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遺産

遺産

相続財産(遺産)とは、被相続人が亡くなった当時、残っていたプラスの財産とマイナスの財産のすべて財産のことです。

●概要

遺産とは死後に遺した財産で、人が死亡時に所有していた財産や所有権や債権だけでなく負債も含まれます。 遺産に対する所有権その他の財産権の帰属がどうなるかは、各国の民法(相続法制度)やその他の法制度(信託法等)により異なります。 遺産には積極財産(プラスの財産)と消極財産(マイナスの財産)があります。 積極財産には現金、預貯金、債権(貸付金、配当金、貸金債権、損害賠償請求権)、土地、家屋、自動車、駐車場、借地権、事業財産、家財、有価証券、投資信託、著作権、受取人が本人と指定されている生命保険金がります。消極財産には借金、住宅ローン、未払金、債務保証などがあります。 相続開始時に被相続人に属した財産であっても通常の相続とは異なる規律があるものもあります(日本の民法では墓地、仏壇、位牌などの祭祀財産)。

●一般的に遺産分割の対象となるプラス財産

・不動産 宅地、農地、山林、建物(マンション、アパートなど)、店舗、事務所、居宅、借地権、借家権など ・現金 現金、預金、貯金など ・有価証券類 株券、出資金、配当金、貸付金、売掛金、小切手、ゴルフ会員権など ・動産 自動車、家財、船舶、骨董品、宝石、貴金属、美術品 ・その他 家財道具、電話加入権、慰謝料請求権、損害賠償請求権など

●一般的に遺産分割の対象となるマイナス財産

・負債 銀行ローン、キャッシングローン、消費者金融からの借入れ、借金、買掛金、住宅ローン、小切手など ・税金関係 未払いの所得税と住民税、その他未払いの税金(固定資産税など) ・その他 未払い分の家賃と地代、未払い分の医療費、慰謝料、損害賠償金など

●遺産(相続財産)に含まれないもの

・墓。位牌、仏壇など 祭祀を継承する者が引き継ぐことになりますので、相続財産には含まれません、 ・一身専属権 一身専属権とは、特定の人のみ権利を持つことが性質上できない権利です。年金請求権や扶養請求権、生活保護受給権などがあります。 ・身分上の権利 婚約していた相手が亡くなった場合のように、婚姻する権利を相手の相続人に請求することはできません。財産権ではない身分上の地位や権利などは遺産相続の対象にはなりません。

●法律上は遺産にならないが相続税の計算では遺産として考えるもの

・法律上のみなし相続財産 死亡保険金や脂肪退職金などです。 受取人固有の財産とされ、本来の相続財産からは除外されるため遺産分割の対象にはなりませんが、相続財産に準じるものとみなされて相続税の課税対象となります。 全額が相続財産になるわけではなく、非課税限度額を超えた部分のみ相続財産に加算されます。 死亡保険金は契約形態によっては本来の相続財産に含まれ、遺産分けの対象になることがあります。 ・生前贈与された財産のうち一定のもの 故人の死亡時にすでに生前贈与されていた財産は相続財産(遺産)に含まれませんが、贈与財産のうち相続税の課税対象になるものがあります。

●遺産にあたるかどうかで争いになりやすい財産

①生命保険金 生命保険金とは、特定の人が死亡したときに保険契約に基づいて支払われる金銭です。 生命保険金が被相続人の遺産に当たるかどうかは、誰が保険金の受取人として指定されているかで異なります。 ・受取人に被相続人自身、または相続人と指定されている場合 被相続人の遺産と同じような扱いとなり、法定相続分の割合に則って相続人が権利を取得するとされています。 ・受取人に配偶者や子供など、特定の人を指定されている場合 受取人に配偶者や子供などの特定の人が指定されている場合は、生命保険金は保険契約に基づく受取人固有の権利として遺産には当たらないとされています。 ただし、遺産には当たらないとしても生命保険金の金額が著しく高額で、生命保険金を受け取らない他の相続人との間の不公平が大きい場合には特別受益として遺産分割の中で考慮され、相続される財産に影響を与えることもあります。 ②死亡退職金 被相続人が死亡当時に会社に勤めているなどの場合には、退職金が支給されることがあります。この死亡退職金は賃金の後払いとしての性質と、遺族の生活保障としての性質があります。 死亡退職金が遺産に含まれるかどうかを一義的に決定することは非常に困難です。 死亡退職金が遺産か否かを判断するには ・支給規定があるかどうか ・支給規定がある場合には誰に支給されることになっているか ・支給規定がない場合にはその支給慣行、支給の経緯 などを考慮して、最終的は訴訟で判断されます。 死亡退職金に関する支給規定が存在し受給権者が特定されている場合には、 死亡退職金はその規定により支給権者が固有に取得する権利であるとされ、相続財産には含まれません。 ③遺族給付 遺族給付とは、法令等により被相続人と一定の関係にある人に対して給付されることが決められているものです。 遺族給付には、遺族基礎年金(国民年金法)、遺族厚生年金(厚生年金保険法)、遺族共済年金(各種共済組合法)、遺族補償給付・葬祭料(労働者災害補償保険法)、葬祭費(国民健康保険法)などがあります。 遺族給付は法令等により受給者が決められており、受給者の生活保障を目的とした遺族の固有の権利として遺産には含まれないとされています。 ④債権 債権には、預貯金や貸付金、損害賠償請求権など、様々なものが含まれます。 金銭の支払請求権のような分割できる債権(預貯金など)は、遺産分割手続きを経なくても法律上当然分割され、各相続人は債務者に対して債権のうち自らの相続分(遺言により配分の指定が無い場合は、法定相続分に応じる)に相当する部分の金銭を請求できることになります。 相続人の合意を求めて預貯金を遺産分割の対象とし、預貯金を含めた分割協議をするのが一般的です。 ⑤金銭債務(負債) 被相続人が死亡する以前から負っている金銭債務(負債)は、債権者からすれば遺産分割協議が成立しない限り請求できないとすると、実際に請求できるまで非常に時間がかかることも考えられます。 そのため、被相続人の金銭債務については、遺産分割の対象から除外され、原則として法定相続分に則って分割承継されます。 相続人は、相続放棄等をしない場合には被相続人の負っている金銭債務のうち自己の法定相続分に相当する金額を相続開始とともに支払う必要があります。 ただし、相続人間での負担割合は誰がどの遺産を相続するか話し合う際に一緒に話し合うことは可能で、遺産の大部分を取得した相続人が、負債の大部分も引き受けるという場合もあります。 ⑥遺産からの収益(賃料等) 相続財産の中に収益不動産が含まれ継続的に賃料が入ってくる場合や、相続財産の中に株式があり定期的に配当が支払われる場合に、賃料や配当が遺産に含まれるのかが争われるこがあります。 遺産からの収益は遺産そのものではなく、遺産からの収益は遺産とは別のものとして相続人間で分配することになり、相続人の一人が独占しているような場合には訴訟で返還を請求することになります。 一般的には、継続的に発生する収益について発生する度に争うと大変であるため、遺産分割協議の中で解決することが多くなっています。 ⑦墓地等の祭祀に関わるもの 墓地、墓石、位牌、仏壇、仏具、遺骨等については、祭祀に関わるものとして遺産分割協議の対象となる遺産かどうか問題になることがあります。 祭祀に関わる財産の所有権は慣習に従って先祖の祭祀を主宰すべき者が承継するとされており、遺産分割協議で分け方を協議すべきものではなく、誰が祭祀を承継するかという観点から決めるべきものとなります。 祭祀を承継する者が被相続人によって指定されておらず祭祀承継の慣習も不明な場合には、家庭裁判所が決定します。 ただし、純金の仏具や仏壇に宝石が埋め込まれているなど財産的価値が高く仏具とは言えないような場合には、そもそも祭祀に関わる財産であるかどうかを争う可能性もあります。 ⑧遺産の管理費用 遺産は被相続人の死亡に伴い、ひとまずは相続人の間で共有となります。 遺産の中に不動産が含まれる場合には固定資産税が発生したり、借地の上に建っている建物が遺産に含まれる場合には賃料発生したりします。 遺産の管理費用は、相続財産に関する費用として遺産から清算されるべきとする考えと、相続開始後に発生した遺産とは別のものであるから遺産から清算できないとする考えがあります。 一般的には、遺産分割協議や調停の中で誰が負担するか合意できた場合には合意のとおり分担されますが、合意できない場合にはいったん遺産管理費用を支払った人から遺産管理費用を支払っていない人に対して訴訟を起こすことによって解決することになります。 ⑨葬儀費用 葬儀費用を遺産から支出できるとする考えと、葬儀費用は被相続人が死亡した後に発生する負債であるため遺産からは支出できないとする考えがあります。 最終的に葬儀費用を誰が負担するかどこから支出するかについて話し合いがまとまらない場合には、一般的には遺産分割手続の中では判断できず訴訟で決定されます。 遺産の中から葬儀費用を支出する場合には、遺言書の中で金額を明確にしてどの銀行口座から支出するかを明示してあるなどの場合は遺産の中から葬儀費用を支出できる可能性は高くなると思われます。 香典は、遺族や喪主に対する贈与として、被相続人の遺産には当たらないとされています。

遺産分割協議書

遺産分割協議書

遺産分割協議とは、相続人全員で被相続人の遺産の分け方を決める話し合いのことで、その話し合いで決まった内容を書面におこしたものが、遺産分割協議書とよばれるものです。

●遺言書がある場合は、遺産分割協議書は必要ない

被相続人が生前に遺言書を残していれば、原則遺言書に書かれた内容に従い、受遺者(遺産の受取人)に指定をされた人が遺産を相続することになります。 遺言書がなかった場合、被相続人の財産は死亡した瞬間に法定相続人全員が法定相続分の割合で共有していると法的にはみなされます。

●遺産分割協議が終わらない間に相続人が死亡した場合

相続人全員で遺産分割協議がまとまらなかったり、置されている状態が続くと、そのうちに相続人自身が亡くなることもあります。 不動産では不動産の名義人が死亡ても何らかの事情で不動産の名義変更がなされず長年放置された場合、相続人となる方が共有しているとみなされます。 その後にまた次の相続が発生したとなると、相続人の相続人、さらには相続人の相続人の相続人など、現在生きている相続人(現在の共有者)が多岐にわたってしまうことになります。

●遺産分割協議の注意点

分割協議は必ず相続人全員で行わなければなりません。相続人に未成年者がいる場合は、その代理人の参加も必要です。相続人が1人でも欠けた状態で行うと、その結果は無効となります。 ・相続人全員が参加して協議を行う ・協議の結果を書類に残す

●遺産分割協議が必要になるケース

相続が起こっても、必ずしも遺産分割協議書が必要になるわけではありません。遺産分割協議書を作成するのは、相続人同士で遺産分割協議が行われたケースに限られるためです。 【遺言がない場合】 遺言によってすべての遺産の相続人や受遺者が指定されている場合は、その内容の通りに遺産が相続されるため、法定相続人が話し合って遺産分割協議をする必要がありません。 しかし、遺言があっても、そこで一部の相続財産についての処分方法しか指定されておらず、残りの遺産については法定相続人が話し合いで相続方法を決めないといけない場合には、その残りの分について遺産分割協議が必要で、遺産分割協議書を作成する必要もあります。 また、すべての遺産について遺言による相続分の指定が行われていても、相続人全員が合意してそれと異なる分割方法を定めることができます。 その場合には、遺言があっても遺産分割協議が必要で、遺産分割協議書を作成しなければなりません。 【相続人が複数いる場合】 産分割協議書が必要になるのは、相続人が複数いる場合です。 遺言がなくても、相続人が1人しかいなければその相続人がすべての遺産を相続することが明らかなので、遺産分割協議が必要なく、遺産分割協議書を作成することもありません。

●遺産分割協議を行う目的

【後のトラブルを防止する】 相続人同士で遺産分割協議をするとき、協議がまとまるためには全員の合意が必要です。 合意ができずにトラブルになることも多く、相続人の人数が多かったり手続きに非協力的な人がいたりする場合などは協議を進めるのが非常に大変になります。 全員の合意ができたとしても、遺産分割協議書がない場合、その後ある相続人が紛争を蒸し返すおそれがあります。そんなことになったら、いつまで経っても遺産問題が解決されません。 【遺産分割の内容を明らかにする】 遺産分割協議書を作成すると、遺産分割協議の内容を明らかにすることができます。 相続人が全員署名押印した遺産分割協議書を作成することにより、対外的に遺産分割協議があったこととその内容を証明することができます。 【遺産分割協議の内容を正確に保存する】 遺産相続の、遺産の内容は複雑であることが多いです。 不動産が複数あることもありますし、預貯金口座や株券、自動車など多くの遺産があり、相続人も多数に及ぶこともあります。 このような場合、人の記憶だけでは、誰がどの遺産をどのような方法で取得するのかを正確に保存するのは難しく、時が経つと記憶は失われてしまいます。 遺産分割協議書に遺産分割の内容を書き留めておくことにより、内容を正確に長期間に及んで保存し続けることができます。 【相続の手続きをすすめるため】 遺産分割協議書は、具体的に相続手続きを進める際にも必要です。 遺産の中に不動産が含まれている場合不動産の相続登記をしなければなりませんし、預貯金があったら払い戻しを受けなければなりません。 このような相続の手続きを進めるとき、遺産分割協議書を要求されます。 遺産分割協議書がないと、不動産の名義書換もできないので不動産の名義が亡くなった被相続人のままになり預貯金の払い戻しも受けられません。

●遺産分割協議書の性質

【契約書としての性質】 遺産分割協議書は、契約書としての性質があります。 遺産分割協議書は法定相続人が全員参加した遺産分割協議に基づいて作成されますが、協議に参加した法定相続人自身が作成し、全員が署名押印をしています。 遺産分割協議に参加した当事者は、遺産分割協議書に反する行動をとったとき、他の相続人から裁判を起こされて遺産の返還を求められることなどもあります。 遺産分割協議書は、裁判上の証拠としても利用できます。 【証明書としての性質】 遺産分割協議書は、証明書としての性質があります。 遺産分割協議書を作成すると、当事者を拘束するだけではなく、対外的に遺産分割があったことや合意の内容を証明することができるためです。 不動産の相続登記や預貯金の払い戻しをする時に遺産分割協議書を証明書として使用し、遺産を売却するときに購入希望者に対して遺産分割協議書を証明書として提示します。

●遺産分割できない相続財産

被相続人(亡くなった方)が残した相続財産の中で、相続人に受け継がれない相続財産の例外があります。 それは、法律上で一身専属権と言われるもので、被相続人本人でないと目的が達成されない権利です。 司法書士や弁護士などの資格、祖先の系譜、墓地、仏壇、神棚なども相続される財産にはなりません。

遺書

遺書は自殺する人やなんらかの要因で死を覚悟した人が残す文章です。

●概要

遺書は激戦地に向かう前や重病で余命が短いことを知った時、自殺をする前など死に直面した際、亡くなる前に自分の気持ちなどを家族や友人に書き記したものです。

法律的な効力はないため所定の様式はなく、手紙や走り書きの形態のものなどがあります。

遺書は残される家族や友人などに個人的なメッセージを送る手紙の意味合いが強く、なぜ自分が自殺するのかという理由も語られることが多いです。

遺書を残すことでそれまでの人生を総括し、感謝の言葉を残す文書もあれば受け入れがたい死を前に気持ちの整理のつかないまま書き記されたメモのような遺書もあります。

遺書は原則として直筆で書かれるものです。これはワープロソフトを用いた文書では他人が書くことが可能ですが、直筆の場合は筆跡を真似て作成することが困難であるため、確実に自殺した本人が本当に遺書を執筆したことを証明するためとされています。

そのため、ワープロソフトによって執筆された遺書では、偽装自殺による殺人が疑われる事例もあります。

●遺書と遺言書の違い

遺書と遺言書は字面は似ていますが実際の意味と役割は全く違い、それぞれで法律的な制約や効力も異なります。

それぞれの意味を理解せずに作成すると思いもよらない結果に繋がる可能性もありますので、注意が必要です。

・法的な文章ではない「遺書」

遺書は亡くなる前の自分の意思を伝える手紙で、自分が死んでしまった後、家族や友人などの大切な人に自分の気持ちを伝えたり、お願いごとをしたりするものです。

遺書は法律的な制約は全くないため様式や内容は自由です。自分の意思を誰かに伝えるための私的文書であり、書式や内容に法的な制約や効力は一切ありません。レポート用紙への走り書きや便箋に書いた手紙、ビデオメッセージや音声テープなども遺書の一種です。

お葬式で流してほしい音楽や残された家族への想い、友人への感謝の気持ちなど、思いの丈を自由に書くことができます。

また、遺書を受け取った側に書かれている内容を守る法律的な義務はありません。

・法的な文書である「遺言書」

遺言書は民法で定められた法的な文書です。書式から作成方法、効力、内容に至るまで細かく規定されています。

民法に沿った形で遺書を運用しなければ、遺言書自体が無効になる、遺言で財産を受け取るはずだった人に罰則が課せられるなどの可能性もありますので注意が必要です。

民法に従って作成された遺言書であれば法律で保護されるため、それに関わる人たちに義務や権利が発生することになります。

遺言書には、遺族にどのように財産を分けてほしいかという意思を書き残すことによって、相続争いを未然に防ぐ役割があります。

遺言者以外が内容を書き換えると、罰則を受けることもあります。

遺言書には書式ごとに種類があり、定められた作成方法に従い正しい形式で書かれていないと一切の効力を失います。

遺言書作成時に遺言者が認知症などを発症していて意思能力がない場合や遺言者以外の第三者の意思が反映されている場合、遺言適格年齢とされる15歳未満の場合も無効となります。

●遺書と遺言書の法的効力の違い

・遺書には法的効力がない

遺書には法律的な制約はないため、書かれている内容に関する権利や義務は発生しません。
遺書に書いた内容のとおりに残された人たちを従わせることはできませんし、遺書を受け取った人も内容を守る法律的な義務はないということです。

ただし、遺言書としての法的要件を満たしていれば遺書であっても効力を発揮する場合はあります。

・遺言書に法的効力はあるが限られている

遺言書は法的効力をもつ文書ではありますが、書いた内容全てに法律的な権利や義務が発生するわけではありません。

民法によって効力が定められているのは、相続方法や遺贈、後見人の指定などです。

例えば、誰がどのような財産を相続するかについて記載されている場合は、法的効力が発揮されます。
遺言書による指定がない場合は民法に定められた相続方法が適用されますが、遺言書を作成することで民法の規定通りではない相続方法に変更することができます。

遺言書では、法定相続人以外の人に財産を譲る遺贈の指定をすることも可能です。

遺言書に法的効力をもたせるためには、作成の際にいくつかの要件を満たす必要があります。

遺言書に個人的な感謝の気持ちなどを書くこともできますが、その部分に関しては法的な効力は発生しません。

一般廃棄物収集運搬許可

一般廃棄物収集運搬許可

一般廃棄物収集運搬業許可とは、一般廃棄物(産業廃棄物以外の廃棄物)を収集運搬するために必要な許可です。 家庭から排出される家庭系一般廃棄物、事業所などから排出される事業系一般廃棄物を収集運搬する場合にはこの許可が必要となります。

●一般廃棄物収集運搬業許可の新規取得が難しい理由

一般廃棄物収集運搬業許可は取得が非常に難しい許可です。 一般廃棄物の収集運搬業は市町村長許可となり、市町村長の裁量度合いが大きくなっています。 その市町村の処理計画の中に組み込まれるため、ごみの減量を推進している市町村などは許可業者数を制限しているため、許可を取りたくても取れない場合があります。 ・新規の一般廃棄物収集運搬業者を募集していない市町村が多い 本来の一般廃棄物には生ゴミなどの生活から排出されるゴミも含まれます。 こうしたゴミを回収する業者はすでに足りていると行政が考えている場合、新規に募集する必要はないと判断されます。 ・粗大ゴミの回収目的で一般廃棄物収集運搬業許可を申請しても許可はおりない 粗大ゴミの回収には許可が必要ですが、それだけでは不十分と判断するのが大方の市町村の基準です。 事業系一般廃棄物の収集運搬で経営が成立するような事業計画などが求められます。

●新規取得が難しい理由の背景は法律にあり

廃棄物処理法第7条第5項には「市町村長は、第一項の許可の申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ同項の許可をしてはならないとして、3つの条件が記されています。 ①市町村が自治体の処理能力で一般廃棄物の収集運搬ができない状態である ②申請内容が市町村が作成している「一般廃棄物処理計画」に沿っている ③申請する事業者に、環境省令で定める基準に適合する事業継続能力がある 特に重要なのは①の条件で、自治体が自分たちでは処理しきれないと判断するかどうかで決まるということです。 行政の裁量で判断されるため、現実としてお年寄りや一人暮らし世帯が大きな粗大ゴミの扱いに困っているという問題が起きていても、「行政として現状で業者数は十分である」と判断すれば許可は下りません。

●一般廃棄物収集運搬業許可の取得方法

・許可を申請するための欠格要件 廃棄物処理法第7条第5項には4つ目の条件として欠格要件が定められています。 10項目のいずれかに当てはまると、たとえ市町村が新規募集をしていても許可取得はできません。 ①精神障害があるなどの理由で判断能力がないとされる者または自己破産をしたまま復権していない者 ②禁固刑以上の前科があり、服役を終えてから5年未満の者 ③廃棄物処理法をはじめとする関連法令に基づく処分を受けてから5年未満の者、または暴力団対策法に基づく処分を受けてから5年未満の者 ④廃棄物処理法・浄化槽法における許可を取り消されてから5年未満の者 ⑤廃棄物処理法・浄化槽法における許可取り消し処分の通知があった日から、実際の処分の有無が決まる日までの間に事業廃止の届出をした者のうち、その届出から5年未満の者 ⑥⑤の届出に該当する事業者の役員や使用人(支店長など)だった者のうち、その届出から5年未満の者 ⑦一般廃棄物収集運搬業の業務において、不正または不誠実な行為をする可能性がある者 ⑧申請者が営業能力のない未成年者で、その代理人が①~⑦に該当する者 ⑨申請者が法人で、役員や使用人に①~⑧に該当する者がいる者 ⑩申請者が個人で、そのうちの使用人に1~7に該当する者がいる者

●許可を申請するための必要書類

申請者が法人であるか個人であるかによって必要書類が異なるため、各自間違いのないように作成と提出が必要です。 【個人に必要な書類】 ・許可申請書 ・事業計画書 ・事業所、事業に使う施設などの図面、説明書類など ・車両の写真、車検証、使用権限証明書 ・一般廃棄物の処理を的確に行うための知識・技術的能力の証明書(講習会を受けて取得する必要がある) ・誓約書(10個ある欠格要件のうち、1?7に該当しないと誓約する書類) ・住民票 ・納税証明書 【法人に必要な書類】 ・許可申請書 ・事業計画書 ・事業所、事業に使う施設などの図面、説明書類など ・車両の写真、車検証、使用権限証明書 ・一般廃棄物の処理を的確に行うための知識・技術的能力の証明書(講習会を受けて取得する必要がある) ・誓約書(10個ある欠格要件のうち、1?7に該当しないと誓約する書類) ・住民票 ・納税証明書 ・役員名簿 ・定款、履歴事項全部証明書 ・過去の年度の貸借対照表、損益計算書

遺品供養

遺品供養

遺品供養とは、亡くなられた方の愛用されていた品々を供養することです。

亡くなった人を見送る際に棺に故人の大切にしていた品を入れますが、棺のスペースも限られているため愛用品をすべて入れることはできません。

形見分けもしきれなかった故人の愛用品をゴミとして処分するのは忍びない、残された品をそのままにしておくのは心苦しいという場合、供養してから処分する方法が遺品供養です。

日本では古代から物や自然に魂が宿ると考えられ、昔から浄化によって天へ返す、故人と一緒に送るという意味合いで感謝を込めて供養してきました。

●遺品供養の方法

・読経による供養

寺院へ依頼し、寺院や僧侶に家に来ていただいて読経にて遺品供養を行う方法です。

・お焚き上げによる供養

思いのこもったものや愛用品には魂が宿るとされています。お焚き上げは、それらを感謝の気持ちを表すお札とともに燃やし火の力で浄化することにより、天界へ還すという意味があります。

・その他

遺品をお寺や神社に収めたり僧侶や神官にお経や祝詞を唱えていただいた後に処分したりする方法があります。

故人の遺品を専門に収める施設、寺社仏閣によっては人形供養など特定の品だけを供養する寺や神社もあり、郵送で供養の品を受け付けてくれるところもあります。

位牌の引き取り手がいないという場合は、永代供養料を支払い寺に収めることもできます。

都市部では寺院の中にコインロッカー式の墓地を作り、遺灰、位牌、骨壺などをすべて収めて供養できるサービスもあります。

●お焚き上げ

・お焚き上げとは

お焚き上げとは、不用になったものを感謝の気持ちを込めて天に返すための儀式です。

日本では、昔から「万物に霊魂が宿る」という考え方から針供養や人形供養などが行われ、道具が古くなると神様になるという俗説もあります。

人形やお守り、故人の愛用品などの品々を神社仏閣で炎で浄化し、天上へ返すのがお焚き上げです。

・お焚き上げは宗教由来

お焚き上げはもともと密教の護摩業が由来とされています。

密教では火は神聖なものであり煩悩や悪いものが炎の力で清められると考えられていました。それを物品の供養に応用したのがお焚き上げの始まりです。

お焚き上げの歴史は古く、江戸時代には供養のために着物をお寺で焼いたという記述が残っています。

現在のお焚き上げは仏教特有の行為というわけではありません。人形供養などは神社でも行われ、氏子や信徒でなくても参加することができます。

・お焚き上げを依頼することができるもの

お焚き上げは、明確に「できるもの、できないもの」を区別してはいませんが、お焚き上げをする場所によって引き受けられるものを明確にしているところが多いです。

人形供養を引き受けているところでは依頼できるのは人形だけになり、場所によってはぬいぐるみもダメというところもあります。

寺社仏閣から授けられたお札やお守りなどはお焚き上げを依頼しなくても寺社仏閣に集積場が設けられているところが多く、お参りに行った際に初穂料やお布施を包み置いてくれば大丈夫でしょう。

いくら故人が愛用していたからといって、電化製品やCDなど燃えないものはお焚き上げすることができません。僧侶にお経をあげてもらったり神官に祝詞をあげてもらったりしてから処分します。

仏壇や神棚などの宗教の道具もお焚き上げを希望する方が多いですが、大きさによっては難しいものもあります

・お焚き上げを行ってくれる場所

お焚き上げを行ってくれる場所は大きく分けて2つ、神社仏閣などの宗教施設、遺品整理業者やお焚き上げを専門に行う業者です。

神社仏閣の場合は檀家や氏子しか受け付けてくれないところと、全国から供養を受け付けてくれるところがあります。ホームページを開設している寺社仏閣も多いです。

人形供養や遺品供養で有名な寺社仏閣の場合は宅配便で供養の品を受け付けてくれるところもあり、供養できるものとできないものがはっきりとしており料金も明確です。

供養で有名な寺社仏閣でも供養をする時期が限られているところもあり、受付期間が設定されていますのでそこに合わせて依頼しましょう。

氏子になっている神社や菩提寺がある場合はお焚き上げを個人的に相談すると、設備が整っていれば引き受けてくれるところもあります。

・お焚き上げを依頼する際の注意点

お焚き上げを依頼する場合は、日程に余裕を持って申し込みましょう。いきなり遺品を持ちこんで、供養を依頼してはいけません。

不燃ゴミや粗大ゴミに該当するもの、電化製品、ガラス製品、瀬戸物、有価証券、通帳、お金などはお焚き上げをしていただくことはできません、

さらに、お寺に神棚を持ちこんだり、神社に位牌や遺影のお焚き上げを依頼したりするのはやめましょう。

日本の宗教施設は他の宗教に寛大ですがそれでも明らかに宗派の異なるものを持ちこむのはマナー違反、教会は基本的にお焚き上げを行っていません。

仏壇をお焚き上げする前には御霊抜きという作法が必要で、この作法により仏壇が先祖を祀る祭壇からものになります。菩提寺や近所の寺に依頼しましょう。

・遺品供養するもの

遺品供養するものは一般的に時計や靴などの愛用品、神棚・数珠・お守り・お札などの宗教的なもの、人形やぬいぐるみ、大切な手紙や写真などです。

最近ではパソコンや携帯電話なども供養に出されることが増えているそうです。

●遺品供養の依頼先

基本的には寺院や神社などで行います。まずは菩提寺や氏子となっている神社や故人の墓がある宗教法人などに相談しましょう。

寺院に預かり供養するところや、僧侶が直接お宅へ訪問してその場で供養してくれることもあります。

お焚き上げ供養は寺院の境内などで行っていましたが、近年では周囲の環境問題の影響から回収したあと他の場所へ運ばれることもあります。

遺品整理業者も遺品供養の手配を行うところもあり、遺品をいったん倉庫で預かり合同で読経やお焚き上げを行う会社もあります。

遺品供養の相場は明確に決まっていませんが数千円~数万円程度、供養する品物によっても変わります。遺品整理業者は明確に項目ごとの金額を提示しているので、参考にしてみましょう。

遺品整理

遺品の整理

遺品整理とは、故人の残した家財などを遺品として取り扱って整理を行い、処分してくれるサービス。 遺品処理、遺品処分ともいいます。

概要

遺品整理とは故人が残した品を片付けることです。
日本には、古くから「形見分け」として遺品を遺族で分け合う風習がありました。
しかし、近年は核家族化が進み、親が亡くなったあと実家に住む人がいないケースも増えているため、遺品を整理や処分しなければなりません。

遺品は遺産の内でも動産など物品全般を指しますが、故人が生前に使用していた生活雑貨や衣類、家具、家電製品、デジタル機器など古物としては財産価値の薄い物品も含まれます。

少子高齢化や核家族化を背景に独居老人の孤独死が社会問題化し、家具や生活用品が大量に残された状態で住人が亡くなった場合は残された遺族には遺品の整理と廃棄が負担となるケースも。
その一方、廃棄される遺品の中から市場価値のある物品を見つけ出す目利きを行う古物商もあります。

ただ単に廃棄されるゴミとして遺品を扱うことに抵抗がある遺族も少なくなく、持ち家などでは故人の生活家財一切合財ごと不動産税を支払い続ける人もいます。
地方農村部や地方都市、古い住宅街では、不動産税を支払い続けて親族などで管理されている無人の家も多くあります。

しかし、無人の家は手入れする者が居ないことで傷みが早まる傾向もあり、遺族の生活に一区切り付く法要の後に整理業者に整理や廃棄を依頼するケースも多くなっています。

遺品に埋もれる形で当人が他人には秘密で行っていたタンス貯金やヘソクリなどが人知れず存在している場合もあります。

故人の遺品を遺族で分け合うことを形見分けとされ、急な出来事の場合や借家や賃貸アパートなど賃貸住宅を明け渡さなくてはならないような場合は、葬儀などの法事が終わった後直ちに遺品整理や処分に取り掛かることが多くなっています。

日記、手紙、手帳(住所録やメモなど)、預金通帳などは1年から2年程度は必要になることもありますので保管します。

その他のタンスなどの家具や未使用の衣類などの家財道具は福祉施設に、書籍などは地域の図書館や学校などに寄贈されることもあります。

また、中には引き取り手のつかない、あるいは財産としての処分を行うこともできない物品もあります。

分類例

貴重品…金品や通帳印鑑、年金手帳、生命保険等に関する書類、権利書、運転免許証などの直接的な財産
思い出の品…写真や手紙、手帳や愛用品、趣味の道具やコレクションなど
衣類…スーツや着物などの衣服、布団など
家具や家電製品…冷蔵庫やテレビなどの生活家電、タンスや食器棚などの家具類
デジタル機器類…パソコン、スマートフォンなど
食料品…冷蔵庫内の生鮮食品や保存食、調味料など
食器類…茶碗や皿などの食器、フライパンや包丁などの調理道具など
人形類…人形、ぬいぐるみなど
仏具類…仏壇、仏像、位牌など

整理方法

貴重品や思い出の品などは直接遺族に引き渡されますが、思い出の品でも中には遺族の気分を害するようなものが含まれる場合は遺品整理業者が遺族側の心情を考慮して処分することもあります。

思い出の品はゴミとして処分を行うか、デジタル化して遺しておきます。

衣類はゴミとして処分を行うかリサイクルショップに売却、未使用品は寄付することもあります。

家電製品や家具は粗大ごみとして処分します。また中古品として売却された後、その売却益が遺族に渡される場合もあります。家電製品を処分するかしないかは原則遺族の意向が反映されます。

デジタル機器でパソコンは2003年10月以降に日本国内向けに発売されたパソコンには「PCリサイクルマーク」が付いておりパソコンメーカーに無料で廃棄してもらえます。それ以前のパソコンは故人が希望がされていない限り不用意に開かずにデータ消却ソフトなどを使用して適切に廃棄処分されます。
スマートフォンはショップなどでデータを消去すると再利用することができます。廃棄処分するは万が一のことを考えてデータを消去します。

食料品は原則として処分されます。

食器類はゴミとして処分を行うか骨董的価値があるものは売却、未使用品は寄付することもあります。

仏具類や人形類など魂が込められているものや念が入っているものは、魂を抜いたりお焚き上げを行ったりと供養されます。

遺品の整理を行うタイミング

遺品の整理には決まったタイミングはありません。

葬儀終了後
葬儀が終わった後は相続権のある親族が全員揃っていることも多く、遺品整理には都合の良いタイミングです。
特に親族が遠方にお住いの場合は遺品整理のために再度集まるのは難しいこともあります。

四十九日を迎えた後
四十九日は亡くなられた方の来世での行き先が決まる最も重要な日と考えられており、遺族にとっては、「忌明け」として日常生活へと戻る節目となる日でもあります。
この日に故人の遺品整理を始めることは、気持ちの整理をつけて次のステップに進んでいくという意味で、意味のあることと言えるでしょう。

亡くなった月末や翌月末
故人が賃貸住宅に住んでいた場合、ご本人が亡くなられても家賃を支払わなくてはいけません。特に公営住宅では亡くなってから14日後までに部屋を引き払わないと延滞金等が発生するところもありますので、注意が必要です。

故人への想いが癒えてから
故人への想いが癒えていない時に遺品を整理するのは辛いものです。特に故人と親しかった遺族は、故人への想いが完全に癒えてから遺品整理を行なわれる方も多いです。

遺品整理士

遺品整理士

遺品整理士とは、供養を中心に遺品整理はもちろん、さまざまな分野の幅広い知識を身につけた遺品供養の専門家です。

●遺品供養士と遺品整理士の違い

遺品供養士も遺品整理士も遺品供養と遺品整理に関する基礎は持っています。遺品整理のプロフェッショナルであるか、それとも遺品供養のプロフェッショナルであるかという違いです。

・遺品供養士

遺品供養士は供養の内面について学び資格を獲得できた専門家です。

故人の遺品には思い出がたくさん詰まっているものも多く、正しい方法で供養しなくてはなりません。

供養の方法は、お焚き上げ、神社やお寺に収める方法、僧侶や神宮で経や祝詞を唱えてもらう方法、お参りがあります。

・遺品整理士

遺品整理士とは、遺品整理を行う専門家です。

遺品整理では遺品を廃棄するものやリサイクルするもの、供養するものに分類して法律に沿った適切な方法で処理を行う必要があります。

遺品整理士は遺品整理のプロフェッショナルで、これらの処理ができるのは言うまでもなく、さらに遺族の気持ちに寄り添った十分な配慮を持って業務を遂行することができます。

遺品整理士になるためには遺品整理士認定協会が催している講座を完了したうえで、認定検定に合格することが必要です。

●遺品供養士の資格を得るには

遺品供養士になるためには、一般社団法人遺品供養カルチャー協会の講習と遺品供養士検定を受ける必要があります。

遺品供養士検定では、供養、遺品整理、生前整理、グリーフケア、環境、福祉などの各分野に関する知識を身につけます。

この検定を持っていると供養に対する知識が深まり、自信を持って供養することができます。

特に、供養品の処理方法についての知識が役立ちます。

遺品整理士の資格は1種類ですが、遺品供養士の資格は全部で3種類、遺品供養士1級、遺品供養士2級、遺品供養士コンシェルジュがあります。

●遺品整理士、3種類の資格

遺品供養士2級…厳選された供養に関しての基礎知識を身につけることができます

遺品供養士1級…供養の起源に関する知識、遺品整理の知識を身につけ、さらに実践練習を行います

遺品供養士コンシェルジュ…遺品供養士を育てる講師になるための資格で、遺品供養士1級検定に合格した方しか受けることができません

●遺品供養士検定で得られる知識

・供養
・遺品整理
・生前整理
・環境
・福祉
・グリーフケア

●グリーフケア

グリーフケアとは、グリーフと呼ばれる状態に陥っている人に寄り添ったり援助したりすることです。

グリーフは、死別を経験した際に喪失感と立ち直らないといけない気持ちが沸き上がり、それによって情緒不安定な状態に陥ることです。この不愉快な反応や違和感は精神的にだけでなく、身体上にも起こります。

グリーフの状態に陥っているときは、自分の存在、死や死者について考えたり、実存に対する問いかけを行ったりもしています。

遺留分

遺留分

遺留分とは、被相続人の兄弟姉妹以外の相続人に対して留保された相続財産の割合のことです。

被相続人の兄弟姉妹以外の相続人には相続開始とともに相続財産の一定割合を取得しうるという権利(遺留分権)が認められます。

子の代襲相続人にも遺留分権は認められ、遺留分権を有するこれらの者を遺留分権利者といいます。

●概要

相続が起こった場合、基本的には法定相続人がそれぞれの法定相続分に従って遺産を相続します。

しかし、遺言によって法定相続分とは異なる割合で相続分が指定されていることがあり、遺言がある場合には法定相続人以外の人にも遺産を残すことが可能です。

遺言で家族以外の第三者に全部の遺産を相続させることも可能ですが、民法では遺留分という制度が認められており法定相続人は相続することができます。

遺留分とは、法定相続人に最低限認められる相続分のことです。

ただし、すべての法定相続人に遺留分が認められるわけではなく、遺留分が認められる場合の相続割合はそれぞれの法定相続人の立場によって異なります。

●遺留分が認められる場合

法定相続人に最低限の相続分として認められる遺留分ですが、すべての法定相続人に認められるわけではありません。

遺留分が認められるのは兄弟姉妹以外の法定相続人で、配偶者と子ども、親が遺留分権利者になります。

そして、配偶者と子ども(孫などの可能性もある)、親(祖父母などの場合もある)の立場によっても、遺留分で請求することができる権利の内容(遺留分の割合)が異なります。

親などの直系尊属のみが相続人の場合には法定相続人の場合には3分の1ですが、その他の場合には法定相続分の2分の1が遺留分の割合です。

親だけが相続人の場合には遺留分の割合は法定相続分の3分の1ですが、親と配偶者が相続人になっている場合には、親の遺留分も2分の1になります。

●遺留分の割合

①配偶者と子どもが相続人の場合

配偶者と子どもが相続人の場合には、もともとの法定相続分は配偶者が2分の1、子どもが2分の1です。

子どもが2人いる場合にはそれぞれの子ども達が4分の1ずつになり、遺留分の割合はそれぞれの法定相続分の2分の1になります。

・配偶者の遺留分の割合は2分の1×2分の1=4分の1
・子ども達それぞれの遺留分の割合は4分の1×2分の1=8分の1

②配偶者と親が相続人の場合

配偶者と親が相続人の場合には、もともとの法定相続分は配偶者が3分の2、親が3分の1で、遺留分の割合は、それぞれの法定相続分の2分の1になります。

・配偶者の遺留分の割合は3分の2×2分の1=3分の1
・母親の遺留分の割合は、3分の1×2分の1=6分の1

③親だけが相続人の場合

親だけが相続人になっている場合には親の法定相続分は遺産のすべてということになりますが、遺留分の割合については「直系尊属のみが相続人の場合」ということになるので、3分の1になります。

・父母それぞれが3分の1×2分の1=6分の1

●遺留分の請求方法

遺留分が認められる場合でも、遺留分によって遺産相続するためには遺留分の請求をしなければいけません。

遺留分の請求を遺留分減殺請求と言い、遺留分減殺請求とは遺留分を請求しますという意思表示です。

遺留分減殺請求をする場合には、通常は内容証明郵便を使って遺留分を侵害している相続人や受遺者に対して請求通知を送ります。

内容証明郵便とは郵便局と差し出し人の手元に相手方に送ったものと同じ内容の控えが残る郵便で、日付も入るためはっきりとその日に遺留分減殺請求をした証拠を残すことができます。

配達証明を利用すると、いつ相手に届いたかもはっきり証明することができます。

遺留分減殺請求には時効があるため、時効期間内にきちんと請求をした証拠を残すことは重要です。

遺留分減殺請求通知をする場合には、内容証明郵便を利用しましょう。

内容証明郵便はどこの郵便局でも取り扱いがあるわけではありませんので、注意が必要です。

●遺留分減殺請求には時効がある

遺留分減殺請求には期限があるため注意が必要です。相続があったことを知ってから1年以内に減殺請求をしなければなりません。

被相続人が死亡したことを知らなかった場合などには、死亡の事実を知ってから起算されることもあります。

しかし、相続があったことを知らなかった場合でも、相続があってから10年が経過すると当然に遺留分減殺請求権はなくなってしまいます。(除斥期間)

