自分の人生の中で、ある程度ゴールが見えている状況におかれると、終活を始める場合があります。
終活とは、主に資産の整理やものの整理などが中心となります。
また、相続のことを考えて遺言書の作成も必要です。
実施に、終活において相続に関連して様々な行動をとる形となりますが、その中でも家の終活をおこなうかどうかを慎重に判断しなければなりません。
家の終活をしないとトラブルにつながるといわれていますが、なぜトラブルが発生するリスクがあるのでしょうか?
この記事では、家の終活をしないとトラブルにつながる理由や、整理方法について解説します。
目次
終活で家(不動産)について考えることが重要な理由
終活において、不動産について考えておくべきとされています。
なぜ、不動産を終活において考えるべきかといえば、主に以下のような点が挙げられます。
- 相続においてトラブルになりやすい
- 空き家問題・税金問題につながる
各理由について、詳しく解説します。
相続においてトラブルになりやすい
終活において、不動産について考える大きな理由として、残された家族に迷惑をかけたくないためです。
亡くなられた後に、トラブルが発生しがちな内容として、相続があります。
相続は、親族同士であっても大きなトラブルに発展する可能性があるため、トラブル回避のために終活の段階で対策を練っておく必要があります。
もし、遺言などで自分の意思をしめさないままで亡くなられると、残された家族としては葬儀や相続、遺品整理などで困る場合が多いです。
特に、実家や預貯金などの遺産について、だれがどの程度の相続するのかを決めておかないと、遺族同士でのトラブルに発展する可能性があり、大きな迷惑をかけてしまいます。
特に、不動産については大きな金額となるため、終活の段階で家について考えておく必要があります。
空き家問題・税金問題につながる
そのまま亡くなられた場合、住んでいた家が空き家となってしまう可能性があります。
年々、空き家が増加している傾向にあり、昭和63年から平成30年までの30年間で、なんと452万戸(114.7%)も増加しているのです。
終活をおこなう中でも、現在住んでいる家をどのように扱うべきかは重要な問題です。
持ち家は財産として子どもに相続させたい場合でも、子どもがすでに家を所有している状況や、遠方に住んでいて移り住めない場合もあります。
相続した家に住むとしても処分する場合であっても、様々な決断には1年以上の歳月がかかる場合が多いです。
このような決断を待っている間に、住まなくなった家は日々傷んでしまうのです。
人が住まない家の場合は、窓をずっと締めた状態となるため、換気が十分おこなわれないため、以下のような症状が発生します。
- 埃の蓄積
- カビが生える
- 柱・天井・床などが腐りはじめる
上記のような症状を発生させないためには、最低でも1か月に2回以上は定期的に管理を継続しなければなりません。
近くに住んでいる方ならまだしも、遠方に住んでいるケースでは定期的な管理のために毎回対応するのは難しいでしょう。
さらに、相続した家の空き家期間が長期化することで、水道代や電気代などの光熱費、火災保険などの費用もずっと掛かり続けてしまいます。
ほかにも、防犯面で言えば空き巣に入られたり、ホームレスや犯罪者の不法侵入などの被害に遭ったりするリスクもあるため、空き家にするのは危険です。
そこで、終活の段階で不動産を考えておくことで、空き家を回避できる可能性が高まります。
家の終活を行うメリット・デメリット
家の終活をおこなうことによって、メリットとデメリットがあります。
ここでは、具体的なメリットとデメリットについて解説します。
メリット:資金調達・節税ができる
家の終活によって、住んでいた家を売却するという選択肢を採る場合があります。
家を売却することで、当然売却益を得られることになり、賃貸の場合は毎月の家賃を払う必要がなくなります。
さらに、空き家を賃貸として貸し出すことで収入を得ることも可能です。
家の売却をおこなうことで資金調達が可能となり、老後の生活資金の足しとなるのです。
これにより、旅行したり趣味に資金を注入したりなどが可能となり、より充実した余生となることでしょう。
また、終活で家を処分することで、固定資産税の支払いが不要となるために、大きな節税効果があります。
また、家を売却することで売却の3,000万円控除が適用される可能性がある点も魅力的です。
これは、不動産を売却して得られたお金には譲渡所得税が課されることになりますが、家の売却の場合は最大3,000万円の特別控除が受けられるためです。
デメリット:住み慣れた家で老後を過ごせない
すでに長い年月住み続けてきた家を手放すとなった場合、思い入れが多くあるものです。
いくら終活であったとしても、まだ余生を過ごす時間が残された状態で家を手放すのは大きなデメリットとなる場合があります。
特に、身体が不自由などの場合は住み慣れない場所で住むことになると、大きなストレスを感じる場合が多いです。
また、現在住んでいる場所から離れた場所に住むとなった場合、これまで築いてきたご近所との関係も希薄になってしまうリスクもあるので注意が必要です。
終活で家を整理・処分する方法4選
終活で家を整理したり処分したりすると判断した場合、どのような方法があるのかを理解しておく必要があります。
具体的には、以下の方法で整理・処分することができます。
- 売却・解体する
- 賃貸物件にする
- リースバック・リバースモーゲージをする
- 生前贈与・遺言書作成をする
各方法について、詳しく解説します。
売却・解体する
終活において家について考える場合、最終的に最も選択されるのが家の売却や解体です。
家を売却すれば現金が手に入ると同時に、税金や管理費を支払う必要がなくなります。
また、相続が難しい資産を現金化すれば、親族の分配相続でトラブルを回避しやすいメリットもあります。
ただし、家が古くて買い手が付かないというケースもあり、その場合は解体が選択肢となる場合が多いです。
