親などが亡くなった場合、残したものを整理する遺品整理の対応が必要です。
これは、相続するものがどれだけあるのか、また今後使用する見込みがないものを処分するなどの行動を指します。
実際に遺品整理を進める場合、自分でおこなう場合と業者に依頼する場合があり、それぞれにメリットとデメリットがあるのです。
では、遺品整理は具体的にどのような流れで進めればよいのでしょうか。
本記事では、遺品整理の流れを自分で行う場合と業者に依頼する場合に分けて解説します。
遺品整理を自分で進める場合の流れ
遺品整理を自分で進める場合は、基本的に自分だけでなく親族と協力しておこなうケースが多いです。
大まかな遺品整理の流れとしては、以下のステップとなります。
- 遺言書・エンディングノートの確認
- 遺品整理の準備
- 遺品の仕分け
- 遺品の分配
- 不用品処分・遺品買取
各ステップの詳細と、注意すべきポイントについて詳しく解説します。
【STEP1】遺言書・エンディングノートの確認
遺品整理を進めるにあたって、絶対にやってはならないのが相続が必要なものを処分してしまうという点です。
一般的に、遺品整理において以下のものは処分してはなりません。
- 遺言書
- 遺書に関するもの
- エンディングノート
- 現金・通帳
- 印鑑
- 故人の仕事に関連する資料
- 身分証明書
- 年金手帳(年金証書)
- ローン明細
- 土地の権利書
- 証券類(有価証券や保険証券)
- レンタル品
- リース品
- 鍵
- 売却価値がある物
- デジタル遺品
- 故人の思い出の品
勝手に処分してしまうと、大きなトラブルに発展してしまうことになるため注意してください。
また、遺言書やエンディングノートの中で遺品整理に関する希望が記載されている場合があります。
その場合は、特に遺言書の場合は故人の意思を反映させなければなりません。
特に、故人の思い出の品は勝手な判断ではなく故人の気持ちを代弁して対応することが重要となり、その意味でも遺言書やエンディングノートの内容は事前によく確認してください。
【STEP2】遺品整理の準備
生前整理は、特に何も準備せず対応できるほど甘いものではありません。
事前に、生前整理をおこなう上で必要なものなどを準備して、対応する必要があります。
まずは、作業をする際に必要となるのが以下5つのアイテムです。
準備が必要なもの | 用途 |
段ボール・マジックペン | 整理作業において、残すものと処分するものに分類する際に、段ボールに分けて入れておけば部屋も片付けていくのが一般的。 用意する段ボールのサイズとしては120サイズを中心として、160サイズを数点準備するとよい。 また、段ボール内部に何を収納するのかを明確にするため、マジックペンで段ボールの外側に記載する。 |
ドライバー・ペンチ・はさみなど | 主に不要となるものを分解したり解体したりするために用意する。 また、処分するものによってはハンマーなどを用意するとよい。 |
着衣物(作業服・マスク・手袋・シューズ) | 部屋全体の整理をおこなう際には、埃が散乱する環境で作業することになるため、汚れても良い格好で作業し、マスクを着用する。 また、足を怪我するリスクがあるため、シューズやサンダルなどを身に付けて作業する。 |
台車 | 処分するものを住居の外に搬出する際に、あると便利。 |
ゴミ袋 | 遺品整理をおこなうと、様々な種類のゴミが発生するため、分別して容易に処分できるようにゴミ袋を用意する。 |
上記以外にも、片付けた後に掃除するための掃除機やモップなどがあるとよいでしょう。
準備するものとしては、他にも作業する人員の確保やスケジュールなどがあります。
特に、スケジュールは依頼したい人の都合に合わせたり、自治体のごみ出しの日を考慮したりするのがおすすめです。
【STEP3】遺品の仕分け
事前に決定したスケジュールに従い、実際の遺品整理作業を進めます。
はじめに、仕分けをおこなうためのスペースを確保しましょう。
そして、確保したスペースで不要なものと残すべきものを仕分けていきます。
この際に、自分の考えではなくあくまでも故人の想いを尊重して対応することが重要です。
また、自分以外の親族などの意見も取り入れて対応する必要があります。
残すべきか処分すべきか悩むものがある場合は、一旦判断を保留しておき後日改めて判断するとよいでしょう。
【STEP4】遺品の分配
遺品の仕分けが一通り完了したら、遺品の分配をおこないます。
残すべきものと判断したものの中で、どうしても欲しいという親族がいれば分配を検討してください。
また、処分すると判断したものでも、欲しいと感じている親族がいる場合があるため、必要に応じて分配をおこなってください。
【STEP5】不用品処分・遺品買取
遺品整理の仕分けで不要と判断し、さらに分配も不要となったものは、不用品として処分します。
不要品の処分としては、主に以下の方法があります。