時効前に請求通知を送って話し合いをすすめ話し合いが成立しなければ、裁判所を利用した手続きをする必要があります。

●遺留分調停

遺留分減殺請求をする場合に遺留分を侵害している相続人や受遺者と話し合いをしてもうまくすすまないことや、相手が遺留分の分与に応じないこともあります。

このような場合には、裁判手続きを利用して遺留分請求をする必要があります。

・遺留分減殺調停

遺留分減殺調停とは家庭裁判所で調停委員や調停官(裁判官)に間に入ってもらい、相手方と遺留分の分与について話し合いをする手続きです。

第三者が間に入ってもらえるため、お互いが感情的になることなく話し合いをすすめることができます。

法律的な知識をもった調停官が間に入ってもたえるため、相手に法律的な知識がなく遺留分について理解してもらえない場合でも相手方を説得してくれることもあります。

そのため、裁判手続きを利用して遺留分請求をする場合には、まずは遺留分減殺調停をしましょう。

・遺留分減殺訴訟(裁判)があります。

どうしても調停で解決できない場合には、遺留分減殺訴訟(裁判)をする必要があります。

訴訟では、裁判官が遺留分の割合と遺留分減殺の方法を判決で決定されます。

永代供養

永代供養

永代供養とは、寺や霊園を運営する宗教法人が故人の親族に代わって墓や位牌を管理することです。寺側が読経や法要を担い、親族は出向く必要はありません。 近年では、供養に対する意識の希薄化や墓の管理継承者がいないなどから、墓を持たない供養方法として注目されています。 しかし、永代供養は依頼先によって供養期間や管理方法が異なり、永代に渡り供養してもらえないことや、遺骨の管理のみで供養をしてもらえないことがあるため注意が必要です。

●永代供養のメリット

・寺院や霊園に供養や管理を任せることができる 供養と管理は基本的に寺や霊園に行ってもらえるため、自身で管理をする必要はありません。ただし、管理先によっては供養の回数や頻度が決まっているため、故人の命日など希望する供養の時期がある場合は事前に確認しましょう。 ・新しく墓を建てるより費用を抑えることができる 合同墓の場合は墓石代がかからず墓地の使用料なども安くなるため、一般的な個人墓よりも安く利用することができます。 ・宗派宗旨を問われない 永代供養墓の場合、宗派宗旨を問われず誰でも利用することができます。ただし、寺によっては檀家になることを条件としている場合もあるため確認が必要です。 ・交通の便が良い お参りに通いやすい点もメリットとしてあげられます。 交通の便が良いところに立てられていることが多く、多少駅から遠くても駐車場が完備されていることが多くなっています。

●永代供養のデメリット

・合同墓では遺骨を取り出すことができない 永代供養で預けた遺骨は、多くの場合に合同墓や合祀墓と呼ばれる共同で使う墓で管理されます。この場合は他の人と一緒に骨を埋めることになるため、遺骨を取り出すことができなくなります。 ・弔い上げまでの供養となることが多い 多くの場合、33回忌などのタイミングで合祀されます。

●永代供養を選ぶポイント

永代供養の永代とは未来永劫という意味ではなく、寺や霊園ごとに供養の期間が決められています。 33年程度が一般的とされていますが、依頼先に相談することで希望の年数で供養してもらえることもあります。管理方法は寺院や霊園によって異なるため、検討する際に確認しましょう。 ・供養方法 永代供養墓には骨を個別に供養する分骨型、お骨を他の方と一緒に供養する合祀があります。合祀の場合は費用負担が小さいというメリットがありますが、一度骨を納めてしまうと取り出すことができないため注意点が必要です。 ・埋葬する人数 合祀専用の永代供養墓の場合は価格は1名あたりの金額となるため、埋葬する人数分だけ使用料金がかかります。 夫婦や子どもなど複数人での利用を考える場合、普通の墓を建てたほうが安くつくこともあるため注意が必要です。 永代供養がセットになった墓の場合は短期間の使用を前提としているため、一般的な墓よりも納骨スペースが小さく注意が必要です。 ・供養の頻度や宗派 霊園や寺院が執り行う永代供養の方法は様々で、毎日住職が読経をしてくれるところ、彼岸や盆だけ大々的に合同供養を行うところなど頻度や規模は異なります。 自身の宗派に則った供養を希望する場合は、永代供養墓を管理している寺院の宗派を確認しましょう。 ・維持費の有無 墓の継承を前提とした一般的な墓では継続的な維持費用として年間管理料がかかりますが、永代供養墓や永代供養付きの墓は墓購入時に全て支払いを済ませるためその後の支払いはありません。 管理料が一切不要の場合や一括前払いのかたちで購入時の費用に含まれている場合など、プランによって様々です。 墓所によっては墓の利用者が生前の間のみ年間管理料がかかる場合などもあるため、費用の内訳をしっかりと確認しましょう。 ・合祀するまでの期間 永代供養墓の多くが分骨型での供養は33年や50年などの一定期間を区切りとして、その後は合祀(他の方の骨と一緒になる)で供養する形式を取っています。 ・寺や運営者の供養に対する考え方 永代供養は、将来に渡って末永く供養をしてもらうことになります。供養を任せるお寺や運営者がどのような考え方を持って供養に取り組まれているかを確認することも大切です。

●永代供養にかかる費用

永代供養には分骨型と合祀型の2種類があり、費用の相場は大きくかわります。費用は、永代供養墓の使用料や、お墓や施設の管理費用、定期的に行われる法要へのお布施などがあります。 ・合祀専用の墓 合祀専用の墓とは、永代供養墓や合祀墓、合葬墓などで、 多くの人々と共同でひとつのお墓を利用します。 埋葬を済ませた後のことはすべて霊園や寺院に任せられるため、墓の管理や継承の心配はありません。 価格の目安:10万円~30万円程度 ※永代供養墓の立地やつくりによって価格は異なります ※価格の目安は、1霊あたりの金額です ※年間管理料などの維持費はかかりません ・永代供養がセットプランになっている墓 単身者や夫婦だけの一代限りの墓、夫婦と子どもの2世代用として利用できる永代供養がセットプランになったお墓です。 墓に使用期限が設けられており、決められた期間内は一般的な墓と同じように我が家の墓として利用できるため、手厚くしっかりと供養をすることができます。 契約した使用期限が過ぎた後は合祀され、霊園や寺で供養を引き継ぐまでがセットになっているため墓に入った後に無縁仏になる心配がありません。 墓石型の一般的な墓や納骨堂など、様々なスタイルの墓において、この永代供養付きプランが増えています。 価格の目安:30万円~200万円程度 ※使用期間中に個別利用するお墓のつくりによって価格帯は様々です ※骨壺が入る程度の狭いスペースの納骨堂は数十万円程度で利用できます ※スペースが広く一般的な墓と遜色のない立派な墓石タイプの墓地は、70~200万円程度が相場です

●永代供養にかかる費用を左右する要因

・墓の仕様(墓石・納骨堂など) ・個別埋葬される期間(17回忌まで、33回忌までなど) ・個別埋葬時の占有スペースの広さ ・墓石の大きさ・デザイン ・立地・地価

●永代供養墓に変更するには

個人墓から永代供養墓に変更したいという場合には、手続きが必要です。 ①役場で改葬許可申請書をもらい各項目に記入する ②使用する永代供養墓のある寺から使用許可証をもらう ③改葬許可申請書と使用許可証を役場へ持って行き、改葬許可証を発行してもらう ④今までの寺で魂抜き(墓から霊魂を抜き取るための儀式)をしてもらい墓地を整理する ⑤改葬許可証を寺に提出し、永代供養墓へ遺骨を移す

エンディングノート

エンディングノート

エンディングノートとは、高齢者が人生の終末期に迎える死に備えて自身の希望を書き留めておくノートです。

自身が死亡したときや、判断力・意思疎通能力の喪失を伴う病気にかかったときに希望する内容を記します。

書かれる事柄は特に決まっているわけではなく任意ですが、主に病気になったときの延命措置を望むか望まないか、自身に介護が必要になった際に希望すること、財産・貴重品に関する情報、葬儀に対する希望、相続に対する考え方、プロフィール・自分史、家系図などがあります。

法的効力がある遺言とは異なり、存命中や死後の家族の負担を減らすことを目的としています。

エンディングノートは死のためのノートではなく、よりよく死を迎えるためのノートです。

死んだあとにどうするかという情報だけではなく、自分らしい終焉を迎えるために何をすべきかを綴ります。

必ず訪れるゴールに向かって自分のポジションを確認していく、いわばライフプランのようなものです。

過去を振り返ることで、未来が見えてきます。

人生を自分らしく生きるために、エンディングノートを始めてみましょう。

エンディングノートの選び方

エンディングノートを選ぶ際には、自分が書き残したいことのバランスが大事になってきます。

それぞれのエンディングノートによって、項目の違いや、分量の違いがあります。

量が多ければいいとも限りません。

あまりにも項目や量が多すぎると、記入することが嫌になってしまう方もいらっしゃいますので自分に合ったものを選ぶのが重要です。

しかしながら、近年の終活ブームもあり、その数は非常に多く、ご自身に合ったものを探すことは非常に困難と言えるでしょう。

エンディングノートの記入内容

・自分自身について

自分の基本情報、本籍、勤務先、保険証、免許証、パスポート、住民票コード、マイナンバーなど。

・資産について

預貯金(銀行名・口座番号)、口座自動引き落とし(公共料金などの各種支払い)、有価証券・その他の金融資産、不動産、その他の資産(絵画・美術品・骨とう品・ブランド品など)、借入金・ローン、クレジットカード・電子マネー、保険、年金など。

・気になること

携帯・パソコン(デジタル終活)、WEBサイトのID・パスワード、宝物・コレクション、ペット、生活(管理組合・町内会・習い事など)など。

・家族・親族について

家族一覧、親族一覧、親族表(家系図)、親族の命日、冠婚葬祭の記録など。

・友人・知人について

友人・知人一覧、サークル・習い事・同窓会などの連絡先など。

・医療について

健康管理(アレルギー・かかりつけ病院・持病・常用薬・過去の病歴)、告知、延命治療、臓器提供や献体など。

・介護について

認知症になった場合、介護をお願いしたい人、介護をお願いしたい場所、介護してくれる人に伝えたいこと、介護費用、財産管理、介護されるときの希望(食べ物・服装・趣味など)など。

・葬儀について

葬儀の実施の規模、葬儀の業者・会場、葬儀の費用、喪主になってほしい人、挨拶をお願いしたい人、戒名(法名)、香典、遺影など。

・お墓や供養のこと

埋葬先の有無、希望の埋葬方法(墓・納骨堂・樹木葬・永代供養・散骨など)、お墓の承継者、お墓や供養にかかる費用など。

・遺言書について

遺言書の有無、保管、最新の遺言書の日付、遺言書の種類(自筆証書、公正証書、秘密証書)、?依頼・相談している専門家の情報など。

・相続について

遺産分割の希望(エンディングノートの場合、法的拘束力はなし)、相続に関する希望など。

・メッセージ

家族や友人に対し、感謝の言葉や思い出話、最後に伝えたいことなど、共に過ごした時間が幸せであったことをメッセージとして残します。

文字だけでなく、写真を添えたり動画として残したり、普段通りのまま語り掛けるように心の思いを伝えてください。

●エンディングノートを記入するときの心構え

入院をしたり体調が悪くなってから、エンディングノートを書くのは大変です。いつまでも健康と思わずに、頭が働きペンを動かせるうちに書きましょう。

・書けるところから記入する

1ページ目から順番に書いていく必要はありません。最初から完璧を目指すと挫折してしまうことがあります。
基本の情報や、もしものときの知り合いの連絡先、口座の番号など、簡単に書けるところから書いていきましょう。

・今の気持ちを書いてみる

後から書き直してもいいので、今の気持ちを書いてみましょう。

健康な時と体の調子が悪くなった時、60代の時と70代の時、気持ちの変化があっても当然です。将来どうなるかということは深く考え過ぎず、現在の気持ちを素直に書きましょう。

経済状況も十年後には変わっていくはず、定期的に記入内容を見直していくくらいの心構えが必要です。

・空欄や抜けているページがあっても気にしない

全てを記入する必要はありません。残される方の立場からすれば、いくつかの項目があるだけでも助かるものです。

どうしても決められないことや、重要度が低いものは無理をして書く必要はありません。

●エンディングノートには法的根拠はない

エンディングノートは遺言書と違い法的根拠はありません。

遺言書(遺書)と違い、エンディングノートには法的根拠はありません。特に相続のことが気になる場合は、遺言書を作成しましょう。

銀行口座や個人情報を記入する場合は、保管場所に注意が必要です。

すぐに見つけられるところに置くのではなく、何かがあったときのために保管場所は信頼できる人物に伝えておきましょうす。

●エンディングノートを残すメリット

・自分に万一のことがあったときも、家族が困らない

ご本人が亡くなって、あれは、どこ?、これはどうしたら?、お葬式はどんなふうにしたらなど、家族が困ることがあります。

エンディングノートを残しておくことで、家族が困る可能性を低くすることができます。

・日常生活の備忘録としても使える

年を取って物忘れを起こすことがあっても、住所録や連絡先などの情報1箇所にまとめたノートがあると日常生活でも便利です。

・家族に対する自分の愛情を伝えることができる

面と向かってはなかなか言えない愛情表現や感謝の言葉などを家族に伝えることができます。

生前ちょっと照れくさくて言えないようなメッセージをエンディングノートに残しておくことで、家族の悲しみを癒しグリーフワーク?に役立つこともあります。

●エンディングノートの選び方

エンディングノートに決まった形式はありません。

市販のノートもありますし、WordやExcelを使ってデジタル管理をすることもできます。

どのような内容を書けばいいかわからない、ノートの作り方が分からないという方は、文房具店や書店などでエンディングノートが販売されています。

書式をインターネットでダウンロードすることもできますので、必要なものだけダウンロードして印刷し、市販のノートに貼り付けて作成する方法もあります。

お焚き上げ

お焚き上げ

お焚き上げとは、不用になった遺品や愛用品などを感謝の気持ちを込めて天に返すための儀式です。

元々、神社やお寺の庭で仏壇や人形、神棚などの粗末にしてはいけないものを感謝の気持ちを込めながら浄火して天に戻す風習のことを指しています。

古くから、日本では想いを込めたものには気持ちが宿ると言われ、浄火して天上へ還す事により炎の力で清められると考えられています。

●お焚き上げをしてくれる場所

神社仏閣や遺品整理業者などお焚上げを行っている業者に頼むのが一般的です。

神社仏閣の場合、昔からそのお寺や神社にお世話になっている檀家や氏子でないと、お焚上げしてくれないところ、全国から誰でもお焚上げができるところもあります。

故人がお世話になっていたお寺や神社でお焚き上げができれば、それが一番の供養になります。

しかし、お世話になっていたお寺や神社が、お焚き上げを行っていなかったり、御札だけ人形だけといった品物による限定があることも多いです。

お焚き上げをする時期が一年に一回であったりと、こちらのタイミングとは合わないケースもあります。

お焚上げを行っている業者は、近所であれば来てくれるところもありますし、ダンボールに入れて郵送できるところもあります。

・神社仏閣などにお願いする

神社仏閣などにお焚き上げをお願いするメリットは、価格や費用を安く抑える事ができることです。

料金は基本的にはお気持ち分のお礼をお納めするだけで対応してもらうことができます。

デメリットは、品物によっては受けてくれないこと、受付してくれる時期が正月明けなどの人手が多い時期に限られたりします。

・専門に扱う業者にお願いする

遺品整理やお焚き上げを専門に扱う業者にお願いするメリットは、神社仏閣などで断られた品物でも受付してもらうことができるかもしれないこと、対応時期が割と年中対応してくれることです。

デメリットは、神社仏閣などと比べて料金が高くなってしまうことが多いことです。

●お焚き上げが必要な品物

思いがこもっているためそのまま捨てることができないもの、魂が宿っているものなどはお焚き上げで供養しましょう。

遺品として残されたもの、承継者がいないもの、仏壇仏具や神棚など手を合わせる対象となっていたもの、人形など大切に扱っていたものなどを処分する際にもお焚き上げを行われています。

・仏壇仏具

仏壇や仏具を処分する際には、お焚き上げが必要とされています。

仏壇や仏具のお焚き上げをする前には、菩提寺などで閉眼供養(魂抜き、お根性抜き、御霊抜き)をしてもらいましょう。

閉眼供養をすることで、仏壇や仏具は手を合わせる対象から普通のものになります。

・お守り

学業成就や縁結び、安産のお守りなどもお焚き上げを行いましょう。

お守りの有効期限は一般的に1年とされています。安産祈願や合格祈願などのお守りの場合、出産や受験が終了したタイミングで返納します。

年末年始には神社や仏閣などで古札納め所が用意され、古くなったお守りなどの回収が行われています。

・人形やぬいぐるみ

子どものころに大切にしていた人形やぬいぐるみ、人形には災厄を持ち主に代わって引き受けてくれると考えられてきました。

そのまま捨ててしまうのは心苦しい方はお焚き上げを行いましょう。

葬儀社などでは人形供養祭を定期的に開催しているところもあり、集まった人形を祭壇に飾って僧侶に読経して供養してもらうことができます。

・だるま

だるまは商売繁盛や選挙の必勝など縁起物、役目を終えただるまは礼を尽くして処分を行いましょう。

・写真

携帯電話やデジカメなどのデータとして残っている写真は簡単に消去することができますが、写真として残っているものは捨てづらいものです。

捨てることのできない写真はお焚き上げ供養を行いましょう。

●お焚き上げの注意点

故人が生前に残しておきたいと希望していたものはお焚き上げや処などはしないようにしましょう。

普段使えないようなものについては、手元供養という形で保管や加工をしたり、遺品整理をするようにしましょう。

・お焚き上げができないもの

お焚き上げは火で燃やして処分を行うため、燃えないもの、ガラスや陶器、家電製品などはお焚き上げをすることはできません。

燃やすと有害物質が出るものや危険物も同様です。

・お焚き上げは粗大ゴミ処理ではない

お焚き上げはゴミ処理ではありません。

故人のタンスや布団などは、他に使用する人がいなければリサイクルショップやオークションを利用するか、粗大ゴミとして処分しましょう。

・お焚き上げに出す品物は家族や親戚とよく相談してから決める

家族が亡くなると気持ちが動転してしまい、遺品の処分を早くしないといけないような気になってしまいます。

慌てて目の前から無くしてしまわないととあせるあまり、後から冷静になって考えると全て処分しなくても良かったと後悔することもあります。

兄弟や家族が何人もいる場合は後々のトラブルにならないためにも、お焚き上げすることを前もって話し合っておきましょう。

お焚き上げの方法や値段などで家族や親戚間でトラブルになることも多く、お焚き上げをする品物や方法、お願いする施設について家族や親戚とよく相談する必要があります。

●お焚き上げの費用・価格相場

・神社仏閣に依頼する

神社仏閣に依頼するとき、お焚き上げして欲しい品物を置いておく場所が開設されています。こちらに品物を置いておく場合は、お気持ち程度のお賽銭でお願いをします。

また、お焚き上げで対応できない品物などは神社仏閣の神棚処分という形がとられ、神社仏閣の祈祷受付所という場所で受付されています。

神棚処分の場合はご祈祷料をお納めするのですが費用相場は、3,000円~10,000円程度です。

神棚の大きさや祈祷に立ち会うかどうかによっても変わり、お気持ち程度のお礼をお納めする形で値段が決まっていないところもあります。

神棚処分は御魂入れという儀式が行われますので、お玉串として3,000円~5,000円を包むことは一般的です。数千円程度のお金はお包みしましょう。

神棚処分に対応しているかどうかは寺社によっても異なりますので、事前に問い合わせるようにしましょう。

・遺品整理専門業者に依頼する

依頼する業者によっても値段・費用は異なります。

●お焚き上げをしてくれる時期

神社仏閣によっても様々ですが、お焚き上げをしてくれる時期は正月三が日が一般的に多く、長い寺社仏閣でも正月明け10日くらいです。

その後は一月中旬(1月15日前後の土日)にかけ、どんど焼きが行われます。神棚処分も含めると、年中対応している寺社仏閣もあります。

●お焚き上げの依頼方法

・神社へ直接持っていく

年末からお正月にかけて、境内に特設された古札納め所に持ち込むとまとめてお焚き上げしてもらうことができます。

それ以外の時期でも納めることができるところもあります。

・郵送する

封筒にお守りを入れ、お守り在中やお焚き上げ希望などと目立つように書き、郵送しましょう。封筒の中にはお守りとお焚き上げ料、御挨拶の手紙を同封しておくとよいでしょう。

お焚き上げ料の金額に決まりはありませんが、お守りと同額を入れることが多いようです。郵便物に現金を入れることは禁止されていますので、現金書留や口座振込を利用して送金をしましょう。

郵送の受付期間は、どの神社やお寺も一年を通して受け付けています。郵送に対応していないところもありますので、まずは電話で確認してみましょう。

か行

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホーム

介護付有料老人ホームとは、食事介助、入浴介助などの介護サービスが受けられる有料老人ホームです。 介護保険法上の様々な基準を満たし、 特定施設入居者生活介護(特定施設に入居している要介護者に対して日常生活などのお世話をすること)の指定を各都道府県から受けています。 基準を満たしている有料老人ホームのみ、介護付有料老人ホームと言えることになっています。 日常生活を送る拠点としての役割を果たしているため、 施設には24時間体制で介護スタッフがおり、緊急時には医療機関との連携により即座に対応することができます。 介護付有料老人ホームには、要介護1以上の方を入居対象に限定した介護専用型、要介護認定を受けていない自立の方から要支援や要介護の方でも入居できる混合型があります。 医療行為が必要な方でも入居できる24時間看護師が常駐している施設もあり、サークル活動やレクリエーションなど入居者が交流できる活動を積極的に行っている施設もあります。

●介護付き有料老人ホームの種類

・介護専用型 介護度が重度の方を迎え入れることが可能になるよう作られた施設です。 入居対象者を要介護度1以上に限定しているため自立している方は入居することはできません。 ・混合型 要介護認定のない方でも入居できる介護付有料老人ホームです。 夫婦で入居する場合、どちらかが要介護状態でどちらかが自立している場合は介護専用型には入居できませんが、混合型であれば同時入居が可能です。

●スタッフ

入居者の数及び提供するサービス内容に応じ、 スタッフを配置することが定められています。 スタッフは入居者の実態に即し、夜間の介護、緊急時に対応できる数を配置することとされています。 ・施設長などの管理者 施設経営の責任者として運営を担います。 高齢者の介護について知識、経験を有することが条件です。 ・生活相談員 入居者や家族から生活上の相談を受けたり、行政的な手続きを行います。 常勤で1人以上の配置が義務付けられています。 ・栄養士(管理栄養士) 入居者の健康を維持する献立を考えたり、食材の選定や管理を行います。 ・調理員 献立表に基づき、食事の調理を行います。 ・介護職員及び看護職員などの介護従事者 入居者の身体介護及び看護を行います。 要介護者3人に対して1人以上の配置が義務付けられています。(要支援者に対しては10人に対して1人以上) ・機能訓練指導員 理学療法士、作業療法士、言語療法士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師の資格を有する者が機能訓練指導員となり、個々の状態に合ったリハビリテーションを行います。 各施設1人以上の配置が義務付けられています。 ・ケアマネジャー(介護支援専門員) 入居者の目標に沿ったケアプラン(介護サービス計画)を立案します。 1人以上の配置が義務付けられています。

●提供しているサービス

・介護 介護が必要な方に対して、食事や入浴、排せつなどの介助や機能訓練などを行います。 介護度の重さや認知症の有無など身体状況に応じて、残存能力を引き出す工夫も加えながら自立支援に向けた介護が提供されます。 ・生活支援 居室の清掃や洗濯などの家事サービス、買い物や行政手続きなどの代行サービス、本人不在中の居室の管理、入院中の洗濯物や必要品の購入やお届けなども行います。 ・健康管理・医療行為・緊急対応 看護師が日中は常駐しており、検温や血圧のチェック、服薬管理などの日常の健康管理、皮膚疾患、軽いケガなどの処置が行われます。 協力医療機関との提携による定期的な健康診断や訪問診療も行われ、内科や歯科については定期的に医師の診断を受けることもできます。 胃ろうなどの経管栄養、尿バルーン・ストーマ(人工肛門)などの管理、在宅酸素の管理などの医療行為も行われます。 夜間の痰の吸引や食事前のインシュリン注射などが必要な方は、看護師の勤務時間によって受け入れ可否が決まります。 夜間の緊急時は、看護師が勤務時間外であればオンコール体制を整えるなどの処置を行い、医療機関に搬送するなどの対応を行います。 ・食事 食事は入居者の健康管理の重要な要素で、栄養バランスが考えられています。 旬の素材を使ったメニューや正月、ひな祭り、クリスマスなどの年中行事によって季節感を出し、楽しんでもらう工夫もしています。 嫌いな食材は好みの食材に変更するなど個別の嗜好にもできる限り対応し、嚥下力に合わせた刻み、トロミなどの形態や、塩分やカロリー制限などの医療食にも対応しています。 マグロの解体ショーを見せてお寿司にしたり、お祭りの屋台を再現したりなど、イベントと絡めて日常と違う食事を楽しむ企画もされます。 ・リハビリテーション 現在の身体機能や認知機能を低下させないよう、リハビリが行われます。 理学療法士や作業療法士などのリハビリ専門職が、器具を使った歩行訓練や筋力強化、嚥下機能維持や改善の口腔体操などのメニューを実施して、日常生活における自立を促します。 脳トレや音楽療法、園芸療法なども取り入れ、認知機能の低下を防止します。 ・レクリエーション、イベント スタッフが企画したゲームや運動、カラオケ、手芸、専門講師を招いた本格的な教室などが行われています。 これらは、身体機能や認知機能低下を目的としている内容もあります。 お花見や夏祭り、紅葉狩りに餅つきなど季節を感じるイベントも行われ、ミニ旅行やお買い物ツアーなどが企画されることもあります。

●介護付き有料老人ホームのメリット

介護付き有料老人ホームはホーム内にケアマネージャーがおり、施設側で介護プランを立てて介護サービスを定額で提供してくれるなど、他の老人ホームや介護施設に比べて様々なメリットがあります。 ・身体の状態や価値観に合わせて自由に選ぶことができる 民間の事業者が中心になって運営しているため、入居者を増やすための工夫はさ様々です。 元気な方が中心に入居しているホームの場合は、たくさんのレクリエーションやイベントを開催したり、カラオケのような娯楽設備を備えているところもあります。 インテリアや居室の品質、食事のメニュー、生活サポートのサービスなども多種多様です。 どのような生活を送りたいのか、身体の状態はどのようなものかなど、高齢者ひとりひとりの嗜好や状況に合わせて選ぶことができます。 最近では医療ケアやリハビリに強いホームも増えてきています。 ・介護職員や看護職員が常駐する安心感 ホーム内に介護職員と看護職員が常勤しており、夜間の要望などにも応えてくれます。 自立生活が可能な状態で入居した方が介護を必要とするようになったときも、引っ越すことなく介護サービスを受けることができます。 医療依存度が高い方に関しては、お部屋での看取りにも対応している場合が多いようです。

●介護付き有料老人ホームのデメリット ・入居一時金、月額費用が公共型の施設に比べて割高 一生涯住み続けるための利用権を得るために、前家賃として入居一時金を支払わなければならないホームが多く、その金額が数百万円から数千万円ととても高額になってしまうのです。 しかし、最近では入居一時金を無料にしている施設も多くなっています。 公的な施設より月々の費用も割高になっています。 ・選択肢が多い分、老人ホーム探しに時間がかかる 設備やサービスが様々で選択肢が多い分、どのホームが自分に合っているかを選ぶのに時間がかかってしまうこともあります。 ・不自由さを感じることもある 自立した人と介護を必要とする人が同じ空間で生活するようなホームの場合、元気な人は生活に不自由さを感じてしまうこともあるようです。

●控除の対象 介護付き有料老人ホームに入居した場合には、控除の対象となる場合があります。 ・扶養控除 扶養控除は、対象家族が有料老人ホームに入居しても対象となります。 しかし、扶養配偶者や親族の年齢、同居の有無などにより控除額は変わります。 扶養している70歳以上の親などが有料老人ホームに入居している場合は、同居老親等以外に該当します。 ・障害者控除 配偶者・扶養親族が、精神障害者保健福祉手帳を交付された人、身体障害者手帳が交付され、身体上の障害がある人と手帳に記載されている人など所得税法上の障害者に当てはまる場合に、配偶者・扶養控除の他に障害者控除が受けられます。 特に重度であると認定された方は特別障害者となります。 ・医療費控除 特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護療養型医療施設での施設サービスの対価(介護費、食費、居住費など)については医療費控除対象となりますが、有料老人ホームの費用については対象となりません。 おむつ代が医療費控除の判定基準を超えていたり、ホーム内で訪問医などによる治療費が発生した場合は医療費控除として申告が可能です。

核家族

核家族

核家族とは社会における家族の形態の一つで、拡大家族、大家族、複合家族と対になる表現となっています。
核家族は親族世帯の一形態であり、一人暮らし世帯である単身世帯(単独世帯)とは区別されます。

概要

核家族とは米国の人類学者であるジョージ・マードックが人類に普遍的ですべての家族の基礎的な単位という意味で用い始めた”nuclear family”という用語の和訳で、夫婦や親子だけで構成される家族のことです。

社会における家族の形態の一つで、「夫婦のみ」「夫婦と未婚の子供」「父親また母親とその未婚の子供」の世帯となっています。
若者の一人暮らしや高齢者の一人暮らしは親族世帯ではなく単身世帯(単独世帯)に分類されます。
かつては結婚した子供世帯と親世帯が同居する大家族の形態が見られましたが、特に大都市では核家族化が進んできました。

日本では第2次世界大戦後、都市部への人口集中の過程で核家族化が進行したとされています。
国勢調査の結果では核家族世帯数は21世紀初めも増加傾向が続きましたが、その割合は1980年の調査の60.3%をピークとして以降は単独世帯の増加に伴い漸減しています。

社会現象としての核家族化が今日の社会問題となっています。
晩婚化や非婚化による未婚単身生活者の増大や高齢者のひとり暮らし、高齢の夫婦のみの世帯の増大、さらに離婚の増大などによる父子家庭や母子家庭の増大、加えて共働き夫婦や無子夫婦の増大など、今日では核家族形態の家族が標準的家族といえないほど多様化してきています。
それだけに、子育てや高齢者介護などかつては家族の責任で行われてきたことが、今日では社会や地域の重要な福祉問題になっています。

増加の理由

核家族とは夫婦と未婚の子供で成り立つ家族のことで、現在はこの核家族がとても増加しておりほとんどがこの形態の家族だといわれています。

一昔前までは家庭に男子がいた場合、長男は家に残って両親と同居、次男は独立するのが一般的でした。
長男は家に残って地元で就職し、そのまま結婚後も同居というケースが多かったため少し前までは「両親と同居する家族」も多かったのです。
しかし、ライフスタイルの近代化とともに、「長男ばかりが家に残り両親と同居することを決められているのはおかしい」などの考えも生まれ、現在では「長男だからといって両親と同居をすることはない」という風潮が主流となりました。
どんな立場であっても、子供は親から独立するものだという考えの方が大きくなっています。

また、二世帯住宅を建てる場合でも玄関からトイレ、台所まで「すべて別設計」になっているところも増え、今や「結婚してから両親と同居をする」ということは、本当に少なくなりました。

核家族化の理由

核家族が増えた理由のひとつに、仕事の変化があります。
昔とは違い、今は転勤を繰り返して仕事をする男性も増え、自然と核家族になることも多くなりました。
住居も核家族向けのファミリータイプのマンションが増加し、同居となると「部屋数を増やさなければならないので、お金がかかる」というデメリットも出てきました。
このことから、現在は「両親と同居」というスタイルは、少なくなっています。

核家族世帯の問題

大家族比べると、メリットとしては柔軟性が高いことが挙げられます。
この柔軟性とは転居や住居のリフォーム・リノベーションなど衣食住の住に関するものが大きな要素とされ、親類間の個人のプライバシーが維持しやすいこともあります。
同居をしないということは、両親子供共に精神的や金銭的に自立ができることもあります。

デメリットとしては、親子三世代による家事や子育てなどの育児や家内労働の分担ができない、子供がおじいちゃんやおばあちゃんと一緒に暮らすという楽しみがない、大家族だからこそのぬくもりがないなどがもあります。
近年は共働きの親が増加していることから、両親が帰ってくるまで小学校低学年の子供が一人で帰りを待たなければならないといこもあります。

核家族化により子どもと接したことのない親や、子育ての仕方がわからない親も多くなっています。
核家族では祖父母の協力が得られないため母親の負担が大きく、母子密着や育児不安に陥りやすくなってしまいます。また、過保護や過干渉になりやすい、しつけがちゃんとできないなどもあります。

家族信託

家族信託

家族信託とは、遺産を持つ方が自分の老後や介護等に必要な資金の管理・給付を行う際、保有する不動産や預貯金などを信頼できる家族に託し、管理や処分を任せる家族のための財産管理です。

●家族信託のメリット

①家族信託で本人の体調・判断能力に左右されない財産の管理処分が実現することができる 【認知症による資産凍結対策】 本人の元気なうちから財産管理を託せるとともに、託した後に本人の判断能力が低下や喪失しても、本人の意思確認手続きが本人に対して行われないため、実質的に資産凍結されることなく、受託者(財産管理者)主導で、財産の管理や処分がスムーズに実行することができます。 家族信託を事前に組むことで、老親が入院や入所したために空き家となった実家を適切な時期に適正な価格で受託者が売却でます。 ②家族信託で成年後見制度の代用としての柔軟な財産管理が実行することができる 【成年後見制度の代用による自由かつ軽負担な財産管理】 家族信託による財産管理は、本人が元気なうちに本人の希望や方針、そのために付与する権限をきちんと信託契約書の中に残しておけるため、その希望や方針に反しない限り受託者(財産管理者)は、本人の希望に即した柔軟な財産管理や積極的な資産の有効活用を実行することができます。 成年後見制度の利用下では実行できない資産の組換え(遊休不動産の開発、老朽化した賃貸物件の建替え、不動産の買換え、借入れによるアパートの建設など)による相続対策(相続税対策)の実行も、本人の健康状態に左右されずに相続発生の直前まで継続することができます。 成年後見制度は、様々な負担や制約があります。 ・家庭裁判所(後見監督人が選任されている場合は後見監督人)への定期的な報告義務の負担が重い ・後見監督人が選任された場合の後見監督人報酬の負担(月額1~2万円程度)がある ・成年後見人が行動できるのは、家族ではなく本人にとってメリットがあることに限られる ③家族信託で遺言の機能・受遺者の財産管理が実現することができる 【遺言代用・受遺者の財産管理】 本人の死亡により遺産をもらった者が既に財産管理の能力が無い場合には、もらった受遺者に成年後見人を就けて財産管理を行ってもらう必要もあります。 しかし、家族信託はもともと遺言の機能として本人死亡後の財産の承継者を家族信託の契約書の中で指定できる上に、本人が亡くなった後も引き続き受託者の下で財産の管理が可能となります。 ④家族信託で自分の思い通りの資産承継の道筋が実現することができる 【争族・遺留分・資産承継対策】 家族信託には遺言の機能がありますが、2次相続以降の資産の承継先まで自分で指定することができます。自分の希望する順番で何段階にも資産承継者(受益者)の指定が可能となります。 1次相続による資産承継者が認知症や障害により遺言などで次の承継者を指定できない場合に、その人に代わって資産承継者を指定できるため、後々の遺産分割協議による争いの余地を排除できます。 ⑤家族信託で不動産の共有回避や共有不動産の塩漬け予防が実現することができる 【不動産の共有回避策・共有不動産のトラブル回避策】 不動産を将来的に兄弟や親戚などで共有せざるを得ない場合、あるいは既に共有になってしまっている場合に、何らかの事情により共有者全員の同意が得られなくなり、ベストなタイミングで不動産が有効活用や処分できなくなるリスクを回避することができます。

●家族信託のデメリット

①損益通算ができなくなる 収益物件を信託財産に入れた場合、この信託不動産の年間収支上の赤字はなかったものとみなされます。 損失は、信託財産以外からの所得と損益通算して課税対象の所得を減らすことができません。その損失の翌年への繰越しもできないため、税務的に不利益が生じないかどうかは十分な検討や検証が必要です。 信託契約を複数に分けた場合もそれぞれの信託契約をまたいだ損益通算もできないため、家族信託の設は精通した専門家や税理士などに相談するといいでしょう。 ②信託の限界 遺留分減殺対象財産の順序指定など、信託では対応できず、遺言でなければできないことがあります。 相続発生時の遺産全てを生前の信託契約で網羅しておくことはできないため、信託財産で管理できない財産について遺産分割協議を排除するには、信託契約とは別に遺言書を作成し、主たる遺産以外のすべての遺産の承継先を指定しておくことが必要です。 成年後見制度との比較における身上監護の問題もあります。 信託の受託者は身上監護権がないため、受託者の身分で本人の入院手続きや施設入所手続きをすることはできません。 身上監護権が必要であれば、成年後見制度を利用して後見人として身上監護権を行使する必要があります。 通常は子や家族の立場というだけで入院や入所手続きをすることができるため、実質的には子や家族である受託者が身上監護面でも対応できるケースは多くなっています。 ③税務申告の手間が増える 資産の一部又は全部を信託財産に入れた場合、そこから年間3万円以上の収入がある場合は信託計算書や信託計算書合計表を税務署に提出する必要があります。 毎年の確定申告の際、信託財産から不動産所得がある方は不動産所得用の明細書の他に信託財産に関する明細書を別に作成して添付する必要があります。 ④実務に精通した専門家が少ない 家族信託は最先端の仕組みであるため、弁護士・司法書士・税理士等の法律専門職、公証役場の公証人であれば誰にでも相談できるということではありません。 最先端の財産管理や資産承継の仕組みである家族信託についてきちんとした見識と実務経験がある方にご相談することが必要です。 ⑤家族信託は目的ではなく手段 家族信託=節税策ということではありません。 節税対策として家族信託を検討する方は、そのための節税計画を持っていなければ家族信託を組むだけでは何ら節税効果を見込むことはできません。 家族信託を組むだけでは直接的な税務メリットが生じないこと、具体的には相続発生時における財産評価の減額効果が無いことなどは十分に理解しましょう。 老親や家族にとって何を実現したいのかという目的を明確にしなければ、そのための家族信託の設計はできません。 相続税対策なのか、成年後見制度に代わる負担の少ない柔軟な財産管理の実現なのか、将来の遺産争いを予防する目的なのか…。 家族信託は、認知症による資産凍結対策、資産凍結回避の先にある相続税対策や空き家対策、あるいは事業承継対策、共有不動産の塩漬け回避策、親なき後問題への備えなど様々なニーズに応えうる手段です。 まずは本人及び家族の想いを皆で共有した上で、その目的を実現する選択肢の一つとして家族信託を検討する必要があります。 ⑥専門家への報酬を必要経費と割り切る 家族信託は最先端の仕組みであり、誰でも相談にのれる訳ではないため、相談料や受任に伴うコンサルティング報酬は、通常の遺言書作成や成年後見などの業務に関する報酬よりも高めになっています。 家族信託に関する報酬が他の業務に比べて高額なのは、多方面の法的知識を要することや家族会議に何度も同席することを想定しているためでもあり、契約を締結したら終わりではなく今後信託契約が継続する限りずっとサポートする前提で関わるためでもあります。 両親の老後の財産管理やこれから先何十年にもわたる財産管理や資産承継の道筋をきちんと作れることを考えれば、信託の実行時にある程度まとまった費用がかかってもそれ以後のコストはほとんどかからないため、長期的な視点に立てば決して高額な支出ではありません。 ⑦長期に亘り当事者を拘束 信託の持つ機能としての資産承継の指定(遺言代用)、後継ぎ遺贈型受益者連続信託として1次相続だけでなく、2次以降の財産承継者まで自分一人で決定できるという画期的な機能があります。 何世代にもまたがり、長期に亘って資産の処分に制限をかけるようなことにもあり、争族や不測の事態を誘発しかねないリスクもあります。 20年~30年先を見据えた家族信託の設計には、通常以上の熟慮と親族関係者への想いの伝達、共有や納得が必要です。

形見分け

形見分け

形見分けとは、故人の遺言や遺族の意志で死者が愛用していた遺品を親戚縁者に分配することです。昔から行われている日本独特の風習で、その遺品を通して個人の思い出を共有するために行われます。

概要

形見分けは故人が生前に愛用していた持ち物を、近親者や親しかった友人などに贈ることをいいます。

形見分けの始まりは、今から2500年ほど前、お釈迦様は遺品を売ってそのお金を等分に分けるように教えられたことからとされています。そして、遺品を受け取るということは亡き人の遺徳を偲び生前の善行や浄行を学んでいくこと、そうしなければ形見を分けてもらう資格はないとも言われたそうです。。
その証拠に、お釈迦様は実の息子ラーフラさんに形あるものを残されず、仏さまの教えだけをお残しになりました。

