高齢化社会を迎える中で、核家族化などによって孤独死される方が増えています。
また、地域との関わりが徐々に薄れる中で、死亡したことがなかなか気づかれない場合も多いです。
もし、親族が孤独死してしまった場合、肉親の代わりに遺品整理しなければならない場合があります。
では、親族が孤独死した場合の遺品整理はどのように進めればよいのでしょうか。
この記事では、親族が孤独死した場合の遺品整理の進め方や注意点について解説します。
目次
親族が孤独死した際の遺品整理の進め方
親族が孤独死した場合の遺品整理は、基本的に身内が亡くなった場合と同じ方法で進めます。
具体的には、以下のステップで進める形となります。
- 特殊清掃と遺品整理ができる業者に依頼する
- 特殊清掃を実施する
- 遺品整理・不用品の処分を行う
- 消臭・除菌・原状回復工事をする
各ステップの詳細について、解説します。
特殊清掃と遺品整理ができる業者に依頼する
孤独死されている場合、死亡してから数日以上経過している場合が多いです。
遺体の腐敗は、死後1時間から始まると言われています。
腐敗は、胃や腸などの消化器系からはじまって、腸内細菌は増殖して消化液が内臓そのものを浸食します。
これは、生きている間にも細菌が潜んでいるのでうsが、免疫作用によって細菌の増殖は抑制されているのです。
ただし、死亡したタイミングから免疫作用が停止し、細菌は増殖し続けて腐敗が進行するのです。
また、細菌が遺体を分解すると腐敗ガスが発生します。
腐敗ガスは死臭と呼ばれ、臭いを発しながら身体全体へ広がっていき、やがて肉や皮膚を引き裂くほど身体がガスで膨張します。
死臭はとても強烈で、ガスマスクをしないといられないほどの臭いが発生するのが特徴です。
さらに、死体にはハエが集まりウジ虫が発生して、さらに不衛生な状況となってしまいます。
もし、死臭が発生するような状況となってしまうと、体液や血液が漏れ出して床にくっきりと跡が付くほどの状態となります。
以上のように、孤独死で腐敗すると非常に不衛生な状態となり、さらに強烈な臭いで作業するのが困難です。
よって、業者に特殊清掃を依頼する必要があると同時に、遺品整理を進めてもらうのがおすすめです。
特殊清掃と遺品整理ができる業者を選定し、両方の作業を依頼してください。
特殊清掃を実施する
業者に相談して、いつ作業を実施するのかなどを決定します。
そして、作業日に業者の方で特殊清掃をおこないます。
基本的に、立ち会えないほど悪臭が蔓延している場合があるため、基本的に業者にお任せする形です。
最初に、二酸化塩素を噴霧して殺菌すると同時に、消臭をおこないます。
次に、本作業となる特殊な薬剤を使用して清掃、殺菌、消臭作業に入ります。
遺品整理・不用品の処分を行う
特殊清掃がある程度完了した段階で遺品整理をおこないます。
遺品整理とは、孤独死された方がのこしたものを処分したり残したりする作業のことです。
遺品整理では、最初に残すものと不要物を仕分ける作業をおこないます。
ただし、現場はまだ腐敗臭が立ちこめている可能性があり、依頼者が立ち入りにくい状況です。
もし、立ち入れない場合は一度外に運び出してもらって残すかどうかを判断しなければなりません。
また、残す残さないの明確な判断基準を業者側に伝えて、作業してもらう必要があります。
廃棄するものは、廃棄処分するのか買い取ってもらうのかを判断して、処分するものはトラックなどに搭載して処分場に運ばれます。
消臭・除菌・原状回復工事をする
特殊清掃でどれだけ丁寧に作業しても落としきれないほど汚れている場合、汚染箇所を解体して処分しなければなりません。
特殊清掃業者では、解体作業もできるスタッフが対応できる場合が多いです。
もし解体した場合、リフォーム作業により新しい床や壁に施工します。
一通りきれいな状態にしても、まだ壁などに多少腐敗臭が残留している場合があります。
そこで、オゾン発生器などを使用して消臭処理すれば完了です。
孤独死の遺品整理をする際の注意点
孤独死された方の遺品整理をおこなう場合、注意すべきポイントがあります。
主なポイントは、以下のとおりです。
- 特殊清掃前の部屋に入らない
- 許可なく換気しない
- マスクと手袋を装着する
- 状態のいい物だけを残す
各注意点について、詳しく解説します。
特殊清掃前の部屋に入らない
特殊清掃をおこなう前の部屋には、先に紹介したとおり強烈な腐敗臭が立ちこめています。
