いを家族が受け取ることができます。
◆終活に「生前整理」という考え方
終活は、何からはじめるか、どんな活動をするかは人それぞれです。終活の一環として、生きているうちに不要なモノを処分する「生前整理」をはじめる人もいます。体が動けるうちに自分の持ち物を整理して、財産等を見直すきっかけとなります。
生前整理の目的は、自分が亡くなった後、遺品を整理する家族の負担をなるべく軽減するために、自らの手で身の周りのモノや財産等の整理を行うことです。
断捨離をはじめたり不用品を処分したりするのも、生前整理の一つの方法です。
◆生前整理、何からはじめる?
自分が亡くなった後、部屋の中に大量な遺品が残されていると、遺族はその処分に時間と労力を費やすことになります。
日頃から片付け術を身につけていれば、生前整理と身構える必要はありません。しかしモノを捨てる勇気が持てない人や、整理整頓が苦手な人、忙しいことを理由に片付けができない人は、自分の身にもしものことがあった時に、家族の負担を増やすことになってしまいます。
また、歳を重ねるにつれ、必要最低限のモノがあれば暮らしていける快適さを求める人もいるでしょう。
こうした考えを持つ人たちにとって、生前整理は終活の一つの大きな課題となります。
◆要らないモノを元気なうちに処分する
生前整理でモノを処分する時に欠かせないのが「断捨離」。自分の所有物を捨てるモノと必要なモノを見極めて、不要なモノを処分するのが断捨離です。
断捨離は、私たちが生きていく上で欠かせないものであり、終活において最も重要な作業といえます。
先に挙げたエンディングノートに、「必要なモノ」「不要なモノ」リストの項目を追加してみるのもおすすめです。
リストを作成したら、まずは不用品を処分することからはじめてみませんか?
◆生前整理の断捨離で捨てるべきモノ
・着れなくなった衣服
・使わない靴やバッグ
・昔の写真、アルバム
・古くなった寝具
・倉庫に眠る家具や家電用品
・本棚にかさばるハードブック、コミック本
・観ることがないDVD
等々、捨てるモノはたくさんあるはずです。
◆大切な家族のために「生前整理」を!
断捨離は一気にしようとせずに、まずは身近なモノで可燃ゴミとして捨てられるモノからはじめてみましょう。まずは、手紙や封書類、写真やノートなど捨てやすいモノからはじめることをおすすめします。
作業を進めていくうちに自分なりの断捨離のコツが掴めるはずです。悩まない・迷わないモノから捨てていき、コツを掴んだら次に処分したい断捨離リストを作成してリスト通りに進めていきます。
生前整理をしていると、自分にとって想い出深いモノが出てくると思います。使えなくなったガラクタでも、親の形見や大切な人からいただいた品物は、無理に処分する必要はありません。
これらの想い出の品は、必要最低限だけ大切に保管しておき、残りのモノは処分する勇気を持ちましょう。
自分にとって大切なモノ……だけど、自分が亡くなった後に、処分しなければならない家族の負担を軽くするための生前整理ということを忘れずに。
遺品整理でトラブルやお困り事がありましたら当社にご相談下さい。
現代は、超高齢化時代と言われています。一人住まいの方が増え、もしもの時は残された身の回りの生活用品の整理にご遺族は途方にくれることになります。遺品整理士として、専門的な知識と豊富な経験から、遺品の整理や生前整理などのお手伝いをさせていただきます。