寛永3年に儒学者小瀬甫庵によって書かれた「甫庵太閤記」全20巻の中で、死期を悟った秀吉が行った形見分けの話も有名です。

お坊様はお師匠様が亡くなると、生前愛用の衣を形見分けとしていただきます。これは衣鉢をつぐという言葉が示す通り単に衣を遺品としてもらったということではなく、お師匠様の教えを継がせていただきましたという覚悟の表れであり、形見分けの意味をよく示しています。

その昔は、丈を直せば誰でも着ることのできる着物が代表的な形見分けの品物とされていました。肌にまとっていたものには魂が宿るという日本人の思想からきているともいわれています。
形見分けは衣類など身代りになるようなものを贈ることが多いためスソワケともいわれ、四十九日や百ヵ日以内に分けられるのが一般的です。着物のなかに死者の霊が宿ると考えられていた時代の名残りで、遺産分割の意味も含んでいます。

民法などの法令で決まっているわけではないので、必ず行わなければいけないものではありません。
しかし、ご高齢の親族や古くからのしきたりを大切にしたい方のために、きちんと形見分けを行うことも親戚付き合いのひとつです。

昔は「親から子へ、先輩から後輩へ贈るもの」とされ、目上の人には贈ってはいけないといわれていました。しかし最近では、親しい間柄であれば誰でも受けとってもいいという風潮となっています。
形見分けされる品物としては、故人の愛用品や愛読書、洋服や着物、アクセサリー、時計などが一般的で、将棋や囲碁、釣り道具、茶道具など故人の趣味の道具も対象になります。
形見分けには特にルールはありませんので、贈る相手の性別や年齢、好みなどに合ったものを贈るとよいでしょう。
受け取った品物を通して故人を忘れることなく思い出を偲ぶことが故人の供養にもつながる…というのが形見分けの目的なのです。

故人を偲ぶために、故人と親しかった方に形見分けはとても大切なことです。 しかし、形見分けはトラブルの原因になることも多く、形見分けでトラブルが起きると故人を偲ぶという本来の目的から外れてしまいます。高価すぎるものは不公平を生みますし、贈与税の対象になることもありますので注意が必要です。贈る相手のことも考えて実行しましょう。

また、故人の遺志で香典や遺品の一部を公共のために寄贈することもあります。蔵書などを学校や図書館に寄贈したり、美術品や骨董品を美術館などに寄贈することはたいへん意義のあることです。このように、香典の一部を社会福祉のために寄付したときは香典返しをしないこともあります。その際は会葬者全員にその旨を礼を尽くしてあいさつし、どこに寄付したのかを明確にします。

形見分けを行う時期

形見分けを行う時期は特に決まっているわけではありません。親族が集まる機会はそう持てるものでもありません。そのため、親族の集まる四十九日に済ませてしまうことが多くなっています。ただし、故人が信心深い方であった場合、その宗派によって決まりがあるため注意が必要です。

・仏教の場合
仏式では35日(三十五忌)か49日(四十九日忌)に行うのが一般的です。四十九日までは「忌中」となり故人を偲ぶ時期とされ、誰かに遺品を渡さないほうがいいともいわれています。

・神式の場合
神霊祭の五十日祭の日又は、三十日祭の日に行うこととされています。仏教でいうところの忌明け法要の日です。神道では法要にあたる儀式のことを神霊祭といいます。

・キリスト教の場合
キリスト教では形見分けというしきたりはありません。しかし、日本においては形見分けが行われることも多く、その場合は1ヶ月命日である追悼ミサにて行われます。

形見分けを贈る人

形見分けを行う相手は、基本的には親戚とごく親しい知人になります。

形見分けは、昔は目上の方に対しては失礼にあたると言われてきましたが、今では社会的地位や年齢に左右されなくなり、故人と親しかった方なら誰でも受け取れるような風潮になりつつあります。

しかし、そうはいっても相手方がどう思っているかはわかりません。目上の方には相手からの申し出があったときのみにとどめ、こちらから贈ることは控えることが無難です。

遺品を贈る人たちを決めたら、自宅に招いてお渡しします。場合によっては先方へ持参するようなこともあるようです。遺族から形見を受けて欲しいと言われたら、自分から受け取りに行くのが礼儀とされています。日時を相談した後で受け取りに行きましょう。

形見分けの品の選び方

大切なのは形見分け品の選び方です。

遺族で形見分けを行う場合は、親族同士でわかっている間柄なのでそう難しくはないと思います。
故人の友人の場合は相手がどのようなものが喜ばれるのか分からない場合が多く、そのような時には先方の年齢や性別などを考慮して慎重に選びましょう。

形見分けをする遺品には特に決まりがあるわけではありません。よくある品では、着物、衣類、貴金属、アクセサリー、時計などがあります。

贈るものとしては傷んでいるものや汚れているものはやめ、スーツやコートなどの衣類の場合はクリーニングに出し、アクセサリーや時計などはきれいに掃除してから贈りましょう。
着物を形見分けしたくても着る人がいない場合は、リメイクして巾着やお財布、ポーチなどの小物にして配ることもあります。

将棋や囲碁、釣り道具、ゴルフセットなどの趣味の道具は、同じ趣味を持っている人に贈らないと迷惑になってしまうこともありますので注意が必要です。
故人が作った陶芸品や絵画なども趣味の合わない人には重荷になってしまいますので、勝手に先方に押し付けず了解を得てから贈るようにするのが礼儀です。

形見分けをする際の注意点

故人の人間関係のすべてを知ることはできません。故人の友人だと言ってきて高価なものを持ち去るという詐欺まがいなケースもありますので、断り方をあらかじめ決めておきましょう。
「申し訳ありません、形見分けは親族のみとしております。」という言い方もあります。

・相続放棄の場合
相続放棄の場合には特に注意が必要です。
形見分けは相続にあたります。ある程度のものは形見分けも許されますが、価値がある物などは相続財産の隠匿とされ、相続放棄が認められなくなる可能性があります。相続放棄後の形見分けは専門家に相談しながら行う方がよいでしょう。

・遺産分割は済ませておく
遺品整理のときに価値のありそうなものとあまり価値のなさそうなものに分類し、あらかじめ鑑定をした後に遺産分割協議を行いましょう。
親族が形見分けで宝石や貴金属などの価値のあるものを取得するときには、きちんと鑑定して換価した場合の金額も合わせて遺産分割協議書に記載します。

・贈与税がかかる場合も
宝石や貴金属などの遺品を形見分けで貰うときには遺産分割協議書に記載します。高価なものを手に入れる場合、贈与税がかかる場合もありますので注意が必要です。
特に親族以外の方に形見分けするときは、あまり価値の高いものは贈らないようにしましょう。

家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)

家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)

家電リサイクル法とは正式名称を特定家庭用機器再商品化法といい、一般家庭や事業所から出される特定の家電ゴミにリサイクル料金を払うことを義務づけた法律です。 一般家庭や事務所から排出された家電製品(エアコン、テレビ(ブラウン管、液晶・プラズマ)、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)から、有用な部分や材料をリサイクルして廃棄物を減量させ、資源の有効利用を推進するために定められました。

●家電リサイクル法の目的

家電リサイクル法の本法の目的は、特定家庭用機器の小売業者や製造業者等による特定家庭用機器廃棄物の収集や運搬、再商品化等に関し適正・円滑な実施のための措置を講ずることにより、廃棄物の減量や再生資源の十分な利用等を通じて廃棄物の適正な処理や資源の有効な利用の確保を図り、生活環境の保全や国民経済の健全な発展に寄与することです。

●リサイクルの仕組み

対象製品を廃棄をする人は、リサイクル料金等の費用を負担して、購入した販売店(中古品の小売業者を含む)あるいは、買替えの際の販売店に、引き取ってもらいます。 その後、販売店は各都道府県にある集積場所(指定引取場所)に運び、そこから各社のリサイクル工場に運搬されます。 郵便局でリサイクル券を購入し貼り付けて、直接指定引取場所に持ち込む方法もあります。 製品を購入した販売店が閉店した、遠隔地に引っ越したために購入先が遠い、他人から貰ったなどの場合は直接指定引取場所に持ち込む方法、地域によっては自治体や家電量販店、電器店が窓口となって引き取るところもあります。 リサイクル工場ではケーブルひとつまで細かく分別され、再利用が可能なものは必要な加工を行い家電の製造工場に運搬されて材料として使用され、再利用が不可能なものだけが初めて廃棄されます。 大地震などに被災して使用不能になったテレビや冷蔵庫、洗濯機、エアコンについては、特別措置として無料で自治体が収集を行っています。

●家電リサイクル法の問題点

パソコンや自動車では新品の販売価格にリサイクル料金が上乗せされて販売されていますが、家電リサイクル法の対象となるテレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコンは廃棄する際にリサイクル券を購入する後払い方式となるため不法投棄を誘発している結果となっています。 特に小型テレビや冷蔵庫のリサイクル料が割高ではないかとの指摘もあり、業界団体の電子情報技術産業協会(JEITA)が小型テレビや冷蔵庫のリサイクル料金を引き下げました。 軽トラックなどで廃家電の無料回収を行う業者が存在し、回収された品物は輸出して修理された後再び販売されたり、分解し金属買取業者に販売されたりしますが、自治体の収集運搬の免許がない業者の場合、廃棄物処理法に違反します。 悪質な業者はリサイクル料を徴収した上で夜中に人目の付かない所へ不法投棄をしたり、上記の業者へ渡したりすることもあります。

●家電リサイクル法の対象商品

対象となる廃棄物は、家電4品目と呼ばれるものです。 製造メーカーによって処分に必要となるリサイクル料金が異なるので、製造メーカー名を確認しましょう。 ・エアコン ・テレビ(ブラウン管、液晶・プラズマ) ・冷蔵庫・冷凍庫 ・洗濯機・衣類乾燥機

●家電リサイクル法の回収方法

・同品目の新しい製品に買い替える場合 新しい製品を購入する店に引取りを依頼します。店により引取り方法が異なるため店に問合せください。 ・買替えではなく処分のみの場合 処分する製品を購入した店に引取りを依頼します。店により引取り方法が異なるため店に問合せください。 ・購入した店がどこか分からない場合 住んでいる市区町村の案内する方法によって処分します。市区町村により方法が異なりますので、市区町村のホームページ等で確認しましょう。

●家電リサイクル法で正しい処分を行わなければならない理由

・無許可の業者がある 無料回収を行っている廃棄物の収集や処分を無許可で行う業者がいます。廃棄物の収集や処分を行うためには、自治体の一般廃棄物処理業や委託が必要です。 無許可の業者に引き渡すと、法を守った適正な処理の確認ができません。不法投棄や不適正処理、不適正な管理による火災などの事例もあります。 ・高額請求トラブルも発生 最初は無料と言っていたのに荷物を積み込んだ後に「全てが無料ではない」と高額の請求をしてなど、悪質な業者とのトラブルも発生しています。

●家電リサイクル法の料金

・リサイクル料金 使用しなくなった製品は、リサイクルプラントで解体されて鉄やプラスチックなどの素材ごとに分類され、再利用され、フロンなどの有害物質は適正に処理されます。 このような作業に必要なコストを負担負担するのが、リサイクル料金です。 ・収集や搬料金 排出場所(家庭)から指定引取場所までの収集や運搬に必要な費用は、排出者の負担となります。 収集や運搬料金は、各家電販売店がそれぞれ定めていますので、実際の金額は各家電販売店に問い合わせください。

供養

供養

供養とは、サンスクリット語のプージャーまたはプージャナーの訳で尊敬を意味する言葉の訳と言われており、仏、菩薩、諸天などに香・華・燈明・飲食などの供物を真心から捧げることです。

日本の民間信仰では死者・祖先に対する追善供養のことを特に供養ということが多く、これから派生して仏教と関係なく死者への対応という意味で広く供養と呼ぶこともあります。

また動物などに対する供養、針供養や人形供養のように生き物でない道具などに対する供養もあります。

●概要

供養とは、亡くなった人などに対して冥福を祈る、すべての行いのことを言います。仏壇に向かって手を合わせたり、読経をしたりする行為も供養です。また、墓前に花を添えることも、私たちが日常的に行っている供養の一つです。

仏や菩薩、諸天などに対しての仏教の供養と、死者や祖先に対する追善供養としての供養が広くみられます。

仏や人間にとどまらず動物などや死者に対してという意味で幅広く供養と呼び、動物供養、針供養、鏡供養、写真供養、仏壇供養、経典供養、印章供養、人形供養など人の生活に密接した物や道具に対しての供養も行われています。

仏教徒の場合は49日や1周忌などの節目にお寺の本堂や自宅で僧侶に読経供養を行ってもらい、供養の後は食事を行うのが一般的です。
残された人の気持の整理ができない場合は手元供養という方法で遺骨の1部をペンダントや小さな壺にいれて側に置くこともできます。

供養の方法は近年多様化しており、霊園のお墓だけでなく、納骨堂、樹木葬、散骨、合葬墓と個々人の宗教観や死生観によって選択することも多くなっています。

亡くなった人の供養は無宗教で葬儀を行った場合は決められた方法はなく、亡くなった日に親族であつまって食事をしたり小さな会を開くなど自由です。

●供養の種類

供養には大きく分けて仏教供養と追善供養の2種類があります。

仏教供養とは仏様や諸天、菩薩などに対して尊敬の念を示し、香華や飲食などの供物を捧げることで、追善供養は亡くなった人に対して冥福を祈り、命日に法要を行ったり、仏壇に手を合わせたりすることです。

追善という言葉には、故人の冥福を祈るとその善行が故人の善行となり自分にかえってくるという意味があります。

・供養の意味
供養とは生きている者が善行を行い、亡くなった者へ祈りを捧げることです。
供養の語源はサンスクリット語のプージャナーの訳で、心を込めて仏様に香華や燈明、飲食などを供えるという意味。
日本においては森羅万象に魂が宿ると考えられ、長年使った道具や物なども供養の対象とされてきました。

・ペットや人形などの供養
供養には私たち人間と深く関わった動物や道具などさまざまなものに対しての供養も含まれ、ペット供養や人形供養などがあります。
長い間家族のように過ごしてきたペットや、学校や研究機関で学問の発展に利用された動物の供養などもあります。

●供養の方法とタイミング

私たちが共に過ごせたことを感謝し、供養する対象はさまざまです。

・先祖供養
先祖供養とは日々ご先祖様に感謝して仏壇に向かって手を合わせ、お盆やお彼岸にお墓参りに行くことなどです。
子孫である私たちの元気な様子をご先祖様に伝えながら、仏壇にお水やお花を供えて線香をあげるのが一般的です。
必ずお盆やお彼岸にお墓参りをしなければいけないことはありません。体調不良や多忙で行けない場合は、年末年始や命日などの節目に足を運びましょう。

・死者の供養
仏教においては亡くなった人の魂は四十九日間成仏せず、この世をさまよっているとされています。
そのため亡くなった人の魂がさまよわずに成仏できるように読経や飲食などを施しますが、こうした死者の冥福を祈るために行う追善供養が法要です。
初七日、一回忌、三回忌、七回忌などの他に、お盆、お彼岸など仏教行事のすべてのことを指します。
キリスト教の場合は記念祭や追悼ミサを教会か墓前で行います。
ざまざまな宗教の違いにより方法やタイミングは変わりますが、供養をするという心に変わりはありません。

●お墓や仏壇の供養

・お墓の供養
お墓の供養とは、お墓を新しく建てた時に取り行う開眼・納骨法要のことです。
開眼供養は魂が入っていない墓石に亡くなった人の魂を宿らせる儀式で、遺骨をお墓に納骨する法要と併せて四十九日か百か日または一周忌などに行います。
菩提寺で納骨法要を行う場合は本堂と墓前で読経してもらい、故人の戒名や命日などを記した卒塔婆を建てます。
移転などでお墓を取り壊す際には、閉眼法要を行います。

・仏壇の供養
購入したての新しい仏壇にも開眼法要を行います。
仏壇を処分する時は閉眼法要という魂抜きの供養を行う必要がありますので、処分をする前に菩提寺に相談しましょう。
菩提寺がない場合は自分たちでお参りをして処分する人もいるようでが、位牌と仏像は魂抜きが必要とされています。

●そのほかの供養

・ペットの供養
長い間家族の一員として共に過ごしたペットの供養をしたいと思う人は多く、人間と同じように葬儀や納骨を行う人や自宅供養を選ぶ人など様々です。
ペット霊園やペット納骨堂も増加し、ペットの遺骨を加工処理してアクセサリーとして身に付ける人もいます。
ペットの火葬はさまざまな業者が行い、寺院でもペットの火葬施設を有しているところがあります。

・人形供養
昔から大切にしてきたぬいぐるみや人形には魂が宿ると言われ、処分をする時は人形供養を行う方もいます。
供養の方法はお寺や神社が行なう人形供養祭に申し込んだり、生前・遺品整理業者に依頼したりするなど、様々です。
家庭で供養する場合はきれいなタオルで人形を拭き、大きな布を敷いて粗塩をふりかけます。
今までありがとうと感謝の気持ちを伝え、布で人形を包んだら袋に入れ、地域のごみ処理法に従って処分を行いましょう。
葬儀会館などが開催するイベントで人形供養を行っている場合もあります。
命はないけれど人々が大切に使ってきた物などに祈りを捧げることも大切な供養で、針供養や眼鏡供養など特定の日が定められて供養が行われているものもあります。

健康寿命

健康寿命

健康寿命とは日常的・継続的な医療・介護に依存しないで、自分の心身で生命維持し自立した生活ができる生存期間のことです。 平均寿命のうち健康で活動的に暮らせる期間で、WHO(世界保健機関)が提唱した指標では平均寿命から衰弱・病気・痴呆などによる介護期間を差し引いたものとなっています。

●平均寿命と健康寿命

平均寿命は人が亡くなる年齢の平均値で、その中には大病をした人もいれば、認知症などで長期療養した人も含まれています。 健康寿命とは世界保健機関(WHO)が2000年に提唱した概念であり、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されています。 厚生労働省が定めた算定プログラムに基づいてデータが収集され、健康寿命が算出されています。 平均寿命と健康寿命の差が示すのは、何らかの治療や介護を要したり健康面の不具合から生活に支障が出たりしている期間ということになります。 「健康ではない=不健康」な期間ということです。

●数値の年別推移(男女)

2010年の厚生労働省の調査によると、男女ともに2001年から2010年までの平均寿命の延びに比べて、健康寿命の延びの方が小さいという結果が出ています。 平均寿命は今後も延びていくことが予測されています。 今後も平均寿命の延びに比べて健康寿命の延びが少ないということは、それだけ不健康な期間が増えるということです。 個人の生活の質の低下だけではなく、家族の負担や社会的な負担を減らすためにも健康寿命を延ばすことが必要とされています。

●健康寿命の算定プログラム

国民の健康寿命を算出するために用いらるのは、健康寿命の算定プログラムです。 健康寿命を正確に調べるためには人が生まれてから亡くなるまで約100年間の調査を行う必要がありますが、この調査を国民全員に行うことは難しいです。 目的や測定方法を定めて現時点で得られるデータを使って仮説的に算定、年齢や性別など基礎的なデータ、質問紙を用いた自己申告型のデータを収集して算定を行っています。

●健康寿命の英語

健康寿命の定義はWHOが提唱したものであるため海外でも用いられており、英語ではHealth expectancyやHealthy life expectancyという表現が用いられています。

●健康寿命を延ばす

政府が進めている健康増進計画である「健康日本21」の第2次計画に、健康寿命を延ばす目標が初めて入りました。 がん予防や、運動の促進、食生活の改善など、幅広い分野について改善を目指しています。 ・生活習慣改善 栄養バランスの偏りが少なく、規則正しい食事、十分な睡眠など、基本的な生活習慣の改善が大切です。タバコも健康リスクが高いため、禁煙が望まれます。 ・運動 運動習慣をつけることが運動器の健康の維持につながり、健康寿命の延伸も期待できます。 適度な運動は心肺機能の維持や肥満の予防にもなり、認知機能や心理面などへ良い影響も与えます。 運動器は若い頃から適度に運動する習慣をつけて大事に使い続けることが必要。筋肉、骨、軟骨や椎間板は運動やふだんの生活で身体を動かして負荷をかけることで維持されるためです。 しかし、過度な運動や体重超過により負担をかけすぎるのも、ケガや故障の原因になります。 やせすぎると筋肉や骨は弱くなりますので、適度な運動と適切な食生活で肥満ややせすぎにならないようにしましょう。 ・ロコモティブシンドローム 近年注目されているロコモティブシンドロームは、骨や筋肉、関節、軟骨などの運動器問題が起こり、座る、立つ、歩くなどの基本動作や生活に支障が出てしまうことです。 ロコモティブシンドロームをそのままにしておくと、生活面だけではなく、外出や余暇活動にも影響を与えてしまいます。 運動によって、ロコモティブシンドロームを予防することも大切です。 ・自立 働くことの重要性 健康寿命を延ばすために、できるだけ自立して過ごすということは非常に重要です。 仕事などを通して社会的な役割を果たすことも大切で、他者との交流が生まれる、頼りにされる、自立して生活をしていることへの張り合いや責任感も保たれます。 健康寿命を延ばすためには、身体の健康面、心理的な健康を保つことが大切です。

●健康寿命を縮める要因

健康寿命を縮める要因は様々ありますが、不規則な生活や暴飲暴食、運動不足等は、肥満や糖尿病などの生活習慣病に繋がります。 喫煙も健康被害は大きく、過度なストレスも避けたい要因です。 ロコモティブシンドロームの発症は日常生活の不便さだけではなく、これまで行っていた余暇活動の機会を狭めてしまいます。

●健康寿命と難聴

高齢になってくると徐々に衰えてくるのは運動機能だけではなく、加齢による難聴もあります。 年を重ねるにつれて聴覚に関係する細胞が、少なくなっていきます。 聴覚の衰えはコミュニケーションのしづらさやテレビの音が聞こえないなど生活の不便さ、認知面や心理面への影響も与えます。 ・難聴と健康 聴覚が衰えてくると、テレビの音が聞こえない、会話が成立しづらい、相手の言っていることが理解できないなどコミュニケーションの問題が起こりやすくなるため、人との交流の機会を減らしてしまいます。 聞き返してばかりだと嫌な顔をされるのではないか、何を言われているかわからないから不安など、心理的な面にも影響を与えます。 厚生労働省の認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)で、難聴が認知症を発症させる危険因子の一つであるとされています。 記憶障害や認知機能の低下を予防するためにも、難聴をそのままにしておかない方がよいとされています。

権利証

権利証

権利証とは登記完了の証明書で、登記済証が正式な呼び名です。不動産の登記が完了した際に、登記所が登記原因証書または申請書副本に登記済みその他の一定の事項を記載し、登記権利者に還付する書面です。

提出された売買契約書と登記申請書に不備がなければ、登記所で登記済の印が押されて交付となります。

買主が新たに第三者にこの不動産を売却する際は、この権利証が必要となります。

●概要

権利証とは不動産の売買による所有権移転登記のように、不動産上の権利の保存・移転などの登記をした際に登記所から交付される登記済証です。

権利証はその登記簿への記載が完了したことを証明する証明書で、権利証の末尾の余白には登記済の文字の入った所定の朱色の印が押してあります。

旧不動産登記法の下では登記が完了すると登記所は、登記原因を証する書面(たとえば売買契約書)または申請書の副本に申請書受付の年月日・受付番号・順位番号・登記済の旨を記載し、登記所の印を押して登記権利者(売買の場合は買い主)に還付していました。

その後、不動産登記法の改正に伴い2005年(平成17)3月7日以降は登記済証制度がなくなり、従来の登記済証(権利証)にかわるものとして、登記識別情報が利用されています。ただし、すでに発行された登記済証(権利証)は、今後も有効に使用することができます。

権利証は所有者が対象不動産を売却して買主に名義を変更する手続きをする際や、住宅ローンの借り換えをする場合に新たに対象不動産に抵当権を設定する際などに法務局へ提出する書類となります。

不動産の所有者しか持ちえない登記済権利証の提出を義務付けることで、別人が本人に成り済まして名義変更などの手続きできないようになっています。

権利証はその不動産の所有者であることを証明する書類の一つですが不動産の所有者であると推測されるということで、実際不動産を売却するには権利証を持っているだけでは売ることはできません。

●平成17年以前の権利書

昔の権利証は和紙に法務局の朱色の登記済という印鑑と登記した年月日受付番号がスタンプされていました。

不動産登記済権利証などの文字が書かれた表紙ですが、これは司法書士側でつけたもので実体は中身の登記申請書の副本に上記の印鑑が押されたものになります。

明治32年に不動産登記法が施行されてから新法に改正されるまでの100年ほどはこのタイプの権利証が発行されていました。

古いものは中の文字が筆で書かれているものも多く、解読も困難なものも多いです。

●現在の権利証

現在の権利証は、A4サイズのグリーンの紙の下のほうに目隠しシールが貼られたものになります。

シールの下にはアルファベットと数字の12桁で組み合わせたパスワードが記載され、このパスワードが登記識別情報の本体で例えばコピーでも手書きで書き写しても要はこのパスワードさえ分かれば原本と同じ効力を持つものになるのです。

パスワードを他人に見られてしまうと盗まれたことと同じなので、セキュリティーのためシールを貼ったままで保管しましょう。

新不動産登記法になってから登記がオンラインで申請できるようになったため、権利証も紙ではなく情報としてのパスワードとまりました。

●権利書の紛失で困ること

・不動産を売却するとき・担保として使うとき

不動産を売却する時には権利書と印鑑証明書がないと売却できません。

そのため、不動産を売却したいときに権利証を紛失していると再発行の手続きなどに時間がかかってしまいます。

不動産を担保にしてローンなどを組みたいとき、登記を取り消して他人に譲る時も同様に権利書は必要となります。

・不動産所有者であるという本人確認書類を作成してもらわなければならない時

権利書が手元になく登録識別番号がわからない場合には司法書士に不動産の所有者であるという本人確認書類を作成してもらう必要がありますが、費用が数万~数十万かかってしまいます。

●権利証の再発行

権利書は法的な効力を持つ正式な書類であるため、権利書の再発行はできません。

・不正登記防止申出の申告

申請から3ヶ月間は不動産の名義変更を受け付けないようにするものです。

この申請は紙の権利書でも登録識別情報でも申請が可能で、誰かが名義を変更する手続きをとったとしても却下することができます。

●権利書がなくてもできること

【不動産の売却】

不動産売却は、権利書と印鑑証明で手続きが可能ですが、その二つがないと売却できないわけではありません。
本人確認情報を作成すると不動産の売却は可能です

本人確認情報は不動産の権利書・登記識別番号情報に替わる書類で、作成には本人確認書類が必要となります。

1号書類(これのみで確認可能)
・運転免許証
・外国人登録証明書
・写真つきの住民基本台帳カード
・旅券等
・運転経歴証明書

2号書類(1号がない場合2点必要となる)
・国民健康保険の被保険者証
・健康保険の被保険者証
・船員保険の被保険者証
・高期高齢者医療の被保険者証
・介護保険の被保険者証
・医療受給者証
・健康保険日雇特例被保険者手帳
・国家公務員共済組合の組合員証
・地方公務員共済組合の組合員証
・私立学校教職員共済制度の加入者証
・国民年金手帳
・児童扶養手当証書
・特別児童扶養手当証書
・母子健康手帳
・身体障害者手帳
・精神障害者保健福祉手帳
・療育手帳または戦傷病者手帳

3号書類(2号書類が1点しかない場合)
・官公庁から発行された書類。かつ氏名、住所、生年月日があるもの

【相続された不動産の名義変更】

登記人が亡くなり相続された不動産の名義変更の際には権利書は必要ありません。

遺言状の有無の確認がされ、その後家庭裁判所を介して戸籍謄本、住民票、戸籍の附票を基に調査が行われて相続人が決定されます。

その後相続人が登記手続きをして、不動産の相続が確定します。

必要書類
・亡くなられた方の戸籍謄本
・亡くなった方の附票または住民票の除籍
・相続該当者全員の戸籍謄本と印鑑証明書
・遺産分割協議書
・委任状
・相続する不動産の固定資産評価証明書

後期高齢者医療制度

後期高齢者医療制度

後期高齢者医療制度とは、2008年(平成20年)施行の高齢者の医療の確保に関する法律を根拠法とする日本の医療保険制度です。 2008年(平成20年)の制度発足時には1300万人が国民健康保険から後期高齢者医療制度に移行しており、将来的には更に増加することが見込まれています。 一定の障害者を除く65?74歳の前期高齢者は現役世代(0?64歳)と同じ医療保険に加入したまま、保険者間にてリスク構造調整が行われる制度となっています。 75歳の誕生日を迎えると、それまで加入していた国民健康保険や被用者保険(健康保険や共済組合等)から後期高齢者医療制度に移ります。 特別な手続きをする必要はなく、誕生日と同時に自動的に国保から脱退し、後期高齢者医療制度に加入となります。

●後期高齢者

後期高齢者とは、高齢者のうち75歳以上の人のことです。 もともとは人口学や老年学の学術専門用語で、75歳以上を「後期高齢者」、65歳から74歳までを「前期高齢者」と区別していました。 75歳以上になると複数の疾病を発症しやすく、入院比率や長期療養比率が高まり、自立した生活を送ることがむずかしくなるなどの特徴があります。 2006年に「高齢者の医療の確保に関する法律」(高齢者医療確保法)が成立し、2008年4月から75歳以上を切り離した独立の健康保険制度「後期高齢者医療制度」が発足したことで、後期高齢者ということばが広く知られるようになりました。 しかし、後期高齢者という名称には、「75歳以上を切り離すのは差別的」「現代の姥(うば)捨て山」であるなどの批判が強くなっています。 そのため、後期高齢者医療制度の名称は、「長寿医療制度」という通称名を使用することもあります。

●後期高齢者医療制度の対象者

後期高齢者医療制度の対象者は、退職して国民健康保険(市町村)の被保険者となった人で、 該当者とその同居している被扶養者となります。 ・75歳以上の方(75歳の誕生日当日から資格取得) ・65歳以上74歳以下の方で、寝たきり等一定の障害があると認定された方(認定日から資格取得)  ただし、ご本人の意思により、被保険者とならないことができます。(広域連合への届出が必要です。窓口 は市区町村役場となります。) ※一定の障がいの認定を受けるための届け出 一定の障がいの認定を受ける場合は、保険証と、障がいの状態を明らかにするための障害年金証書、身体障害者手帳または医師の診断書などを市(区)町村の窓口に届け出てください。 該当者は加入中の医療保険(健康保険組合、国民健康保険など)から脱退し、 後期高齢者医療制度に加入します。健康保険組合の被扶養者も対象です。 加入すると1人に1枚ずつ後期高齢者医療被保険者証が交付されます。

●後期高齢者医療制度のポイント

・75歳以上の方(一定の障害のある方は65歳以上の方が対象 ・医療機関窓口における負担割合は原則1割、現役並み所得者は3割 ・保険料率は都道府県によって異なる、原則年金からの天引き ・運営は各都道府県に設置された後期高齢者医療広域連合が行う ・各申請書の受付や保険証の交付などの窓口業務、保険料の徴収は市区町村が行う

●後期高齢者医療制度の適用除外

原則として75歳以上の方、または65歳以上~75歳未満で一定程度の障害の状態にある方は後期高齢者医療制度の対象者(被保険者)となりますが、該当する方は適用除外者となっています。 【生活保護受給者】 生活保護受給者は生活保護費における医療扶助が適用されるため、75歳になっても引き続き生活保護法の枠組みで医療給付を受けることなります。 【日本国籍を有しない者】 日本国籍を有しない者であって、いずれかに該当する方は後期高齢者医療制度の被保険者の適用除外者となっています。 ・出入国管理及び難民認定法に定める在留資格のない者 ・1年未満の在留期間を決定された者 ・外国人登録法で定められた登録を受けていない者

●後期高齢者医療制度の運営の主体

国民健康保険は市区町村ですが、後期高齢者医療制度の運営は都道府県ごとに設立された後期高齢者医療広域連合が行い市区町村が協力します。 広域連合は主に制度の運営を行い、市町村は主に窓口業務を行います。 【広域連合が行うこと】 被保険者の認定や保険料の決定、医療の給付など制度の運営を行います。 ・被保険者の認定   ・医療の給付 ・保険料の決定    ・保険証の交付 ・健診事業の実施 【市(区)町村が行うこと】 住所変更や給付申請などの届け出窓口になり、保険証の引渡しや保険料の徴収なども行います。 ・保険料の徴収 ・納付相談 ・保険証の引渡し ・各種申請の受付 ・加入や喪失の届け出の受付

●後期高齢者医療制度の財政

原則として公費(約5割)、現役世代からの支援金(約4割)の他、被保険者の方からの保険料(約1割)で運営されています。 高齢者が安心して医療にかかれるしくみを、国民で支えています。

公証役場(公証人役場)

公証役場(公証人役場)

公証役場(公証人役場)とは、公正証書の作成や私文書の認証、確定日付の付与等を行う役場で、各法務局が所管して公証人が執務しているところです。 公証人独立採算制がとられている点が一般の官公庁と異なる特徴となっています。 公証役場は全都道府県にありますが、人口の多い地域に集中して設置されています。 電子定款認証に対応する指定公証人の配置が現在進められています。 公証役場は、法務省の管轄する役所になります。 公証役場では協議離婚における養育費などの契約、不倫慰謝料を支払う示談契約などを公正証書として作成することができます。 公証役場を利用すると公証人手数料の負担が生じ、公正証書にする契約の内容に応じて利用料が算定されます。

●概要

公証役場は各地にある法務局の管轄する機関で全国約300箇所に設置されており、それぞれの公証役場には、公正証書を作成する公証人が1名以上は必ず配置されています。 公証役場で事務を取り扱う書記もおり、それぞれの公証役場に配置される公証人などの人数は公証役場の規模によって異なります。 公証役場は国の役所になりますが、公証役場を利用するときは利用内容に応じて公証人手数料を支払う必要があります。公正証書の作成にかかる手数料は法令で基準が定められ、各公証役場で運用しています。 離婚時の公正証書作成などでは本人が公証役場へ出向いて作成しますが、遺言書の作成で遺言者が高齢や病気などを理由に公証役場へ出向けない場合は、公証人が遺言者側の病院や施設などへ出張して作成対応をします。出張での公正証書作成は公証人手数料が割増しされ、日当や交通費も加算されます。

●公証人

公証人とは、裁判官や検察官、弁護士などの実務経験を30年以上有する法律実務家の中から法務大臣が任命する公務員で各公証人役場で執務しており、定年は70歳となっています。 法務局や地方法務局に所属して管轄区域内に公証人役場を設けて仕事をしており、当事者や関係人の委託を受けて、公正証書を作成したり、私署証書や定款に認証を与える権限があります。 公証人は、公正証書の作成、定款や私署証書(私文書)の認証、確定日付の付与などを行います。 公証人役場は全国に300か所ほどあり、550名前後の公証人がいます。

●公証役場の業務

公証役場では法律で定める業務を扱っています。 ・公正証書の作成 公正証書の種類は、金銭消費貸借契約公正証書、建物賃貸借契約公正証書、不動産売買公正証書、遺言公正証書、任意後見契約公正証書、遺産分割協議公正証書などがあります。 ・私署証書や会社等の定款に対する認証の付与 認証とは、一定の行為が正当な手続きによりされたことを公の機関が証明することです。法人設立は、法務局において法人登記をする必要がありますが、その前提として公証役場での認証が必須となります。 会社を作った発起人や役員が手続きに則っているということ、定款が法律上ほぼ問題ない形で作成されていることがわかります。 ・私署証書に対する確定日付の付与 確定日付とは、その文書がその日付において存在していたことを証明するものです。 偽造が問題になったり、文書が後で作成されていないかなど紛争の発生を防ぐことができます。

●利用には料金が必要

公証役場を利用する際には、公証人手数料が必要です。 各利用者は公証役場を利用することで利益を得ることになるため、利用に応じて料金を支払う仕組みになっています。 市役所で戸籍謄本などの証明書を取得する場合の費用は数百円ですが、公証役場で遺言公正証書を作成する場合は数万円~の料金となります。 公証人に出張してもらい遺言公正証書を作成すると10万円を超えることもあります。

●公証役場の利用は平日の日中だけ

公証役場の開庁時間は平日の9時から17時までとなっています。 これは、公証役場が国の機関(裁判所、法務局など)の窓口の開庁時間と合わせているためです。

●公証役場は市役所とは関係ありません

市区役所は地方自治体ですが、公証役場は法務省で国の機関の一部になります。 同じ役所ではあっても、組織上は市区役所と公証役場は関係がありません。

公正証書遺言

公正証書遺言

公正証書遺言とは公証人が遺言の法的有効性をチェックし、公証役場に保管するものです。 公正証書遺言は法律のプロである公証人のチェックを受けるため、遺言そのものが無効にならないこと、紛失や偽造の危険がないデメリットがあります。 しかし、作成するための条件や費用などのデメリットもあります。

●概要

公正証書遺言とは、公正証書として公証役場で保存してもらう遺言のことです。 ・公正証書 公正証書とは、当事者に頼まれて第三者である公証人が作成した文書のことです。公文書として扱われるため、法的紛争の際に文書が真正であると強い推定が働きます。 公正証書遺言は依頼者が公証人に内容を伝え、それをもとに文書が作成されます。 ・公証人 公証人は法務大臣に任免された公正証書を作成する人です。法律の実務に深くかかわった人から選ばれるため、法的有効性のある遺言書づくりのサポートを行います。 ・公証役場 公証役場とは公証人が在籍する役所のことです。公証役場は全国にあり、出向けない場合は公証人に出張してもらうことができます。

●自筆証書遺言との違い

・公正証書遺言は全文を書かなくて良い 公正証書遺言は公証人に内容を伝えて、それをもとに公証人が作成します。 自筆証書遺言は「全文を」自筆で書かなければならないため、パソコンで書いたり代筆を頼んだりしてはいけません。 遺言書は遺書と違い書式や要件も厳格であるため、法律のプロの目を通すことが大切です。訂正の仕方が違うというだけで無効になる場合もあります。 ・公正証書遺言は公証役場に保管される 自筆証書遺言書の場合は何らかの原因で紛失したり、破棄されることも考えられます。 公正証書遺言は公正証書として公証役場に保管され、公正証書遺言を確認するときも原本でなく写しを公証役場が発行します。 ・家庭裁判所の検認が必要ない 公正証書遺言は公証人のチェックを受けているため法的有効性が認められます。しかし、自筆証書遺言を発見した時は家庭裁判所の検認を受ける必要があります。

●公正証書遺言作成の手順

【公証人と打ち合わせする前にすべきこと】 ・遺言内容の整理をする 遺言は誰が何を相続するかを定める重要な書類であるため、その場ですぐに決めることは難しいと思われます。あらかじめ遺言内容を整理しておくことで公正証書遺言の手続きにかかる時間を短くすることができます。 遺言内容を整理するとともに、遺言者が持っている財産を余すことなく明確にすることも必要です。 ・証人を見つける 公正証書遺言が認められるためには公証人だけでなく2人の証人が必要です。 証人は未成年者ではない、遺言によって財産を相続する人とその配偶者や直系血族ではない、公証人の配偶者と4親等以内の親族ではない、公証役場の書記官や職員などではない、遺言書に記載された内容が読めない人や理解できない人ではない人に依頼しなければいけません。 証人が見つからない場合は公証役場に有料で紹介してもらうことができます。 ・必要書類をそろえる 遺言者の印鑑登録証明書、遺言者と相続人の関係がわかる戸籍謄本、受遺者(遺言によって財産を受け取る人)の住民票、不動産がある場合は登記簿謄本、固定資産の評価証明書などが必要です。 【公証人との打ち合わせ】 遺言内容の整理が終わり必要書類がそろったら、公証人との打ち合わせを行います。公証人との打ち合わせは公証役場での面談のほか、出張や電話打ち合わせも可能です。公証人は遺言者から内容を正確に聞き取り、法的な知識を補います。 打ち合わせの内容をもとに公正証書遺言の文案が作成され、この内容はメールやFAX、郵送にて送付されます。内容に問題がある場合は再打合せが行われ、問題がなければ遺言作成の手続きに進みます。 打ち合わせは口頭のほか筆談などでも可能です。 ・公正証書遺言の作成は公証役場で行います 公正証書遺言を作成するため、証人とともに公証役場に向かいます。出張の場合は任意の場所に証人と待機します。遺言者は実印を、証人は認印を用意する必要があります。 遺言書の確認は公証人による読み聞かせによって行い、改めて遺言書を確認した後、遺言者・公証人・証人のそれぞれが署名押印します。 最後に費用を支払って完了です。 作成された遺言書は公正証書として公証役場に保管されます。

●公正証書遺言の費用

公正証書遺言の費用は手数料例という政令で定められており、財産の価額によって手数料が決まっています。 公証役場はこの手数料によって運営されています。 ・100万円まで5,000円 ・200万円まで7,000円 ・500万円まで11,000円 ・1,000万円まで17,000円 ・3,000万円まで23,000円 ・5,000万円まで29,000円 ・1億円まで43,000円 ・1億円超~3億円まで5,000万円ごとに13,000円を加算 ・3億円超~10億円まで5,000万円ごとに11,000円を加算 ・10億円超 5,000万円ごとに8,000円を加算 手数料は受遺者ごとに分けて支払う必要があります。例えば600万円の財産を1人に遺贈するのであれば手数料は17,000円となりますが、3人の受遺者にそれぞれ200万円ずつ支払うと7,000円×3=21,000円となります。 ・公正証書遺言書交付の手数料 正本と謄本の交付については250円×枚数の手数料がかかります。 ・出張によって公正証書遺言を作成した場合は手数料×1.5+交通+日当 公証人に出張してもらった場合は手数料が通常の1.5倍、さらに交通費と公証人の日当も発生します。日当は4時間以内であれば1万円、それ以上であれば2万円となります。

