遺品整理をおこなう中で、処分する遺品も数多く登場します。
遺品については、基本的には廃棄処分する際には種類にもよりますが一般ごみとして処分しても問題ありません。
ただし、故人が使用していたものであるため、そのまま一般ごみとして使用するのに抵抗があるのも事実です。
そこで、遺品をお焚き上げして供養した形で処分する方法もあります。
では、お焚き上げは必ずしなければならないものなのでしょうか。
この記事では、お焚き上げの意味や要否について解説します。
目次
遺品のお焚き上げとは
はじめに、お焚き上げとはどのようなものなのかについて、解説します。
お焚き上げとは、想いが込もっているもので、直接捨てるのは抵抗があるものについて、神社やお寺で祈祷や読経を依頼して手放す行為を指します。
お焚き上げをする理由や目的などは、次のとおりです。
お焚き上げをする理由
お焚き上げには大きく2つのステップがあり、ご祈祷やお経などのお祈りを捧げてものを浄化することと、その後にお品を焼いて浄火することを指すのが一般的です。
過去は、1年間お世話になったお守りやお札、正月飾りなどをお正月過ぎの小正月となる1月15日にお焚き上げするのが一般的でした。
現在では、上記に限らず遺品や愛用していたもの、思い出のものなどを対象にお焚き上げするのが一般的となっており、人形供養が特に有名です。
また、お焚き上げを利用して、親しい人との死別や断捨離といった、様々な出来事に気持ちの区切りをつけて、人生の再出発という意味でおこなう場合も多いです。
ものを処分という側面がある一方で、すっきりしない気分を晴らして気持ちを軽くすることを目的とした心の整理としても、お焚き上げが活用されています。
実際に、お焚き上げをおこなうことで以下のような効果が期待できます。
- 罪悪感や畏れを感じることなく穏やかな気持ちになれる
- 良い方法で手放せたと自己肯定感を得られる
- 長年の胸のつかえが解消できる
- 遺品を故人のもとに送れると思い温かい気持ちになれる
- 新しい生活にむけて区切りを付けられる
- 断捨離を進めやすくなれる
- 親の遺品を整理でき子供への負担を軽減できる
お焚き上げができる遺品・できない遺品
お焚き上げは、実際に火を使用して燃やして供養する形となります。
よって、燃えない遺品は供養できないように感じるかもしれませんが、原則として危険物や違法物、遺骨以外であれば、お焚き上げを依頼可能です。
代表的なお焚き上げの品物として、以下があります。
- 写真
- 手紙
- 着用していた衣服や腕時計
- 携帯電話
- 電化製品
- お守り
- お札
- 日本人形
- 神棚
- 仏壇
ただし、神棚や神社に遺影や位牌の供養を依頼したりするのはマナー違反となるので注意が必要です。
また、燃えない遺品に対しては追加料金が請求される場合もあるので事前確認することをおすすめします。
他にも、お焚き上げは神道や仏教でおこなう儀式とり、キリスト教などそのほかの宗教では死生観や遺品に対する考え方が違います。
もし、神道や仏教以外の宗派で遺品の供養を希望するケースにおいては、教会やモスクなどに相談してください。
故人や遺族の信仰に適した方法で供養すれば、遺族や故人も安心して悔いのない整理がおこなえるでしょう。
お焚き上げを行う時期
お焚き上げは、いつまでに実施しなければならないなどの期間は、特に定められていません。
お焚き上げが必要と感じる場合や、故人との思い出に区切りをつけたいと感じる場合におこなうのが一般的です。
一般的には、以下のタイミングで行なうケースが増えています。
- 四十九日法要
- 一周忌法要
- 三周忌法要
特に、一つの目安となるのが四十九日法要です。
四十九日法要では、遺品をほかの方に譲渡する形見分けをおこなうタイミングでもあります。
よって、遺品整理は四十九日法要までに完了させて、形見分けするのかお焚き上げするのかを判断するとよいでしょう。
お焚き上げは必ずやるべき?
