自分の身に何かが起きると思われる場合、生前整理をおこなうことがあります。
飛ぶ鳥跡を濁さずということわざがありますが、自分がこの世からいなくなる際に残された家族に対して迷惑を掛けたくないと思うものです。
そこで、生前整理をおこなって身軽になった状態としておくことがあります。
ただし、生前整理は自分自身で実施するのが難しいケースがあり、業者などに依頼する場合があります。
では、生前整理を業者に依頼する場合、どの程度の費用がかかるのでしょうか。
この記事では、生前整理の費用相場を紹介するとともに、業者に依頼する際のメリットや費用を抑えるコツを紹介します。
目次
生前整理とは
始めに、生前整理とはどのような行為を指すのかについて解説します。
生前整理とは、自身が他界した後に残された家族が遺産を整理したり相続したりする場合に困らないようにするため、事前に財産やものを整理しておく行為のことです。
通常、亡くなった後に残された家族が遺品整理をおこなう場合、基本的には自分の意思を尊重してもらえるものの、遺言などを残さない限りは本当に残してもらいたいものであっても、処分されてしまう可能性は否定できません。
そこで、生前の段階で残すものと処分するものを仕分けておくことで、残す遺産や相続に自分の意志を反映可能です。
これにより、余生を安心して過ごすことが可能となります。
また、遺品整理をおこなう場合、それぞれのものに対して家族が残すべきかどうかを判断しなければならず、とても手間がかかります。
また、重量のある家具などを処分する場合は、肉体的な負担も大きくなりがちです。
そこで、事前に生前整理の形で整理しておけば、余裕をもって処分できるため家族に対しての負担を軽減できるのです。
さらに、自分自身が施設へ入所したい場合や引越ししたい場合、荷造りが楽になるなどの理由で生前整理をおこなうケースもあります。
生前整理と似た行動として、老前整理があります。
老前整理は一般的に40代や50代の方がおこなう整理であり、老いる前にある程度整理を済ませておこうという考えで、整理をおこなう形です。
また、老後に備えて蓄えを始めたり、支出を減らす意味でさまざまな整理をおこなうのも特徴です。
よって、生前整理と老前整理は重複する作業もありますが、考え方が少し異なる特徴があります。
生前整理でやるべきこと
生前整理でおこなうことは、実に多岐にわたります。
これは、遺品整理よりも範囲が広く、専門的な知識が必要になる場合もあるのです。
具体的には、以下のような項目について対応が必要です。
生前整理で実施する項目 | 詳 細 |
不用品の整理や処分 | 保有しているものを必要なものと不要なものに仕分ける。仕分けた後、不要と判断したものは廃棄または売却などの形で処分する。 |
財産目録の作成 | 自分が保有している資産(土地や建物、現金、預金など)と、すべての負債(借入金など)について、区分や種類ごとに一覧としてまとめて、自身の財産状況を明らかにする。特にフォーマットは決まっていない。 |
公共料金や年金の整理 | どのような公共料金を支払っているのかをまとめておく。また、なるべく支払い口座をまとめておくと残された家族が整理しやすくなる。年金は、どのような年金に加入しているのかを明確にしておく。 |
保険の見直し | 現在加入している保険の要否を判断する。保険を解約すれば、支払っていた保険金が解約返戻金として還付される場合もある。 |
エンディングノートの作成 | 自身の人生の終末についての事柄を記したエンディングノートを作成する。エンディングノートの記載内容やフォーマットは特に決まっていないため、自由に作成できる。ただし、遺言書のように法的効力はない点に注意が必要。 |
不動産の整理 | 残された家族が遺産相続などで苦労しないように、不動産の整理をおこなう。具体的には、権利書や契約書を整理しておく。 |
デジタルデータの整理 | スマートフォンなどのデジタルデバイスに保存された画像やファイル、ID、パスワードなどのデータを整理する。必要なものは別途記録媒体にバックアップを取るなどの対応が必要となる。 |
サブスクサービスの解約や見直し | 自分が契約しているサブクスサービスを棚卸して、解約や見直しをおこなう。また、契約しているサービスをエンディングノートなどに記録してくのもおすすめ。 |