●公正証書遺言のメリット

公正証書遺言の最大のメリットは安全性と確立性です。公正証書であること、法的な強さを持っていることはこのような点につながります。 ・遺言が無効にならない 遺言は書式が整っていないと無効になります。署名押印がないものや日付を定めていないものも無効で、「〇月吉日」といった表記も認められません。 また、訂正の仕方も面倒です。 遺言内容が不明確であることを理由に遺言書が無効になったケースもあります。 公証人が遺言書作成にかかわることで、細かいミスを防ぎ法的に有効な遺書を作ることができます。 ・遺言を紛失しない 遺言書の怖い点は紛失で、いくら法的に有効でも見つからなければ意味がありません。破棄しようとする人もいるため、公証役場で原本を保管してもらうことができるのは大きなメリットです。 ・偽造を防止できる 公正証書遺言は公証人が作成するため、偽造の心配がありません。自筆証書遺言で偽造が疑われる場合は筆跡などから判断しなくてはいけません。 ・自分で書かなくて良い 公正証書遺言は自分で書く手間を省くことができ、文字を書ける状態でない人が遺言書を作成する有効な手段でもあります。 自筆証書遺言は、一言一句すべて自筆でなくてはいけません。一部でも他人が書いた形跡があると無効になります。 ・すぐに遺産相続を開始できる 公正証書遺言は作成した時点でそれが真正であるのが前提です。法的な有効性も確認されているため、家庭裁判所の検認を受けることなく遺産相続を開始することができます。 財産の処分や財産における法的地位の確定を速やかに行うことができる点は、遺族の精神面においてもメリットとなります。

●公正証書遺言のデメリット

・手続きに時間がかかる 公正証書遺言は、証人を探し、公証人と打ち合わせをし、作成の手続きを行うためには手間と時間がかかります。 有効性の疑われる遺言書は、訴訟のもととなり遺産分割を大幅に遅らせることになります。 ・手続きに費用がかかる 公正証書遺言の作成には費用がかかります。しかし、遺言の有効性を確保するためには必要な費用です。 ・公証人や証人に内容を話さなくてはならない 公正証書遺言を作成するためには、公証人と2人の証人が内容を知ることが必要です。 人によってはプライバシーの観点から公正証書遺言をあきらめることもあります。 ・秘密証書遺言もリスクが高い 秘密証書遺言は内容を一切明かさず、かつ自筆でなくてもよい遺言書です。これは、遺言書を封筒などに入れた状態で公証人及び二人の証人に存在のみを認めてもらう方法です。 しかし、この方法は内容の有効性については一切の補償がされない点や、家庭裁判所の検認が必要な点、自らで保管しなくてはいけない点がデメリットです。 日本ではほとんど利用されていません。

高齢化社会

高齢化社会

高齢化社会とは総人口に占めるおおむね65歳以上の老年人口(高齢者)が増大した社会のことです。65歳以上の高齢者人口(老年人口)が総人口に占める割合を高齢化率といいます。

●概要

高齢化社会とは高齢者の比重が高くなった社会のことです。

国際連合の定義では65歳以上の老年人口の比率が総人口の7%を超えた社会をさし、14%をこえると高齢社会といわれますが日本では1970年に7%を超え、その後1995年には14.5%に達しました。
人口高齢化は出生率の低下と平均寿命の延長によるもので、高齢化社会は先進工業国に共通した問題となっています。

経済成長や経済活力の鈍化が予測され、特に75歳以上の後期高齢人口の割合が高まる傾向にあるため、福祉費用の負担増など多くの社会問題の拡大や深刻化が懸念されます。

人類社会は一定の環境が継続すれば、ある一定の面積に生存している人口を養っていく能力に限界が訪れます。
人口を養う能力の限界に達してある程度の時間が経過すれば、必ず高齢化が顕在化してくるのです。
高度に社会福祉制度が発達した国家ではその負担に応じるため労働人口が子孫繁栄よりも現実にある高齢化対策に追われるため、少子化が進行してさらなる高齢化を助長していく場合が多くなっています。

高齢化と少子化とは必ずしも同時並行的に進むとは限りませんが、年金や医療福祉など財政面では高齢化と少子化が同時進行すると様々な問題が生じるため、少子高齢化と一括りにすることが多いです。

国際連合は2050年には世界人口の18%が65歳以上となると予測しています。
OECD諸国においては現加盟国の全てにおいて、2050年には1人の老人(65歳以上)を3人以下の生産人口(20-65歳)にて支える超高齢社会となると予測されています。

日本は1970年に7%、1985年に10%、1996年に15%を超えました。今後は2020年には29%前後、2035年には33%前後となる見込みで、世界に例を見ない速さで高齢化が進むことが予想されています。
出生率と死亡率の低下、総人口の減少がその主要な原因となっています。

●高齢化社会になった理由

・医療技術の進歩
日本の高齢化が進んでいる理由は子供の出生率が減っていること、医療技術が進歩したことにあります。
高齢化社会と言われる前の日本はそれほど医療技術が発展してなく、そのため長生きできる環境ではなかったのです。
医療技術の進歩は素晴らしいことなのですが、現在の高齢化社会の原因にもなっています。

・平均寿命の伸び
医療技術の進歩により平均寿命が伸びています。日本は保険に入ることが義務付けられていますので、誰でも気軽に病院にかかることができるのです。

・ベビーブーム
第二次世界大戦に敗れてから日本は急成長し、戦後貧乏だった国民たちが仕事をするようになり生活が楽になり家庭を持つ人が増えました。
その頃の日本はベビーブームで子どもを産む人が多く、今はそのベビーブームで生まれた人たちが高齢者と言われる世代になり高齢者の割合が増えているのです。

・出生率の低下
一時期はベビーブームだった日本も現在は出生率の低下が問題といますが、出生率の低下の原因は景気の悪化、賃金格差などが理由です。ベビーブームと少子化の人口差が激しいため、高齢社会になっています。

●高齢化社会の問題点

・増税
現在、日本は超高齢化社会で養われる側にある年配者が多く、年配者が増えるということは年金・医療費・介護保険費・生活保護費が増えるということです。
このような大勢の年配者を支えているのは私たちが収めている税金で、年配者が増えるにつれ私たちの払う税金はどんどん多くなっていきます。

・労働力の低下
年配者が増えると労働人口が減っていくということになり、働き手が少なくなるということは景気の悪化にもつながります。

・家族への負担
家族に介護が必要な人がいた場合、家族に介護の負担がかかります。車いす生活や寝たきりなどで要介護度の場合はトイレや食事の介助が必要となり、家族の負担も重くなります。
施設は年金でカバーできる介護施設は定員がオーバーのところが多くてなかなか入れず、費用が高い施設次が金銭的な負担がかかってきます。

・不注意の事故が増える
近年、高齢者によるブレーキやアクセスの踏み間違いなどの車の操作ミスのよる交通事故が問題視されています。健康な人であっても年齢には勝てず、若い時には考えられなかったミスを引き起こしてしまうのです。

●高齢化社会の対策

・定年延長、定年引上げ
団塊世代が65歳以上を迎え、定年を迎えてしまうと労働力が一気に減少してしまいます。
そのため65歳以上の定年制や定年の定めの廃止を普及し促進する必要があります。
厚生労働省では中小企業定年引上げ奨励金を実施しています。
中小企業定年引上げ奨励金とは65歳以上への定年の引き上げ、または定年の定めの廃止を実施した中小企業事業主に対して奨励金を支払うというものです。
このことにより、高齢者が培った知識と経験を企業でいかせるようにし、労働人口の減少を少しでも減らそうとしています。

・機械化の導入
労働人口の減少により今後は機械化が進み、機械化が進むことにより労働力が少なくても仕事が回るようになります。また今後人手不足が懸念される介護業界では、介護ロボットの普及が検討されています。

・介護サービスの普及
介護を必要とする家族がいる家庭の精神的負担や金銭的負担への対策もされています。
平成9年から介護保険法が発足され、平成17年には介護保険改正法案が可決されました。
それに伴い介護保険適用と認定されれば、高齢者の様々な機能低下に伴う介護サービスを利用する時の費用をほとんど保険料に負担してもらうことができ、家族の負担が軽くなります。

古物

古物

古物とは、既に一度消費者によって利用されたものがなんらかの理由により手放されて再び売りに出されている工業製品などのことです。

概要

古物は過去に誰かによって利用されていた事があるため新品に比べて汚れや傷などがあり、製品の品質に難があるものの一定の機能が問題無く動作する物です。

主に新品の製品がある程度高価な耐久消費財などでは、中古品の製品を扱う市場が存在し、古物を専門に扱う業者は一般に古物商と呼ばれています。

磨耗や汚損、風化によりある程度の機能的な欠陥が見られる場合もありますが、特に高価な耐久消費財は新品では購入することが難しことも多く、機能的な問題があるために値引価格で販売されている中古品を好んで利用する方も多いです。

近年では特に資源の減少や環境保全などの理由から循環型社会の形成が求められ、再使用やリサイクルが重要視されています。

古物営業法で定められている古物

・一度使用された物品
「使用」というのはその物本来の目的にしたがって使うことで、衣類なら着ること、自動車なら走らせることです。その物本来の目的にしたがって使うことのできないものは、古物には含まれません。

・使用されない物品で使用のために取引されたもの(新古品)
一度消費者の手に渡った新品を使用しないでそのまま売却するような場合の物品です。新品であっても使用のために取引されると古物に該当します。

・一度使用された物品や新古品に幾分の手入れをしたもの
その物本来の用途や目的に変更を加えない範囲で行う部分的な修理や加工です。形状に本質的な変化を加えなければ利用できない鉄くずや古新聞などの類は廃品となり、古物には該当しません。

法令

日本において法律上の古物は、古物営業法第2条で定義されています。

「一度使用された物品(鑑賞的美術品及び商品券、乗車券、郵便切手その他政令で定めるこれらに類する証票その他の物を含み、大型機械類(船舶、航空機、工作機械その他これらに類する物をいう。)で政令で定めるものを除く。以下同じ。)若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。」

・同法施行規則第2条での古物についての分類

1.美術品類(書画、彫刻、工芸品等)
2.衣類(和服類、洋服類、その他の衣料品)
3.時計・宝飾品類(時計、眼鏡、宝石類、装身具類、貴金属類等)
4.自動車(その部分品を含む。)
5.自動二輪車及び原動機付自転車(これらの部分品を含む。)
6.自転車類(その部分品を含む。)
7.写真機類(写真機、光学器等)
8.事務機器類(レジスター、タイプライター、計算機、謄写機、ワードプロセッサ、ファクシミリ装置、事務用電子計算機、ビジネスフォン等)
9.機械工具類(電機類、工作機械、土木機械、化学機械、工具等)
10.道具類(家具、じゅう器、運動用具、楽器、磁気記録媒体、蓄音機用レコード、磁気的方法又は光学的方法により音、影像又はプログラムを記録した物等)
11.皮革・ゴム製品類(カバン、靴等)
12.書籍
13.金券類(商品券、乗車券及び郵便切手並びに古物営業法施行令 (平成七年政令第三百二十六号)第一条 各号に規定する証票その他の物)

新古品

新古品は、まだ一度も使用されていない工業製品のことです。

一部では事故品と呼ばれる運送中の問題によってキズやへこみ等の問題が発生した物や、店頭で消費者にデモンストレーションに展示されていた物も新古品として扱われる場合もありますが、厳密に云えば新古品としては扱われません。

これらの事故品やメーカーで修復を行ったものは再生品、展示品などは予め断った上で未開封の新品よりも安い価格で販売され、新品同様のメーカー保証が付けられることが多くなっています。

厳密な意味での新古品は、一度は納入や開封されたものの契約破棄などの理由ですぐに梱包され直されたり、購入して梱包状態のまま保管していたが使われることも無く不要品として売却されたりした物などです。

新古品は動作されないまま専用の倉庫ではない場所に保管されている場合が多く、潤滑油やゴム・プラスチック部品、使用期限が設定されている部品などの劣化が見られる場合もあるため、稼働開始後に何等かの問題が発生する可能性があります。
場合によっては付属品に不足がある場合もあり、購入には注意が必要です。

広義の中古

一種のファッションとして、古い工業製品の持つ趣向やある程度使い古された風合いが好まれることがあり、製造中止となった自動車をスクラップから再生するレストア産業や、着古された衣服を売買する古着商もります。

既に生産の終了した製品の価値は、現在新品で手に入る製品で代替できないケースが多くなっています。

アンティーク家具や古着、絶版となった書籍や映像など、ある時点において中古品としてしか手に入らないものは、希少価値が付いて新品の同等製品よりも遥かに高い値段で取引されることがあります。

古物商

古物商

古物商とは、古物営業法に規定される古物を業として売買または交換する業者や個人のことです。

●概要

古物商とは、一度使用したものまたはそれに若干の加工や修理を施したものを、売買や交換を業とすることです。

古物営業法 (昭和24年法律108号) では「古物商となろうとする者あるいは古物の市場を開設しようとする者は、営業所ごとにその取扱う古物の種類を定めて所轄の公安委員会の許可を受けなければならない。」とあります。
古物をレンタルやリースなどする場合であっても、顧客に貸与しまたは顧客から返還を受けることが同法の「交換」の古物商に該当します。

扱うものにより中古自動車や中古パソコンなどの販売店やレンタル店、金券ショップ、リサイクルショップ、リユースショップなどと呼ばれます。

盗品の売買または交換を捜査や検査するために、営業所を管轄する都道府県公安委員会(窓口は警察署)の許可が必要です。
中古車販売店やリース店、リースの終了(リースアップ)した中古パソコンや計測機器などを販売や転リースするリース会社などは、古物商の許可を得ています。

許可を受けると、固い厚紙に布張りした二つ折り黒または青表紙の手帳型許可証(鑑札)が交付されます。店頭に掲げておく許可票は、自作するか専門の業者に製作してもらいます。

●古物営業法

盗品が扱われるおそれがあるため、古物や古物商は古物営業法(昭和24年法律第108号)に規定されています。

古物営業法第2条第1項は、古物を(1)一度使用された物品、(2)未使用ながら使用のために取引された物品、(3)(1)や(2)の物品にいくぶん手を加えた(加工・修理した)ものと定義しています。

古物の対象は、美術品、衣類、時計・宝飾品、自動車、オートバイ、自転車、カメラ・光学機器、OA機器、機械・工具、道具、カバン・靴、書籍、金券・プリペイドカードなどの種類があげられています。

古物の交換にはレンタル業やリース業も含まれ、インターネット上の売買も対象です。このため古物商には、中古車販売店、古本屋、質屋、書籍・DVDなどのレンタル店、中古パソコン・ソフト類の販売・レンタル店、古道具屋、機器リース業、リサイクル・リユース店、リース業、金券ショップ、インターネット・オークション業などが該当します。

古物商は古物営業法の適用をうけて都道府県公安委員会の許可を受ける必要があり、許可を受けると許可証(鑑札)が交付されます。

無許可営業は3年以下の懲役または100万円以下の罰金を科されます。盗品を扱ったことがわかると警察は業務の中止を命じることができ、命令違反も3年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。
古物商が善意で盗品や遺失物を買ったり交換した場合でも盗難や遺失から1年以内であれば、被害者や遺失者は無償でその物品の返却を要求することができます。

●古物営業

古物を売っても、売り方よっては古物営業に該当しません。

法律ではその営業のやり方により3つに規定されており、この3つのいずれかに該当する場合は公安委員会から許可を受けたり届け出が必要です。

・1号営業

古物を売買したり交換したり、または委託を受けて売買したり交換したりすることです。このような営業をするために、許可を受けたると古物商となります。

委託を受けて売買とは、売買することを他人から依頼され、それを引き受けて売買をすることです。古物を依頼者から受け取り、自分の店の店頭に並べて売ることになります。単に売り手と買い手を結びつける斡旋とは違い、あくまで自分で売買を行うことです。

1号営業から除外される営業形態
・古物の買取を行わず、売却だけを行うこと(無償または引き取り料をもらって引きとった物を修理して売ることも1号営業から除外)
・自分が売却した物をその相手から買い受けることだけを行うこと

他人から古物の買取りをしなければ、それを売っても古物営業には該当しません。

リサイクルショップやバザー、フリーマーケットで行われている取引きが古物営業にあたるかどうかについては、その取引きの実態や営利性などに照らして個別具体的に判断する必要があるとされています。

・2号営業

古物市場を経営することをです。(古物商の人だけの間で古物の売買または交換を行うための市場で、通常オークションのようなせり売りの方法)

このような市場の営業を営むために公安委員会から許可を受けた人を古物市場主と呼びます。

古物市場での取引きは古物商の人に限られているため、一般の人は参加できません。

市場の取引きに利用させるために場所を提供している人でも無料で場所を提供している場合はもちろん、場所代などをもらっていてもそれが単なる場所の提供料金で自分が古物商間の取引きに一切関与しないような場合は2号営業には該当しません。

・3号営業(古物せりあっせん業)

インターネットオークションのような古物の売買をしようとする人のあっせんをホームページを使用するせりの方法により行う営業です。

古物せりあっせん業を営む人を古物せりあっせん業者と呼びます。

孤独死

孤独死

孤独死とは主に一人暮らしの人が誰にも看取られることなく、当人の住居内などで生活中の突発的な疾病などによって死亡することです。特に重篤化しても助けを呼べずに亡くなっている状況となります。

●概要

孤独死は「自室内で誰にも看取られず孤独のまま死亡すること」とされ、第三者や身内の方に発見されるまでしばらく期間が経過しているケースが多くなっています。

特に隣家との接触のない都市部などにおいて高齢者が死後数日から数ヶ月~1年以上経って発見されるケースが過去に相次いで報告される一方、都市部に限定されず過疎地域での発生も懸念されています。

当初は都会には人がたくさんいるにも係わらずその誰にも気付かれず死んでいるという状況を「都会の中の孤独」という逆説的な死様として取り上げられていましたが、次第に「病気で周囲に助けも呼べずに死んでいった」ことがわかり、このような事態の発生防止が求められるようになっていきました。

この当時は一般的に都市部では人口が集中しているために孤独を感じる人は存在しないと考えられていましたが、現在では都市部で人的交流が疎遠になりがちであることが広く理解され、孤独死が身近にも発生することが理解されるようになってきていいます。

独居者の死因を調査した際に、倒れてから数時間以上~数日にわたって生きていたと考えられる事例も少なくなく、福祉や災害援助の上では同種の死亡事件の予防が重要視されるようになりました。
このため1990年代より各所で様々な予防策が検討や施行または提供されています。

大規模災害では被災者の仮設住宅による生活が長期になり、慣れない住環境で地域コミュニティが希薄なため隣人が異変に気付きにくく、疾病で身動きが取れないまま死亡する人が出るという事態を招いています。

●定義の難しさ

孤独死に対しては法的に明確な定義はなく、警察庁の死因統計上では変死に分類されています。
この変死の中でも遺体発見以降の周辺調査や検死や司法解剖などにより死因特定した結果、早い段階で他者の適切な介護があれば救命できた可能性のあるケースに関して集計されるに過ぎません。

突然死独居者の突然死は孤独死には含まれないとされていますが突然死する直前の心肺停止段階の場合は適切な救急救命医療によって救命できる可能性もある以上、場合によってはこれに含まれるケースもあると考えられます。

孤独に耐えかねて自殺する人もいますが孤独が原因となった死であっても、一般にいうところの孤独死には含まれません。
しかし発作的に自殺を図り途中で自殺を中断しても周囲に助けを求められなかったために結果的に死亡してしまった場合は、孤独死に含まれるかもしれません。

死後長期間経過して遺体が傷み死因特定が困難なケースも多く事件性の認められない変死で周囲がその人が亡くなったことを長期間にわたって知らなかった場合には死因特定によらずに孤独死と呼ばれますが、このような場合には特に社会的な孤立状態にあったとして孤立死とも言われます。

病院などで身寄りもなく亡くなる高齢者は孤独な死ではありますが孤独死とは呼ばれません。

●起きやすいとされる環境

孤独死は特に都市部などの地域コミュニティが希薄な地域が多く、震災などによって地域コミュニティが分断されている場合にも発生しやすくなっています。
過疎地域などでは民家が疎らであるため隣家が気付きにくい部分もあります。

・高齢者(とくに男性)
・独身者(配偶者との死別を含む)
・親族がいないか、いても近くに住んでいない
・定年退職または失業により職業を持たない
・慢性疾患を持つ
・アパートなどの賃貸住宅

子供夫婦の家庭に身を寄せると子供や孫の生活に迷惑が掛かるとして遠慮して独居を選ぶ人も増えており、潜在的な孤独死予備群は年々増加の一途をたどっていると考えられています。

孤独死が社会問題として広く認識されるようになり70歳を越える後期高齢者への周囲の関心度が高くなったため孤独死から長期間気付かれないなどの問題が抑制されていますが、60代特に65歳以下だと気付かれにくい傾向もあります。
65歳以下の孤独死が気づかれにくい原因としてはある程度は活発に行動することもあり、周囲が不在に気付いても何らかの事情で住居を離れてと考えるなどして結果死去に気付かないなどがあります

男性は女性の2倍以上の高率で孤独死しやすい傾向があり、これは女性は日常的な近所付き合いなどがある率が高いことが関係していると考えられています。
男性は職場でこそ人間関係を持っていたが地域コミュニティに馴染むのが下手で周囲に異常が発見されにくく手遅れとなりやすいとされています。

●孤独死の死因

孤独死は心筋梗塞(循環器障害)や脳溢血(脳疾患)などの急性の疾病発作などが直接の原因に挙げられますが、肺炎により日常生活が困難になって餓死するケースや肝硬変で意識不明に陥りそのまま亡くなるケースもあります。

家の中で転倒して骨折して電話で助けを呼べずに衰弱死するケースや、体力のある青年層や中年層が成人病罹患者でなくても何らかの原因で助けが呼べずに衰弱して死亡するケースもあります。
近年の日本では慢性的な不景気から生活に困窮し、疾病から動けなくなってそのまま亡くなるという事態の発生も懸念されています。

・災害と孤独死
阪神淡路大震災では震災から10年の間に仮設住宅と復興住宅生活者を合わせ560名以上が孤独死と見られる亡くなり方をしています。
この中には冬季の仮設住宅にて体を冷やして肺炎によって衰弱したケースが多く、生活が破壊されたことなどに関連してアルコール依存に陥り体調を崩しその体調不良も加わって孤独死を起こしやすい傾向もありました。

・アルコール依存と孤独死
飲酒により孤独感や虚無感を紛らわせようと慢性アルコール中毒により肝硬変を患った結果、発作による意識混濁で助けを呼べずに死亡するケースもあります。
孤独から飲酒を繰り返し健康を害しやすいという悪循環も危惧されています。

さ行

財産管理委任契約

財産管理委任契約

財産管理委任契約とは、自分の財産の管理やその他生活上の事務の全部または一部について、代理権を与える人を選んで具体的な管理内容を決めて委任するものです。 財産管理委任契約は当事者間の合意のみで効力が生じ、内容も自由に定めることができます。 任意代理契約とも呼ばれ、民法上の委任契約の規定に基づきます。 財産管理契約は精神上の障害による判断能力の減退がない場合でも利用することができます。 すぐに管理を始めなければならない場合、判断能力が徐々に低下してもその前から管理を継続させたい場合、死後の処理も依頼したい場合などに有効な手段です。

●財産管理等委任契約で依頼できること

財産管理等委任契約には特別な決まりはなく、自分で自由に代理人を選ぶことができ、必ず公正証書にしなければならないわけでもありません。 代理人に依頼する内容についても、自分で自由に決めることができます。 財産管理等委任契約はいつからでも開始できるため、どのような場合に契約が開始するかを含めて、事前に決めておくことができます。 ・金融機関の口座の管理をしてほしい ・身のまわりの物品の購入を任せたい ・所有している不動産の家賃の受け取りをしてほしい ・公共料金や介護サービス費用の支払いをお願いしたい ・住民票や戸籍謄本などを代わりに取得してほしい

●財産管理委任契約のメリット

・判断能力が不十分とはいえない場合でも利用することができる ・財産管理の開始時期や内容を自由に決めることができる ・本人の判断能力が減退しても財産管理委託契約は当然に終了せず、特約で死後の処理を委任することも可能

●財産管理委任契約のデメリット

・任意後見人契約とは異なり公正証書が作成されるわけではなく、後見登録もないため社会的信用は不十分 ・任意後見人制度における任意後見監督人のような公的監督者がいないため、委任者をチェックすることができない ・成年後見制度のような取消権はない

●財産管理委任契約の利用上の注意点

①信頼できる受任者を選ぶ 誰が信頼できるかは、基本的に本人が判断するしかありません。一般的には、配偶者や近親者が安心です。 信頼できるご家族や近親者がいない場合には、司法書士などの法律の専門家への依頼します。 ②第三者に契約書の作成を依頼する 財産管理委任契約書は、自らしっかりと内容を判断して作成しましょう。 契約の当事者ではない専門家に依頼し、最低限、契約内容についての助言を求めましょう。 ③代理権限目録を作成する  財産管理契約は自由な内容を定めることができますが、権限については包括的な契約条項を避け必要な範囲に限定して検討しましょう。 ・管理すべき財産の範囲を一定の金銭や預貯金に限定する ・不動産の賃料の徴収は委任するが原則として売却をしないとする制限を設ける ・不動産を売却することを認める場合にも、医療費の支払い等が不足した場合に限るなど条件を付す ・任意財産管理監督人の承諾を要する等の制限も検討し、具体的な代理権限目録を作成する ④任意財産管理監督人(指図同意権者)を定める 財産管理委任契約では本人による受任者の監督を基礎としていますが、判断能力とともに監督能力も衰えます。 本人が監督できないほど複雑な財産管理事務が必要な場合や委任者が不正を行っていないかをチェックするため、受任者の財産管理行為を監督する任意財産管理監督人を定めましょう。 財産管理は基本的に会計処理等を伴うため、従来から信頼関係のある顧問税理士や公認会計士がいる場合には任意財産管理監督人として適任です。 任意財産管理監督人については、受任者の不正を発見した場合の対処方法とこれを行使する監督人の権限を定めておく必要があります。 本人に正常な判断能力がある場合には、原則として任意財産管理監督人は受任者の不正について本人に報告し、本人の判断により監督権を行使します。 本人が一時的に監督権を適切に行使できない場合に備えて、監督人に受任者の行為を制限する補完的な権限を与えておきましょう。 任意財産管理人に重大な不正行為があった場合、任意後見契約を解除する権限を監督人に与えておくことも検討しましょう。 受任者の権限を第三者の指図や同意の下に行使できるようにしておくこともあります。 ⑤見守り契約は、任意財産管理人から独立した公平な第三者との間に結ぶ 見守り契約とは、本人と定期的に面談して本人の判断能力状況を把握し、任意後見契約を発動させるべき時期を判断して任意後見監督人選任の申立を促す見守り人を選任するための契約です。 見守りをする人は、任意財産管理人の仕事を終了させる役目を担います。 財産管理契約を結ぶ場合、見守り人は任意財産管理契約および任意後見契約から独立した第三者に依頼しましょう。 ⑥公正証書を利用する 任意後見契約は公正証書によることなどの規制がありますが、財産管理委任契約はそのような規制はありません。 しかし、実際に対外的に財産管理をするためには私的証書では信用力が低く、財産管理委任契約も公正証書を利用するといいでしょう。 公証人のチェックを受けることにより、異常な契約を未然に防止できる可能性があります。 ⑦財産管理委任契約には財産目録を加える 任意財産管理契約を締結する際、委任者がどのような財産を有しているかを明確にするため、正確な財産目録を作成しましょう。 時間が経過しても財産目録の財産がどのようになったかを調べることができ、権限の濫用を抑止する効果が期待できます。 ⑧解除条項・精算条項など契約の終了などを整備する

在宅型有料老人ホーム

在宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームは要支援・要介護認定者や自立の高齢者が生活する施設です。生活援助や緊急時の対応に加えて、レクリエーションなどを楽しむことができます。

●住宅型有料老人ホームの特徴

・日々の生活が充実 住宅型有料老人ホームは自立の方や要介護度が軽度の方の入居割合が高いことが多く、レクリエーションやイベントが充実している施設がたくさんあります。 入居後は入居者同士でコミュニケーションを取りながら楽しく日々を過ごすことができます。 レクリエーションが盛んな施設では、囲碁や将棋、華道や茶道など講師を呼んで本格的な習いごとを実施しているところもあります。 レクリエーションは心身機能やコミュニケーション機能の維持や向上を目的に行われ、住宅型有料老人ホームだとその効果をより得やすいとも言えます。 ・設備の充実しているため高齢者でも生活しやすい ほとんどの住宅型有料老人ホームはバリアフリー完備で施設内に手すりやスロープが数多く設置され、高齢者が安心して生活できる環境が整っています。

●住宅型有料老人ホームの入居基準

多くの住宅型有料老人ホームは入居条件として「60歳以上」などの年齢制限を設けています。 自立の方から要介護の方まで幅広く受け入れていることが多く、受け入れ条件が一律で定まっているわけではありません。 外部の医療機関などと連携し、胃ろうや気管切開など医療ケアに対応できる施設がある一方で、嘱託医を持たず医療体制が整っていない施設もあります。 施設ごとに医療や看護体制が大きく異なるので、事前にしっかりと確認する必要があるでしょう。 なお、全体の傾向としては、介護付有料老人ホームに比べると健康な方の入居を想定した施設が多くなっていると言えます。

●住宅型有料老人ホームのメリット

介護付有料老人ホームよりも利用料が割安で、レクリエーションや設備が充実していることがあります。 介護サービスは外部の事業者を利用して受けることになるため、必要なときに必要なだけのサービス利用ができます。 ・訪問介護など外部の介護サービスを自由に選択することができる 利用する介護保険サービスは生活相談員の方と相談しながら自由に選択し、利用することができます。 外部の訪問や通所介護サービス、住宅型老人ホーム内に併設された訪問介護事業所やデイサービスを組み合わせ、介護度が軽い方も重い方も自身に合ったサービスを受けることができます。 ・福祉用品のレンタルができる 福祉用具のレンタルができるため、車椅子や杖、センサーマットなど介護度が変わるたびに購入する必要がなありません。 ・選択肢が豊富でライフスタイルや予算に合わせて選ぶことができる 住宅型有料老人ホームは自立度が高い方がメインのホーム、介護や医療サポート体制が充実したホームなど選択肢が豊富です。 施設ごとに部屋の広さや共用設備の充実度合も異なるため、望むライフスタイルや予算に合わせて入居先を選ぶことができます。 ・要介護度が軽度でも入居可能 自立した生活が送れる方も入居できる住宅型有料老人ホームは、元気な方も多く利用している民間型の有料老人ホームです。 通所介護や訪問介護などの外部の介護事業者による介護保険サービスを利用すれば、要介護度認定を受けた場合にも軽度であれば入居し続けられることができます。 ・レクリエーションやイベントなどが多い 自立度の高い方が多く入所する住宅型有料老人ホームでは、介護予防や日常生活の充実のためにレクリエーションやイベントが多く実施されています。 日帰り旅行や体操、ゲーム、脳トレ、カラオケなどレクリエーションの種類はホームによって様々です。 地域に開かれた施設運営をしているホームでは、ボランティアの方も多く訪れることがあります。

●住宅型有料老人ホームのデメリット

・介護度が高い場合には入居継続が困難になることもある 入居後にケガや病気、加齢により介護が必要になったり介護度が高くなった場合には、住宅型有料老人ホームで提供できるサポートの範囲を超えてしまう場合もあります。 介護度が高くなったり医療依存度が上がると、継続して住み続けることが難しいことがあります。 ただし、最近では看護師を常駐させたり、寝たきりの場合にも入居が続けられる体制を整えているホームあります。 ・費用が高い施設もある 利用する介護保険サービスをケアプランに基づいて自由に選択できる住宅型有料老人ホームですが、介護サービス利用をすればするほど費用がかかります。 介護保険の自己負担額上限を超えたサービス利用は全額自己負担となるので要注意です。 特別養護老人ホームなどの公的老人ホームとは異なり入居費用や月額費用も高めでのところが多くなっていますが、入居費用として入居一時金を低額もしくは0円に設定しているホームもあります。

●住宅型有料老人ホームの費用

入居にかかる費用には、入居一時金と月額利用料があります。 一般的に月額では家賃・管理運営費・食費・水道光熱費などの雑費、その他介護保険の1割自己負担分が必要(所得によっては2割~3割)です。 住宅型の有料老人ホームで介護保険を利用する場合は、自宅で訪問介護やデイサービスを利用する場合と同じように介護度と地域によって1割負担で対応できる上限額が決まっています。 住宅型は介護度の重い方では介護サービスを利用する回数が多くなるため介護保険の上限額を超えやすく、超えた分は10割すべてが自己負担となってしまいます。 介護度の低い方は利用した分のみの介護保険1割自己負担となるため、費用が少なくてすみます。 ・入居一時金…0~数千万円 ・月額利用料…10~25万円

●住宅型有料老人ホームのサービス内容

住宅型有料老人ホームでは、入居者にとって必要となる生活援助サービスや介護サービスを自由に組み合わせて利用することができます。 生活援助サービスは、食事の提供や洗濯、掃除、見守りおよび生活相談などのサービスが提供され、介護サービスは居宅介護支援事業所を通してさまざまな居宅サービスを受けることができます。 居宅介護支援事業所は施設に併設していることがほとんどで、契約から利用までの手間を大幅に短縮できるのでとても便利です。 医療サービスの充実度については、看護職員の配置要件がないために施設による差が大きくなっています。看護職員の配置がない施設でも訪問看護を通して看護職からのサポートはしっかりと受けることができ、医療機関との緊密な連携によって内科の往診や歯科の検診を受けることもできます。 様々なサービスを、入居者の心身状態(自立~要介護5)に適した形で上手に組み合わせることで、快適な生活を実現することができます。 ・介護・医療 外部の介護サービス事業者、医療機関との連携による健康管理や療養に必要なケアなどの提供があります。 訪問看護により、結核やMRSAなどの感染症、胃ろう、ストマ、気管切開などの医療行為の必要な方にも対応している施設もあります。 ・介護サービスは外部の事業者と契約している 住宅型有料老人ホームでは、在宅介護の場合と同様、訪問介護やデイサービスなど介護保険の居宅サービスを利用することになるので、自分の受けたい介護サービスを自由に選択することができます。 施設に入る以前から自宅で介護サービスを利用していた方の中には、「入居後も同じサービスを利用し続けたい」と思う方も多いのではないでしょうか。 住宅型有料老人ホームでは、自宅で受けていた介護サービスを継続利用することもできます。 しかし、外部サービスを利用することになるため、24時間体制での介護サービスの提供が難しい場合もあるので注意が必要です。 ・医療ケアは自ら出向く必要がある 住宅型有料老人ホームは医療ケアを提供することを前提とした施設ではないため、医療に関する規定もありません。 医療体制が整っていない住宅型有料老人ホームも多く、入居者は自身で医療機関に相談に出向いてケアを受ける必要があります。 ・介護保険の利用は限度額内では1割負担 住宅型有料老人ホームは民間型の有料老人ホームであるため、施設として介護保険は適用されません。 住宅型有料老人ホームでは通所介護や訪問介護など在宅介護サービスを利用することができます。 ホーム内に訪問介護事業所やデイサービスを併設し、介護付き有料老人ホームと同程度の介護ケアが受けられる施設もあります。 また、福祉用具のレンタルも介護保険を利用して受けることができるため、自宅で生活するのと同じような感覚で介護保険サービスを利用することができます。 自宅での介護生活と同じように好きな介護サービスを選択することができるため、住宅型有料老人ホームは自由度の高い施設です。 介護保険の利用料金も、自己負担限度額の範囲内であれば1割(所得によっては2割~3割)の自己負担で引き続き利用することができます。 住宅型有料老人ホームの多くが生活相談員として介護支援専門員(ケアマネジャー)や社会福祉士を配置しており、介護保険サービスが自己負担の限度額内となるようにケアプランを作成してもらえることもあります。

●住宅型有料老人ホームの設備

住宅型有料老人ホームには、高齢者の生活を支えるさまざまな設備が整っています。 居室や浴室などの基本的な共同設備、食堂とリビングを兼ねる共同生活室、さらには理美容室や売店、健康管理室などを備えている施設もあります。 施設ごとに設備状況は大きく異なり、利用者の要望または費用に応じて豊富なバリエーションとなっています。 ・食堂 食堂は高級な施設ではレストランのような仕様になっており、自分の好きな時間に食事をすることもできます。 ・水回り 入浴設備は、現在の身体状況だけでなく長いスパンで今後の生活を考えて検討することが必要です。 要介護度が重い方の場合、共有の浴場で介助を受けながら利用することが多く、居室内にある浴室は使用しなくなることもあります。 どのくらいの心身状態になるまで入居し続けるのかを考え、入居先選びをすることも大事になります。 共有部分の水道代と居室内の水道代の負担はどうなっているのかなど、水道料の発生の仕方もチェックしておきましょう。

●住宅型有料老人ホームの食事

食事は栄養士の管理のもと、多くの施設で1日3食に加えおやつの提供が行われています。 ほとんどの施設で、食べ物を咀嚼する力や飲み込む力が弱い方、塩分摂取量の調整が必要な方、アレルギーを持っている方など、入居者の状態に合わせて個別対応してもらうことができます。 【入居者の好みに合わせた食事の用意】 ・ソフト食 食材をゆでたり煮込んだりして柔らかくした食事、噛む力が弱くなってしまった方や飲み込む力が衰えた方に向いています。 ・きざみ食 食材を細かく刻んだ食事、 噛む回数が少なくてすむので、噛む力が弱くなった方や飲み込む力が衰えた方などに向いています。 ・ミキサー食 食材をミキサーにかけて、飲み込みやすくした食事、飲み込む力が衰えた方に向いています。 【家族が楽しめるイベントも多種多様】 住宅型有料老人ホームはレクリエーションが充実しており、食事関連のイベントに力を入れている施設も多くなっています。 入居者のご家族を招いてマグロの解体ショーを行う施設、定期的に出張の寿司屋がやって来る施設、職人が目の前で作った打ち立ての蕎麦を味わえる施設などもあります。

サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅とは、主に民間事業者が運営するバリアフリー対応の賃貸住宅です。 要介護高齢者が多く入居する有料老人ホームと異なり、主に自立(介護認定なし)や軽度の要介護高齢者を受け入れています。 高齢者が安心して暮らせるよう、見守り、生活相談サービスの提供が義務付けられています。サービス内容は住宅ごとに異なりますが、オプションの生活支援サービスとして食事の提供や買い物代行、病院への送迎なども行い、高齢者の生活を支援を行っています。 日中は生活相談員が常駐し、入居者の安否確認や様々な生活支援サービスを受けることができます。介護が必要な場合は、訪問介護など外部の介護サービスと個別に契約が必要です。

概要

サービス付き高齢者向け住宅とは、国土交通省・厚生労働省が所管する「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」に基づいた、高齢者のための住宅です。 高齢者が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることを実現する「地域包括ケアシステム」拡充の施策として、2011年に創設されました。 サービス付き高齢者向け住宅は、60歳以上の高齢者、あるいは要介護認定を受けた60歳未満の方を対象とした、主は賃貸借契約です。 高齢者の居住の安定を確保することを目的としているため、一般的な賃貸住宅のように高齢者であることを理由に入居を断られることはなく、契約更新の必要はありません。 建物はバリアフリー対応で、個室は原則として25㎡以上、廊下幅78cmなどの規定があり、運営会社は建設の際に都道府県に申請して登録を行います。 日中は医療・介護の有資格者が常駐し、安否確認と生活相談サービスを提供しています。 サービス付き高齢者向け住宅には一般型と介護型あり、一般型サービス付き高齢者向け住宅は独居や夫婦2人暮らしで毎日の生活に不安を覚える自立から軽介護度の方に適しており、介護が必要になった場合は訪問介護など外部の在宅介護サービスを利用します。 厚生労働省の定める特定施設の指定を受けているところもあり、介護が必要になった場合は建物内に常駐するスタッフから介護サービスや生活支援サポートを受けることができます。介護付き有料老人ホームと同様のサービスが提供されるため、重介護の方にも対応しています。

