大切な人が亡くなったあと、悲しみが薄れる間も無く遺族が頭を悩ませるのが遺品整理です。個人が残した品物はすべて遺品とされますが、いざ整理を始めようと思うと適切な時期や進め方が気になる人もいらっしゃることでしょう。
そこでこの記事では、遺品整理を行うタイミングや遺品整理を行う際のポイント、気をつけるべき注意点などについてくわしく解説します。
目次
遺品整理はいつからすべきか
遺品整理には、「いつからやるべき」という決まりがありません。故人の生前の状況や遺族の事情により、そのタイミングは次のように分かれています。
- 故人の葬式が終わった直後
- 故人の諸手続きが終わったあと
- 49日を迎えたあと
- 相続税が発生する前
それぞれのタイミングについて、以下でくわしく解説します。
葬式の後すぐ
故人の葬式が終わったあとすぐに遺品整理を行う場合には、次のような事情を抱えるケースが多くみられます。
故人が賃貸物件に住んでいたため、できるだけ早く遺品整理して部屋を明け渡さなければならない。
故人が離れて暮らしていたため、遺族が長期間滞在することができない。
親族が近くに住んでいないため、葬式で集まったタイミングで遺品整理した方が良い。
遺品整理の時期に決まりはないですが、故人や遺族の状況によっては急がなければならないこともあります。葬式の直後では心も落ち着かないことと思いますが、状況をよく考えて判断するようにしてください。
亡くなったあとの手続きが終わったタイミング
故人の葬式が終わったあと、死後の事務処理や諸手続きが済んでから遺品整理を行う遺族もいます。故人が亡くなったあと、遺族は次のような諸手続きを済まさなければなりません。
故人が契約していた水道光熱費の手続き
年金関係の手続き
故人が勤めていた会社への手続き
故人の確定申告手続き
故人の契約していたクレジットカードや携帯の解約手続き
これらの手続きの中には期限が決まっているものもあるので、どうしても遺品整理が後回しになる遺族もいらっしゃいます。遺品整理も大切な仕事ですが、いつまでにどんな手続きを行うべきなのか、冷静に考えてみましょう。
49日で親族が集まるタイミング
宗派にもよりますが、仏教では故人の命日を1日目として、49日をかけて極楽浄土へたどり着くとされています。つまり、49日目には故人の魂が仏様になるのです。その際、遺族は多くの親族を招いて49日の法要を行いますが、そのタイミングで遺品整理を行う遺族もいます。
遺品は故人の思い出が詰まった大切な品物ですから、形見分けを望む親族もいらっしゃるかもしれません。形見分けをする場合は、親族が多く集まる49日に遺品整理を行うのが良いでしょう。
相続税が発生する前に行う
そもそも遺品は、故人が残した大切な財産です。とくに、土地・家屋などの不動産や株式・FXといった有価証券は相続税の対象となるので、できるだけ早いうちに整理しておかなければなりません。
不動産や有価証券以外にも、故人の残した預貯金や高級時計・貴金属類など、遺品の中には相続税の対象となるものがあります。事前に遺品の価値がある程度わかっている場合は、相続税が発生する前に遺品整理をした方が良いでしょう。
おすすめの時期は気持ちが落ち着いた時
遺品整理の時期としておすすめなのは、残された遺族の気持ちが落ち着いたタイミングです。故人の遺品は遺族にとって思い出そのものであり、気持ちの整理が落ち着かない中で整理するのは心身にも負担が掛かってしまいます。
状況的に急がなくても問題がないのなら、無理に遺品整理を行う必要はありません。故人とのお別れを済ませ、気持ちが落ち着いてからゆっくり始めてみましょう。
遺品整理をするときに抑えておくべきポイント
遺品整理を行う際には、ポイントを抑えておくとスムーズに進められます。遺品整理をするときのポイントを具体的にご紹介しましょう。
一人で行わず、親族など関係者の了承をとりながら進める
遺品整理は一人で行わず、かならず遺族・親族などの関係者と連絡を取り、了承をとりながら進めるようにしてください。故人の遺品はすべて財産になるので、一人で勝手に処理してしまうと、あとから問題になりかねません。