友人・知人リストの作成 | 友人や知人の一覧をまとめる。同時に、もし亡くなった場合にどの友人や知人に連絡してほしいかを記録しておく。場合によっては、友人や知人を整理するのもおすすめ。 |
アルバムの整理 | アルバムを整理しておく。また、デジタルデータを写真化してアルバムとして残す作業をおこなう。 |
病気や介護などの意思表示 | もし、急病にかかったり病状の悪化、介護が必要になった場合などで、自分がどのような方針で治療をしてもらいたいかを明らかにする。 |
葬儀やお墓の準備をする | どのような形で葬儀をおこなうのかを決定し、準備を進める。また、お墓についても事前に準備を進めておく。 |
遺言書の作成 | 資産の分配を考えている場合、法律に則った遺言書を作成しなければならない。特に自筆証書遺言の場合は、作成方法を誤ると無効になる場合もあるため、法律に従って作成しなければならない。 |
遺影の撮影 | 生前に遺影の写真を決めておく。これにより、残された家族が遺影を決める際に悩む必要がなくなる。 |
上記は一例であり、ほかにも自分で必要と感じる事があれば実施する必要があります。
生前整理にかかる費用相場
生前整理をおこなう場合、自分で対応する場合と業者に依頼する場合があります。
それぞれのケースにおいて、生前整理に対してかかる費用に違いがあるため、依頼する際には事前にどの程度の費用がかかるのかを把握しておく必要があります。
ここでは、生前整理にかかる費用相場をケース別に紹介します。
自分で進める場合
生前整理を自分で進める場合、かかる料金としては片付けに必要となる段ボールなどの資材の費用があります。
また、不用品を処分する場合の廃棄費用を計上しなければなりません。
ただし、各自治体のごみ出しルールに従って回収してもらえるものであれば、ゴミ袋代のみで処分可能です。
粗大ごみや家電リサイクル法に従って処分が必要となる家電の場合、別途費用がかかりますが数千円程度で済ませることができます。
ほかにも、遺言書を弁護士や司法書士、行政書士などに作成を依頼する場合、別途費用がかかります。
業者に直接依頼する場合以外にも、片付けアドバイザーや生前整理アドバイザーにアドバイスをもらいながら作業をする方法もあります。
各種アドバイスを受けつつ、自分で作業するため業者に依頼するよりも安く費用を抑えることができます。
気になる料金は、アドバイザー1人あたり1時間で3,000円から5,000円程度、また4時間で19,800円に設定されるケースが多いです。
生前整理業者に依頼する場合
生前整理を業者に依頼する場合、概ね依頼する住居の間取りによって費用が変動します。
各間取りによって作業人数が変化するため、その分だけ人件費が変動して費用も大きく変化するのです。
各間取り別の、作業人数と料金の相場は以下のとおりです。
間取り | 作業人数 | 料 金 |
1R・1K | 1〜2名 | 30,000円〜81,000円 |
1DK | 2〜3名 | 50,000円〜122,000円 |
1LDK | 2〜4名 | 70,000円〜203,000円 |
2DK | 2〜5名 | 90,000円〜254,000円 |
2LDK | 3〜6名 | 120,000円〜305,000円 |
3DK | 3〜7名 | 150,000円〜406,000円 |
3LDK | 4〜8名 | 170,000円〜507,000円 |
4LDK以上 | 4〜10名 | 220,000円〜608,000円 |
上記には、以下のような料金も含まれます。
- 車両費
- 回収運搬費
- 廃棄物処分費
生前整理を業者に依頼するメリット
生前整理は自分でおこなうことも可能ですが、業者に依頼することにより以下のようなメリットがあります。
- 時間と労力を削減できる
- 不用品の回収・買取も依頼できる
- 遺産相続などの相談ができる
各メリットの詳細は、以下のとおりです。
時間と労力を削減できる
生前整理を業者に依頼する最大のメリットとしては、時間と労力を削減できる点が挙げられます。
生前整理は、多くの範囲をカバーしなければならないため、膨大な時間がかかるものです。
特に、生前整理は人生で一度限りとなる可能性が高いため、誰もが経験していないことを慣れないまま対応しなければなりません。
