人生の終盤を迎えるにあたって、終活を始める方がいます。
終活の中でも、身辺整理は比較的早い段階でおこなうケースが多いです。
身辺整理とは、どのようなことをおこなえばよいかはある程度理解できるものの、具体的なアクション方法はわからないという方が多いです。
では、身辺整理とは具体的にどのようなことをおこなえばよいのでしょうじゃ。
この記事では、身辺整理の概要や具体的な手順を紹介します。
目次
身辺整理とは?
身辺整理とは、人間関係や仕事関係の事務や書類、自己の所有物を処分する形で整理する行為を指します。
身辺整理をおこなうきっかけには、実に多くの動機があります。
ただし、一般的な身辺整理とは自らが犯した過失などに対し、責任をとる形で異動をおこなう際の引継ぎなどの整理を指す場合が多いです。
通常の整理と違って、それまでの活動の継続性を前提としない点が前提となります。
自殺を試みる前兆として観測されるケースがあり、ある人間が突然身辺整理をはじめた場合、慎重な対応が必要です。
終活としての生前整理とは、主に以下を目的として実施します。
身辺整理を行う目的としては、以下のものがある。
- 自分の死後に他人に見られたくないものを処分する。
- 自分の死後も残しておいてほしい物がほかの物に紛れ込んで処分されるのを防止する
- 自分の荷物を処分する方の負担を軽減する
死後も、自分の意思を遺族に伝えたい目的で、身辺整理が行われるケースが散見されます。
身辺整理の手順は?
身辺整理は、やみくもに実施してもうまくいかない場合が多いです。
しっかりと事前に計画を練って、順序だてて対応する必要があります。
身辺整理の手順は、以下のとおりです。
- 財産関係の整理をする
- 人間関係やSNSを整理する
- 捨てるもの・残すものをリスト化する
- 大型のものから処分する
- エンディングノートを作成する
各ステップについて、詳しく解説します。
財産関係の整理をする
身辺整理ではじめに実施したいのが、財産関係の整理です。
保有資産の整理は特に時間がかかり、またどのように遺族に残すのかが悩ましいポイントです。
そこで、最初に保有している資産をリストアップしたうえで、不要な財産は処分してください。
遺産相続において、トラブルに発展しやすいのが不動産であり、特に農地や築年数の古い住宅の場合、誰に押し付けるのかを擦り付け合うケースも多いです。
また、相続登記の手間がかかる傾向にあり、周囲にとって負担になりがちな不動産がある場合、頃合いを見計って処分を検討してください。
また、エンディングノート・遺言書に意向を記録するのも有効的です。
現物資金だけでなく、以下のデジタル資産もしっかり棚卸してください。
- ネット銀行の預貯金
- ネット証券会社で保有する有価証券
- 暗号資産
- サブスクリプション
デジタル資産の場合、通帳や印鑑などがないため、本人だけしか知りえない場合が大半です。
遺産分割協議が完了した後にデジタル資産が発覚し、協議がやり直しになるケースも散見されています。
デジタル資産は定期的に整理して、エンディングノートや遺言書に記載することをおすすめします。
人間関係やSNSを整理する
身辺整理では、人間関係の整理も重要な作業となります。
人間関係を断捨離するために、以下に分類していくのがおすすめです。
- この先も長く付き合っていく方
- 年に1回会えばいい方
- 縁が切れても仕方ない方
基本的に、縁が切れても仕方ない方は思い切って関係を断っていきます。
また、年に1回会えばいい方についても、相手方の意向などを踏まえて断捨離するのがおすすめです。
人間関係を断捨離することで、気の合う方とだけ交流できるため、ストレスが軽減されるメリットがあります。
自分のペースで人生を送れるため、他人に振り回されずに自分のやりたいことに集中できる点も魅力的です。
結果として、時間と出費の節約に繋がり、残された余生を有意義に過ごせます。
人間関係の整理には、SNSも含まれます。
ほとんどつながりのない方をブロックするなどすれば、人間関係を断捨離できます。
終活する上で、どうしてもSNSでネガティブな情報を見てしまいがちです。
そこで、SNSのアカウント自体をクローズする方法もあります。
SNSのアカウントを残しておくと、見られたくない写真を家族に見られるリスクもあります。
捨てるもの・残すものをリスト化する
人間関係の整理が完了したら、残ったものをどのようにするのかを決めます。
まずは、残すものと残さないものに分類していく形です。