サービス付き高齢者向け住宅の特徴

サービス付き高齢者向け住宅は、利用者の状態に合わせてサービス内容を決めることができるというのが最大の特徴です。 介護サービスが提供されない代わりに、自由度の高い生活を送ることができます。 ・人員配置 サービス付き高齢者向け住宅では、安否確認と生活相談のサービスが必須と定められています。 日中(9~17時)は、看護師や介護福祉士など指定の資格を持った担当スタッフが常駐しています。夜間は常駐は義務付けられていませんが、何かあったときに速やかに駆けつけることができる状態にすることが義務化されています。 建物の構造に厳しい規制があり、スタッフが有事の際に素早く対処できるように配慮してあります。 ・登録の基準 【規模と設備に関する基準】 館内がすべてバリアフリー構造です。 各居室の床面積は原則として25㎡以上ある必要があります。 ただし、リビングルームや食堂、台所などそのほかの共有スペースが、共同して利用する上で十分な面積がある場合は18㎡以上あると大丈夫です。 各居室に水洗便所、台所、浴室、洗面設備、収納設備を備えている必要があります。 ただし、共有スペースに共同で利用できる台所や浴室、収納設備が設置されていて、各居室に備えつけた場合と同じまたはそれ以上の居住環境が確保されている場合は、各居室への設置がなくても問題はありません。 【見守りサービスに関する基準】 安否確認サービスと生活相談サービスを提供しており、ケアの専門家が日中の間は館内に常駐しています。 ケアの専門家とは、社会福祉法人や医療法人、指定居宅サービス事業所などの職員、医師、看護師、介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、介護職員初任者研修過程の修了者などです。 また、食事の提供や入浴時の介助などの生活支援サービスを提供しているところもあります。 【契約に関する基準】 ・書面によって契約を締結すること ・専有部分(各居室)が明確に示されている契約であること ・事業者側から一方的に解約できないど、居住の安定に配慮された契約内容になっていること ・受領できる金銭は敷金と家賃とサービスの対価のみ、権利金や他の金銭は受領しない契約であること

費用

サービス付き高齢者向け住宅の費用は、立地条件や居室の広さ、一般型か介護型などによって異なります。 ・初期費用 初期費用については、一般型は多くが賃貸借契約であり、敷金として比較的安価な数十万円で借りられることが多く、礼金や更新料は不要です。 介護型は有料老人ホームと同様、利用権契約で入居一時金、あるいは賃貸借契約で前払い家賃として数百万~数千万円が必要こともあります。 ・月額費用 月額費用は、一般型は家賃・管理費(共益費)として5~25万円程度で食費や光熱費は含まれず、介護型は食費まで含めて15~40万円程度です。 どちらも介護保険の自己負担分などの別途費用が必ず必要です。

サービス付き高齢者向け住宅のメリット

・キッチンや浴室付の建物も多く、自由度の高い生活が継続することができる ・体調に問題がなければ、自由に外出や外泊することができる ・必要な介護サービスを自由に選択することができる ・初期費用が安く、住み替えがしやすい

サービス付き高齢者向け住宅のデメリット

・施設によりサービス内容が異なりわかりにくい ・レクなど、入居者同士の交流は多くない ・寝たきりや認知症の進行など、身体状態が重度になった場合は退去の可能性がある

サービス付き高齢者向け住宅のサービス

介護度が上がっても、よほど特別な事情がない限りは退去する必要もありません。 独自のサービスを提供している施設も増えており、ご自身の状態に合ったサービスを組み合わせることで、充実した老後を送ることができます。 【必ず受けられるサービス】 ・安否確認・見守りサービス 施設職員が、利用者の部屋を定期的に訪問してくれるサービスです。 時間や頻度については施設ごとに異なりますが、何か異変が起こったときには対応すぐにもらうことができます。 ・生活相談サービス ケアの専門家に日々の生活の相談に乗ってもらうことができるサービスです。 介護の頻度や内容、心身の悩みや不安を聞いた上で解決に向けた働きかけをしてもらうことができます。 【必要に応じて受けられるサービス】 ①緊急時対応サービス ・緊急時の駆けつけ対応 ・体調不良時の往診依頼、救急車要請、急病時の対応、家族への連絡など ・災害発生時の避難サポーなど ②生活支援サービス ・外出時のサポート、買い物の代行や付き添い ・通院時の送迎や付き添い ・部屋の清掃、ゴミ出し、洗濯など ③食事提供サービス 施設で食事を用意してくれるサービスです。 雨天時や体調不良などで買い物に行けないときなどに、施設に依頼すると食事を用意してもらうことができます。 要望を事前に伝えると状態に合わせてミキサー食やきざみ食にも対応してくれる施設もあり、安心した食生活が送ることができます。 ④介護サービス 歳を重ねていくごとにほとんどの方は介護度が上がっていくため、介護事業所を併設していたり、提携している外部の事業者があったりします。 ⑤医療サービス医療ケア 医療サービス医療ケアを受けたい場合には、施設に併設されている医療機関、もしくは提携医療機関の訪問診療や訪問看護サービスを受けることができます。

介護型サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅の中には特定施設入居者生活介護の指定を受けたタイプもあります。 特定施設入居者生活介護とは、特定施設の入居者のために提供される日常生活上の支援や機能訓練のようなサービスです。 サービス付き高齢者向け住宅によっては特定施設の指定を受けている場合もあります。 特定施設入居者生活介護に指定されたサービス付き高齢者向け住宅は、食事や入浴の際の介助、専任の介護士や看護師に介護または看護サービスを受けることができるため、かなり要介護度が進んでいる場合でも安全に暮らせるのが最大のメリットです。 入居費用がかなり安めになるメリットもあります。 自己負担額は定額になりますが、要介護度が4~5の場合でも月額で2万円を超える程度にとどまります。 介護付有料老人ホーム等に入居するよりも、費用を安く抑えることができます。

サービス付き高齢者向け住宅の食事

食事の質を重視しているところ、3食のすべてを宅配弁当で提供しているというところもあります。 施設内の調理室で毎食作っているのか、業者がある程度作って施設で温めているのか、宅配弁当の業者が作って宅配を行っているのか、施設によって食事の提供体制は大きく異なるため事前に確認が必要です。 居室の中にキッチンが設置されていることが多く、自分で好きなものを調理していつでも食べられるというメリットがあります。 しかし、食べたいものを好きなだけ食べると、栄養バランスが悪化することもあるため注意が必要です。 施設の厨房で作られる食事や宅配による弁当はカロリー計算がきちんとされ、1日に必要な栄養をしっかりと摂取することができます。 きざみ食やミキサー食などの介護食に対応している施設もあります。

サービス付き高齢者向け住宅の入居条件

サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者住まい法という法律によって入居条件が設定されています。 ・60歳以上の高齢者 ・要介護認定または要支援認定を受けている配偶者(内縁の関係でも同居が可能) ・60歳以上の親族 ・60歳未満で、要介護認定または要支援認定を受けている親族 ・パートナー以外の親族

産業廃棄物収集運搬許可

産業廃棄物収集運搬許可

 

産業廃棄物収集運搬許可とは、工場や事務所などの事業活動に伴って出る廃棄物を収集運搬することができるものです。

産業廃棄物の収集運搬許可は都道府県知事と一部政令市長の許可となっており、一般廃棄物の許可との大きな違いは許可の要件が整っていれば許可を出すことが原則となっていることです。

許可品目ごとに許可を出すことになっており、扱いたい品目が何であるかをキチンと考えて計画的に取得する必要があります。

●産業廃棄物関連の仕事

産業廃棄物収集運搬業と産業廃棄物処理業には別々に許可制度が設けられており、一方の許可を得ただけではもう一方の業務を行うことはできません。

【産業廃棄物処理業】

収集運搬業と処分業をまとめた呼び方です。

【産業廃棄物収集運搬業】

産業廃棄物を運ぶ仕事です。

①産業廃棄物収集運搬業(積替え・保管を含まない)
②産業廃棄物収集運搬業(積替え・保管を含む)

積替えとはトラックからトラックに積み直す作業で、保管とは指定した場所に産業廃棄物を保管することです。

こうした作業を行う予定がある場合は産業廃棄物収集運搬業(積替え・保管を含む)の許可取得が必要になります。

回収場所からそのまま中間処理施設や最終処分場などに運び込むという場合は産業廃棄物収集運搬業(積替え・保管を含まない)を取得するだけで大丈夫です。

家電リサイクル法4品目をリサイクルショップなどと提携して回収する場合は、産業廃棄物収集運搬業(積替え・保管を含まない)の許可で十分です。

産業廃棄物処分業や産業廃棄物収集運搬業(積替え・保管を含む)の許可を取得するためには、適切な処分のための施設や保管場所、役所への事業計画の提出や周辺住民との合意など手間と時間がかかります。

【産業廃棄物処分業】

産業廃棄物を適切な方法で処分する仕事です。

●産業廃棄物収集運搬業許可の取得でできること

・産業廃棄物の回収

産業廃棄物収集運搬業許可を取得すると、仕事として産業廃棄物の回収ができるようになります。

自動車整備工場から出る大量の使用済みタイヤ、木材加工工場から出る木くず、病院から出る作業用の手袋や不要なレントゲンフィルムやレントゲン廃液などを回収することができます。

・条件付きで家電リサイクル法4品目の回収

産業廃棄物収集運搬業許可を取得する最も大きなメリットは、条件付きで家電リサイクル法4品目の回収ができることです。

通常一般家庭で使われた使用済み家電は一般廃棄物になるため、本来回収には一般廃棄物収集運搬業許可が必要です。
しかし、家電リサイクル法4品目のエアコン・テレビ・冷蔵庫および冷凍庫・洗濯機および衣類乾燥機には法律上例外が認められており、産業廃棄物収集運搬業許可があれば回収できることになっています。

条件は、小売業者又は指定法人若しくは指定法人の委託を受けていることです。ここでの小売業者とは家電販売店などの店頭販売・新品販売、インターネット販売や通信販売、リユース品を販売するリサイクルショップや質店も含まれます。

●産業廃棄物収集運搬許可が受けられない、又は取り消しになる要件

①精神障害があるなどの理由で判断能力がないとされる者(成年被後見人、被保佐人)または自己破産をしたまま復権していない者
②禁固刑以上の前科があり、服役を終えてから5年未満の者
③廃棄物処理法をはじめとする関連法令に基づく処分を受けてから5年未満の者、または暴力団対策法に基づく処分を受けてから5年未満の者
④廃棄物処理法・浄化槽法における許可を取り消されてから5年未満の者
⑤廃棄物処理法・浄化槽法における許可取り消し処分の通知があった日から、実際の処分の有無が決まる日までの間に事業廃止の届出をした者のうち、その届出から5年未満の者
⑥⑤の届出に該当する事業者の役員や使用人(支店長など)だった者のうち、その届出から5年未満の者
⑦一般廃棄物収集運搬業の業務において、不正または不誠実な行為をする可能性がある者
⑧申請者が営業能力のない未成年者で、その代理人が①~⑦に該当する者
⑨申請者が法人で、役員や使用人に①~⑧に該当する者がいる者
⑩申請者が個人で、そのうちの使用人に①~⑦に該当する者がいる者

●産業廃棄物収集運搬業の申請に不可欠な要件

財団法人日本産業廃棄物処理振興センターで開催されている産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会の修了証の添付が必要です。(写しを添付し申請時に本書を持参、原本確認をされます)

許可申請日までに産業廃棄物の収集運搬課程(新規)を受講し、修了証の交付を受けなければなりません。

この講習会は、廃棄物処理法に基づき、産業廃棄物または特別管理産業廃棄物処理業の許可を新たに受ける又は更新する場合に、産業廃棄物の適正な処理を行うために必要な専門的知識と技能を習得することを目的とされています。

この要件による受講の該当者は、法人の場合は代表者や業務を行う役員、事業場の代表者、個人の場合は申請者本人又は事業場の代表者です。

●産業廃棄物収集運搬業の申請には運搬施設の準備が必要

産業廃棄物の収集運搬業を営む場合には、運搬施設の準備が必要です。

新規で事業を立ち上げる場合には、最低限運搬車両などの運搬施設が納車されていないと許可申請自体をすることができません。

運搬施設の要件は、産業廃棄物が飛散したり流出たりしない、悪臭の漏れるおそれのない運搬施設(車両等)、運搬容器等の継続的な使用権があるかどうかです。

許可申請に必要となる書類は、車両の車検証、車両写真、運搬容器の写真、駐車場の見取り図などです。

車両の車検証のチェックポイントは、有効期限内・使用権限の明示・土砂禁の有無・排ガス規制に該当するかなどがあります。

●産業廃棄物収集運搬許可申請に必要な書類

【法人】

・許可申請書
・定款(現行のもの)
・履歴事項全部証明書
・指定講習会修了証の写し
・住民票(本籍地、国籍記載、マイナンバーは省略)
・登記されていないことの証明書
・事業の全体計画
・運搬施設の概要
・収集運搬業務の具体的な計画
・環境保全措置の概要
・運搬車両の写真
・車検証の写し
・本店、事務所、事業所、駐車場の地図
・事業開始に要する資金の総額及びその資金の調達方法を記載した書類
・法人税の納税証明書(直近3年分)
・確定申告書の写し(直近3年分)
・決算書(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表)
・誓約書(押印)

【個人】

・許可申請書
・指定講習会修了証の写し
・住民票(本籍地、国籍記載、マイナンバーは省略)
・登記されていないことの証明書
・事業の全体計画
・運搬施設の概要
・収集運搬業務の具体的な計画
・環境保全措置の概要
・運搬車両の写真
・車検証の写し
・本店、事務所、事業所、駐車場の地図
・事業開始に要する資金の総額及びその資金の調達方法を記載した書類
・所得税の納税証明書(直近3年分)
・確定申告書の写し(直近3年分)
・資産に関する調書
・誓約書(押印)

死後事務委任契約

死後事務委任契約

死後事務委任契約とは、自分の死後に発生する葬儀や遺品整理、事務的な手続きを家族などに依頼できない場合に生前に結んでおく契約のことです。 死後事務委任契約では死後に発生する事務全部または一部を依頼、依頼する相手は信頼できる友人や知人、弁護士などの法律家でも可能です。 法律家の場合には費用が発生しますが、友人には無償で依頼することもできます。

●死後事務委任契約が必要となる背景

家族の形が多様化して一人暮らしのお年寄りが増える中で、一人で終活について考える人も増えています。 人が亡くなった際には、やらなければならないことや手続きなどが数多く発生します。 亡くなった場所からの遺体引き取り、友人知人に告知、葬儀、火葬や埋葬、死亡届などの行政の手続きが必要です。遺品整理もあります。 賃貸住宅の場合は退出手続き、入院中に亡くなった場合は退院の処理や精算、携帯電話やクレジットカードなどの解約や退会など、必要な事務処理がたくさんあります。 ・自分の死亡後のことを頼れる家族がいない 一般的には自分が死んだ後は、家族が葬儀を行い、クレジットカード解約などの事務手続きも行い、法律の規定に基づいて相続が開始されます。 しかし、家族がいない、家族がいても高齢や病気である、親戚が遠方である、親戚と疎遠になっているなど、死後の事務処理をお願いできないこともあります。 このような場合、その処理について最終的には自治体に頼ることは可能です。しかし、火葬や埋葬など最低限度のことを行ってもらえるだけで、友人知人への告知や葬儀などはしてもらえず、事務手続きなども希望通りにしてもらうことはできません。

●死後事務の内容

・医療費の支払いに関する事務 ・家賃・地代・管理費等の支払い、敷金・保証金等の支払いに関する事務 ・老人ホーム等の施設利用料の支払い、入居一時金等の受領に関する事務 ・通夜、告別式、火葬、納骨、埋葬に関する事務 ・菩提寺の選定、墓石建立に関する事務 ・永代供養に関する事務 ・相続財産管理人の選任申立手続に関する事務 ・賃借建物明渡しに関する事務 ・行政官庁等への諸届け事務 ・各事務に関する費用の支払い

●死後事務委任契約に必要な書類

委任者と受任者は、各人がいずれかの書類が必要です。 ・印鑑登録証明書(3か月以内)と実印 ・自動車運転免許証と認印 ・住民基本台帳カード(顔写真付き)と認印

●死後事務委任契約のメリット

・周りに頼れる親族がいなくても死後の事が安心 ・葬儀や納骨の方法等、自分の希望を生前に伝える事ができる ・家族がいるが、迷惑をかけたくないという場合も迷惑をかけずに済む

●死後事務委任契約のデメリット

・専門家に依頼する場合は報酬が発生する

●死後事務委任契約書の内容

・亡くなった後の親族等関係者への連絡 亡くなった後に連絡して欲しい親族等関係者への連絡の範囲や方法を決めて記載します。 ・葬儀・納骨に関する事 葬儀や納骨をどの様に行うのか、また現時点で決まっていない場合は誰が決めるのかを記載します。 ・生前に残っている債務の支払い 生前に残っている債務、主に医療費などをどの様に支払うのかを記載します。 ・行政への届出に関すること 死後に様々な行政への届出が必要で、その権限を委任している事を記載します。 ・委任する事務にかかる費用に関する支払い 委任する事務を進めるために発生した費用の支払いに関しての事を記載します。

自筆証書遺言~相続法の改正

自筆証書遺言~相続法の改正

●自筆証書遺言の方式を緩和する方策

相続に関する民法等の規定を改正する法律が2018年7月6日に成立し、2019年1月13日に公布されました。 今回の相続法の改正で変わるポイントはたくさんあります。 【配偶者の居住権】 今回の相続法の改正で、配偶者の居住権がより強く保護されるように変わります。 ・配偶者短期居住権 ・配偶者居住権 配偶者居住権とは、被相続人の配偶者が相続開始時に被相続人の持ち家に住んでいた場合、相続開始後にその家を他の相続人なが取得しても、被相続人の配偶者が引き続き無償で使用(居住)したり、人に貸して家賃収入を得たりすることができるとする権利のことです。 人に貸す場合には居住建物を取得した相続人の承諾が必要です。 【遺産分割】 遺産分割とは、亡くなった人が所有していた財産(遺産)をその人の死亡と同時にもらい受ける権利のある人が複数いる場合に、その人たちの間で遺産を分けることです。 ・特別受益の持戻し免除の意思表示が推定されるようになる 特別受益とは、相続人が複数いる場合に一部の相続人が被相続人からの遺贈や贈与によって特別に受けた利益のことです。 特別受益があった場合は、特別受益の価額を相続財産の価額に加えて相続分を算定し、その相続分から特別受益の価額を控除して特別受益者の相続分が算定されます。 特別受益の持戻しとは相続分を算定することですが、被相続人が特別受益の持戻しを免除する意思を表示した場合は持戻しは免除されます。 法改正前は、特別受益は持戻しがあるのが原則で、持戻し免除の意思表示があった場合は例外として持戻しが免除されるものでした。 改正法では、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で居住不動産(配偶者居住権を含む)が遺贈や贈与された場合は、持戻し免除の意思表示があったものと推定し、持戻しを免除しない意思表示があった場合のみ持戻しを行うことになりました。 「婚姻期間が20年以上で夫婦間における居住不動産の遺贈または贈与」の場合は、原則と例外が逆転するということになります。 ・遺産分割前に預貯金の仮払いを受けられるようになる 法改正前は、相続財産の預貯金の遺産分割前の払戻しは相続人全員の同意がない限り原則として認められませんでした。 改正法では、相続人全員の同意がなくても遺産分割前に預貯金の仮払いを受けることができるようになりました。 ①金融機関の窓口で直接仮払いを求める 銀行等の金融機関の窓口で直接仮払いを求める方法のメリットは、裁判所での手続きが不要(手間も日数も費用もかからない)、仮払いが必要な理由を求められないです。 ただし、生活費や葬儀費用の支払、相続債務の弁済などの資金需要に対応できるよう、遺産分割前にも払戻しが受けられる制度として創設されるため、払戻し可能額に一定の上限額が設けられています。 ②家庭裁判所に仮払いを申し立てる 遺産分割協議が長引きそうなどの理由で遺産分割前に仮払いを受ける必要がある場合は、家庭裁判所に仮払いを申し立てることによって、預貯金債権の法定相続分の全額の仮払いを受けることも可能です。 メリットは上限金額の縛りがない点、デメリットは家庭裁判所に遺産分割調停(または審判)を申し立てたうえでさらに仮払いを申し立てなければならない(手間と日数と費用がかかる)、仮払いを受ける理由が求められるなどです。 ・分割前に遺産を処分した相続人の具体的相続分から利益分が差引けるようになる 法改正前は、遺産の全部または一部が分割前に一部の共同相続人によって処分された場合、処分された財産は遺産分割の対象とならず処分で得た利益分が処分した相続人の具体的相続分から差引かれることもありませんでした。。 改正法では、遺産の全部または一部が分割前に一部の共同相続人によって処分された場合、処分した人以外の共同相続人全員の同意があれば、処分された遺産も遺産分割の対象とし、処分で得た利益を処分した人の具体的相続分から差引くことできるようになりました。 【遺言】 遺言とは、亡くなった人が主に自分の財産などについて残した意思表示のことです。 ・自筆証書遺言に添付する財産目録が自書でなくてもよくなる 自筆証書遺言とは、自筆(自書)で書かれた遺言のことです。 法改正前は、自筆証書遺言は全文自書しなければなりませんでした。 特定の財産を特定の人に与える場合は、財産を特定できる項目を記載する必要があります。預貯金は金融機関名や口座番号、不動産は登記事項(所在地、地目、地番、地積など)を記載しなければなりません。 法改正前は、これらも含めて全文を自書しなければなりませんでした。 改正法では、パソコンで作成した財産目録や預貯金通帳のコピー、登記事項証明書を添付することができるようになりました。 自書ではない別紙を添付する場合は、別紙のすべてのページに署名と押印が必要です。 ・自筆証書遺言を法務局で保管することができるようになる 法改正前は、自筆証書遺言を公的機関で保管する制度はありませんでした。 改正法では、自筆証書遺言を法務局で保管することできるようになります。 ①遺言者(代理不可)が、法務局(遺言者の住所地や本籍地または遺言者の所有する不動産の所在地を管轄する)に法務省令で定める様式で作成した無封の遺言書を持参して申請 ②法務局で本人確認と形式審査を行い、問題なければ遺言書を保管 ③相続開始 ④相続人や受遺者などの相続関係人が、法務局に遺言書情報証明書の交付や遺言書の閲覧を請求 ⑤法務局は請求に応じるとともに他の相続人や受遺者などに遺言書を保管していることを通知 ⑥遺言書の検認手続は不要で、遺産の承継者はすぐに相続手続可能 この制度を利用する主なメリットは、遺言書の紛失や破棄の心配がない、形式不備で無効となる心配がない、検認不要ですぐに相続手続に入れるなどがあります。 ・遺贈の目的物が不特定物でも相続開始時の状態で引渡せばよくなる 遺贈とは遺言によって財産を与えることで、不特定物とは、取引当事者が単に種類、数量、品質等に着目し、その個性を問題としていないもののことです。 遺贈の目的物が不特定物の場合、法改正前は、遺贈義務者(遺贈を実行する義務がある人、通常は法定相続人)は、受遺者に対して欠点のないものを引渡す義務がありました。 改正法では、遺贈の目的物が不特定物でも特定した時の状態で引渡せばよいことになります。 ・遺言執行者の権限が明確になる、復任可能になる 改正法では、遺言執行者の権限が明確になります。 法改正前は、遺言執行者の個別の類型における権限規定はありませんでしたが、改正法では個別の類型における権限が規定されます。 例えば、遺産分割方法の指定で承継する遺言がされた場合は対抗要件具備のための行為(登記申請等)ができる、預貯金が遺産分割方法の指定で承継された場合、は対抗要件具備(通知・承諾)、預貯金の払戻しの請求をすることができ一定の場合には預貯金契約の解約の申入れもすることができるなどの権限が規定されます。 改正法では、やむを得ない事由がある場合でなければ遺言執行者の復任(再委任)はできませんでしたが、改正法では自由に復任ができるようになります。 【遺留分】 遺留分とは、一定の相続人のために相続に際して法律上取得することを保障されている相続財産の一定の割合のことで被相続人の贈与や遺贈によっても奪われることのないものです。 ・遺留分減殺請求の効力が金銭請求に一本化される 遺留分減殺請求とは、遺留分を侵害された人が、贈与や遺贈を受けた人に対し、遺留分侵害の限度で贈与や遺贈された財産の返還を請求することです。 法改正前は、遺留分減殺請求があった場合は贈与または遺贈された財産そのものを返還する現物返還が原則で、金銭での支払いは例外ということでした。 改正法では、金銭請求に一本化されます。 ・遺留分の算定において価額を算入できるのは特別受益に当たる贈与であっても相続開始前10年以内のものに制限される 改正前は、特別受益に当たる贈与は、期間制限なく、遺留分算定においてその価額を算入します。 改正法は、相続開始前10年以内という制限がつきます。 ・不相当な対価による有償行為の減殺時の対価の償還が不要になる 不相当な対価による有償行為とは、価値が釣り合っていない取引などです。 法改正前は、差額を減殺するのではなく有償行為の目的物の価額について減殺します。 改正法では、対価の償還が不要で、直接、差額の減殺を請求できるようになります。 ・相続債務弁済による控除が認められるようになる 改正法では、遺留分減殺請求を受けた受遺者や受贈者が、遺留分権利者の相続債務を弁済などによって消滅させていた場合は、その消滅させた限度で遺留分減殺請求による金銭債務を消滅させることができるようになります。 遺留分減殺請求がある前に受遺者や受贈者が相続債務を弁済していた場合、遺留分権利者の相続債務も減り、遺留分権利者が得している分については遺留分減殺請求の請求額から差し引かれます。 【相続の効力】 ・「相続させる」旨の遺言の場合でも対抗要件が必要になる 法改正前は、法定相続分を超えて財産を取得した人がどのようにしてその財産を取得したか、取得方法によって対抗関係になるかどうかが異なります。 遺贈や遺産分割によって取得した場合は対抗関係になりますが、「相続させる」旨の遺言によって取得した場合は対抗関係にならず、先に登記を備えたとしても優先することはありませんでした。 改正法は、取得方法にかかわらず対抗要件が必要になります。 ・遺言執行を妨げる相続人の行為の無効は善意の第三者に主張できなくなる 遺言執行者が置かれている場合に、相続人が遺産を処分するなど遺言執行を妨げる行為を行った場合、法改正前は誰に対してもその行為の無効を主張することができました。 改正法では、善意の第三者に対しては、無効を主張することができなくなります。 この場合の善意の第三者とは、財産を処分した相続人が、処分する権限を持っていないことを知らない人という意味です。 【相続人以外の者の貢献】 寄与分(被相続人の生前に、相続人が被相続人の財産の増加や維持に寄与した程度)がある相続人は、その分、多くの財産を相続することができますが、法改正前は、寄与分は、相続人にしか認められていませんでした。 相続人以外の人が被相続人の財産の増加や維持に寄与しても、その人がその分の財産を取得するための制度はありませんでした。 改正法では、被相続人の相続人でない親族(特別寄与者)も、無償で療養看護などの労務提供をして被相続人の財産の維持増加に特別の寄与をした場合、相続の開始後、相続人に対して金銭(特別寄与料)を請求できることになりました。 改正法の特別寄与者となり得る親族とは6親等内の血族と3親等以内の姻族のことで、血族とは血縁関係にある人のことです。ここでの血縁関係とは、生物学的な血縁関係ではなく法的な血縁関係を指します。 養子と養親の間には生物学的な血縁関係はありませんが、法的な血縁関係はあるため養子と養親の関係は血族に当たります。 認知されていない非嫡出子(婚外子)と実父との間には生物学的な血縁関係がありますが、法的な血縁関係はないため、認知されていない子と実父との関係は血族には当たりません(認知された場合は血族)。 姻族とは、配偶者の血族と血族の配偶者のことです。 相続人(現行法の寄与分を主張し得ます)、相続放棄をした人、相続欠格事由に該当する人、推定相続人の廃除を受けている人は、改正法の特別寄与者となることはできません。 相続人の場合は、法改正前は「被相続人の事業に関する財産上の給付」による場合も寄与分を主張し得ますが、相続人以外の場合は「被相続人の事業に関する財産上の給付」で特別の寄与があっても、特別寄与者とは認められませんでした。

死亡届

死亡届

死亡届とは正式には死亡届書といい、法務省の地方支分部局である法務局の戸籍課が管轄する行政機関への書類です。

性質上、自分自身で提出できないという特徴をもち、この届けが受理されれば住民票に死亡が記載されて本人の死亡の証明を行う簡便な公的証明として利用できます。

概要

死亡届とは、人が亡くなった場合にそれを証明するために提出する書類です。 死亡届は火葬(または埋葬)許可証を受け取るために、期限までにきちんと出す必要があります。

死亡者の親族などの提出義務者は、死亡を知った日から7日以内に死亡診断書または死体検案書を添えて、市区町村長に届け出ます。

日曜・祝日を問わず24時間受け付け可能、提出には届出人の印鑑(三文判)が必要です。

届け出は親族・同居人・家主・土地や家屋の管理人等により行うことができ、葬儀社に代行を依頼することも可能です。

死亡届の入手先

死亡届は死亡診断書(死体検案書)と同じA3横置きの用紙に載っており、左半分が死亡届、右半分が死亡診断書(死体検案書)という様式になっています。

その他、市区町村役所で入手することができます。

死亡届の提出期限

死亡届は死後7日以内に提出する必要がありますが、国外で死亡した場合はその事実を知った日から3ヵ月以内であれば受付かのうです。

正当な理由なく届出が遅れた場合は、戸籍法によって5万円以下の過料を徴収されます。

死亡届の届出人になれる関係性

死亡届の提出の際には届出人を立てる必要がありますが、誰でも代理人になれるわけではなく下記の関係となる方のみです。

・親族 (同居していなくても問題ありません)
・ 同居者(親族以外の同居者)
・家主
・地主
・家屋管理人
・家屋もしくは土地の管理人
・後見人
・保佐人
・補助人
・任意後見人

死亡届の届出人欄に「公設所の長」というチェック欄がありますが、身寄りがない人の場合に病院長などが出す際などはこれにあたります。

届出人は故人の代わりに署名や押印をする役割があり、実際に提出する人は別の代理人でも可能です。

●死亡届の提出先

死亡届は死亡した場所や故人の本籍地、届出人の所在地のどの役所でも提出することができます。

死亡届の提出すると引き換えに受け取る埋葬許可証はお寺などへ納骨する時などに必要となりますので、大切に保管しましょう。

依頼した葬儀社が提出の代行を行ってくれることもあります。

・届出地との距離
提出を行う場所は、死亡した場所や故人の本籍地、届出人の所在地の役所であれば問題はありません。
届出地と本籍地や住民登録地が離れている場合は、住民票の除票などの手続きに時間がかかることもありますので注意が必要です。

・時間外の提出
婚姻届や出生届などと同じく、死亡届は24時間365日いつでも提出することができます。
ただし、夜間や土日祝などで窓口が閉まっている場合は提出のみで受付はしていない自治体もあり、その場合は開庁後に再訪する必要があります。

●死亡届提出後に火葬許可書を受け取る

死亡届を提出すると、医学的な死因特定と法律上での死亡の事実を確認するということになります。

死亡届が受理されることで住民票に死亡が記載され、本人の死亡の証明が出来て始めて火葬許可証申請書の手続きが可能になります。

火葬許可証申請書の手続きは死亡届の提出と並行して行い、申請が受理されると火葬許可証が交付されます。
交付された火葬許可証は火葬場で遺体を荼毘に付し、骨壷に収骨が済むと交付される埋葬許可証は納骨時に必要となります。

●死産や誕生死の場合

・死産
妊娠して12週が過ぎた後に流産もしくは人工妊娠中絶で胎児を死産した場合は医師から死産証明書を発行してもらい、最寄りの市町村役場に提出して火葬許可証を交付してもらいます。

・誕生死
産まれてからすぐに亡くなった誕生死の場合は、医師から死亡診断書を発行してもらい、最寄りの市町村役場で出生届を提出して受理された後に「死亡届」および火葬許可申請書を提出して火葬許可証を交付してもらいます。

死後離婚

死後離婚

死後離婚とは、配偶者が死去した後にその相手側との関係を解消することです。 配偶者の死亡により婚姻関係は終了するため法的に死後離婚はできませんが、死後に同じ墓に入りたくないなどの意思表示を行うことで離婚と同様の形態になるとの考えで行われています。 姻族関係終了届を提出し姻族関係(配偶者側との親族関係)を解消する場合も、死後離婚と称されています。

●死後離婚の手続き

死後離婚をする場合は、配偶者の死後に姻族関係終了書を提出することで完了します。 姻族関係終了書を出すことで解消されるのは、配偶者の親族との関係です。 婚姻関係は配偶者が亡くなった時点で終了しているため、離婚届を提出する必要はありません。

●死後離婚の理由

・生前夫とうまくいっていなかったが、遺産と遺族年金を受け取るために夫が死ぬのを待っていた ・夫と仲は悪くはないが、夫の実家と折り合いが悪かった ・夫の死後、お墓の管理や親族の介護などをしたくない ・姻族との繋がりから自由になりたい

●死後離婚のメリット

・義理の両親や兄弟との縁を切ることができる 義理の両親については、この書類が受理された瞬間から金銭的な世話や介護の必要もなくなります。義理の兄弟の素行が悪い、金銭問題を抱えている場合など、巻きこまれることを回避することができます。 ・墓問題 配偶者と一緒のお墓に入りたくない、折り合いの悪い義理の両親と一緒のお墓に入りたくないという場合、その必要もなくなりそれと同時にお墓を管理する義務感からも逃れることができます。 ・遺産については権利が保障されている 配偶者が亡くなり姻族関係終了届を提出した場合、戸籍上にその事実が記載されるだけで除籍されるわけではありません。配偶者との関係は死別であるため、遺産や遺族年金は変わらず受け取ることができます。

●死後離婚のデメリット

・二度と関係を取り戻すことはできない この書類は一度受理されて縁を切ってしまうと、また関係を戻したいと思っても二度と取り消せないということです。 義理の両親と養子縁組をして親族関係を回復させるということはできますが、あまり現実的ではありません。 ・法事などが疎遠になる 姻族と縁を切っているため、墓参りもできなくなり、法要などの連絡もこないでしょう。配偶者の年忌法要に参加できないことも覚悟しなければなりません。 ・住み慣れた環境を離れることになる 姻族と縁を切ったあとは、近所に住むということも避けたいと思うのが当然でしょう。 義理の両親と同居していた場合はもちろん、近所に住んでいた場合もやはり今後顔を合わせる可能性が少ないところに住みたいと思うでしょう。 そうなれば、住み慣れた環境を離れるなど自身の環境の変化も覚悟しなければなりません。 ・子供と義両親の関係は切れない 自分自身が姻族と縁を切っても、わが子は祖父母とは血族になるため縁はそのまま継続します。しかし、自分が縁を切ることによって、子どもたちにも何かしらの影響が出る可能性はあります。

終活

終活

終活とは「人生の終わりのための活動」の略で、人間が自らの死を意識して、人生の最期を迎えるに当たって執る様々な準備や、そこに向けた人生の総括を意味する言葉です。 自分が亡くなった際の葬儀やお墓、遺言の準備、財産相続、身の回りの生前整理などを行います。 終活は、最後まで自分らしく生をまっとうするために行うものであり、遺される家族の悲しみと不安を和らげるために行うものでもあります。 終活を始めると限りある時間を有意義に過ごそうという気持ちが高まり、より充実した人生を送れるようになるでしょう。

●終活の進め方

【エンディングノートを書く】 エンディングノートとは、自分の終末期や死後に備えて遺される身近な人に伝えておきたい希望や情報を書き留めておくノートです。 家族や友人に対するメッセージ、延命措置に対する考え方、資産、相続など、何を書いても構いませんが、遺言書と異なり法的効力はありません。 あくまでも家族があなたの死後に様々な手続きを進めやすいよう、参考にしてもらうためのものという気持ちで書きましょう。 エンディングノートは書くことで気持ちが整理され、これからやるべきことを改めて発見することができます。 ①自分に関すること ・本籍地 ・生年月日 ・健康保険証や年金手帳、保険証券、パスポートなど重要書類の保管場所 ・家族の名前や家系図 ②親戚や友人のこと ・入院した時や葬儀の時に知らせてほしい親戚や友人の名前と連絡先 ③資産に関すること 資産に関することを記入する際は、一エンディングノートを紛失したり盗難など悪意のある第三者に見られたりした場合を想定して、暗証番号やクレジットカードの番号は書かないようにしましょう。 ・預貯金(銀行名や口座番号) ・年金 ・不動産、有価証券、骨董品、貴金属などの資産 ・人に貸しているお金 ・人から借りているお金(借入先、担保の有無) ・継承者 ④医療や介護のこと ・かかりつけの病院 ・いつも飲んでいる薬 ・延命措置や終末期医療に関する希望 ・臓器提供や献体についての希望 ⑤葬儀について ・菩提寺の名前と連絡先 ・葬儀の形式と予算 ・喪主になってほしい人 ⑥お墓について ・希望する埋葬方法や墓地 ・予算 ・事前に用意している場合はお墓の所在地 ・お墓を継承してほしい人 【葬儀の準備(葬儀社や葬儀プランの決定、生前契約、遺影の撮影など)】 生前予約は、葬儀の規模や内容、費用、支払い方法などについて事前に葬儀社に相談して予約しておくシステムです。 自分の意思を葬儀に反映することができるため、最後まで自分らしくありたいという方、残された家族に、精神的にも金銭的にも負担をかけたくないと考えている方などにおすすめです。 ・経営状態は安定しているか 生前予約は、相談をして申し込みの予約をするだけのもの、実際に葬儀の費用を積み立てたり先払いしたりしておくものなど、葬儀社によってさまざまです。 プランを決めて支払いまで済ませておくと遺される家族の負担をより軽減できると先払いを選ぶ人も多いですが、もし葬儀社が経営破綻などすると葬儀の施行や契約金の払い戻しなど難しいということになりかねません。 契約書を取り交わしてお金を先払いする場合は、葬儀社の経営状態をしっかり確認しておくことが大切です。 葬儀社によっては葬儀信託が用意されており、金融機関に葬儀費用を信託財産として預けておくことで亡くなったときは生前予約したとおりのプランで葬儀が行われその費用を預けたお金から金融機関が支払う方式です。 本人が亡くなる前(葬儀が行われる前)に万が一葬儀社が経営破綻してしまった場合、信託会社が保全している財産(預けた葬儀費用)は返金されます。 ・葬儀プランの変更や解約はできるか 葬儀の生前予約は、将来のことに対する契約です。 予約をしてから時間が経てば、葬儀に対する考え方が変わったり、葬儀社の新しいプランに心移りすることもあります。 葬儀プランの見直しや解約ができるかということは、解約時に違約金が発生するかどうかを含めて事前に確認しておきましょう。 【お墓の準備(霊園の決定、墓石やデザインの決定など)】 お墓については石材店と相談しながら進めると良いでしょう。 ・墓地を選ぶ 墓を持ちたいと思う環境や立地、埋葬形態などの購入条件を考え、優先順位を決めて条件を満たす墓地を探しましょう。 資料を取り寄せたり実地現地見学をしたりして、希望に叶った墓地を予約や契約します。 ・墓石を選ぶ 墓石の形やデザイン、石種、彫刻、文字などを検討し、工事の契約をして墓を作ってもらいます。 墓石はオーダーに合わせて一つひとつ作り上げられますので、完成までおおよそ2~3ヵ月かかります。 【遺言書を書く】 遺言書は法的効力を持つものであるため、専門家の力を借りて書くのが重要です。 相続のトラブルを避けるために、財産の処分の方法を明確に決めておきたい場合は、エンディングノートではなく法的効力がある遺言書を書く必要があります。 遺言書は民法で定められた法的な文書で、書式から作成方法、効力、内容まで細かく規定されています。 指定の形式以外で作成されたものは無効になり、既定以外の内容は法的効力を持ちません。 遺言書は正しい作成方法で、法的な効力が発生する遺言事項を書きましょう。 遺言書の種類 ・自筆証書遺言…遺言者が自筆で書く ・公正証書遺言…公証人が遺言者の真意を文章にまとめる ・秘密証書遺言…遺言者が作成し、署名捺印をした上で封じた物を公証役場に持ち込む 遺言事項 ・身分に関する事項 ・相続に関する事項 ・遺産処分に関する事項 ・遺言執行に関する事項 ・その他、祭祀主宰者の決定や生命保険金受取人の指定や変更 【生前整理(身の回りの整理)】 生前整理を行う場合、一度に片づけようせず毎日少しずつ片付けていくのがコツです。 財産や書類、写真、本といった分野ごとや、部屋ごとなど、負担にならない範囲で着実に進めていきましょう。 物を処分する際は、何を捨てるかではなく何を残すかを決め、絶対に残したい物以外は処分すると決めて取り組むと、作業がスピーディに進みます。 また、残したい物の中で有価証券や不動産の権利書、骨董品、宝石といった財産は、目録を作って保管場所を記しておくと遺された家族が困らなくてすみます。