お焚き上げは、絶対におこなわなければならないものではありません。
日本では、古来から人形や遺品には魂がこもっていると考えられており、お焚き上げをして供養をするという風習がありました。
そこで、仏壇や仏具、お守りなども同様な理由でお焚き上げが必要とされてきた形です。
お焚き上げをしないと罰当たりと思われがちですが、信仰的な側面を無視すれば必ずおこなう必要があるものではないのです。
ただし、仏壇や仏具、そして思い出が強いものを捨てるのは精神的に辛い場合があるため、思い入れの強さやその時の心情などに応じて、お焚き上げの実施要否を判断するのがおすすめです。
お焚き上げの依頼先
遺品をお焚き上げしたい場合、主に以下3つの依頼先があります。
- お寺・神社
- 遺品整理業者
- お焚き上げ業者
各依頼先における詳細は、以下のとおりです。
お寺・神社
お焚き上げの依頼先として一般的なのが、自宅近くの神社やお寺です。
神社やお寺は特別な空間となるため、遺品をお焚き上げすれば遺族本人がご利益を得ることもが可能です。
ただし、お焚き上げで引き受けてもらえないものがあるので注意してください。
また、合同供養や個別供養、現場供養など対応できるものについては、神社やお寺によって異なります。
さらに、忌中となる四十九日法要までの期間はお焚き上げに対応してもらえないため、要注意です。
遺品整理業者
遺品を整理する場合、自分でおこなう方法と遺品整理業者を依頼する方法があります。
遺品整理業者が提供するサービス内には、お焚き上げが含まれていることが多いです。
ただし、お焚き上げは合同供養と呼ばれる、ほかにお焚き上げを実施したいと希望されている方と合同でお焚き上げする形となります。
もし、個別供養や現地供養を希望したい場合は遺品整理業者に相談してください。
お焚き上げ業者
お焚き上げを専門的に対応しているお焚き上げ業者が存在しており、お焚き上げ専門業者に依頼すれば指定場所に遺品を郵送してお焚き上げに対応してもらえます。
自宅の近くに神社やお寺がないケースや、遺品整理を自分で対応した場合などに利用するのがおすすめです。
多くが、インターネットで申し込みできるようになっており、簡単に業者を見つけやすいメリットもあります。
お焚き上げをする方法
お焚き上げをしたい場合、はじめに神社やお寺で依頼するのか、それとも専門業者などに依頼するのかによって、進め方が異なります。
よって、どの方法で依頼したいのかを明確にしたうえで、依頼先を決定してください。
依頼先を決めたら、どのようなものをお焚き上げするのかを事前に確認しましょう。
これにより、当日お焚き上げに対応してもらえなかったなどのトラブルを回避できます。
そして、実際にお焚き上げしてもらうものを渡すことになりますが、神社やお寺の場合はお守りやお札は年末からお正月にかけて境内に設置されている古札納め所に持ち込むのが一般的です。
その他のものについては、事前に問い合わせてお焚き上げを依頼してください。
もし、近くに神社やお寺がない場合は、郵送でお焚き上げを依頼するものを封筒に入れて、通常の郵便物同様に希望する場所に郵送します。
なお、封筒の宛名は神社の名前を記載して、その下に「御中」と記載し「お守り在中」「お焚き上げ希望」と目立つように記載するのがマナーとなっています。
また、お焚き上げ料金は、一般郵便の中に入れることは禁止されているので、現金書留または口座振替を利用してください。
お焚き上げにかかる費用相場
お焚き上げを依頼する場合、費用がかかります。
サービス内容 | 対応業者 | 費用相場 |
---|---|---|
合同供養 | 神社・寺院 遺品整理業者 お焚き上げ業者 葬儀社 |
10,000円 |
個別供養 | 神社・寺院 遺品整理業者 |
20,000~70,000円 |
現地供養 | 神社・寺院 遺品整理業者 |
20,000~70,000円 |
なお、仏壇などをお焚き上げする場合、閉眼供養と呼ばれる故人の魂を仏壇から抜き取る儀式が必要となります。
一般的な大きさの仏壇の場合、費用は30,000円から70,000円ほど必要となるので、注意してください。
まとめ
遺品をそのまま廃棄処分することに躊躇する場合、お焚き上げしたうえで処分するのが一般的です。
特に、仏壇などの場合は閉眼供養してもらったうえで、適切に処分しなければなりません。
今回紹介した点に注意して、適切にお焚き上げを実施しましょう。
ティプロでは、お焚き上げについても対応させていただきますので、お困りの方はぜひご相談ください。
現代は、超高齢化時代と言われています。一人住まいの方が増え、もしもの時は残された身の回りの生活用品の整理にご遺族は途方にくれることになります。遺品整理士として、専門的な知識と豊富な経験から、遺品の整理や生前整理などのお手伝いをさせていただきます。