- 自治体のごみ出しルールに従い処分
- 不用品回収業者に依頼する
- リサイクルショップに引き取ってもらう
- 買取業者に買取を依頼する
- フリマアプリで販売する
- 知人などに譲渡する
- 施設などに寄付する
可能な限り買取ってもらった方が、収入を得られて環境にも優しいためおすすめです。
また、社会貢献の意味で施設などに寄付する方法もあります。
自分で行う時に注意したいこと
遺品整理を自分でおこなう場合、注意すべきポイントとして以下4点が挙げられます。
- スケジュールを立てておく
- 親族間で話し合いを行う
- 不用品を適切に処分する
- 料金が発生する契約がないか確認する
各注意点の詳細は、以下のとおりです。
スケジュールを立てておく
遺品整理をおこなうための準備段階では、先に紹介したとおりスケジュールを立てることが重要です。
一般的に、遺品整理をおこなう最適なタイミングとしては以下が挙げられます。
- 四十九日後
- 諸手続き後
- 葬儀後
- 相続前
これは、親族が多く集まるタイミングであり人員を確保しやすいためです。
可能であれば、四十九日法要前に遺品整理を完了させると、四十九日法要後に遺品の形見分けをしやすいためおすすめです。
また、自治体の粗大ごみの回収日に合わせたり、天候なども加味して最適なタイミングを選定しましょう。
親族間で話し合いを行う
遺品整理において、故人の意思を最大限反映させておこなうと同時に、自分以外の親族の意見も最大限取り入れることが重要です。
故人との思い出の品は、人それぞれに違うものです。
自分にとっては不要と感じるものであっても、ほかの親族からすれば残してほしいと感じるケースがあります。
よって、親族間で遺言書やエンディングノートをチェックしながら、どのような考え方で仕分けていくのかを話し合うことが重要です。
もし、意見に相違がある場合はしっかりと整合してから作業をおこないましょう。
不用品を適切に処分する
不用品を処分する場合、必ず正規の方法で処分してください。
例えば、家電製品などは家電リサイクル法に従った処分が必要です。
リサイクル料金がもったいないということで、不法投棄などをおこなってはなりません。
もし、不法投棄が発覚した場合は5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、または両方が科せられることがあるため注意してください。
料金が発生する契約がないか確認する
遺品整理において、レンタルやリースしている品物が発見されるケースがあります。
また、デジタル遺品のなかにはサブスクリプションサービスが含まれている場合があり、費用が請求されている場合があります。
料金が発生する契約があるかないかの観点で、遺品整理を進めることも重要です。
もし、不要と判断した場合はすぐに契約解除すれば、無駄に費用を払い続けることを防止できます。
遺品整理を業者に依頼したほうが良いケースとは?
遺品整理は、個人でも十分対応できる作業となりますが、場合によっては業者に依頼した方がよいケースもあります。
代表例としては、大型家具などが多くあり、慣れていない人が作業すると危険な場合は業者に依頼した方が無難です。
また、遺品のボリュームが多く個人で対応すると莫大な時間がかかる場合も、遺品整理業者に依頼した方がよい場合が多いです。
特に、相続のことを考えると逆算して間に合わないと判断した場合は、早急に業者に依頼しましょう。
ほかにも、自分自身の健康問題で力仕事に対応できない場合や、高齢で適切な判断ができない場合なども業者に依頼する方向で検証した方がよいでしょう。
業者に依頼する場合の流れ
遺品整理を業者に依頼する場合、大まかに以下のような流れでおこないます。
- 問い合わせ
- 現地調査・見積書作成
- 契約
- 作業・支払い
各ステップの詳細と、業者依頼時に注意したいポイントについて解説します。
【STEP1】問い合わせ
遺品整理を業者に依頼する最初のステップでは、業者側に問い合わせます。
高齢化社会を迎えた中で、遺品整理を請け負う業者が多く存在します。
そこで、ホームページなどから気になる業者を選定して、依頼したい内容を伝えてください。
また、親族や知人などで実際に依頼した業者がいれば、紹介してもらうのもよいでしょう。
【STEP2】現地調査・見積書作成
遺品整理業者に問い合わせると、多くの業者では現地調査を実施したいと申し出てきます。
これは、正確な見積額を提示するために必要な作業です。
基本的に、遺品整理の費用は依頼する部屋の広さに応じて決定されますが、実際には整理する遺品の量によって変動する場合が多いです。
また、マンションの上階に住んでいて不用品を運び出すのに時間がかかる場合や、周囲の道路が狭く不用品を運び出すための車両が横付けできない場合などでも、通常より費用がかかる傾向にあります。
このようなポイントを、現地調査でしっかりとチェックされて、見積書が提示されます。