●生前整理をする理由

・エンディングノートに記載した書類等の保管場所をわかりやすくするため ・死後、遺族の遺品整理の手間を省き、大切な物を然るべき人に遺せるようにするため ・無駄のない、快適な余生を送るため 【お金の計画】 財産の一覧表を作りましょう。保有資産の一覧表を作ると、資産の合計が分かります。 この時、投資の組み替えや保険の契約の見直しを行うこともできます。 借金があると家族に迷惑がかかりますのでなるべく返し、 相続人が知らずに相続して大きな負債を背負うことのないよう借金も一覧表に書きましょう。 資産の整理は1回で終わりではありません。どんどん変化して行きますので、定期的に整理整頓することを習慣化しましょう。 【終末期医療の意思表示】 日常生活の関係では、見守り契約と後見契約があります。 見守り契約は認知症などいざという時に本人の代理はできませんが、 後見契約の場合はできます。 判断力が低下したときに人権を守ってもらうことができますが、 本人の代理ができるため信頼できる人にしましょう。 生命維持をしないと死んでしまう終末期となった時、どんな医療をしてほしいかを意思表示しておくことができ、救急処置や延命治療について事細かく希望することができます。 臓器提供の意思表示カードというのもあります。 親族が遠くにいる場合は、 葬儀や埋葬など死後の事務委任契約が必要になる場合もあります。 【介護を受ける準備】 介護サービスには、訪問介護やデイサービスに通うなどの在宅サービスや、施設に入所するサービスがあります。 施設に入所すると費用は高額で、在宅でも年間数十万円は必要です。 家をバリアフリーに改修したり、一人で心配な場合は様々な種類のある安否確認サービスに加入したりしましょう。

●終活を始める時期

終活は意外とやるべきことがたくさんあります。 仕事や子育ての忙しい時は、調べものや部屋の片付けなど、しっかりとやるのは難しいでしょう。 この時から始めなければならないといった決まりはありませんが、定年退職した後や、子どもが就職や結婚した後など、自分の時間が取れるようになった時がベストタイミングなのではないでしょうか。 終活を始める時期に早すぎるということはありません。 葬儀やお墓など、自分が亡くなった際にどのくらいの費用がかかるかが分かるので、老後の家計を把握しやすくなります。 身の回りの整理や、万が一の際に延命治療や臓器提供などをどのようにして欲しいか自身の意思を明確にしておくことなどは、年齢を問わず役立ちます。

推定相続人

推定相続人

推定相続人とは、将来相続が起こったときに遺産相続することが推定される人のことです。 人が亡くなって遺産相続が発生するときには、基本的に法定相続人が相続人となりますが、まだ被相続人が亡くなっていない段階では、相続自身が起こっていないので相続人は確定しません。 ある人に配偶者と子どもがいる場合、相続が起こったときには配偶者と子どもが相続人になりますが、本人が生きている間はまだ相続が起こっていないため、配偶者と子どもは推定相続人になります。 推定相続人は今の状況のまま相続が起こったら相続人になる人ですが、将来必ず相続をするとは限りません。

●推定相続人が遺産相続できない理由

推定相続人は将来相続が起こったときに必ずしも相続人となるわけではありません。 【相続欠格】 推定相続人が相続できなくなる理由に、相続欠格があります。相続人に重大な問題がある場合に、当然に相続人の資格を失わせることです。 ・故意に被相続人や先順位または同順位の相続人を死亡させるか、死亡させようとして刑罰を受けた人 ・被相続人が殺されたことを知っているのに告訴や告発をしなかった人 ・詐欺や強迫行為によって被相続人の遺言作成や取消、変更を妨害した人 ・詐欺や強迫によって被相続人の遺言作成や取消、変更をさせた人 ・遺言書を偽造、変更、破毀、隠匿した人 【相続人の廃除】 推定相続人が相続できなくなる理由に、相続人の廃除もあります。相続人の廃除とは、相続人に非行がある場合に被相続人の意思によって相続人の地位を奪うことで、相続人が被相続人を虐待した場合などにおいて相続人の廃除ができます。 相続人の廃除は被相続人の生前に家庭裁判所に申し立てることで行うこと、遺言により行うことも可能です。 廃除されると、推定相続人であっても遺産相続はできなくなります。 【相続人の死亡】 推定相続人が相続できなくなる理由に、相続人が被相続人より先に死亡してしまったこともあります。 しかし、推定相続人に子どもがいた場合は代襲相続が起こる可能性があり、子どもが父親の推定相続人になっているときに父親より先に子どもが亡くなると子どもは相続ができなくなります。 この場合、子どもに子どもがいた場合には孫が代襲相続によって相続人となり、孫がいなければ第2順位の法定相続人である親に相続権が移ります。

●推定ではなくなるタイミング

相続が発生した場合には法定相続人を調べる必要があり、誰が法定相続人となるかを調査して法定相続人が確定すると、推定は外れます。

生前整理

生前整理

生前整理とは、自分の死後に備えて財産や持ち物を整理することです。

生前整理は物の整理も含まれますが、自分の亡きあとに遺品整理や相続問題で家族が困らないように身辺整理をしておくという意味合いで用いられることが多いようです。

最近では終活が一般化してきたこともあり、生前整理を行う人が増えています。

●概要

生前整理とは、不要な物を減らして快適な老後を送るために元気なうちに自身の財産を整理することです。

少子高齢化の進行とともに子供や孫に遺産整理で迷惑をかけたくないと考える人が増え、終活の一環として生前整理が行われるようになりました。

自分の他界した後に残された方が困ったり争ったりしないよう、財産や住空間を整理する生前整理。

通常、親族が亡くなると遺族が遺品の整理や財産の分配手続きを行いますが、その手続きや遺品整理には大きな手間と長い時間を必要とすることもあるため、遺族に大きな負担がかかることもあります。

また、遺書などで故人の明確な意思が示されていない場合は、故人の希望に沿った遺品整理ができているという確証が持てないまま遺品整理をされることにもなりかねません。そのようなことを防ぐために生まれた考え方が生前整理です。

●整理の種類

・生前整理…本人が家族や親族のために、主に財産問題や相続トラブルの解消のための整理
・老前整理…本人が自分のために、今の暮らしをよりよくするためにシンプル化する
・遺品整理…遺族が行う、故人の遺品を整理する

●生前整理のメリット

・自分の意志で所有物をコントロールすることができる
・自分が他界した後の家族の負担を軽減させることができる
・整理することで余生を快適に送ることができる
・処分することで不用品にかかっていた維持費を抑えることができる

遺族の負担軽減

人は年を重ねるほど家具や家電、衣類、食器などの持ち物が増え、多くの場合は所持品の価値は持ち主にしかわかりません。もしものことがあったときに家の中が物であふれていたら、遺族は遺品整理に膨大な時間と手間を費やすことになってしまうこともあります。

また、不用品と判断して処分した後で大切な人が遺していった物を捨ててしまって良かったのか、本当は取っておくべきだったのではないかなどの後悔をしてしまうこともあります。

そのため、自分が元気なうちに不要な物を処分したり譲ったりして物を減らしておくことは、遺族の時間的負担や精神的な負担を軽減してあげることになるのです。

また、値打ちのある装飾品などは死後に遺品の分配をめぐって親族が争う可能性があります。

生前整理には、相続をスムーズにし無用なトラブルを防ぐ効果も期待できます。

・相続問題、家族間トラブル回避

生前整理は残された家族が相続問題で揉めないように行う整理という意味合いで語られることが多く、生前整理を行うことで財産の整理がしやすくなり相続財産の一覧を作成することができます。

相続財産の一覧を利用して遺言書を作成したり、エンディングノートを作成したりすることもできます。

どうしてその内容の財産配分を考えたのかその理由を残すことにより、故人の意思が明確になり自身亡き後の相続問題での家族間トラブルを回避することができます。

・家族の遺品整理の負担を減らす

遺族が遺品整理を行う際、家を片付けや必要な物を探すために時間や体力、精神的に大きな負担を与えてしまいます。

住宅が賃貸であった場合はすぐにでも立ち退く必要があるため、遺族が遠方にいる場合は遠方から来てすぐに片づけなくてはいけない状況となります。

ある程度生前整理をしておくことで、家族の負担を少しでも減らすことができます。

自分自身のためになる

所持品を整理しないまま最期の時を迎えると、本来形見として家族に渡したかった物が処分されてしまったり、別の人に渡ってしまうこともあります。

また、家族に見られたくないものや人に知られたくなかったプライベートな事柄を知られてしまう可能性もあります。

大切な人にきちんと感謝の気持ちを残したり最後まで自尊心を守り通したりするためにも、生前整理は有効です。

生前整理をするためには必ず自分にとっての理想的な最期について考え、今をどう生きるかを考えることにもつながります。生前整理は死後のためだけでなく、今の人生を充実させることにもつながるのです。

生前整理をするときには理想の最期に向かって自分がこれから生きていくために欠かせない物だけを残すと考えて仕分けますので、不要な物がはっきりと見えてきます。

生前整理をすることで物が減り、生活が快適になることもメリットといえます。

・いざという時のために備えることができる

日本人の半数はがんにかかるという厚生労働省の統計があり、また、団塊の世代が75歳以上となる2025年頃に、認知症患者は5人に1人を占めるともいわれています。

もし、がんにかかって入院しなくてはいけなくなったり、体を痛めたり認知症になるなどして施設に入居することになったとき、整理をしておくことで、本人の精神的負担も家族への負担も軽くなります。

あらかじめ対策をしておくことで、予期せぬ入院にも慌てずに済みます。

整理整頓された環境で暮らすことは、ストレスからくる疾病やつまずいて転ぶなどから起こる怪我のリスクも軽減されます。

●生前整理を始めるタイミング

体力気力の充実している若いうちに行いましょう。

子供の独り立ちや家族と同居するタイミングで行うこともおすすめ、思い立ったときに始めてしまうことが肝心です。

持ち主の意思が反映させるためにも、なるべく元気なうちに考えておくことをおすすめします。

●生前整理の方法

・財産の目録を作る

必要な物を処分してしまわないように、財産目録の作成から始めましょう。

集めたものは大きめの箱を作りそこにまとめておき、絵画や壺などの骨董品など大きなものは保管する部屋を決めて誰にでもわかるようにしておきましょう。

・長年使っていない物を処分する

貴金属、古本や雑誌などでまだ価値のあるもの(小説、単行本、学術書)などは、売却しましょう。

タンスやベッドなど大型の家具が必要なくなった場合には、リサイクルショップなどに売却したり、状態の悪いものは自治体のルールに従って処分しましょう。

・処分に迷うものは

昔の写真で、バラバラに保存してあるものは、年代ごとにひとまとめにして整理しておきましょう。先祖代々の記録は子孫にとっても大切な宝物になります。

洋服は特に思い出深い何着かを残しておいて処分しましょう。それ意外は、写真やビデオに残しておきましょう。

亡くなった方の思い出の詰まった時計や貴金属もいくつか思い出深いものを残して処分しましょう。

生前葬

生前葬

生前葬とは、存命している人物が自分自身の葬儀を行うことです。 人生の節目など元気なうちに感謝を伝える葬儀で、人生においてお世話になった友人や知人を招待して元気なうちに感謝の気持ちやお別れを告げる、社会的関係に区切りをつける場合に行われています。

●概要

生前葬とは本人が主催者となって生前に行う告別式です。 従来の葬儀や告別式とは異なり、本人がそれまでにお世話になった友人、知人を招待し、感謝の気持ちとお別れを告げることを前もって行い社会的関係に区切りをつけるもので、本人が直接、友人や知人に感謝の言葉を伝えることができるのが生前葬の特長となっています。 自らの生があるうちに、縁のある人やお世話になった人を招いてお別れと礼を述べるために行なう人が多くなっています。 本来出席できないはずの自分の葬儀に喪主として参加することができるため、思い通りのやり方で行うことができます。 そのため、無宗教であったり、音楽やスライドなどを多用した明るい葬儀であったり、一般の葬儀とは異なるイベント的な葬儀もあります。 形式はカラオケ大会や立食パーティー、自費出版の自分史を配るなど様々です。 日本では交際範囲の広い知識人が、自らの社会的活動の終止を告知する機会として開催することが多くなっています。 本人が本当に亡くなった後も、遺族により再び葬儀が行われることもあります。

●生前葬がオススメな方

・縁者らに自分の気持ちを伝えて区切りをつけたい想いがある方 ・同世代の交友関係・仲間たちに先の気遣いをさせたくない方 ・家族に葬儀の負担をなるべくかけたくない想いが強い方

●生前葬を行う主な理由

・自分の意思と責任で葬儀を行い見届けたい ・不義理、疎遠な人にも直接会ってお礼が言いたい ・余命を受入れ人生を大切に捉える機会としたい ・大切な人達と人生を振返り、その意義を再確認したい ・自分の死後、必要となる事柄に予め対処しておきたい ・高齢になるにつれ、体力的理由で葬儀に出席できない人が増えると予想されるため生前葬を行っておきたい ・社会的地位のある人が区切りをつけるために行う

●生前葬が普及しない3つの理由

・費用がかさむ 生前葬の費用は約54万~約116万円と言われています。 しかし、生前葬を行ったからといって、亡くなったときに何もしないでいいわけではありません。少なくとも遺体を処置するために、火葬まで行う必要があります。 生前葬は無宗教葬で行われることがほとんどで、無宗教葬とはお坊さんや神父さんなどの宗教者を呼ばないで、音楽や映像を流したり、友人がお別れの言葉を述べたり祭壇に献花を行ったりする形式のお葬式です。 生前葬に無宗教形式が多いのは、それに対応できる宗教者が少ないという背景もあります。 生前葬を行った人が亡くなった後、その家族に信仰がある場合はその宗教の形式で葬式を再度行うことが多いです。 儀式を2回行うことも多く、費用もかさみます。日本の葬儀費用は高すぎると言われる中、わざわざお金も手間もかかる生前葬を催す人は少ないと思われます。 ・参加者を集めるのが難しい 葬式の参列者は減少傾向にあり、日本人の高齢化や、引退した後の人間関係の希薄化、高齢者の体力の低下など理由があります。 一般人が生前葬を行う場合も同じで、たとえ声を掛けても、参加してもらえるかどうかわかりません。また、生前葬はまだ多くの日本人にとってなじみの薄い行事のため、招待したとしても冗談ととらえられる可能性もあります。 一般の人が生前葬を行う場合、集客面でかなり苦戦することが予想されます。 ・生前葬を催す度胸がない 男性は自分の死について考えることをとても嫌う傾向があります。 自分の葬式のことすら考えるのがイヤな男性が、わざわざ生前葬をしたいとは思う方は少ないでしょう。

●生前葬のメリット

・自分でお世話になった人たちに直接お礼を言うことができる ・一般的な葬儀よりも自由度が高く、自分の思い通りの葬儀を行うことができる ・形式にこだわらなければ葬儀費用を安くできる

●生前葬のデメリット

・葬儀形式を決めるのが難しい ・親族や参列者への配慮が必要

●生前葬の注意点

・実際に亡くなった時に、あらためて火葬を行わなくてはならない ・まだ一般的ではないので、参列者への配慮が必要となる ・事前に親族の理解と同意を得ておく必要がある ・場合によっては、火葬と含めて費用がかさむ可能性もある ・亡くなった時に、あらためて死亡案内等を送る必要がある ・火葬後の骨の処理方法や相続、遺品処理方法についてもまとめておく

少子高齢化

少子高齢化

少子高齢化とは、一つの国や地域で出生率の低下による少子化と平均寿命の増大が同時に進行し、人口に占める高齢者の割合が上昇していく状況です。現在、世界の先進国の中で人口問題として取り上げられています。 出生数が減り、高齢者が増え、さらに高齢者の寿命が伸びることをいいます。出生数が減る「少子化」と、総人口に占めるおおむね65歳以上の人口が増大する「高齢化」が同時に進行している状態と言えます。少子高齢化が進むと、若年労働力の不足や老人医療費の増加など、様々な問題が起こります。

概要

少子高齢化とは出生率の低下や平均寿命の伸びが原因で人口に占める子供の割合が減り、同時に高齢者の割合が増えることをいいます。 18歳未満の子どもの数が65歳以上の高齢者よりも少なくなった社会のことを「少子社会」と呼び、日本は1997年に少子社会に入りました。 一方、高齢化率が7%を超えた社会を「高齢化社会」、14%を超えた社会のことを「高齢社会」と呼びます。日本は1970年に7%を超えて高齢化社会となり、1994年には14%を超えて高齢社会となりました。少子高齢化により、若年労働力の不足や老人医療費の増加などさまざまな問題が起こっています。 1956年に国際連合が作成した報告書のなかで、老年人口(65歳以上人口)比率が4%未満を「若い人口」、4%以上7%未満を「成熟した人口」、7%以上を「高齢化した人口」と呼んでいます。 近年では、老年人口比率(以下高齢化率)が7%以上14%未満の社会を「高齢化社会」、14%を超えた社会を「高齢社会」、21%を超えた社会を「超高齢社会」と呼ばれています。 平成25年版高齢社会白書によると日本の高齢化率は65歳以上人口は3000万人を超え、平成24年10月1日現在24.1%で、「超高齢社会」となっています。 さらに、極端な出生率の低下による子ども数の減少が加わり、近年では「少子高齢社会」とされています。 平均寿命が男性79.9歳、女性86.4歳と世界でも有数であることから「長寿社会」とも呼ばれています。

少子高齢化によって引き起こされる問題

・経済面の問題 経済成長率の低下、国民生活水準への影響などがあります。 生産年齢人口(15~64歳)の総人口に占める割合が低下、社会経済的には富の創出基盤である生産年齢人口が低下、生活のために貯蓄を取り崩す高齢者の増加による貯蓄率の低下、年金や医療福祉などの社会保障の現役世代の負担増大などにつながります。 ・社会面の問題 単身者や子供のいない世帯が増加することで家族の形態が変化し、家系の断続や先祖に対する意識の低下につながります。 人口の減少と高齢化の進行で介護保険や医療保険の制度運営に支障が出てしまい、住民に対する基礎的なサービスの質が低下します。 道路や河川、田畑などの社会資源や自然環境の維持管理が困難になります。  

少子化が進んできた理由

・女性の高学歴化 ・晩婚化 ・未婚化 ・住環境の問題 日本の急激な少子高齢化の主な要因は、出生率の低下による少子化と平均寿命の伸長の二つがあげられます。 出生率の低下により子どもの数が減少しています。 合計特殊出生率(一人の女性が一生に産む子供の平均数)の推移は、第1次ベビーブームにあたる1949(昭和24)年に4.32であったものが減少しはじめ、1973(昭和48)年の第2時ベビーブームで出生数は増加しましたが、それ以降は出生率・出生数ともに減少傾向が続いています。 平成に入ってからは人口を維持するために必要な水準(人口置換水準)である2.08をも下回るようになり、2005(平成17)年に過去最低の1.26を記録して2012(平成24)年の時点で1.41。 日本の総人口は現在をおおむねピークとして、今後は長期にわたって減少していくことが予測されています。 出生率低下や出生数減少の背景にはさまざまな要因が考えられますが、主な要因として女性の晩婚化と出産年齢の高齢化、未婚化という社会現象が考えられます。 平均寿命の伸長は、2段階の死亡率低下によってもたらされました。 まず、戦後の栄養状態の改善や公衆衛生の発達、抗生物質の開発普及などの医学や医療技術の発達、医療施設の整備、医療保険制度の整備、感染症の予防対策などにより、乳幼児や若年者の死亡率が低下し、平均寿命の延びがもたらされました。 次に、近年における平均寿命の延びは、国民の健康への配慮が高まった事や目覚ましい医療技術の発達により脳血管疾患における死亡率の低下や病を抱えながらも延命が図られるようになり、主に中高年における死亡率が改善されたことが影響しています。

急速に進む高齢化

日本は世界に例をみないほど急速に高齢化が進行しており、21世紀半ばには国民の2.5人に1人が65歳以上の高齢者となる超高齢化社会になるとされています。 欧米先進諸国の高齢化の状況をみると、おおむね1950年頃には高齢化社会となっています。しかし、その時点における日本の高齢化率はそれらの国々の約半分にすぎませんでした。 2000年時点での高齢化率では、日本が諸外国を追い越して17.4%と最も高く、スウェーデンが17.2%、ドイツが16.3%、フランスが16.1%となりました。   今後もこれらの国々の高齢化率は増加傾向にあり、2020年頃から20%を超え始め、2040年から2050年頃にそれぞれピークに近い超高齢社会となるとの予想です。 スペインやイタリア等のいくつかのヨーロッパ諸国も2050年には高齢化率が30%を超えた高率になることが予測されています。 高齢化スピードを比較してみると、高齢化率が7%から14%へと倍増するまでの所要年数はフランスが114年と最も遅く、次いでスウェーデンの82年、アメリカの69年、イギリスの46年、ドイツの42年で、日本は24年という極端に短い期間で高齢化が進行しています。 日本の高齢化率は1970年頃から急激な右肩上がりとなり、030年で30%を超え、2050年には39.6%になると予測されています。

高齢化の地域間格差

人口の高齢化には地域間における大きな格差が認められます。 原因は、1955(昭和30)年頃より始まった高度成長期における農村地方から大都市圏や都市部への若年世代を中心とする労働人口の移動です。 この人口移動により、大都市圏や都市部では人口過密の問題が、地方では人口過疎と若年層が都市部へ移動したことによる高齢化の問題となりました。

高齢者福祉施策の総合化と少子化への取組み

平均余命の伸びという人類が昔から望んできた輝かしい成果をそれぞれの人が活かせるように、高齢者支援が適切に進み高齢者が元気であれば、社会全体が元気になります。 介護サービスにさまざまな活動支援を連携させることで介護予防につながったり、より自己実現を支援することができる満足度の高い介護サービスの展開につながったりと、高齢者福祉施策の総合化が求められています。 同時に現役世代や子育て世代の働き方の見直しとしてのワーク・ライフ・バランスの促進や、未婚者に対する少子化対策などを積極的に実行に移し、共生社会の実現にむけて持続可能な社会保障制度の確立が重要となっています。

生前贈与

生前贈与

生前贈与とは、生存中の個人から別の個人へ財産を無償で分け与えることです。相続・遺産対策を目的に配偶者や子などに財産を与えることを意味します。

●生前贈与のメリット

相続税は2015(平成27)年の制度改正により基礎控除額が引き下げられ、以前は必要がなかった人まで申告しなければならなくなり、税率の引き上げも行われたため大幅な増税となりました。

その一方で、同時に改正された贈与税が減税されたことで、生前贈与の有効性が高まったのです。

・節税効果が高い

生前贈与の最大のメリットは、節税効果が高いという点です。2015(平成27)年の改正で相続税が増税され贈与税は減税されたことで、相対的に生前贈与を利用する方が多くの資産を残せるようにななりました。

贈与税に新しく設けられた特例贈与財産は、20歳以上の直系尊属(子供や孫)に贈与する場合は特例税率が適用され税率が軽減されることになります。贈与税には教育資金や結婚資金贈与の非課税など様々な特例もあるため、有効利用すること大幅な節税が可能です。

・相続人同士のトラブルを避けることができる

遺産を法定相続人で分割する場合、上手くいかないことが多く、裁判にまで発展することも多くなっています。たとえ遺書があったとしてもその有効性をめぐって争いが起こり、すでに亡くなっている人の意思は確認できないため簡単には決着がつきません。

こうしたトラブルを未然に防ぐためにも、生前贈与を利用して資産を渡しておきましょう。仮にトラブルが発生しても生きていれば話し合いをすることができるので、大ごとになる前に収めることができます。

・相続人以外にも資産を渡すことが可能

原則的に、被相続人が亡くなった後に遺産は法定相続人たちによって分割されます。しかし、生前贈与を活用することで、法定相続人以外にも資産を渡すことが可能になります。

ある特定の資産をこの人に渡したいという場合など、非常に有効な方法です。生前贈与は節税効果があるだけでなく、被相続人の意思を最大限反映させることができる制度となっています。

●生前贈与の方法

・暦年贈与制度

暦年贈与とは、1月1日~12月31日(1年)の間に1人当たり合計110万円以内で贈与していく方法です。これを毎年繰り返すと、たとえどんなに額が大きくなったとしても贈与税はかかりません。

贈与を受ける対象者についての制限がないため、親族だけでなくそれ以外の人にも財産を渡すことが可能です。

・相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母または祖父母から20歳以上の子または孫に対して財産を贈与した場合は2,500万円までは非課税とするもので、一度に大きな額の贈与が可能です。

2,500万円を超える部分については、一律に20%の贈与税を納めることになります。

●生前贈与の特例

生前贈与には暦年贈与と相続時精算課税制度だけでなく、特例が設けられています。

これらの特例は暦年贈与や相続時精算課税制度との併用が可能であるため、うまく活用すれば大きな節税効果が期待できます。ただし、期間限定のものが多いため注意が必要です。

・配偶者控除を利用した居住用不動産贈与の特例

配偶者控除を利用した居住用不動産贈与の特例とは、婚姻期間が20年以上の夫婦に限り、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭を贈与する場合は2,000万円までは非課税で贈与できるという制度です。

贈与税の基礎控除と一緒に使うことができるので、合計2,110万円の贈与が可能になります。

この特例を受けるためには、夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与がおこなわれたこと、自分が住むための国内の不動産を購入するために贈与がおこなわれたことなどの条件を満たす必要があります。

・住宅取得等資金の贈与の特例

住宅取得等の資金の贈与特例とは、子供や孫が家を購入する際その資金援助であれば700万~1200万円までは非課税というものです。2015年1月1日から2021年12月31日までの期間限定の制度となっています。

新しく住宅を取得するための援助資金に限られるため、現在返済中のローンなどはこの対象にはなりません。契約をした年によって非課税の額が異なるため注意が必要です。

・教育資金の一括贈与の特例

祖父母から孫の教育資金を渡す場合は、教育資金という名目であれば、1人当たり1,500万円までの贈与を非課税とすることができます。この特例も直系尊属かつ贈与を受ける側が30歳以下という条件があります。

教育資金の贈与を活用するには、金融機関との教育資金管理契約を結び専用口座を開設しなければなりません。

贈与を受けた人は、必要な時(授業料の支払い等)に口座から引き出し、領収書を銀行に提出する必要があります。教育資金の一括贈与の特例は、2013年4月1日~2019年3月31日までの期間限定となっています。(期間の内に申し込みを済ませれば適用対象)

・結婚や子育て資金の一括贈与の特例

結婚や出産、子育ての資金の場合は、1人当たり最大1,000万円までの贈与を非課税とすることができる特例もあります。ただし、贈与を受ける側が2015年4月1日~2019年3月31日までの間20歳以上50歳未満であることが条件となっています。(期間内に贈与すれば適用対象)

結婚資金のみの場合は300万円が上限、結婚資金・出産資金・子育て資金の場合は1,000万円が上限です。贈与の方法は、金融機関に結婚・子育て資金の専用口座を開設し贈与する金額を預けます。

成年後見制度

成年後見制度

成年後見制度とは、判断能力が不十分な方々を、法律面や生活面で保護したり支援したりする制度です。 私たちは契約を前提とする社会に生きており、スーパーやコンビニなどで買い物するのも契約書を作ったり、印鑑を押したりはしませんが契約となります。 契約をするためには、自分の行為の結果がどのようになるか判断できる能力が必要となりますが、判断能力が不十分な場合はそのことにより不利益を被ってしまうこともあります。 そうならないように支援するための制度が成年後見制度です。

●成年後見制度の利用するといい方

・老後の財産管理が不安 老後を考えると、お金のことや健康、その他日常生活に関する様々なことが不安に思う方も多くなっています。ひとり暮らしの方は身の回りのことをすべて自分ひとりでやらなくてはならないため、より負担が増えます。 特に財産の管理は生活を維持するために最も大切な問題ですが、年をとるにつれて判断能力が衰えると貴重品の管理や家計のやりくりが困難になります。 認知症になってしまった場合は自らの力で意思決定をするが難しくなり、大切な財産を失うことになってしまうこともあります。 老後はお金に関することで誰かに支援を受けたいと考える方は、安心して老後生活を迎えるためにどのような制度があるかを知りあらかじめ準備をしておきましょう。 老後で心配になるのはお金です。収入と支出のバランスを考え、家計をやりくりしなければなりません。家賃や光熱費の各種支払いの手続きなど適切な収支計画を立てることで、無理なく安定した生活を送ることができます。 高齢にともない病気を発症するリスクも高くなりますので、突然病気になって入院することになった場合は入院手続きや入院費用の支払いも困難になります。 そのようなときに書類の記入などの手続きをしてもらうことができれば精神的な負担はかなり減らすことができ、治療費の支払いも銀行でお金を下ろすことになった場合は代行してくれる人がいると助かります。 介護施設に入居するための資金として不動産を売却したいと思っても、認知症で判断能力が低下している場合は契約の締結ができないこともあります。正確な判断が求められる大切な契約をするときは、信頼がおける人の支援が必要になります。 老後のひとり暮らしを安心して過ごすためには、財産の使い道や各種手続き、身上監護に関する契約において、適切な対応や判断が求められます。 ・自分で人生を選択したい ひとり暮らしをする人にとって心配なことは、自分の身に何かあったときに助けてくれる人がいないことです。歳を重ねてくると、もしアルツハイマーになったらという不安も出てくると思います。 成年後見制度を利用することによって、アルツハイマーになっても後見人を通じて自分自身で選んだ人生を生きることができます。 任意後見制度であらかじめ後見人を決めておきます。 自分の判断能力があるうちに話し合いで後見人を決め、その後見人に何をどのようにしてほしいかなどを伝えておきます。このとき何をどの程度まで後見人に任せるかは、話し合いで自由に決められます。 判断能力が不十分な状態になったときに家庭裁判所に申し立てをして、任意後見監督人を選任してもらい、その後、後見人が任意後見の監督の下、本人の意思に従って財産などの管理をおこないます。 アルツハイマーの症状が見られる前から後見人に財産の管理などを依頼する、任意代理契約もあります。これは通常の委託契約で、きちんと自分の意思に従ってくれているかを後見を依頼した本人がチェックします。任意後見制度と違い監督をする者がいないため、この契約を結ぶ場合は慎重な対応が必要です。 任意後見制度で決めた後見人は、後見を依頼した本人が生きていて判断能力が落ちた場合に代理で財産管理などをおこなうことのできる人です。死後の事務は任せることはできず、法定後見制度で利用できる同意権や取消権もありません。この点については注意が必要です。 任意後見制度を利用するためには、事前に決めた代理人が公的に後見人として認められていなければなりません。そのためにはまず公証人役場で公正証書を作成する必要があり、公正証書の重要事項は法務局に登記され、誰が後見人なのかや後見人にどのような権利があるのかなどが登録されます。 自分の考えを後見人に伝え契約しておくことで、アルツハイマーになっても自分で選んだ生き方をすることができます。後見人には家族や友人、弁護士、司法書士など信頼できる人を選びましょう。

●後見人になれない人

後見人となるためには特に資格は必要ありませんが、後見人となることができない人はいます。 ・未成年者 ・過去に家庭裁判所で解任された法定代理人、保佐人、補助人 ・破産手続きを行っている人(免責を受けた後には可能です) ・音信不通となっていて連絡が取れない人 ・過去に本人に対して訴訟を起こしたことがある人や、その配偶者や近親者 ・後見人にふさわしくない不正な行為や不行跡が過去にある人

●成年後見制度のメリット

・法律的な被害から守ってもらえる 年齢を重ねることにより、身体機能が低下したり判断能力が落ちて騙されたりすることがあります。 成年後見人は不正な法律トラブルから守ってもらえます。 不正な支出を勝手に行わないように財産を預けることにより、財産を守ることができます。 ・既に契約した本人に不利益な契約を取消すことができる 自分で契約したものでそれが本来的には不利益となるような内容である場合、成年後見人を選任すると過去の契約を取り消すことことができます。 成年後見人は、法律的なトラブルを予防することも、既に発生していた法律トラブルにの取り消しも対処することができる点で非常に有益な制度です。 ・信頼できる後見人に法律手続きをしてもらうことができる 成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度の2つの制度があります。 まだ元気なうちに任意後見制度を選択した場合には、自身が信頼できる人を自由に後見人として選ぶことができます。 認知症などになり法定後見制度により後見人がつく場合でも専門家がつくケースが多く、信頼できる人に法律手続きを行ってもらえるため安心することができます。 身内に相続が発生した場合には代わりに遺産分割協議書の手続きを行い、老人ホームに入退去する際にも契約手続きを行ってもらうことができます。 契約行為の細かい点をきちんと確認してもらうことや実印を預かってもらうことで、成年後見人が代わりとなって滞りなく手続きを進めることができます。

●成年後見制度のデメリット

・毎月成年後見人に支払う報酬が発生する 成年後見制度を一度利用することを決めてしまうと、自身の財産より成年後見人に対して一定額の報酬を支払わなければいけません。 成年後見をつけるための申し立て費用も必要です。 家庭裁判所への申請手数料を始めとして、場合により成年後見制度を利用すべきかの鑑定費用を要し、申立てを専門家に依頼する場合には30万~50万円程度の費用がかかります。 成年後見人がついた後の業務に対して支払う報酬としては、基本的に毎月2万円となりますが、資産が多い場合は更に上乗せして支払わなければいけません。 ・節税対策が出来ない 成年後見人は自身の利益を守ることを目的として行動することが求められるため、自身が亡くなった後の家族や親族への節税対策をすることができません。 自身がが節税対策をすることによって得をするのは自身ではなく、残された家族や親族です。 贈与の非課税枠や相続税の基礎控除の枠を増やす対策をすることは許されないことになっています。 ・成年後見人選任までに時間を要する 成年後見の手続きをを開始するためには、家庭裁判所に複雑な申請手続きをする必要があります。申請後も審査期間を要するため、平均して申立て後3ヶ月程度はかかります。 ・一定の地位に就くことを制限されてしまう 成年後見人をつけることで、一定の地位に就任することができなくなってしまいます。 成年後見人をつけること社長になることができず、弁護士や司法書士などの士業などの仕事に従事することも欠格事由として制限されてしまいます。 成年後見制度を利用しなければいけない場合には、正常な判断をする能力が弱くなっているため、重要な業務を行う仕事に就くことは危険であると考えられているためです。

葬儀

葬儀

葬儀や葬式とは、人の死を弔うために行われる祭儀や葬制の一部です。

概要

葬儀の様式にはそれを行う人たちの死生観や宗教観が深く反映されます。その意味で、葬儀は宗教が文明に発生する以前の旧石器時代から行われてきていた宗教的行為であるといえます。

また、葬儀は故人のためだけでなく残された人のために行われるという意味合いもあり、残された人々が人の死を心の中で受け止めるのを援助する儀式でもります。

歴史

現在、発見されている歴史上初めての葬儀跡と言われるものが、イラク北部にあるシャニダール洞窟で見つかっています。

この洞窟の中には約6万年前と推定されるネアンデルタール人の骨が発見され、その周辺にはこの洞窟から見つかるはずのない花粉があり、これは死者を弔うために花を死体の周りに添えたと解釈されています。

しかし、近年の研究ではネアンデルタール人による埋葬の習慣に関して疑問が生じており、仮に埋葬の習慣を認めるとしてもその形式は現生人類(ホモ・サピエンス)と比較するとかなり単純でです。

現生人類はネアンデルタール人と違い抽象的思考力や認知能力、言語能力が高く、高度な精神文化を発達させ、埋葬の形式は高度化しました。

古代ギリシャや古代ローマでは、霊魂は不死であり死後一定期間肉体の周辺にとどまった後に冥界や天界に旅立つ、と考えられていました。

古代ギリシャでは土葬と火葬が併用されましたが、土葬に比べて火葬は手間と費用が必要でした。エトルリア文化の影響のあった古代ローマでも火葬と土葬は混在していましたが、肉体の復活を信じる人は土葬を選択しました。

日本での葬儀

通夜は古代の殯に発し、葬儀の前夜祭の形態をります。
誰かが寝ずの番をして、夜明けまで灯明や線香の火を絶やさないようにします。(魔除けの意味がある)
近年では消防署などにより式場では夜間の火は焚かないよう指導が入ることもあり、都市部の式場では夜通しではなく半通夜と呼ばれる形態で夜は遺族が帰ってしまう場合もあります。

僧侶などによる葬儀が終わると出棺が行われ、多くの参列者とは別れるのが一般的です。出棺の際に、故人が使っていた属人器であるご飯茶碗を割ったり、座敷を掃き出したり、カゴや臼を転がしたりする風習が残っている地方もあります。

火葬場に向かう道と帰り道は同じ道を通らないことが一般的です。一本道で難しい場合であっても、可能な限り同じ道を通らないように努力しなければなりません。埋葬した死霊が付いて来ない様にするためですが、逆に同じ道を通らなければならないとする風習もあります。

葬儀終了後に「振り塩」と呼ばれる清めの塩を撒いていましたが、これは神道由来の慣習であって死を穢れとみなさない仏教の教義に反するとの考え方が多くなり、元来これを行っていなかった浄土真宗を中心に近年では行われない場合も多くなっています。

遺体を安置する場合には、遺体の胸の上に魔除けとして刃物を置きます。
これは守り刀と呼ばれ、由来は武士の社会で刀によって魔を斬るといった意味や魔物の使いとされていた猫が光り物を嫌がるために刀を置くことが魔よけとされました。

遺体を安置すると、そこに供え物として枕飯や枕団子をお供えします。
枕団子は米の粉などを丸めて作ったもので数は地域によって差があり、六地蔵、六道から六個とする説と、十三仏などからとった13個とする説があります。
亡くなった日から一個ずつ増やして四十九日までお供えし、49個飾る地域もあります。
枕飯はご飯を御茶碗に山盛りにして、御箸をさして飾ります。

告別式は一般に友引の日を避けますが、これは俗に「友を(死に)引かない」よう配慮するためとされています。
ただし、元来六曜は仏教とは関係がない賭け事や勝負事から入って来ており、友引とは「勝負事で友人と引き分ける」という意とされ、陰陽道との混淆に由来します。
友引の日に告別式を行わない風習は迷信と考えられることもあり、火葬場は友引の日が休業日になっている所が多いですが友引でも休業日でない所も増えています。

墓地など埋葬する場所まで送ることを野辺送りということもあります。
三回まわしと言い、出棺する前に棺をその場で3回廻したり、建物を3回廻ったりして出棺する風習が一部地域で見られることがあります。

振り銭や振り餅、葬列時に花籠に銭や餅を入れ落としながら葬列する風習もあり、ざるから手で取って撒く場合は撒き銭や撒き餅などとも呼ばれます。

同じ日本でも沖縄県では中国の文化の影響を強く受け、琉球の信仰に基づく葬儀の風習はかなり特異で、告別式の前に火葬を行うのが一般的です。
また東北地方、中国地方、九州地方の一部でも告別式の前に火葬を行うことが多くなっています。

相続財産分与

相続財産分与

相続財産分与とは、被相続人に相続人が複数存在する場合に遺産分割をして相続財産を分与することです。

●相続人同士で争わないための相続財産の分与

・遺言がない場合の相続財産の分与 身近な人が亡くなったときには、被相続人の持っていた財産の相続の手続きを行う必要があります。 相続では遺言が優先になるため、被相続人による遺言がある場合は遺言に従って相続手続きを行います。 遺言が残されていない場合は、相続人が一人しかいなければ特に問題が起こることはありません。 しかし、遺言が残されておらず相続人が複数いる場合には、相続財産を誰がどれだけ取得するのかという問題が発生します。 ・相続財産は遺産分割で分ける必要がある 民法では法定相続分(各相続人が相続する財産の割合)が定められており、相続財産は各相続人が法定相続分に従って取得するのが原則になります。 しかし、相続財産が自動的に分割されて相続人に帰属するわけではありません。 相続財産は相続開始と同時に相続人全員で共有することになり、相続財産を分けるためには遺産分割が必要です。 ・遺産分割協議で相続財産の分け方について話し合う 遺産分割は、相続人全員の同意を得て行う必要があり、相続人の一部だけで勝手に決めることはできません。 遺産分割を行うためには、相続人全員による遺産分割協議(相続財産分与のための話し合い)が必要です。 遺産分割協議が成立すると、相続人全員が実印で押印した遺産分割協議書を作成します。 相続登記などの相続手続きは、遺産分割協議書に基づき行われます。 ・分与しにくい相続財産は争いになりやすい 遺産分割では、法定相続分という基準があってもスムーズに話し合いが進まないことがあります。 その理由は、相続財産の性質上、分けるのが難しいものがあるという点です。 相続財産の代表的なものは不動産で、土地や建物は物理的に分けるのが難しいためです。 不動産のように分けにくい相続財産は、分与の仕方を工夫する必要があります。

●主な相続財産の分与方法

・現物分割 現物分割とは相続財産を現物のまま分割する方法で、最もわかりやすい方法です。 現物分割で特に問題がない場合は、相続財産は現物分割するのがよいでしょう。 各相続人が法定相続分どおりの相続財産を取得できるよう、現物分割を行います。 特定の財産の取得を希望する相続人同士で争いになることもありますので注意が必要です。 ・代償分割 代償分割とは、相続財産の現物を取得した相続人が他の相続人に代償金を支払い、各相続人が取得した財産の額が法定相続分どおりになるよう調整する方法です。 相続財産として自宅不動産のみで、被相続人と同居していた相続人が自宅に住み続けたい場合などにはメリットがあります。 代償分割では、代償金の支払いが必要です。 代償金を一括払いできない場合、他の相続人が同意すれば分割払いも可能です。 しかし、支払いを確保できる保証がなければ、他の相続人が分割払いに同意するケースは少なくなってしまいます。 代償分割では、相続財産をどう評価するかで代償金の額が変わってきます。 遺産分割では、不動産の評価方法に絶対的な基準はないため、不動産の評価方法争いになることもあります。 ・換価分割 換価分割とは、相続財産を売却して得られた代金を相続人で法定相続分に応じて分ける方法です。 相続財産を金銭に換えた場合は相続分どおりきっちり分けられます。そのため、相続財産の現物の取得を希望する相続人がいない場合には、換価分割によれば公平に相続財産を分与することができます。 換価分割じは売却手数料などのコストがかかってしまうため、分与できる財産が減ってしまうというデメリットがあります。 売却により譲渡所得税が課されるケースでは、被相続人と同居していた相続人と他の相続人とで税額が変わってくることもあるため、争いになる可能性はあります。 ・共有 相続財産を分割せず、共有のままにしておくという方法です。 不動産については、遺産分割をしていなくても、法定相続分での相続登記が可能です。 不動産を共有にする場合は、各共有者がその不動産全体を利用することができます。 不動産の共有者は、他の共有者の同意を得ることなく自分の持分を売却することも可能です。 不動産を相続人の共有にすれば、一見公平な遺産分割ができるように思います。 しかし、不動産の持分の売却は可能とはいえ、通常は不動産の持分だけを購入する人は現れません。 不動産全体を売却したり賃貸したりするには他の共有者の同意が必要となりますので、相続した不動産を思うように活用できないことになります。 遺産分割が困難な場合でも、共有はできるだけ避けた方が無難です。