特に、夏場などは部屋が高温になり、さらに強烈な臭いが立ちこめる場合が多いです。
特殊清掃をおこなう際にも、防毒マスクを着用しなければ作業できないほどひどい状況となります。
そこで、無防備な状態で部屋に入ると強烈な臭いでその場にいられなくなる場合が多いです。
また、ひどい場合は体調を崩してしまう場合もあります。
さらに、伝染病などで死亡してしまった場合、病原菌が部屋に立ちこめているケースがあり危険です。
よって、特殊清掃前の部屋には基本的に立ち入るのは避けてください。
許可なく換気しない
耐えきれないほどひどい臭いではないものの、臭いが立ちこめて気持ち悪くなる状況では、喚起したくなるものです。
確かに、換気すれば部屋の空気が循環されて、臭いを軽減できる可能性が高いです。
ただし、換気すると近隣住宅に臭いを拡散することになり、近所迷惑となってしまいます。
一時的に不快にさせるだけでなく、洗濯物に死臭が染みこんでしまうと損害賠償を請求される可能性もあるのです。
よって、特殊清掃業者では絶対に窓を開けて換気しないことがマナーとなっています。
以上から、許可なく勝手に換気しないようにしましょう。
マスクと手袋を装着する
孤独死が発見された部屋では、いたる場所に体液が拡散されている場合があります。
腐敗により発生した体液は強烈な臭いがするので、もし手に付着すると洗ってもなかなか落とせません。
また、最近アドが繁殖していて不衛生な状態となるので、自分自身の身にトラブルが発生する可能性もあります。
よって、遺品整理作業する際には必ず手袋とマスクを着用して実施してください。
状態のいい物だけを残す
遺品整理では、思い出の品は全て残したくなるものです。
ただし、孤独死していた場所の近くにあったものである場合、強烈に汚れてしまっている場合も考えられます。
よって、どれだけ思い出があるものであっても、状態がいいものだけを残すようにしてください。
また、不用品は積極的に処分する方がすっきりさせることができます。
孤独死の特殊清掃・遺品整理にかかる費用
孤独死されていた場所の特殊清掃にかかる費用の相場は、以下のとおりです。
作業内容 |
作業費用 |
床上清掃 |
30,000円〜 |
浴室清掃 |
30,000円〜 |
消臭剤・除菌剤の散布 |
9,500円〜 |
汚れた畳の撤去 |
3,000円/枚〜 |
オゾン脱臭 |
30,000円/日〜 |
汚物撤去 |
20,000円〜 |
害虫駆除 |
11,000円〜 |
作業員の人件費 |
20,000円〜 |
なお、上記はあくまでも一般的な相場であり、各業者によって割引プランなどによって割引されるケースがあります。
また、オゾン脱臭などを依頼すると、さらに高い費用がかかる場合が多いです。
次に、遺品整理にかかる費用は30万円から100万円程度です。
遺品整理の場合、自宅の大きさやものの量によって金額が変動しますが、一般的にトラック何台分などの方法で算出されます。
また、遺品自体に特殊清掃が必要になる場合、さらに料金がかかってしまいます。
費用を抑えるコツ
特殊清掃や遺品整理を依頼する場合、少しでも早く依頼する方が安く抑えられます。
これは、孤独死から時間が経過すると、さらに臭いや汚れがひどくなり、作業時間がかかるためです。
当然、その分だけ費用が上乗せされるため、なるべく早く依頼するようにしましょう。
また、各業者では特殊清掃と遺品整理をパックにしている場合があります。
単独で依頼するよりも、パックで依頼した方が安くなるため、どのようなプランがあるのかをよく確認してください。
他にも、複数の業者から相見積もりを取得して、各業者のサービス内容や費用の内訳などをしっかりと確認して、最もお得な業者に依頼しましょう。
まとめ
孤独死された場合の特殊清掃や遺品整理は、とても大変な作業となります。
また、実質的に自分たちでは対応できず、業者に依頼しなければなりません。
遺品整理をおこなう際には、身の安全を確保しながら作業をおこなってください。
ティプロでは、特殊清掃から遺品整理まで一貫して対応させていただきますので、気軽にご相談ください。
現代は、超高齢化時代と言われています。一人住まいの方が増え、もしもの時は残された身の回りの生活用品の整理にご遺族は途方にくれることになります。遺品整理士として、専門的な知識と豊富な経験から、遺品の整理や生前整理などのお手伝いをさせていただきます。