【STEP3】契約
見積書を受け取り、内容をチェックします。
そして、内容に納得できる場合は業者との契約をおこないます。
契約書では、以下の内容をしっかりと確認してください。
- 免責事項が記載されており、責任の範囲を確認できるか
- 条項が公平ではなく不公平な内容となっていないか
- 計画通りに遺品整理が進まなかった場合の記載があるか
- 法的におかしな条項が存在しないか
- 料金や日数、サービス名、住所や数量などが適切に記載されているか
契約書にサインすると同時に、実際に作業する日時を最終決定してください。
【STEP4】作業・支払い
事前に決定した日時に、遺品整理作業がおこなわれます。
遺品整理作業は、必ずしも立ち合う必要はありません。
もし、立ち合わずに作業を依頼する場合は、住居の鍵の引渡し方法を事前に整合しておきます。
ただし、基本的には作業時に立ち会った方が後々トラブルに発展するため立ち合うことをおすすめします。
一通りの作業が完了したら、作業状態のチェックをおこない問題ない場合は作業は終了です。
その後、費用の支払いをおこないますが、費用は作業完了後にクレジットカードまたは口座振替で一括払いが一般的となります。
業者依頼時に注意したいこと
遺品整理を業者に依頼する場合、注意すべきポイントとして以下が挙げられます。
- 相見積もりを取る
- 訪問見積もりをお願いする
- 追加料金が発生しないか確認する
- 評判を確認する
- 遺品整理士が在籍していると安心できる
各注意点の詳細は、以下のとおりです。
相見積もりを取る
遺品整理を業者に依頼する場合、単独の業者に見積もりを取得しても費用が安いのかどうかを把握できません。
そこで、少なくても3社程度から相見積もりを取得して料金の比較をおこなってください。
これにより、相場を把握できるため法外に高い業者に依頼することを防止できます。
逆に、相場よりも安すぎる業者の場合、後で追加料金が発生している可能性があるため、よく確認が必要です。
訪問見積もりをお願いする
遺品整理の費用は、先に紹介したように依頼する部屋の広さで基本料金が決まります。
ただし、口頭で伝えた内容だけで見積もりを作成されても、後で追加料金が発生する可能性が高まるだけです。
よって、実際に作業する環境を訪問見積りとして確認してもらって、正確な見積もりを作成してもらうことをおすすめします。
追加料金が発生しないか確認する
遺品整理業者の中には、悪徳業者が少なからず存在します。
悪徳業者の手口としては、見積もりの段階では安い金額を提示して、契約して実際に作業した後に何かと理由を付けて追加料金が請求されて、結果として高額請求されてしまうという場合があるのです。
見積もりに小さく「追加料金がかかる」と記載されていて、それを見落としてしまうケースも多く見られます。
よって、見積書や契約書の中で、少しでも不明確な点があれば確認することをおすすめします。
評判を確認する
遺品整理業者を選定する場合、ホームページなどで細かな情報をチェックして選定することになります。
ただし、基本的に業者が提供しているホームページでは、自社に有利になる情報しか提供しないため、悪い面があっても把握できません。
そこで、ホームページの情報だけでなく実際に利用した方の評判を参考にするのがおすすめです。
利用した経験がある方がいる場合は口頭でヒアリングしたり、SNSなどの情報を参考にするのもよいでしょう。
一方で、業者のホームページで公開されているお客様の声は、良い内容だけをピックアップしている可能性が高いため、あくまでも参考程度としてください。
遺品整理士が在籍していると安心できる
遺品整理を業者に依頼することによるトラブルとして、大事なものまで処分されてしまうパターンがあります。
これは、遺品整理を担当するスタッフの力量に起因する場合が多いです。
そこで、信頼できるスタッフに依頼したい場合は、遺品整理士の有資格者に依頼するのがおすすめです。
遺品整理士とは、一般社団法人 遺品整理士認定協会が制定している民間資格であり、廃棄物やリサイクル品の取り扱いに関する各法規制を理解している人に与えられる資格となります。
遺品整理士は遺品整理業特有の事項に対して正しい知識を得ており、それにともなった正しい処理がおこなえるため、トラブルを回避できる可能性が高まります。
遺品整理士が所属しているかどうは、ホームページなどで確認できるため、なるべく遺品整理士が所属する業者に依頼しましょう。
まとめ
遺品整理をおこないたい場合、自分だけでなく業者に依頼することも可能です。
ただし、それぞれにメリットとデメリットがあるため、最適な選択肢を採用することが重要です。
本記事で紹介した情報を参考に、効率性なども考えて遺品整理を進めましょう。
ティプロでは、24時間年中無休で遺品整理に対応していますので、遺品整理でお悩みの方はぜひご相談ください。