た行

魂抜き

魂抜き

魂抜きとは、お坊さんにお経をあげていただき仏壇やお墓に宿った魂を抜いくための供養です。

仏教の宗派の多くは、仏壇やお墓などに魂を入れる、魂を抜くという考えを持っています。

お墓や位牌、仏壇は使い始める時に僧侶によってお魂入れが行われて魂が宿っているされ、手を合わせる対象になるといわれています。

仏壇やお墓などは魂が宿っている状態のまま、動かしたり捨てたりするのはタブーとされています。

お墓を新たに建立したりリフォームしたりする場合、転居などでお墓を移転する(改葬)場合など、お墓から遺骨を出す場合や仏壇を処分する際に、その魂を抜いてただの物に戻す儀式が魂抜きです。

仏壇も、天災や火災、経年劣化によって仏壇を処分したり交換することもありあます。家の新築などで仏壇を引越しする必要が出る場合も、僧侶や神官によって仏壇や位牌の魂抜きを行なってもらいます。

魂抜きの呼び方

魂抜きは、一般的に「たましいぬき」と呼びますが、「たまぬき」「こんぬき」と呼ばれることもあります。

さらに、魂抜きと同じ意味の言葉として、「閉眼供養」「お精根ぬき」「お精抜き」「抜魂」、「撥遣供養(はっけんくよう)」ということもあります。

仏壇やお墓に宿った魂を抜くということを指します。

魂抜きを行う必要がある場合

魂抜きは、基本的にお墓を動かす場合や彫刻・加工をする前に行います。

・今あるお墓への戒名の追加彫刻

今あるお墓へ彫刻する場合、石碑に彫刻、墓標(墓誌、霊標)に彫刻があります。石碑に彫刻する場合は、魂抜きが必要です。

墓標(墓誌、霊標)に彫刻する場合は、魂抜きが必要な場合と不要な場合があります。これはお寺ごとによって違いますので確認が必要です。

・お墓の改葬(リフォーム)

お墓を改葬(リフォーム)する前には魂抜きが必要です。お墓本体を動かさずに玉砂利を新たに入れるだけや防草土を入れるだけであれば、必要ありません。

・お墓の移転(引越し)

お墓を移転(引越し)する際には、魂抜きが必要です。お墓にある遺骨は、移転先の新しい墓地へ移動させます。遺骨が既に土に還っている場合は、お墓の下の土を少しとって移転先へ持っていくことが多いです。

・墓じまい(解体・撤去)

墓じまい(解体・撤去)する際には、魂抜きが必要です。お墓の下にある遺骨は、お寺様に引き取っていただくなど、あらかじめ処置方法を決めておくといいでしょう。

魂抜きの流れ

①家族や親族と話し合う 

トラブルを防ぐために、話し合っておくことが重要です。

・なぜ工事をするか
・どんな工事をするか
・いつ頃、お墓の工事を行うか
・魂抜きの法要に立ち会えるか

魂抜きの法要には、身近な親族の方だけで行う場合が多いです。

②石材店に相談する

・工事完成日はいつか、考えている予定日に間に合うか
・工事費用はいくらか
・事前に準備するものはあるか(追加彫刻の場合、戒名など)

万が一、工事が間に合わない場合や他に問題のある場合には、もう一度家族や親族の方と話し合いましょう。

③お寺などに相談する 

・お供え物
・服装
・日時

寺院墓地を利用しており、墓地のあるお寺と菩提寺が異なる場合については注意が必要です。

お性根抜きをして頂くお寺様は、埋葬許可証の関係で菩提寺のお寺様ではなく墓地を所有するお寺様である場合があります。そのため、墓地を所有するお寺様への確認が必要です。

④決定事項を家族や親族、石材店へ伝える 

お寺と相談した結果、決定した事項を伝えましょう。

それぞれの方に、魂抜きの法要に向けて準備をして頂きます。

⑤魂抜き 

実際に魂抜きの法要を行って頂きます。魂抜きを行った後のお墓には基本的にはお墓参りをしませんので、法要に来られていない家族や親族の方にお伝えください。

戒名の追加彫刻や新たにお墓を建てる場合は、工事完成後に改めて「お性根入れ」の法要をしてから、お墓参りできるようになります。

手元供養

手元供養

手元供養とは故人の骨を供養の対象としたもので自宅供養とも言われ、故人の物質的な最後の存在である遺骨の一部を手元に置き供養する方法です。

概要

手元供養は一般的な葬送の方法である寺院への納骨の代わりや納骨を行ったうえに、さらに遺骨(遺灰)を自宅などで保管して慰霊の場を身近に置いて故人を偲ぶことです。

2006年6月に設立されたNPO手元供養協会が手元供養の社会的認知と普及の為の啓蒙活動を健全に行う組織として中心に提唱しています。

手元供養品は遺骨をそのままや粉骨化して自宅に置く方法と、加工型、納骨型の3種類です。

加工型は遺骨を釉の一部として焼成した陶器やダイヤモンドにする方法で、納骨型は地蔵の焼き物や石製のオブジェ、竹製・金属製・遺骨混入型のカロートペンダント・メモリアルペンダント・遺骨入れ・遺骨リング・メモリアルジュエリーなどがあります。
供養する側の好みや価値観、供養観、死生観などにより選ばれています。

また、花入れとされる陶器の手元供養品に花を活けることで供養とする花供養という新しい供養法も。

従来の形にとらわれないことから、自分らしいまたは故人らしい供養をという想いに応える偲びと癒しの対象として新しい供養のジャンルとなっています。

●分骨時の手続き

分骨や手元での保管自体に法的規制はありませんが「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」でお墓を墓地区域以外に作ることは禁じられています。

手元供養だと自宅の庭などにお墓を作ってはいけません。が、自宅の仏壇に骨壷で安置や手元供養専用のオリジナルスペースを設けて安置することには問題がありません。

必要な手続は、分骨後や手元供養の先にお墓などへ納骨する時を想定して書類を準備することです。

・火葬場で分骨するとき(焼骨を分骨するとき)

「分骨証明書」あるいは「火葬証明書(分骨用)」を火葬場で発行してもらいましょう。

・お墓などの遺骨から、一部だけ分骨するとき

「分骨証明書」を墓地管理者に発行してもらいましょう。

手元供養の需要

宗教的な供養を必ずしも望まない人が増え散骨や樹木葬、自然葬などが容認されてきましたが、お墓が残らない型式では何に対してお参りをして良いのか心もとないという現実もあります。

家族の多様化が進み、少子高齢化や子供のいないカップル、単身者なども増加して一族で継承するお墓制度に対応できない家族も増え、自宅に仏壇がない家庭も増加し場所を取らない手元供養が広まってきたとされています。

伝統にとらわれない供養の方法ですが、大切な家族を亡くしたつらい気持ちや故人を想って供養したいという願いが強くあらわれています。

手元供養を希望する理由

お墓参りや仏壇に手を合わせたりすることで昔から日本人は故人を身近に感じていました。
しかし、現代の生活スタイルが変化するにつれてそれが適わない、それでは満足できないという方が増えています。

・大切な人を遠くに葬りたくない
・お墓はあるけど手元にも置いて伴侶、家族を偲びたい
・お墓が遠くて墓参りにいけない
・無宗教なので宗教的な供養の仕方に抵抗がある
・無宗教なのでお墓や戒名は不要、自分らしい最期を
・従来型のお墓が金銭的に負担になるため故人も希望していた
・仏壇が無いが別の祈りの場を設けて故人を偲びたい
・結婚した娘だが、実の両親を手元で供養したい
・経済的な理由など何らかの事情でお墓を建立できない
・供養を人任せにしたくない
・残る家族に余計な負担をかけたくない

手元供養のメリット

・常に故人のことを身近に感じることができる
家族や大切な人を亡くした悲しみは計り知れないものです。
いつまでも故人と一緒にいることができる手元供養は、残された人を少しずつ癒していくこともあるでしょう。
遺骨や遺灰を自宅で保管することで常に故人をそばに感じることができ、故人とのこれまでの関係性を大切にされる方にとって大きなメリットです。

・自宅で供養できる
自宅で供養できる手元供養は、年を取るほど重要なポイントになってきます。
年を取ると徐々に出かけることがきつくなってきます。
霊園の多くは山手や海側の郊外の立地のことがほとんどで、お参りに行くには自動車で行くか最寄り駅まで行き送迎バスに乗るしかなく、年に2回程度のお墓参りが困難だという高齢者は多いです。
手元供養は自宅で供養ができますので、遠方に行くのがきつい年齢になっても大丈夫で、高齢者施設に入っても持っていくことができます。
引っ越しや体調が優れない場合などにお墓や寺院などに納骨している場合は出向くことが難しくなることもありますが、距離や時間を気にすることなく供養することができます。

・費用を抑えることができる
お墓の平均価格は181.5万円となっており、これに加えて仏壇まで揃えると、200万円以上の金額がかかります。
手元供養にかかる費用は安いものであれば1万円以内、高いものでも20万円前後です。
手元供養には一部分しか遺骨を納めることができないため残りの大部分の遺骨を供養する費用がかかりますが、全国各地に6万円以内という低価格で共同型(合祀)の永代供養ができるところもあります。
手元供養と永代供養でお墓や仏壇を揃える費用の10分の1以下の費用に抑えることができます。

手元供養のデメリット

・最終的に遺骨を入れた手元供養が残る
夫婦でどちらかが亡くなり遺骨を手元供養にした場合にもう一人が生きている間は問題ないのですが、その後亡くなった時に手元供養を含めてのことを考えなくてはなりません。
遺骨を取り出せる手元供養は夫婦で一つの骨壺にまとめるといった方法があり、その後永代供養することで解決することができます。
事前に夫婦で供養先を探しておき、遺骨の扱いについて意思表明しておくことが大事です。
事前に話し合いがされておらず残された遺族が残りの手元供養を供養しなくてはならない場合は、遺骨を取り出して合祀(合葬)を受け付けている寺院を自分で探す必要があります。

手元供養の種類

いつもそばにいつまでも一緒に持ち運べるように機能性で選んだり、インテリアや亡き人のイメージにあわせて選んだり様々です。

・遺骨ペンダント
ご遺骨のかけらや遺灰を納められるペンダントです。
大切な人との絆を収めいつでも身につけられるお守りとして、前向きに生きる支えとなってくれます。

・リング
指元にさりげなく、大切な人への想いを身につけることができます。

・ミニ骨壺
遺骨をそばに置いて手元供養したいという思いに欠かせないのが骨壷です。
お墓に収める骨壷と違い、ミニ骨壷は大切な想いを納めてともに暮らすための器で家の中に置くという観点からデザイン性に優れています。
部屋の中で思い出の写真と一緒に置いたり、仏壇の中に安置することができます。

デジタル遺品整理

デジタル遺品の整理

デジタル遺品の整理とは、パソコン・スマートフォンのデータ、SNSのアカウント、電子口座などのデジタル遺品を整理することです。 デジタル遺品はご遺族の方が相続することになりますが、資産だけでなく隠れた負債も相続してしまうこともあります。 有料サービスが自動引き落としになっている場合は、退会や解約手続きを適正に行う必要があります。 インターネットの利便性により、様々な情報をパソコンやスマートフォンで管理する人が増えてきました。かつては店舗に出向かなければいけなかった引き落としや支払いなどもネットバンキングで行えるようになり、株やFXなどの資産運用にもパソコンは欠かせないツールとなっています。 しかし、セキュリティの問題から本人以外が操作することが難しく、IDやパスワードが分からなければ資産を確認することができないという問題もあります。 また、家族には見られたくない情報を保存している人もいます。 ご遺族は、デジタル遺品が残されていないか、デジタル機器の中身を把握する必要があります。

●デジタル遺品整理の重要性

パソコンやスマホ、携帯電話などのデジタル機器の中には、使用している本人の情報がたくさん入っています。 持ち主が亡くなると、デジタル機器は「デジタル遺品」として遺族に残ることになります。 それらの中には写真や動画、ブログやSNS、ネットバンクの口座、ゲームのアカウントなどが存在し、中にはご遺族に見られたくない物も存在します。 それらをそのままにしておくと、個人情報の流出やアカウントの乗っ取りでのトラブル、FXをそのままにしておくとによる損失等が拡大することもあります。 スマホやPC内に記憶されたクレジットカードの情報からカード番号を読み取られ悪用されたりといったケースもあります。 最悪の事態を未然に防ぐためにも、デジタル遺品整理はこれからの時代に重要視されているのです。

●今すぐできる対策

大切な家族がデジタル遺品によってトラブルに巻き込まれたり、対応に困るような事態を避けるために今すぐできる対策をしましょう。 ・デジタル遺品の生前整理をする デジタル遺品によるトラブルを避けるための最善の方法は、本人が生前整理をしておくことです。 デジタル遺品は様々な情報を含んでいるため、しっかりと管理されていることが多くなっています。 ネット上で利用しているサービス、アカウントやパスワードの一覧表を作成して保存しておくと、必要な情報をすぐに見つけることができます。また、不要なデータはこまめに削除しておきましょう。 ・見られたくないデータは、パスワード設定をしてロックする 家族にも見られたくないデータがある場合は、早めにデータを削除したり、必要なものはフォルダ分けをしてパスワードを設定するなど、他の人の目に触れることがないようにしておきましょう。 ・家族に伝える 生前整理ができたら、エンディングノートを作成して家族に伝えることも大切です。 ネット上でのお金に関する管理情報は、もしもの時にすぐにパスワードなどの必要な情報を見つけることができるので、残された家族の負担を軽減できます。 保存されているデータだけでなく、自分のパソコンやスマートフォンの整理や処分方法なども具体的に希望を伝えておくと、自分がいなくなった後も安全に処分してもらうことができます。

●どうしてもパスワードが解除できない場合の対処方法

故人がパスワード情報を残していなかったり、情報を残していても遺族がその解除手順が分からないなどが理由でデジタル機器内に残されたデータの整理ができない場合など、デジタル遺品整理を行えないことがあります。 どうしてもパスワードが解除できない場合は、専門業者に依頼してロックを解除して方法があります。 そのまま放置してしまうと、残されたデータからトラブルに発展する可能性もあるため、デジタル遺品をしっかりと整理や処分を行うことが大切です。

●デジタル遺品のトラブル

デジタル遺品は、膨大な個人情報や重要な情報が含まれているため、その整理や処分方法などをめぐるトラブルが急増しています。 ・スマホで撮った写真や趣味に関するデータ スマートフォンやパソコンには、写真や動画、音楽、スケジュールや日記など、プライベートな情報が保存されています。 そのデータの中に家族にも見られたくない情報があることもあります。 金銭面や対人関係でのトラブルなどマイナスとなる情報が含まれていた場合、自分が亡くなった後にそれを知った家族が傷付いてしまったり、困惑させてしまう可能性があります。 ・SNSやブログ FacebookやTwitter、Instagramなど、複数のソーシャル・ネットワーキング・サービスを利用している人や、ブログなどで情報を発信している人が多くなっています。 利用者が亡くなった後そのまま放置していると、なりすましにより悪用されてネット上に大きな影響を与えてしまう危険性もあります。 自分が亡くなった場合、家族や友人にアカウントを削除するなど、アカウント管理を事前に依頼をしておきましょう。 アカウント管理については、それぞれのヘルプセンターで確認することができます。 ・住所や電話番号、メールアドレス、LINEなどの連絡先と履歴 会社や会社の取引先、友人の連絡先を全てスマートフォンやパソコンなどのデジタル機器に保存し管理している人も多くなっています。 パスワードを設定して持ち主が亡くなった場合、残された家族が知らせたい人に連絡できず困ることもあります。 亡くなった人のデジタル機器をデータ消去が不十分なまま処分をしてしまい、連絡先などの個人情報やLINEの履歴からプライベートな内容、仕事上のメールの履歴から重要な情報が流出してしまう可能性があります。 ・クレジットカードや電子マネーの情報 パソコンやスマートフォンにクレジットカードや電子マネーの情報が残された状態で処分すると、情報が流出して悪用されることもあります。 ・ネット銀行やネット証券 ネット銀行やネット証券でお金を管理している場合、それらの情報を家族に伝えていないと遺産の相続で後になってトラブルが生じたり、パスワードが分からず手続きに時間と手間がかかってしまいます。 ・仮想通貨 仮想通貨は二段階認証によって厳重にロックされているため、必要な情報を家族に伝えて大切な資産が引き継がれるように準備しておきましょう。 ・FX(外国為替証拠金取引) FXで資産運用をして負債を抱えていた場合、本人が亡くなった後に何も知らされていなかった家族が多額の負債を被ってしまうこともあります。

独居老人

独居老人

独居老人とは一人で日常の生活をしている高齢者のことです。

生涯独身の高齢者や配偶者と死別や離別し一人暮らしをしている高齢者であり、周囲のサポート受けられない状態ととなっています。

定年退職し無職であり家族もすでに亡くなっている、もしくは何らかの事情によって疎遠になっているか、遠方に住んでいることで連絡をとっていないなど孤立している高齢者を意味しています。

概要

独居老人とは一人で生活している老人で、狭義には定年退職などの形で所定の仕事には付いていない、あるいは地域社会との接点を持たない、何らかのコミュニティに属していない高齢者です。
一般に、所定の仕事に付いていたり地域社会に何らかの関係を持っている場合にはあまり独居老人とは呼ばれません。
日本では2004年度の厚生労働省の国民生活基礎調査にて全世帯数の約8%が65歳以上の独居者で占められいます。
この中には親族は既に他界していていないかもしくは親戚がいる場合でも何らかの事情により関係を絶っている場合も含まれ、関係を絶っていなくても親族が遠隔地に住むために連絡が疎遠となっている場合も含まれています。

地方自治体や福祉事務所では基本的人権の範疇における生活保護としてこの独居老人の存在や生活状況をするために、民生児童委員やホームヘルパーなどを活用しています。

独居老人になってしまう理由

独居老人になることは珍しいことではありません。
昔は家を継ぐということが当たり前で子供世帯と同居している高齢者も非常に多かったですが、今は核家族化が進み子供世帯は都心に住み高齢者は田舎の実家に住み続けているというケースが増えています。
その際、親子関係が悪い、都心に引っ越して子供と一緒に住むことに抵抗を感じる、子供の世話にはなりたくない様々な理由によって独居老人になってしまうのです。

独居老人の社会問題

・孤独死
独居老人は社会との接点に乏しいことから、周囲に存在さえ知られないまま餓死や病死する孤独死につながることもあります。

・悪徳商法の被害
催眠商法や詐欺など、悪徳商法の被害に遭うケースもあります。
日常生活には支障の無い軽度の認知症でも契約能力がなかったり、悪徳商法の関係者に恫喝されたり懐柔されたり、孤独による寂しさに付け入れられたりなどが要因です。

・社会に参加しない
自主防災(地域防災)や地方自治(自治会)などの住民参加型の社会基盤の場合、独居家庭の高齢者には参加が難しくなっています。
ごみの分別収集方式である沼津方式のように、住民参加が欠かせない社会サービスの破綻も危惧されています。

・亡くなった場合
独居老人が亡くなった場会、関係者の連絡先が分からないこともあり家財道具を含む財産が第三者に勝手に処分されたり、あるいは没収されたりして後々名乗り出た遺族と揉める場合もあります。

認知症独居老人の問題

認知症独居老人と呼ばれる高齢者が増加しています。
厚生労働省の「2025年の超高齢社会像」では高齢者の認知症発症率はおおよそ15%程度と言われており、平成27年は独居老人600万人の内90万人近くの方が認知症独居老人になっている可能性があり、平成47年では110万に近くが認知症独居老人となる可能性があります。

・健康面で問題が起きる
認知症は記憶を徐々に失ってしまうため、排泄や食事などにも影響を及ぼしてしまいます。
食事では食事を食べた後またすぐに食事をしてしまう、嘔吐するまで自分が満腹であることに気づかない状態になる、食後の掃除も出来ずそのまま放置されてしまうなど、健康面で著しく問題を引き起こしてしまう可能性があります。
自分で病院に行くことも出来ずそのまま孤独死をしてしまう、徘徊などによって交通事故に巻き込まれることなどもあります。

・認知症に気づかず症状が進行
本人が認知症であることに気づかないという問題もあります。
最近物忘れが激しくなったなどある程度自覚症状を感じてもそれが認知症だとは思わないケース、自分はまだ元気だというプライドもあってそれを認めようとしない現実もあります。
独居老人は社会との接点に乏しいことから誰にも気づかれずに症状が進行してしまい、手遅れになってしまいます。

問題の予防

独居老人の問題を進行させないためにも交流を増やすことは非常に重要です。
日々の変化を誰かに見てもらえるだけでも認知症の早期発見なども可能になり、万が一の事があっても発見が早まります。
地域社会との接点を持たない独居老人は経済的・健康面・犯罪に巻き込まれても周囲に助けを求めにくいため、相談相手を身近に持つことは重要です。
交流を作るためには趣味を持つ事が一番早い方法でもありますので、自分に合った趣味を見つけ独居老人の問題を回避しましょう。
老人会など高齢者コミュニティへの積極的参加や近所付き合いの積極化、高齢者同士の結婚のような新しい形態の家族への参加などがあります。
訪問介護のようなサービスを必要としない健康な人でも趣味のサークルやボランティア活動などのコミュニティに属することで、日常のちょっとした問題を気軽に相談できる友人ができます。

な行

は行

福祉整理

福祉整理

福祉整理とは、介護や福祉に関わり、高齢者が健全な生活を続けるために住環境を整えることです。 部屋の中にある不用品だけでなく汚物の清掃なども行います。 超高齢社会を迎え一人暮らしのの高齢者が激増し、認知症を発症したり、身体の自由が利かなくなったりする人も増えています。 自分で身の回りのことができなくなった高齢者は、次第に劣悪になる環境の中で生活していかなくてはならなくなります。 体の弱った高齢者の代わりに家を片付けや清掃する福祉整理。 生前整理は死後家族が困らないように行う意味合いが強いのに対し、福祉整理は高齢者が自身の生活のために行う整理作業です。

●福祉整理の内容

・施設入居や入院に伴う家財整理や撤去 介護施設に入居したり末期がんなどで入院すると、再び自宅に帰って生活することはほぼなくなります。 施設や病院には最低限のものしか置くことができなため、これまで暮らしていた自宅や部屋を整理する必要があります。 入所や入院が必要な状態では、高齢者自身で部屋を片付けることはできません。 そのような時に、本人に代わって家財道具を整理や撤去を行います。 ・認知症の人の住環境整理 認知症の高齢者が、ごみや汚物の中で暮らしているといったケースも少なくありません。 認知症のため、家の中を汚したり、徘徊してごみや不用品を集めてきたりという行動をするようになることがあります。 1人暮らしが難しくなった高齢者が清潔で健康な生活を営めるよう、ごみを捨てや片付けを行います。 ・自宅介護のための不用品整理 自宅で介護生活を送る人のために住環境を整えます。 ものが溢れてごみ屋敷状態になっていると、介護する人が家に入ることができません。 介護用ベッドが必要な場合、まずは自宅を片付けてベッドを置く場所を作らなくてはなりません。 介護する人や介護される人、双方気持ち良く生活するために不用品やごみの片付けを行います。 ・定期的なハウスクリーニング 要介護の方でなくても、自分で片付けや整理が難しい高齢者は増えています。 安心して健康な毎日を送れるようにするため、定期的に整理やハウスクリーニングを依頼します。 少し汚れたりごみが溜まったりしても、定期的に片付けてもらうと安心です。

●福祉整理を利用するのはどのような時

福祉整理を利用する方は様々な理由があります。 ・老人施設などに入居するため、今住んでいるところを整理したい時 ・長期入院しており、自宅を片付けたいが戻る機会がない ・病気で体が不自由なため、家や部屋を片付けや整理が必要である時 ・ゴミ屋敷や汚部屋を片付けたい時

●遺品整理や生前整理との違い

福祉整理と遺品整理や生前整理が大きく異なる点は、目的です。 福祉整理は生きていくための整理で、遺品整理は死後の整理、生前整理は死後のことを見つめた整理です。 福祉整理は、部屋の衛生や健康な生活環境を整えることです。劣悪な住環境を見直し、清掃して健全な生活を取り戻すことを目的としています。 部屋の整理という点では同じですが、死を意識して行うというよりは、現在の生活を整備しより良く生きていこうと生を意識して行われます。 社会的・福祉的側面が強い整理でとなっています。 遺品整理は、故人が亡くなった後、遺したものや愛用品を整理することです。 不用品を仕分けし、必要なものを残しますが、遺言書があればその内容に沿って行う必要があります。 生前整理や老前整理は、遺品整理を本人が生きているうちに行うことです。 自分にもしものことがあった場合、家族や親族に迷惑をかけないため生きているうちに財産やものを整理しておきます。

●福祉整理の効用

・部屋の中の危険がなくなる 片付いていない部屋には、危険がいっぱいです。 年を取れば取るほど、身動きが取れなくなっていきます。 高齢者は、足元のものが見えにくいことがあり、少し出ているコードや散らかったモノに足を引っかけたり、ちょっとした段差に対応できず、転倒や骨折するといった事故がおきています。 高いところにあるものを取ろうとして転んだり、なだれ落ちてきたものでケガをしたりすることもあります。 福祉整理を行い部屋が片付けば、このような危険を減らすことができます。 ・衛生的になる 高齢者になると片付けることが面倒になり、ゴミだらけで腐臭が漂い、害虫が湧く中での生活ということもあります。 体力や気力が衰えてしまった高齢者は自分で整理整頓することができず、認知症などでものの判断が難しい場合があります。 そのため、決して望んでいるわけではないのに、衛生状態の悪い部屋で生活せざるを得なくなる人が増えています。 ゴミだらけの部屋は衛生的によくありません。ゴミやホコリはダニなどの害虫が好む環境で、その中で暮らしていると呼吸器系に支障をきたし健康を損ないます。 福祉整理を行うことで、体力が弱っている高齢の方が風邪や病気にかかるリスクを低くすることができます。 ・短時間で片付き、処分の手間が省ける プロに整理を依頼すると、短い時間で片付けてもらうことができます。汚れの程度によっては、高齢者がデイサービスや病院に通っている間に清掃してもらうこともできます。 清掃に立ち合うことができますので、捨ててほしくないものがあれば立ち合って指示するとよいでしょう。 業者に依頼すればゴミなどはすべて処分してもらうことができ、自分で分別する必要もありません。まだ使用することができる不用品があれば買い取ってもらうこともできます。 ・離れて暮らす家族も安心できる 離れて暮らす子供にとって、親の家を片付けるというのは大変な作業です。ものの整理には、時間も費用も労力もかかります。 福祉整理はプロの技術により短時間で清掃してもらうことができ、不用品も処分してもらうことができます。

●自分で行う整理のメリット・デメリット

メリット ・過去を振り返えることができる ・思い出の品を見つけることができる ・貴重なものを捨てずに済む ・必要経費以外は支払わなくてよい デメリット ・時間や日数の拘束がある ・遠距離の場合、それに伴う別経費(交通費、ホテル代、食事代など)が発生する ・不要な家具やリサイクルなど自分で業者に依頼して引き渡す必要があり、料金もかかる ・過労や心労などにより自分が病気になる可能性がある ・汚いものや害虫なども自分で処分しないといけない

●業者に依頼する福祉整理のメリット・デメリット

メリット ・客観的に整理してもらえるため、本当に必要なものを面倒な作業することなく発見してくれる ・不用品やリサイクルなど業者の手配や買い取りなどのサービスがあり、面倒ではない ・自分の休暇をつぶさずに片付けることができる ・体調を崩す可能性はほぼない ・汚いものも処分してもらうことができる ・嫌な思いをしない デメリット ・業者費用を払う必要がある ・大事なものまで一緒に処分されてしまう可能性がある

仏壇

仏壇

仏を祀る壇全般のことで、寺院の仏堂において仏像を安置する壇(須弥壇)も含まれます。

また、一般家屋の中に常設された仏教の礼拝施設です。仏教寺院において本尊を祀る須弥壇(内陣)を小型化したもので、日本では寺院本堂の祭壇と区別して寺院の庫裡や客殿などに置ける小型の祭壇や、一般家庭の仏壇を「御内仏」という呼称もあります。

概要

家庭内の仏壇は、日本仏教では宗派ごとに指定された様式にて木製の箱=仏壇の内部に本尊や脇侍の像・掛軸・供物などや、先祖供養のための位牌や過去帳、法名軸などを祀ります。

内部は仏教各宗派の本山寺院の仏堂を模した豪華な作りになっており、大きく分類すると金仏壇、唐木仏壇、家具調仏壇に分けられます。

起源

仏壇の起源については「持仏堂→仏壇説」と「魂棚→仏壇説」の2説あります。

古代インドでは土を積み上げて壇を作り、そこを神聖な場所として神を祀っていました。
やがて風雨をしのぐために土壇の上に屋根が設けられたものが寺院の原型で、それを受け継ぎ仏壇の壇は土偏となっています。

白鳳14年(西暦685年)3月27日、天武天皇が「諸国の家毎に仏舎を作り、乃ち仏像及び経を置きて以て礼拝供養せよ」との詔を出した。それにちなみ全日本宗教用具協同組合では毎月27日を「仏壇の日」に制定しています。
ただし、この詔は現在の仏壇の直接の起源ではありません。

・持仏堂→仏壇説

貴族などの上流階級においては持仏堂を持つものもあり、藤原頼通の平等院鳳凰堂や足利義満の鹿苑寺などがあります。
また更級日記の作者である菅原孝標女が薬師仏を等身に造って屋敷内で祀ったというのも仏壇の源流です。
上記のような持仏堂が縮小・矮小化し屋内に取り込まれることによって仏間を経て仏壇に変化したとされています。

室町時代に浄土真宗中興の祖である本願寺八世・蓮如が布教の際に「南无阿弥陀仏」と書いた掛軸を信徒に授け、仏壇に祀ることを奨励しました。
仏壇を作る際に本山を真似たところから現在の金仏壇の元となっており、そのため浄土真宗では仏壇に対しての決まりごとが多くなっています。
なお、現在でも浄土真宗において仏壇の本尊は掛軸であり、菩提寺を通して本山から取り寄せたものとされています。

仏壇は仏教国であるタイなどでは見られません。
それは寺院が生活の身近にあるため家の中に改めて小さな寺を作る必要がなく、供養壇としての流れが加わっているためでもあります。
モンゴルではゲルの中にチベット仏教の仏壇を設けることがあります。

・魂棚→仏壇説

盆に先祖や新仏の霊を迎える祭壇のことを魂棚(盆棚・水棚)と呼ばれています。
形状は地域や時代によって様々ですが、四隅に竹や木で四本柱を建て板を渡したものや茶卓を使用する場合もあります。
この魂棚が盆のみの設置から常設化され仏壇になったとされています。

普及時期

江戸時代に幕府の宗教政策である寺請制度により、何れかの寺院を菩提寺と定めその檀家になることが義務付けられました。
その証として各戸ごとに仏壇を設けて朝夕礼拝し、先祖の命日には僧侶を招き供養するという習慣が確立しました。
社会が安定し庶民の暮らしが豊かになってきたことも背景に、庶民にまで浸透しました。
また日光東照宮などに見られるように元禄期の社寺建築技術の隆盛が各地に影響を与え、金仏壇産地の多くは、その頃に宮大工が興したと言われています。
鎌倉時代に禅宗と共に位牌が持ち込まれると次第に浄土真宗以外の各宗派で用いられるようになり、江戸時代には一般化しました。

位牌を置くために位牌壇を作ったり浄土真宗を真似て仏壇を使用するようにりましたが、その後、浄土真宗の仏壇と区別するために禅宗様が生まれました。そのために他宗では浄土真宗ほど仏壇に対して厳しくはありません。

形状

仏壇には扉が付いていますが、寺院の山門を見立てたものと言われています。

寺院の本堂において内陣との境には巻障子があることから、仏壇の扉の内側も障子が付いています。仏壇内部は基本的に三段になっており、中の一番高い中央の檀を「須弥壇」と呼び須弥山を象ったものとされています。須弥壇の上は「宮殿」と呼ばれ、本尊が祀られています。

各宗派の本山寺院の内陣を模して造られるため、宗派によりつくりが異なります。

左右には脇侍仏や祖師が祀られ、須弥壇を含めた最上段には「高欄」が付き、その下の段に位牌を置きます。位牌が複数ある場合は、向かって右・左・右と交互に並べます。

戦後、仏壇の左右両側面の上部に穴が開けられるようになりましたが、これは灯籠(灯篭)の配線用のコードを通すためのものです。

・宗派による違

唐木仏壇ではほとんど差異はありませんが、金仏壇では違いあります。

◇浄土真宗本願寺派(西本願寺)
一重破風屋根(宮殿)、金箔張りの柱(宮殿・外柱)、西本願寺の阿弥陀堂を模したもの

◇真宗大谷派(東本願寺)
二重瓦屋根(宮殿)、黒漆塗りの柱(宮殿・外柱)、高欄朱塗りで擬宝珠金箔張り、黒柱は東本願寺の阿弥陀堂、二重屋根は大師堂を模したもの

日蓮正宗(大石寺)や創価学会の仏壇は他宗派の仏壇と比べて構造が全く異なり、寺院の厨子に模した扉が内部に取り付けられ、最近では厨子型の仏壇も多く作られています。
厨子の扉は電動式で開閉するものが主流で、寺院同様、須弥壇の上に厨子を置くだけの場合もあります。

法定後見制度

法定後見制度

法定後見制度とは、すでに判断能力が衰えている方のために家庭裁判所が適切な支援者を選ぶ制度です。 選ばれた支援者は、本人の希望を尊重しながら、財産管理や身の回りのお手伝いを行います。 認知症高齢者や知的障害者、精神障害者等の方が、預金の解約、福祉サービス契約の締結、遺産分割協議、不動産の売買などの必要があっても、本人に判断能力が全くなければ行うことはできません。 判断能力が不十分な場合に本人だけに任せていたのでは、本人にとって不利益な結果を招くこともあります。 そのため、精神上の障害によって判断能力が十分ではない方のために、家庭裁判所が選んだ援助者が本人のために活動します。

●法定後見の3類型

①後見 後見は判断能力がほとんどなくなってしまった方に適用されるもので、3類型で最も重い類型です。   後見類型では、家庭裁判所に選ばれた成年後見人が成年被後見人を法的に支援や保護を行います。 判断能力がほとんど失われてしまうと日常生活を営むことも困難になる場合が多いため、後見類型では生活全般にわたって成年後見人が成年被後見人を広範囲で保護を行います。 成年被後見人は消費者被害など様々な不利益を被ってしまう可能性が非常に高いため、不利益を被ってしまわないように本人を法的に広く保護することが重視されています。 後見類型は成年後見制度の中で最も利用者数が多い類型で、利用者全体の約8割を占めています。 ・成年被後見人 成年被後見人とは、精神上の障害により判断能力を欠く常況にあるため、家庭裁判所によって後見開始の審判を受けた方です。 判断能力を欠く常況とは、ときに能力が回復することはあってもたいていの場合判断能力がほとんどない状態にあることを意味します。 成年被後見人は、成年後見人によって非常に広い範囲で法的保護を受けます。 成年被後見人が行う契約など法律行為は、日常生活に関することを除いてそのほとんどが取り消しが可能な行為です。 ・成年後見人 成年後見人とは、成年被後見人を法的に支援するために家庭裁判所から選任された方です。 成年後見人は、その法的権限として非常に広範囲な代理権(本人に代わって法律行為を行う権利)と取消権(本人が単独で行った法律行為を無効にする権利)を付与されますが、同意権は付与されません。 成年後見人は、権限を用いて成年被後見人の財産を管理するとともに様々な契約などを本人に代わって行ったり、本人にとって不利益な契約を取り消すなどを行い、成年被後見人を保護します。 ②保佐 保佐は判断能力が相当程度低下してしまった人に適用されるもので、3類型の中で中間に位置する類型です。 保佐類型では、保佐人が被保佐人を法的に支援や保護を行います。 保佐類型の対象者は、日常的な事柄は一人で行うことができても不動産取引などの重要な法律行為を一人で行うのは不安なことが多い方です。 保佐類型は、重要な法律行為を保佐人が法的に支援することにより、本人を保護することを重視しています。 被保佐人が保佐人のサポートなしに単独で契約などを行い失敗したときは、その契約などを後で取り消すことによって本人を保護することができます。  ・被保佐人 被保佐人とは、精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分であるために、家庭裁判所から保佐開始の審判を受けた方です。 判断能力が著しく不十分な状態とは、日常的な買い物などは行うことができても重要な法律行為(不動産取引、お金の賃借、遺産分割協議など)については、他者の援助を必要とする状態にあることです。 被保佐人は保佐人により、主に同意権や取消権によって広い範囲で法的保護を受けます。 被保佐人は、成年被後見人に準じる形で広範な資格制限を受けます。(成年被後見人よりは制限は少ない) ・保佐人とは 保佐人とは、被保佐人を法的に支援するために家庭裁判所から選任された方です。 保佐人は、その法的権限として包括的な同意権(本人が単独で行った法律行為を完全に有効にする権利)と取消権を付与されますた、代理権は付与されません。 代理権が必要な場合は、家庭裁判所に申し立ると必要な範囲で代理権を持つことができます。 保佐人は、基本的には同意権と取消権を用いて、被保佐人が重要な契約などを行うのを支援します。 被保佐人が行って契約などが妥当と判断される場合にはそれに同意し、保佐人の同意なく単独で不利益を被る可能性が高い契約などを行った場合はれを取り消すことができます。 保佐人が代理権の付与を受けている場合は、その代理権の範囲内で被保佐人の財産を管理したり、様々な契約などを本人に代わって行うなど被保佐人の支援を行います。 ③補助 補助は、判断能力がある程度低下してしまった人に適用されるもので、3類型の中では最も軽い類型です。 補助類型では、補助人が被補助人を法的に支援を行います。 補助類型の対象者は、日常生活については特に問題ない場合が多くなっています。 補助類型では本人が一人で行うのは難しい事柄について補助人に必要な範囲で個別に権限を付与して、オーダーメイドの形で被補助人を支援することを重視しています。 ・被補助人とは 被補助人とは、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分であるために、家庭裁判所から補助開始の審判を受けた方です。 判断能力が不十分な状態とは、基本的に日常的なことは自分で行うことができるが一人では難しいことや苦手なことがいくつかあり、それについては他者の援助を必要とする状態にあることです。 被補助人は成年被後見人や被保佐人と異なり資格制限はなく、補助人によって補助人が持つ権限の範囲内で法的支援を受けることができます。 ・補助人 補助人とは、被補助人を法的に支援するために家庭裁判所から選任された人のことをいいます。 補助人は代理権や同意権などの権限を一切持っていないため、それらの権限が必要な場合は家庭裁判所に権限付与の申立てを行う必要があります。 しかし、それらの権限を包括的に付与することはできないため、被補助人が一人では難しい事柄について、必要な代理権や同意権を選んで補助人に個別に付与されます。 補助人は、付与された法的権限の範囲内で被補助人の支援を行います。 代理権を付与されている場合は、被補助人の財産の管理を行ったり特定の法律行為を本人に代わって行うなど被補助人を支援します。 同意権が付与されている場合は妥当な契約などについては同意し、妥当でない契約などについては取り消すことによって被補助人を保護します。

●成年後見のメリット

・本人の財産を管理することができる 認知症の本人では行えない、本施設などに入居する際に必要な契約や更新契約を代わりに行うことができます。 施設の入居費用や本人の生活に必要なお金を管理するために、金融機関など口座の解約手続きやお金の引落しを本人に代わって行うことができます。 ・不正な契約などを解約することができる 後見人には不正な契約を取り消すことができる権利があります。 本人が必要もないのに高額な商品を買ってしまったり財産を誤って安く売ってしまったりなど、本人にとって不利益になる契約を後から取り消すことができます。 ・家庭裁判所が本人の生活を見守る 後見人は毎年全財産の収支を家庭裁判所に報告します。 事案によって成年後見監督人を選任してより慎重に本人の財産管理が行われます。