慣れない中で生前整理を進めても、時間ばかりが浪費してしまうものです。
そこで、生前整理を業者に依頼すればノウハウがあるスタッフがスピーディーに対応してもらえるため、短時間で効率よく作業を進められます。
また、特に大型の家具や家電を多く保有している方が生前整理する場合、体力的につらく感じる場合も多いです。
そこで、専門業者に依頼すれば体力的に不安な方でも確実に生前整理をおこなえます。
不用品の回収・買取も依頼できる
生前整理によって不要となったものは、必ずしも廃棄しなければならないわけではありません。
なかには、まだ使用できるものが多数残されている可能性があり、廃棄するのはもったいないケースもあるのです。
そこで、生前整理業者では不用品を回収してくれるだけでなく、買取にも対応している業者も多く見られます。
価値が高いものであれば当然高く買取対応してもらえて、また価値がないものでも安く買い取ってもらえば、廃棄する場合と比較して廃棄費用がかからないためお得に処分できます。
買取金額は依頼費用に補填できるため、安く生前整理できるので積極的に買い取ってもらいたいものです。
遺産相続などの相談ができる
生前整理は、遺産相続を見据えて実施するケースも多いです。
ただし、遺産相続は非常に悩むことが多くあり、特に不動産がある場合の相続は揉める場合が多くあります。
生前整理業者の場合、遺産相続のサポート業務なども担当している場合が多いため、気軽に相談できるメリットがあります。
特に、相続税に関しての相談ができる点が魅力的であり、節税対策を実施すればお得に相続できるため、積極的に利用したいものです。
生前整理の費用を抑えるコツ
生前整理を業者に依頼する場合、少しでも費用を抑えたいものです。
そこで、以下のような方法で費用を抑えることが可能です。
- 複数の業者を比較する
- 可能な限り自分で整理する
- スケジュールを業者に決めてもらう
各コツについて、詳しく見ていきましょう。
複数の業者を比較する
生前整理業者を選定する場合、特定の一社のみを見つけて依頼するのは危険です。
その業者が本当に適切な費用で作業してもらえるかわからず、また各種相談に応じてもらえるかどうかも分かりません。
そこで、複数の業者をピックアップして、比較した上で最適な業者を選定する必要があります。
相見積もりの形で各業者から見積もりを取得して、価格面だけでなくアフターサービスなどの有無も確認した上で選定しましょう。
可能な限り自分で整理する
生前整理においてメインの作業となるものの仕分けにおいては、業者としても部屋の広さだけでなく作業員数と時間によって費用が変化します。
少しでも作業する時間が減れば、当然費用を抑えることが可能です。
そこで、生前整理を依頼する前に自分で整理できる範囲は整理しておくのがおすすめです。
重量があるものは一人で対応するのは難しくても、小物であれば空き時間で少しづつ対応できます。
これにより費用圧縮効果があるため、なるべく自分で生前整理を進めておきましょう。
スケジュールを業者に決めてもらう
生前整理のスケジュールについては、自分が候補日を設定して交渉するよりも、業者側の都合に合わせてスケジューリングするのがおすすめです。
業者にとっては、予定が混んでいる状況で依頼されると、割増しで料金を設定する場合があります。
また、業者側としては同じエリアで同日の間に立て続けに依頼があると、移動などを考えてまとめて対応したくなるものです。
そこで、業者側にスケジュールを決めてもらえば安く作業を依頼できる可能性が高まります。
まとめ
生前整理は、業者に依頼すると高い費用がかかるイメージがあるかもしれません。
ただし、今回紹介したように費用を抑える方法がいくつもあります。
また、不用品を買い取ってもらうことで思わぬ収入につながる可能性もあり、各種アドバイスも受けられるメリットもあればぜひ利用したいものです。
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現代は、超高齢化時代と言われています。一人住まいの方が増え、もしもの時は残された身の回りの生活用品の整理にご遺族は途方にくれることになります。遺品整理士として、専門的な知識と豊富な経験から、遺品の整理や生前整理などのお手伝いをさせていただきます。