実際に、故人がコレクションしていた価値のある電車模型をいらないものとして処分してしまい、他の遺族・親族から責められたというケースもあります。たとえ自分にとって価値を感じない品物でも、他の遺族・親族にとっては大切な遺品かもしれません。故人亡きあと良好なおつき合いを続けるためにも、遺品整理は遺族・親族と相談しながら進めましょう。
遺言書やエンディングノートを確認する
遺品整理を行う前には、故人が遺言書やエンディングノートを残していないか、かならず確認しましょう。近年では、終活の一環として故人が生前に遺言書を残していたり、エンディングノートに遺産の情報を残していることがあります。遺言書やエンディングノートがあれば、遺産分割や遺品整理にも役立てられることでしょう。
故人の直筆の遺言書が見つからなくても、エンディングノートに「〇〇弁護士に預けてある」といった内容が記されていることもあります。故人の希望を叶えるためにも、まずは遺言書やエンディングノートがないか必ず確認してください。
分類分けして貴重品を把握できるようにする
遺品整理を行う前には、事前にチェックリストを作って貴重品を把握できるようにしておきましょう。たとえば、次のようなチェックリストを作っておくと、遺品の分類がスムーズに進みます。
不動産の権利書
有価証券
貴金属類
高級時計
貸借契約書類(金品の貸し借りの書類)
美術品・骨董品などのコレクション
銀行の通帳・キャッシュカード
契約しているクレジットカードの書類
銀行の通帳と印鑑
年金関係の書類や通知書など
貴重品の整理は、遺産相続をする上で欠かすことができません。事前にチェックリストを作り、分類分けしながら進めるようにしましょう。
遺品整理で注意すべきこと
遺品整理を行う際には、遺族が気をつけなければならないことがあります。どのような点に気をくばるべきなのか、遺品整理で注意すべきポイントをご紹介しましょう。
自分の状態が落ち着いてから行う
遺品整理は、必ず自分の状態が落ち着いてから行うようにしてください。心身共に冷静な状態でないと、判断を誤ったり大切な遺品を間違って処分する可能性があります。せっかく遺品整理をしても、あとから後悔してしまっては返って心を痛めることでしょう。
気持ちが落ち着いた状態なら、故人の遺品と向き合っても気持ちが引きずられにくく、遺品整理もスムーズに進められます。遺品整理は基本的に決まった時期がありませんので、自分の心の整理が着いてから行うようにしてください。
一人で行わない
どうしても状況的に急がねばならず、気持ちが落ち着かなくても遺品整理をしなければならないときは、決して一人で行わないようにしてください。自分以外の誰かと相談しながら遺品整理をすれば、お互いにフォローし合いながら遺品整理を進められます。
また、複数人で遺品整理をすれば遺品の見落としもなく、あとから揉めたり言い争ったりする可能性も減ることでしょう。一人で遺品整理をするのはかなり大変な作業になるので、できれば複数人で行うようにしてください。
業者にお願いする場合は貴重品の管理をする
もし遺品整理を業者にお願いするようなら、貴重品の管理を徹底しましょう。遺品整理業者はプロなので、事前に探して欲しい貴重品を伝えておけば見つけ出してくれる可能性は高いです。しかし、質の悪い遺品整理業者に依頼してしまうと、価値のある遺品を処分したり持ち帰ったりするかもしれません。
一番良いのは、複数の遺品整理業者に連絡して相見積もりをとり、よく比較検討してからお願いすることです。その際にも、無くしてなならない貴重品は事前にチェックしておき、遺族で管理するよう心掛けてください。
まとめ
遺品整理は、遺族にとって心身共に気を使う作業です。遺品整理を行う時期に決まりはありませんが、できれば気持ちが落ち着いた頃に行うのが理想的でしょう。
しかし、故人や遺族の状況によっては急がなければならないケースも多く、一人では難しいこともあります。遺品整理はできれば複数人で行うのが理想的ですが、遺族・親族で手が回らないときは遺品整理業者に相談して、落ち着いて進められる環境を整えましょう。
遺品整理のご用命は、ティプロまで
現代は、超高齢化時代と言われています。一人住まいの方が増え、もしもの時は残された身の回りの生活用品の整理にご遺族は途方にくれることになります。遺品整理士として、専門的な知識と豊富な経験から、遺品の整理や生前整理などのお手伝いをさせていただきます。