●成年後見のデメリット

・親族でも財産を使用することはできない 成年後見制度では親族であっても財産を使用することができなくなっています。 成年後見では財産管理を裁判所が関与して行われるため、本人の希望とは違う財産管理になってしまうこともあります。 孫の学費を支援したり、子どもたちの会社に貸付したりすることはできません。 ②後見人の業務が長期間になる 後見の業務は本人の判断能力が回復しないかぎり、原則として本人が存命中は続くことになります。 簡単に後見人をやめることは難しいですが、正当な事由があれば家庭裁判所の許可を得て辞任が可能です。 ③後見事務が大変 成年後見制度では就任後1ヶ月以内に本人の財産目録を作成して裁判所に提出する必要があり、1年に1度、家庭裁判所に報告書を作成・提出しなければいけません。

法定相続分

法定相続分

法定相続文とは、被相続人の財産を相続する場合に各相続人の取り分として法律上定められた割合のことです。 被相続人が遺言書を残した場合は原則としてその内容に従うことになるため、相続人全員での話し合い(遺産分割協議)は行われません。 遺言がない場合は遺産分割協議が行われ、合意に至った場合はその内容に従い、合意に至らない場合は調停や審判で遺産分割方法が決定されます。 法定相続分はこの調停や審判の際に基準となるものです。 遺産分割協議では相続人全員が納得していればどのような割合で分割することも可能ですが、相続人の間で公平を保つという観点からは法定相続分を理解して正しく運用することで遺産分割協議における争いを避けられます。

●法定相続人の順位

・被相続人の配偶者…常に相続人 ・被相続人の子(子が既に死亡している場合は孫)…第1順位 ・被相続人の父母(父母が既に死亡している場合は祖父祖母)…第2順位 ・被相続人の兄弟(兄弟が既に死亡している場合は兄弟の子)…第3順位 配偶者は必ず相続人となり、最も順位の高い人も併せて相続人となります。上の順位がいる場合には下の順位の人は相続人にはなれません。 被相続人に配偶者がいた場合は、配偶者と最も順位の高い相続人で遺産を分割します。配偶者がいない場合は、最も順位の高い相続人のみで分割することになります。

●法定相続人別の法定相続分

【配偶者の法定相続分】 配偶者は必ず法定相続人となり、法定相続分に婚姻の期間は関係ありません。婚姻期間が30年であっても1日であっても相続人となり、同じ法定相続分となります。 しかし、戸籍上配偶者となっている場合に限られ、事実婚や内縁関係の場合には法定相続人になることはできません。 ・配偶者のみの場合…財産の全て ・配偶者と第1順位の法定相続人がいる場合…財産の1/2 ・配偶者と第2順位の法定相続人がいる場合…財産の2/3 ・配偶者と第3順位の法定相続人がいる場合…財産の3/4 【子供や孫など第1順位の法定相続分】 被相続人の子供は第1順位の法定相続人となります。実子のほか養子や認知した子や胎児も対象になりますが、胎児の場合は生きて生まれなければ相続権を失うことになります。 子も孫もいる場合には被相続人により近い世代である子が優先され、孫が相続人になることは原則としてありません。 複数いる子どものうち1人が既に亡くなっている場合、死亡した子の子(被相続人から見て孫)は相続人となります。(代襲相続)しかし他の孫は相続に関わることはありません。 ・配偶者と第1順位の法定相続人がいる場合…財産の1/2、ただし第1順位の人が複数いる場合は1/2を均等に分割 ・第1順位の法定相続人のみの場合…財産の全て、ただし第1順位の人が複数いる場合は均等に分割 【父母や祖父母など第2順位の法定相続分】 被相続人の父母や祖父母が第2順位の法定相続人となります。 被相続人が養子の立場の場合は、養親に加えて実親も相続人となり合計4人が対象者になります。 父母も祖父母も健在の場合には、被相続人に一番近い世代(父母の代)だけが相続人になります。 ・配偶者と第2順位の法定相続人がいる場合…財産の1/3、ただし第2順位の人が複数いる場合は1/3を均等に分割 ・第2順位の法定相続人のみの場合…財産の全て、ただし第2順位の人が複数いる場合は均等に分割 【兄弟姉妹など第3順位の法定相続分】 被相続人の兄弟姉妹が第3順位の法定相続人になります。兄弟姉妹の中に既に死亡している人がいる場合は甥姪が代襲相続人となりますが、甥姪も死亡している場合には再代襲はできません。 ・配偶者と第3順位の法定相続人がいる場合…財産の1/4、ただし第3順位の人が複数いる場合は1/4を均等に分割 ・第3順位の法定相続人のみの場合…財産の全て、ただし第3順位の人が複数いる場合は均等に分割

●法定相続分がない人

【内縁関係】 内縁関係など事実婚の配偶者は法定相続人になることができず、相続権もありません。しかし、遺言による贈与(遺贈)のうち包括遺贈を行うことで、包括遺贈者として法定相続人と一緒に遺産分割協議に参加できるようになります。 【離婚した元配偶者】 被相続人の子どもは両親が離婚した場合でも相続権がありますが、離婚した元配偶者は、離婚時点で配偶者としての相続権を失うことになります。 離婚後に事実婚状態で共に過ごしている場合であっても相続権は復活しません。 しかし、離婚協議中で別居していても法律上配偶者である限りは相続あります。 【再婚相手の連れ子】 再婚相手の連れ子(再婚相手とその元配偶者との間の子)は、被相続人と養子縁組をしない限り相続人にはなれません。 再婚相手には配偶者相続人として相続権があります。 【法に触れる行為をした者(相続欠格)】 相続人になるはずだった人(推定相続人)でも、以下のような行為をすると相続権が剥奪されます。 ・故意に被相続人を死亡させた、もしくは死亡させようとして刑に処せられた者 ・詐欺・脅迫による遺言の偽造や変造、遺言の取消や変更を妨げたりした者 ・被相続人が殺害されたことを知りながら告発しなかった者 【被相続人によって相続権を奪われた人(相続廃除)】 被相続人は、生前や遺言によって推定相続人の相続権を剥奪する権利があります。(相続廃除、相続人廃除) 相続廃除は家庭裁判所の許可を得なければ行うことができませんが、被相続人への虐待もしくは重大な侮辱、その他著しい非行などの事情が客観的に認められて裁判所が許可する場合には、相続権が剥奪されます。 【孫は原則として相続権はない】 本来孫は推定相続人に含まれないため、孫から見て祖父母の相続には関係ないのが原則です。 しかし、被相続人である祖父母が包括遺贈をした場合や、被相続人の死亡以前に孫の親(被相続人の子)が死亡等を理由に相続権を失っている場合には、孫であっても相続に関わることになります。(代襲相続)

●遺産分割協議では、法定相続分に依らず自由に相続分を決めることが可能

遺産分割協議では相続人全員の合意があれば自由な割合で遺産分割を行うことができるため、法定相続分に従う必要はありません。 相続人全員の合意がある場合は、自由な割合で遺産分割を行うことができます。 被相続人が遺言をしている場合は基本的には遺言に沿った分割が行われますが、この場合でも相続人全員の合意があれば自由な割合で遺産分割を行うことができます。

●法定相続分の基準に従わないケース

【遺言書がある場合】 被相続人は遺言によって自己の死後の財産処分についての指定を行うことができ、法定相続分でない割合を指定して相続させることも可能です。 遺言は遺産相続においては最優先の規律となるため、相続人全員の同意がない限り被相続人が遺言で指定した割合で分割することになり、法定相続分どおりには分割はされません。 被相続人に配偶者と子ども2名がいた場合、法定相続分に従うと配偶者が1/2、子どもに1/4ずつの遺産分割になりますが、被相続人の遺言で配偶者や子どもそれぞれ1/3ずつといった公平な遺産分割も可能です。 【相続人の中に寄与分が認められる人がいる場合】 寄与分とは、被相続人の事業に従事するなど相続人の中で被相続人の財産の増加や維持に特別の寄与(働き)をした人がいる場合に、法定相続分または指定した相続分に加えて貢献した努力の程度に相当する財産を与えることで公平性を図ろうとする制度です。 しかし、寄与分が認められるのは相続人だけで、相続人でない人が被相続人の財産形成に寄与したとしても寄与分を請求することはできません。 寄与分は自動的にもらえるわけではなく、遺産分割協議で共同相続人の同意を得るか、家庭裁判所に額を定めてもらわなければ請求することはできません。 ・共同相続人による寄与行為 ・寄与行為が特別の寄与である事 ・寄与行為と被相続人の財産の維持または増加との間に因果関係がある事 【生前贈与や特別受益を得ていた相続人がいた場合】 相続人の中に生前贈与を受けた人や婚姻費用や学資の贈与を受けていた人(特別受益者)がいる場合には、この人達が既にもらった財産の額を考慮して公平な遺産分割を行う場合があります。 遺産分割で他の相続人が納得していれば特に考慮しなくてもよいです。 調停や裁判の際にはこれらの利益を考慮し、特別受益や生前贈与を受けた額を相続開始時の財産に加えて(持戻し)、改めて出した遺産額を相続財産とみなし、その遺産額をもとに法定相続分を計算しなおして各相続人に配分することが多くなっています。 しかし、この場合でも被相続人が遺言などによって持戻し免除の意思表示をしている場合には、これに背いて持戻すことはできないとされています。 特別受益の価額の評価は相続開始時を基準になされるため、不動産など価値の変動する財産に関しては贈与時と相続開始時とで価格が異なる場合があります。 <特別受益の持ち戻しとなるもの> ・遺贈…すべてが持ち戻しの対象となります ・生前贈与…婚姻・養子縁組のための贈与        持参金・嫁入り道具・結納金・支度金など ・生計の資本としての贈与 …独立開業資金、住宅資金としてもらった場合               生計の基礎として役立つような贈与すべて               (教育費も多い場合には特別受益とされる可能性があります) ・生命保険金と死亡退職金 <特別受益者がいる場合の計算方法> 特別受益者の具体的相続分=(相続開始時の財産の価額+相続人が受けた贈与の額)×指定相続分又は法定相続分ー特別受益者の受けた遺贈又は贈与を受けた額

法要

法要

法要とは亡くなられた方の冥福を祈って、供養をする仏教の儀式です。本来は四十九日目まで七日ごとに法要がありますが、初七日と四十九日を除いては遺族のみで営まれるのが一般的です。 通常は四十九日をもって忌明けとし、この日以降は年忌法要となります。

概要

仏教では逝去してから四十九日の間を「中陰」とされ、 中陰の間は閻魔大王による裁きが七日おきに実施されます。極楽浄土へ旅立てるか否かの判定が下されるのが四十九日目にあたり、この日が忌明けになります。
遺族は七日おきの裁きに合わせて法要を営み故人の冥福を祈る追善供養が法要です。

仏教では法要を行う日が決まっています。

死後七日ごとに四十九日まで行う忌日法要と、一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌などの年忌法要です。

一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌、十七回忌、二十三回忌、二十七回忌とつづき、三十三回忌で長い修行の締めくくりとして、故人は菩薩の道に入り、「ご先祖さま=守り神」となります。

仏教ではさらに、五十回忌、百回忌と続きますが、一般には三十三回忌、もしくは五十回忌をもって「弔い上げ」とし、法事の締めくくりとしています。

忌日法要

・初七日(7日目)
遺族や親族、友人、知人なども列席し、読経の間に焼香を行ないます。
また、喪主のあいさつと合わせて、精進落とし(会食)の案内をします。
本来であれば初七日(ご逝去された日から7日目)に法要をいますが、親族などにまた集まっていただくのは大変なので、初七日法要は火葬の骨上げ後(一部地域では式中)に行われることが一般的です。

・ニ七日(14日目)
遺族のみで営まれ、僧侶の読経や焼香については省かれるのが通例です。

・三七日(21日目)
遺族のみで営まれ、僧侶の読経や焼香については省かれるのが通例です。

・四七日(28日目)
遺族のみで営まれ、僧侶の読経や焼香については省かれるのが通例です。

・五七日(35日目)
遺族のみで営まれ、僧侶の読経や焼香については省かれるのが通例です。
※宗派や地域によっては五七日を忌明けとする場合もあり、法要の内容は四十九日日と同様になります。

・六七日(42日目)
遺族のみで営まれ、僧侶の読経や焼香については省かれるのが通例です。

・七七日・四十九日(49日目)
ご逝去された日を入れて49日目に行いますが、実際には49日目より手前の休日に実施することがほとんどです。一般的に、家族や親戚、故人と特に親しかった友人や知人で会食を行うことが多く、服装は葬儀と同じく喪服を着用します。
四十九日法要後に納骨をする場合が多く、寺院の本堂や霊園の管理棟の法要会場で行うことが多いです。菩提寺がなく墓もない方は、自宅や斎場で行うこともあります。

・百箇日(100日目)
遺族のみで営まれ、僧侶の読経や焼香については省かれるのが通例です。
百箇日法要は寺院ではなく自宅で行われることが多く、自宅で行う場合は仏壇に手を合わせます。
百か日法要では読経終了後の会食の決まりはありません。

・新盆(初盆)(7月15日、8月15日)
四十九日法要が終わって初めて迎えるお盆は「新盆(初盆)」で盛大に法要を行い、一般的には親族だけでなく友人知人も招くことが多いです。
地域により7月13日から16日の場合と8月13日から16日の場合があり、四十九日前にお盆を迎えた場合は翌年が新盆になります。

年忌法要

・一周忌(満1年目)
遺族や親族、友人や知人も列席し、僧侶の読経が行なわれた後に全員で焼香やお斎を行ないます。
亡くなってから満1年を迎える祥月命日に行う法要で、時間は午前中10時から11時ごろに行う場合が多いようです。
一周忌法要をもって忌明けとなりますので、親族や近しい知人を大勢招いて盛大に行います。服装は葬儀と同じく喪服を着用します。

・三回忌(満2年目)
遺族や親族、友人や知人も列席し、僧侶の読経が行なわれた後に全員で焼香やお斎を行ないます。
亡くなってから満2年を迎える祥月命日に行う法要です。
参列者は一周忌より少ない場合が多く、知人や血縁関係の薄い方には声をかけないこともあります。

・七回忌(満6年目)
亡くなってから満6年を迎える祥月命日に行う法要です。
親族や知人が集まり、自宅に僧侶を招くかお寺で読経をしてもらいます。
七回忌以降は、一周忌や三回忌より規模を小さくして行う場合が多いです。

・十三回忌(満12年目)
亡くなってから満12年を迎える祥月命日に行う法要す。
親族や知人が集まり、自宅に僧侶を招くかお寺で読経をしてもらいます。
七回忌、十三回忌から法要の規模は縮小されますので、一般的に十三回忌を盛大に行うことはありません。

・十七回忌(満16年目)
亡くなってから満16年を迎える祥月命日に行う法要です。
親族や知人が集まり、自宅に僧侶を招くかお寺で読経をしてもらいます。

・二十三回忌(満22年目)
亡くなってから満22年を迎える祥月命日に行う法要です。

・二十五回忌(満24年目)
亡くなってから満24年を迎える祥月命日に行う法要です。
二十五回忌を行わない場合や二十三回忌と二十七回忌を併合して行う場合など、地域や宗旨、宗派によっても異なります。

・二十七回忌(満26年目)
亡くなってから満26年を迎える祥月命日に行う法要です。
二十七回忌の代わりに二十五回忌を行うなど、地域や宗旨、宗派によって異なる場合があります。

・三十三回忌(満32年目)
亡くなってから満32年を迎える祥月命日に行う法要です。
遺族や親族のみで行うのが一般的ですが、生前付き合いの深かった友人や知人も列席することもあります。
三十三回忌にて「弔い上げ」とすることが多く、個人の位牌から、合祀された先祖代々の位牌になります。
どんな罪を犯した故人でも極楽浄土へ行けるようになり、荒御魂が祖霊となるという考え方から「弔い上げ」と呼ばれます。
五十回忌を弔い上げとする場合もあります。

・五十回忌(満49年目)
亡くなってから満49年を迎える祥月命日に行う法要です。
宗旨・宗派によっては五十回忌の法要で弔い上げとなります、個人の位牌から、合祀された先祖代々の位牌になります。

法要と法事の違い

法要とは遺族が故人を偲び冥福を祈るために行う「追善供養」、法要を営むことによりそれが故人の善行となり極楽浄土に往生できるといわれています。
浄土真宗ではご臨終と同時に極楽往生すると考えられ、法要は個人を偲び仏法に接するために営まれます。

法事とは法要を行うときにお坊さんにお経をあげてもらい、その後会食をすることすべてを合わせてたものです。

ま行

や行

遺言

遺言

民法上の法制度における遺言は死後の法律関係を定めるための最終意思の表示をされ、法律上の効力を生じさせるためには、民法に定める方式に従わなければならないとされています。

●遺言制度の趣旨

・遺言自由の原則
遺言の制度を認めることで、人は遺言により生前だけでなくその死後にも自己の財産を自由に処分できることになります。

●法的性質

・要式行為
遺言は民法に定める方式に従わなければすることができない要式行為(一定の方式によることを必要とする行為)であり、方式に違反する遺言は無効となります。

・単独行為
遺言は相手方のない単独行為です。

・死因行為(死後行為)
遺言は遺言者の死亡後に効力が生じる法律行為です。

・代理に親しまない行為

●遺言能力

満15歳以上の者は遺言をすることができます。

遺言は本人の最終意思を確認するものでありまた代理に親しまない行為であるため、未成年者・成年被後見人・被保佐人・被補助人が遺言をする場合であってもその保護者は同意権や取消権を行使することができません。

ただし成年被後見人については、医師2人以上の立ち会いの下で正常な判断力回復が確認された場合にのみ遺言をすることができます。

●遺言指定事項

遺言で最も重要なことは、遺産の処分について被相続人の意思を反映させることにあります。

被相続人の意思である遺言を尊重するため相続規定には任意規定が多く、遺言がない場合は民法の規定に従って相続が行わます。(法定相続)

遺言を作成しておくと遺産の全体または個々の遺産を誰が受け継ぐかについて自らの意思を反映させることができ、遺贈の方法により相続人以外の者に遺産を与えることも可能となります。

遺言がない場合は相続手続には相続人全員で共同して遺産分割協議書を作成し、登記所や金融機関などに提出する必要があります。
相続人の間で合意が得られない場合や相続人が行方不明の場合、遠方に居住している場合などには、遺産分割協議書の作成は困難です。
相続税の申告期限(10か月以内)に分割が確定しない場合は、各種の軽減特例を受けらなくなりますので注意が必要です。

遺言でどの財産を誰に相続させるかを明確に記載することにより当該相続人は不動産の所有権移転登記を単独で行うことができ、遺言で遺言執行者を指定することにより預貯金の払戻しを円滑に行うことができます。

遺言には相続に関するさまざまな手続に関する遺族の負担を軽減するという実務上のメリットがあります。

遺産の処分に関連しない行為(未成年後見人の指定など)も遺言によって行うことができ、生前に行うことも可能で遺言によっても行うことができる行為があります。(子の認知など)

また、一般財団法人の設立や信託の設定もでき、生命保険の保険金受取人の変更も可能とされています。

遺言の撤回は遺言の方式のみによって可能です。

●遺言の方式

①普通方式遺言

・自筆証書遺言
条件遺言書の全文が遺言者の自筆で記述(代筆やワープロ打ちは不可)、日付と氏名の自署、押印してあること(実印である必要はない)となります。
遺言書の保管者は相続の開始を知った後、遅滞なくこれを家庭裁判所に提出してその検認を請求しなければなりません。

・公正証書遺言
遺言内容を公証人に口授し、公証人が証書を作成する方式です。証人2名と手数料の用意が必要で、推定相続人・受遺者等は証人にはなれません。
公証人との事前の打ち合わせを経るため、内容の整った遺言を作成することができます。
証書の原本は公証役場に保管され、遺言者には正本・謄本が交付されます。
遺言書の検認は不要で、公証役場を訪問して作成するほか公証人に出向いてもらうことも可能です。

・秘密証書遺言
遺言内容を秘密にしつつ公証人の関与を経る方式で、必要事項はも公正証書遺言と同様です。
代筆やワープロ打ちも可能ですが遺言者の署名と押印は必要であり、その押印と同じ印章で証書を封印します。
代筆の場合は証人欠格者以外が代筆する必要があり、遺言者の氏名と住所を申述したのち公証人が証書提出日及び遺言者の申述内容を封紙に記載し、遺言者及び証人と共に署名押印し、遺言書の入った封筒は遺言者に返却されます。
偽造や変造のおそれがないというメリットはありますが、紛失したり発見されないおそれがあります。
遺言書の保管者は相続の開始を知った後、遅滞なくこれを家庭裁判所に提出してその検認を請求しなければいけません。

②特別方式遺言
普通方式遺言が不可能な場合の遺言方式です。
普通方式遺言が可能になってから6か月間生存した場合は、遺言は無効となります。

◆危急時遺言

・一般危急時遺言
疾病や負傷で死亡の危急が迫った人の遺言形式です。
証人3人以上の立会いが必要で証人のうちの1人に遺言者が遺言内容を口授しますが、遺言不適格者が主導するのは禁止です。
口授を受けた者が筆記をして遺言者及び他の証人に読み聞かせまたは閲覧させ、各証人は筆記が正確なことを承認した後に署名・押印します。
20日以内に家庭裁判所で確認手続を経ない場合、遺言が無効となります。

・難船危急時遺言
船舶や航空機に乗っていて死亡の危急が迫った人の遺言方式です。
証人2人以上の立会いが必要で証人の1人に遺言者が遺言内容を口授し、口授を受けた者が筆記をして他の証人が確認して各証人が署名・押印します。
遅滞なく家庭裁判所で確認手続を経る必要があります。

◆隔絶地遺言

・一般隔絶地遺言
伝染病による行政処分によって交通を断たれた場所にいる人の遺言方式で、刑務所の服役囚や災害現場の被災者もこの方式で遺言をすることが可能です。
警察官1人と証人1人の立会いが必要、家庭裁判所の確認は不要です。

・船舶隔絶地遺言
船舶に乗っていて陸地から離れた人の遺言方式で、飛行機の乗客はこの方式を選択することはできません。
船長又は事務員1人と証人2人以上の立会いが必要、家庭裁判所の確認は不要です。

●証人・立会人の欠格者

証人・立会人は以下の欠格者以外の者なら誰でもなることができます。
・未成年者
・推定相続人、受遺者及びそれらの配偶者、並びに直系血族
・公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

●共同遺言の禁止

遺言は2人以上の者が同一の証書ですることができません。
2人以上の者が同一の証書で遺言をすると各人が自由に撤回することが難しくなり、故人の最終的な意思の確認が困難になるためとされています。
夫婦が同一の証書に連名で遺言する場合などが共同遺言として無効となります。

遺言執行者

遺言執行者

遺言執行者とは、遺言の内容を正確に実現させるために必要な手続きなどを行う人です。 遺言執行者は各相続人の代表として、様々な手続きを行う権限を有しています。 遺言執行者は基本的に誰がなってもよく、遺言執行者は相続人だけではなく銀行員や弁護士、司法書士などに選任することも可能です。

●遺言執行者の必要性

被相続人の残す遺言には、内容によっては相続割合の指定や遺産分割そのものを禁止にしている場合もありますが、基本的には遺言を正確に執行していく必要のあるものがほとんどです。 遺言で隠し子の認知をするとされていた場合は子供の認知届けを出す必要があり、相続人以外の者への遺贈や不動産を取得する時の相続登記なども必要です。 遺言を執行してくれる者をあらかじめ決めておくことで、相続人の間で手続きを行う人がわかります。 【遺言執行者だけが執行できるもの】 ・認知 ・推定相続人の廃除・取消 認知や相続人の廃除の内容が遺言に記載されていた場合に遺言執行者が必要です。遺言執行者がいないときは、家庭裁判所に遺言執行者を選任してもらう必要があります。 【遺言執行者または相続人が執行できるもの】 ・遺贈 ・遺産分割方法の指定 ・寄付行為 遺言執行者の指定がある場合は、遺言執行者が執行することになります。

●遺言執行者を選任するメリット

遺言で遺言執行者を指定するメリットは、遺言執行者は相続開始後の手続きを単独で行う権限があるため、他の相続人による財産の処分や遺産の持ち逃げなどを阻止することができます。 相続人が複数人いる場合は作成する書類の収集や署名押印手続などが大変ですが、遺言執行者を指定していれば執行者が相続人代表として手続を進められるため時間短縮にもなります。

●遺言執行者の仕事

・就任通知書の作成 ・相続人全員の戸籍等の収集 ・相続財産目録の作成

●遺言執行者の就任から業務完了までの流れ

①遺言者死亡により相続開始 ②遺言執行者の承諾 ③就任承諾をした旨を相続人全員に通知 ④遺言内容に向けての手続きを開始する  ・戸籍等の証明書集め  ・相続財産の調査  ・法務局に対する登記申請手続き  ・各金融機関に対する解約手続き  ・株式等の名義変更手続き  ・換価手続き ⑤遺言内容に従い執行する ⑥相続人全員に完了の業務報告 ⑦遺言執行者(遺言執行人)の業務完了

●遺言執行者になることができる人

未成年者と破産者となっている相続人以外なら誰でも遺言執行者になることができます。 しかし、誰でも遺言執行者になれるからといって、適当に決めてしまうと後々揉めるケースも出てきますので、できれば弁護士や税理士、司法書士や行政書士など専門家に依頼した方が無難です。

●遺言執行者になれない人

未成年者および破産者は遺言執行者になることはできません。

●遺言執行者が必要ないケース

・遺言でできる範囲内である場合 遺言でできる範囲内で完了する場合に遺言執行者は必要ありません。 ・遺言書がない 遺言がないのであれば、遺言執行者を選任する必要もありません。 ・認知や相続人排除をする必要がない場合 ①子を認知する場合 ②相続人の廃除・その取り消し

●遺言執行者に選任するのがベストな人

遺言執行者は未成年および破産者以外であれば、どんな人でもなることができます。友人や知人、相続人から選ぶことも全く問題ありません。 しかし、遺言執行者は利害関係に関わること多いため、遺産相続の手続きをスムーズに行うためには、遺産相続における利害関係者ではなく、相続に関する法律知識のある専門家があることが望ましいです。 弁護士や司法書士、信託銀行などは相続のエキスパートなので、相続手続きがよりスムーズに、相続人同士の紛争防止が期待できるでしょう。 相続人の中から選びたいという事情があれば、実際に財産を相続する相続人が遺言執行者となるのがいいでしょう。

●遺言執行者の選任方法

①遺言書で指名する 遺言書で「○○さんを遺言執行者に指定します」といった記載を残すだけです。 しかし、急に指定されても困ると思いますので、遺言書で指定をされる方は事前に遺言執行者にしたい方へ許可をもらっておくのが良いでしょう。 ②第三者に決めてもらうように遺言書を残す 遺言書で直接遺言執行者を指定せず遺言で遺言執行者を決めてくれる誰かを指定し、遺言執行者の選任を任された人が別の誰かを遺言執行者を指定するという方法です。 被相続人が生前に遺言執行者を決めておいてもなんらかの理由で遺言執行者になれなかった場合を考えて、死亡時にもっとも適した人に遺言執行者になってもらおうというものです。 ③家庭裁判所に遺言執行者を選任してもらう 遺言執行者がない場合や遺言執行者が亡くなった場合、家庭裁判所は利害関係人の請求によって遺言執行者を選任することができます。 【遺言執行者がない場合】 ・指定または指定の委託がない ・指定された者が就職を拒絶した 【遺言執行者が亡くなった場合】 遺言執行者が死亡、解任や辞任、資格喪失などの事由が生じた場合が該当します。家庭裁判所への申立書には、遺言執行者の候補者を記載しておきます。

●遺言執行者の選任手続き

①申立人 利害関係人(相続人や遺言者の債権者、遺贈を受けたものなど) ②申し立て先 遺言者が最後に居住していた住所地の家庭裁判所 ③申し立てに必要な書類 ・申立書 ・遺言者の死亡の記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍謄本、全部事項証明書など) ・遺言執行者候補者の住民票又は戸籍附票 ・遺言書写し又は遺言書の検認調書謄本の写し ・利害関係を証する資料(親族の場合、戸籍謄本や全部事項証明書など) ④申立てにかかる費用 ・遺言書1通につき収入印紙800円分 ・連絡用の郵便切手(裁判所による)

●遺言執行者を解任される理由

利害関係人が家庭裁判所に対して遺言執行者の解任を請求し、家庭裁判所において解任の審判を行った場合に解任の手続きが始まります。 ①遺言執行者が任務を怠ったとき 遺言執行者がその任務に違反した行為をした場合、または任務を放置して遺言の内容を執行しなかった場合、遺言の実現を全くしなかった場合、一部の行為しかしなかった場合も含まれます。 ・正当な理由なく相続財産目録の交付を怠った場合 ・相続人から請求があったのに、事務処理状況の報告を怠った場合 ・相続財産の保管、管理につき善管注意義務を怠った場合 ・不完全な相続財産の管理をした場合 ②解任について正当な事由があるとき 遺言執行者に適切な執行を期待できない場合が該当します。しかし、相続人や受遺者と遺言執行者で対立して遺言執行者と相続人らとの間で遺言の解釈をめぐって争いがある場合などは解任事由とはなりません。 単純に感情的な対立があるだけではなく、遺言執行者が特定の相続人の利益増を図り、公正な遺言の執行が期待できない事情がある場合は解任事由に当たります。

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老前整理

老前整理

老前整理とは、年を取って体が不自由になる前に、気力、体力、判断力のあるうちに行う整理のことです。 本人が元気なうちに身辺を片付けることは生前整理、どちらかというと家族が相続等で揉めないように財産の整理が中心で、自分の死後のことを考える整理です。 老前整理は、それまでの人生を整理し、身軽になり、その後の人生をよりよくするための、未来志向の片付けの考え方です。 年をとるほど、物の整理は体力や気力たいるのでめんどくさくなります。老人になる前に、自分の身の回りを見直してみましょう。そしてこれから先、自分がどうやって行きていきたいのか、なりたい自分を想像して整理を行います。 これからの自分を想像することは、前向きに生きることでもあります。本当に必要なものを取捨選択することで、物だけでなく頭と心も整理することができます。 老前整理とは、前向きにこれからの自分の人生を生きるために行うのです。

●40代の老前整理

40代では体力もまだ十分あり本当に大切なことも冷静に考えることができるため、老前整理に最適な年齢です。 元気で生活できている方は、まだ自分の介護について考えるには早い時期でもあります。身体のどの部分が悪くなるのかによっても生活が変わってきますので、介護については50代で考えましょう。 自分の葬式や遺言もまだ先と思われるため、あまり早く決めてしまうと後から考え直さなくてはいけません。 40代の老前整理は、自分の物を整理したり親や家族の物がどうなっているか把握したりすることが中心になります。 結婚している場合は、パートナーと老後について定年後には田舎に帰って生活したい、今より病院やスーパーが近い場所に引越したいなど、何となく話題にしておきましょう。

●50代の老前整理

50代の老前整理は、40代より具体的になってきます。自分の親の介護や葬儀を体験して、自分の時はどのようにするか現実的に考えられるようになっている年齢でもあります。 預貯金やローン、資産などの現状が自分ですぐに把握できるようにしておきましょう。遺言を書く場合も、どの程度資産があるかを確認しておく必要があります。 40代に引き続き、物の整理は何年かおきに行いましょう。

●老前整理のポイント

・物は見るだけでなく一度外に出す 一度外に出して、本当に使うのか考えましょう。 押入れの中には覚えていないものも入っているため、一度全部出さないと結局は整理をすることはできません。物は見て終わらせるのではなく、引っ張り出して中身を点検してみましょう。 もし壊れていたら扱いも変わってきます。いつまでも壊れているものをしまっていては場所がもったいないので、道具類なども一年に一度はチェックや手入れが必要です。 ・少しずつ時間をかけて 老前整理は自主的に行うことなので、特に締め切りはありません。慌てずに、自分の生活のペースに合わせて行っていきましょう。 あまり最初から完璧を目指そうと張り切ってやると、息切れしてしまい続かないこともあります。1日15分ずつとか、今日はこの引き出しで明日はこの棚というように、時間をかけて少しずつ行うようにします。 ただ締め切りがないとついつい後回しにしたり続かなかったりしてしまうこともありますので、大まかなスケジュールを立ててみましょう。 ・物に対する意識を変える 物が多いということは、今まで使っていなかった物でも捨てなかったということ。なぜ捨てなかったかというと、そのうち使うかもしれないという意識があったためです。 まずその意識を変えないと、老前整理は上手くいきません。 物を捨てても思い出が消えるわけではないのです。思い出があるものは、写真に撮ってから処分するという方法もあります。 もったいないと捨てないでいても、仕舞い込んで使われずにスペースだけとっていることのほうがもったいないのです。 どうして捨てたくないのか理由を考え、理由があいまいなものは思い切って処分すると意外とすっきりした気持ちになるかもしれません。 残すと決めたものは積極的に使用し、来客用の高級食器や高価なアクセサリーなども日常的に使って積極的に暮らしの質を高めましょう。 ・リバウンドを防ぐ 老前整理を行った後も大切。せっかく整理しても、数年経ったら不要な物が増えていたのでは本末転倒です。 片付け以上に、すっきり片付いた状態を維持していくのは困難なことです。意識を変えるが定着していないと、同じことの繰り返しになってしまいます。一度やって終わりではなく、定期的に見直して整理していくことも大切です。 収納はモノ7~8分目くらいにしましょう。100%詰め込んでしまうとどこに何がどれくらいあるのか把握できず、結果的に同じものをいくつも買ってしまうことになってしまいます。 物を購入する際には、本当に必要な物か、今ある物で代用できないかなどを考えましょう。老前整理を行った後であれば、価格に見合ったものなのか、本当に使うものなのか、物を見極める目も養われているでしょう。

●老前整理の方法

・使う物と使わない物に分別する まず、全ての物を使う物と使わない物とに区別するところから始まります。 自分が現在所有している全ての物について、現在も今後も使用すると現在も今後も使用する予定がないモノとに分けます。 現在使用していない物でいつか使用するかもしれない物をどのように判断するか。 いつかがはっきりとした期日であればそのまま残しておいてもいいですが、いつかそのうちであれば思い切って使わない物に入れる勇気が必要です。 ここで大事なポイントは使えると使うは違うということです。物主体ではなく、自分主体で考えてみましょう。 ・使わない物を処分する物と残す物に分別する 使う物と使わない物とに区別した後は、使わない物に分類された物をさらに整理し、処分する物と残す物に分けます。 この段階での残す物は、当分の間使う予定はないが数年の間に極めて使う可能性がある物ということです。 それ以外の物は、現在使っていない、しかも数年後にも使うか可能性が低い物ということになります。これが処分する物です。 数年後にも使うか可能性が低い、使うかもしれないはここに該当します。かもしれないということは、可能性が低いということになるからです。 処分する物にするか残す物にするかで迷った場合には、「保留BOX」を作ってその中に入れておきます。その際にその箱に考え直す日付と何が入っているかを明記します。 記入した日付になったら、「保留BOX」から保留された物を取り出して、再度処分する物と残す物に分けます。このときには、再度「保留BOX」を設けず、どちらかに分類するようにします。 ・処分する物を処分する 最後の段階は、処分する物に該当した物を実際になくす作業です。 本や古着など売却することができるものはまとめて買い取ってもらいましょう。大量にある場合は出張して買い取ってくれる業者もあります。 再利用ができなそうな可燃物の物は、ゴミ袋にまとめて捨てましょう。 家電や家具などは各自治体によって処分方法が違いますので、市区町村役場のルールに従って処分してください。 処分のコツはできるだけ大きい物から処分していくことです。大きい物から片付いていくと空きのスペースが目立つようになり、気分的にもスッキリします。

●老前整理の分類方法

・分類ボックスを作る 整理する時は、分類ボックス「使う」「捨てる」「リサイクルショップ、オークション行き」「保留」を作りましょう。 「使う」「捨てる」だけだと、どうしても迷ってしまいます。 ・捨てるだけでなく売ることも視野に 整理のコツは、まだ使えるではなく本当に使うかがポイントです。 老前整理としては、1年以内に使用する予定があれば「保留ボックス」に入れるのがポイントです。使用する予定が無ければもったいないので新品同様の中古としてオークションで売却する方法もあります。 捨てればゴミになってしまいますが、次に誰かが使ってくれればその物も再び使われて役に立つことができます。 ・疲れたら今日は作業を止める 整理を行うと、出てきた昔の手紙を読んだり新聞を読んだりして、時間がとられてしまいます。そういったものは保留ボックスに入れておきましょう。その場で捨てようかどうしようか、一つひとつ悩んでいては時間がいくらあっても足りなくなります。 迷ったら今はとりあえず保留ボックスに入れるようにすれば、作業もはかどります。 作業がだんだん面倒くさくなって全部捨てようと考えるようになったら、判断力が鈍っているのでしょう。今日の作業は終わらせましょう。 ・整理する場所と時間を決める 一度に家の中を全部整理しようと思うと何日もかかってしまいます。疲れてくると思わぬケガだってしかねません。 まずは家全体の整理計画を立てましょう。簡単な間取り図を描いて、押入れは今週、タンスは来週というように、場所と時間の計画を立てます。 老前整理をしないと生活できないわけではないので、頑張りすぎず、完璧を目指さずにスタートしましょう。 ・1日に1つの引き出しでも良い 老前整理は一度に捨てることではなく、本当に必要なものを見極めることが大切。スローペースでも良いのです。 ・迷ったら一週間後に捨てるか考える 捨てようかどうしようか迷うことがありますが、そのような場合は少なくとも一週間程度は頭をクールダウンさせたほうが良いでしょう。 このクールダウンする時間がとても大切。物の選択は、自分の人生の取捨選択の時間でもあります。 ・収納場所は決めておく 老前整理は捨てることばかり考えがちですが、大切なのは整理によって新しい生活をスタートさせることです。 老いても快適に暮らせるよう、よく使うものはかがまなくても、椅子に乗らなくても手に取れる場所に置いておきましょう。 高いところに収納すると、物を出し入れする時に脚立や椅子から落ちてケガをしてしまうかもしれません。天井に近い部分の押入れには物を置かないなど、自分の中で収納のルールを決めておきましょう。 ・物に対する考え方が変わる 物を捨てることに抵抗感や罪悪感は誰にでもあります。しかし、家に物を溜め込みすぎてしまい、どこに何があるのかわからなくなってしまうと、そのほうが物を大切にしていないことになります。 もったいないと思ったら、一度に捨てずに「保留ボックス」に入れましょう。 不要だと思ったものを全て捨てる必要はありません。売れそうなものはリサイクルショップに出したり、フリーマーケットで売ったり、オークションに出したりする方法もあります。

●使うかどうか見分けるポイント

過去2年間使わなかったものは、この先使う機会はほとんどありません。 リサイクルショップに引き取ってもらったり、フリーマーケットで出したり、あるいは捨てたりと、処分方法を考える時期に来ています。 迷ったら、次はいつ使うものなのか、使う人は誰なのか、使う場所は決まっているのかなどを考えてみましょう。 使う目的が無ければ、自分にとってはあまり必要のない物になります。

●老前整理の注意点

・自分のものだけ整理しよう 子どもの物が出てきたら、小さかった時のものだから、最近あまり家に来ないからと勝手に判断して捨てないようにしましょう。 亡くなった家族のものでも、家族会議が必要なものは一人で処分せず、他の家族に聞くことが大切です。 ・完璧主義にならない 一度に全部整理を行おうとすると無理が生じます。面倒になって全部捨ててしまって、後から後悔する場合もあります。 大切なのは整理作業をすることで、自分の物と心をリセットしてあげることです。 面倒だから全て捨てるという気持ちになってしまったら、一度作業をストップして頭をクールダウンさせましょう。 ・地震や災害のことも考える 大きな地震が起こった時のことも考えておくことが必要です。 タンスの上に重い物を置いていたら、落ちてき命を落とすということにもなります。 ・思い出の品は大切に 手紙や子供の頃に描いた絵など、思い出のあるものは取っておきましょう。整理作業の基本として使わない物は捨てます。 しかし思い出の品は使うためのものではないので保留したり取っておきます。老前整理で部屋を整理すると、本当に大切なものを飾ってみたり、すぐ見ることができるようにもなります。 何を思い出の品とするかの判断は必要です。 ・収納用品は買わない 収納場所は今あるタンスや棚だけにします。箱ばかり増やしてしまっても、整理作業にはなりません。 右にあるものを、左の箱に移動させただけになって、結局は捨てることはできません。

●老前整理の必要性

・年をとると疲れやすくなる 片付け作業は、今しなくても後ですれば良いと思うかもしれません。それは、まだ自分に体力や気力があるからそう思えるのです。 もっと年をとると、毎日の生活で手一杯になってしまいます。 ・年をとった時と今とでは快適な生活が違う 年を取ってからの暮らしと、今の暮らしの快適さはポイントが違います。 健康な今の視点ではなく、未来の自分のために体が不自由になった時のことを想像して整理するのも老前整理の特徴です。 ・探し物は体力のあるうちに 体の調子が悪くなってからでは片付けをすることはできません。 元気な今だからこそ整理作業もできるのです。 ・誰にも頼らず生活できるようにする 今は家族がいても子どもは独立し、結婚相手に先立たれた場合など一人で生きていく可能性もあります。独身でなくても独居老人になることもあるのです。 今の自分の家の状態で介護用ベッドを入れることができるか、元気な時は階段を上がれたけれど足が動かなくなったら1階が生活の主な場になるなど、現在の部屋の使い方自体も見直す必要があります。

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