残すものの代表格は、家族との思い出の品などがあげられます。
本人が処分したいと思っていても、家族にとっては大事なものとなる可能性もあるため、ある程度家族の意向も聞くことが重要です。
逆に、不良なものとしては以下が該当します。
- エアコン・冷蔵庫などの家電製品
- 不必要な紙・ナイロンのゴミ類
- 飲み終わった後のペットボトルや空き缶
- 使用見込みのない家具類
- 自転車・バイク・自動車類
- 着用する予定のない衣類
いきなり処分するのではなく、あくまでもリストアップから始めるのがおすすめです。
大型のものから処分する
不要なもののリストが完成したら、実際に処分していきます。
処分は、自分自身でゴミとして処分する方法や、業者に依頼して処分してもらう方法などがあります。
なお、不用品であっても買取可能なものはなるべく高く買い取ってもらう方がお得です。
また、処分する順番としてはサイズの大きなものから処分するのがおすすめです。
これにより、部屋が片づくことで作業スペースを確保でき、また処分したことを実感しやすいメリットがあります。
エンディングノートを作成する
身辺整理の最終的な段階で、エンディングノートを作成します。
エンディングノートとは、高齢者が人生の終末期に迎える死に備え、自身の希望を書き留めておくノートのことです。
自身が死亡した場合や、判断力・意思疎通能力の喪失を伴う病気となった場合に、希望する内容を記すのが一般的です。
特に、後者の内容を、事前指示と呼ぶケースもあります。
エンディングノートの記載する事柄は特に決まっていませんが、以下の内容を記載するのが一般的です。
- 病気になった場合の延命措置の要否
- 自身に介護が必要になった場合に希望する内容
- 財産や貴重品に関する情報
- 葬儀に対する希望
- 相続に対するスタンス
- プロフィール
- 自分史
- 家系図
死の直前に作成する遺言書は法的効力を有していますが、エンディングノートには法的効力はありません。
ただし、存命中や死後の家族の負担を減らす重要な役割を担っているのです。
書籍や文具としてエンディングノートが販売されており、作成時に役立ちます。
また、エンディングノートの書き方を指導する講習会なども開催されている場合があります。
身辺整理を進めるポイントは?
身辺整理を進めるにあたって、以下のような点がポイントとなります。
- パスワードやIDが分かるようにしておく
- 写真や動画などのデジタルデータの整理も忘れずに行う
- 人に見られたくないものはあらかじめ処分しておく
各ポイントの詳細は、以下のとおりです。
パスワードやIDが分かるようにしておく
インターネット系のサービスを利用する場合、ログインした上で操作しなければなりません。
例えば、ネットバンキングやSNSのサービスを利用する場合、IDやパスワードの入力が必須となります。
もし、自分だけしか知らないパスワードなどを設定していると、残された遺族がログインできなくなり解約などの手続きができなくなるリスクがあります。
特に、ネットバンキングや証券会社のログイン情報は、残された資産を引き出す際に重要となるのです。
よって、エンディングノートなどにパスワードやIDが分かるようにしておくのがおすすめです。
写真や動画などのデジタルデータの整理も忘れずに行う
身辺整理で残すものとして、写真などがあります。
また、最近では写真だけでなくスマートフォンで容易に動画を撮影できるようになりました。
そこで、デジタルデータの整理も欠かさずおこなうのがおすすめです。
例えば、スマートフォンで撮影した写真や動画は、クラウドストレージングサービスに移行しておいたり、CD-Rに焼くなどの方法があります。
また、デジタルデータの整理としては他人には見られたくないデータも含まれます。
見られたくないデータは適切に処分して、必要なデータのみを保存してください。
人に見られたくないものはあらかじめ処分しておく
デジタルデータと同様に、どうしても自分以外の人に見られたくないものがあれば、事前に処分してください。
本人の尊厳にも関わる部分であり、家族であっても容易に立ち入りできない部分です。
故人が見られたくない場合もあれば、遺族が見たくないパターンも考えられるため、しっかりと処分してください。
まとめ
身辺整理は、終活の中でも非常に重要な活動の1つとなります。
特に、資産の整理は遺産相続にも関わるため、慎重に時間を賭けて実施してください。