解体することで、老朽化した家が倒壊する危険を防げるメリットがあります。
日本では、地震や台風などの自然災害が多く発生しており、最近では激甚災害も珍しくなくなっています。
もし、災害が発生した際に老朽化した家が倒壊する可能性は捨てきれず、近隣住民や通行人に対して危険な目に遭わせるケースもあるのです。
そこで、終活において老朽化した家を解体するのは、家主の大切な役目の一つと言えます。
残った土地については、売却したり遺産として残したりすることができます。
家を解体場合、固定資産税が高くなりますが、土地の相続は親族から歓迎される場合が多いのでぜひ検討したいものです。
賃貸物件にする
居住していた家を賃貸物件として、賃貸の大家となるのも有力な選択肢です。
大家になることで、毎月入居者から家賃を得ることができ、定期収入の確保が可能です。
一方で、物件に修繕箇所が発生した場合は大家の負担で修理しなければなりません。
また、賃貸ニーズがない状態で賃貸物件にしても、空室が続いてしまうリスクもあるので注意してください。
リースバック・リバースモーゲージをする
リースバックとは、家を売却した後も賃貸借契約を結べば自宅に住み続けることができる制度です。
リースバックを提供する事業者に対して家を売却して、新たに賃貸借契約を結べば利用できます。
今までの生活を変化させることなく、自宅が持ち家から賃貸となる制度となっています。
リースバックを提供する事業者に対して売却する関係上、現金一括での買取となって買主のローン審査などが不要でスムーズに売却が進んで、老後資金を調達可能です。
また、賃貸という形となるため固定資産税がかからなくなるメリットもあります。
ただし、一般的な売却よりも安くなることがあり、家賃がかかるようになる点は考慮してください。
リースバックのほかにも、高齢の方が選択できる方法として、リバースモーゲージもおすすめです。
リバースモーゲージとは、自宅を担保として、老後お資金を得ることができる金融商品のことです。
具体的には、融資を受けた方が亡くなられた後に、担保不動産を売却すれば一括返済する仕組みとなっています。
リバースモーゲージの場合、月々の返済は利息部分だけであり、元本については亡くなった後で担保不動産を売却して一括返済しますので、融資金額における返済の割合が少なく月々の支出を抑えられます。
また、通常の融資を受ける場合は融資目的に応じて用途が制限されるのが一般的ですが、リバースモーゲージの場合は事業や投資などには利用できないものの、比較的制限がなく自由に利用可能です。
ただし、リバースモーゲージの場合は金利変動により返済額が増加するリスクがあります。
また、住宅の評価額が下がると融資額を下回る場合があり、差分の返金が要求される場合がある点に注意してください。
生前贈与・遺言書作成をする
生前贈与とは、被相続人が亡くなる前に家などの不動産を贈与できる制度のことです。
生前贈与をおこなうことで相続税の課税対象となる財産を減らすことができますが、生前贈与においても贈与税が課税されます。
一般的に、相続税の方が贈与税と比較して税率は低いため、贈与するよりも相続した方が一見するとお得になりますが、特例などを利用すれば贈与した方が節税できるケースがあります。
また、同居している親族に贈与することで、贈与した後も同じ家に住み続けられるメリットがあり、老後の住まいの心配がなくなります。
贈与税の負担を軽減する制度である、相続時精算課税制度をうまく活用して生前贈与も検討してください。
また、不動産を相続させたいケースでは、遺言書を作成するのが一般的です。
相続人が単独である場合を除いて、相続人の間で遺産相続争いが起きるのは、避けられないものです。
遺言書を作成して相続に関する意思を残しても、相続人同士の争いを回避できないケースもありますが、相続人の意思を明確にすることでトラブルも解消しやすくなります。
遺言書には大きく分けて、以下の3種類あります。
- 被相続人が書く「自筆証書遺言」
- 専門家が作成し公証役場で保管される「公正証書遺言」
- 自筆で作成し公証役場にて秘密に保管する「秘密証書遺言」
それぞれ、法律に従って作成しないと無効となり、法的効力が無くなるため注意してください。
家の終活を考える際に確認したいポイント
家の終活を考える場合、確認しておくべきポイントがあります。
具体的には、以下の点をよく考えて行動する必要があります。
- 子ども・孫が住む可能性について考える
- 老後のライフプランについて考える
子ども・孫が住む可能性について考える
終活の場合、どうしても自分自身の事ばかりを考えてしまいがちです。
ただし、残された家族のことも強く意識して終活を進める必要があります。
特に、家については自分が亡くなった後に子供や孫が住む可能性があるのかをよく検討してください。
安易に処分してしまうと、子供や孫が住めなくなってしまうことになります。
現時点では不要であったとしても、子供や孫の将来像を考えた上で、家をどのようにするのかを決定してください。
老後のライフプランについて考える
ライフプランとは、将来において金銭的な窮乏が発生しないように計画を立てることを指します。
老後資金が不足しないかについて、慎重に検討して家を売却した方が良いという選択を取るのも悪くありません。
逆に、今の生活に満足していて余生も同様に過ごしたい場合は、家を手放さないという選択もおすすめです。
老後のライフプランについて考えて、どのパターンが最適化をよく検討してください。
まとめ
終活において、家をはじめとして不動産をどのようにするのかを決めることは、とても重要な作業です。
単に家をどのようにするのかというだけでなく、自分のライフプランや残された家族の事も考えて、どのようにすべきかを慎重に決定して実行しましょう。
ティプロでは、終活において様々なサポートをおこなっていますので、お困りのことがあればお気軽にご相談ください。