◆孤独死とは
孤独死とは、一人暮らしの方が誰にも看取られることなく室内で亡くなることをいいます。
年々深刻化する孤独死の現状を実態調査した大阪府警の発表によると、2019年に屋内で死後1ヶ月以上経過してから発見された遺体は382体、死後2日以上経過してからの自殺を含む孤独死の数は2,966人という数字が明らかになっています。
年齢の内訳は、65歳以上の高齢者が71%と占めていますが、20代~60代まで若年層から働き盛り層まで幅広い世代が室内で孤独死を遂げている現状です。
ここでは、身内が孤独死で発見されたときに遺族がするべきことや、孤独死の部屋を明け渡す際に必要な特殊清掃について解説して行きます。
◆孤独死が発見させるとき
孤独死とは、どのようにして発見されるのでしょうか?
・隣人やご近所の方が異臭を感じて管理会社へ連絡をした
・家族が訪問した際に遺体を発見した
・風呂場やトイレで瀕死状態で倒れているのを知人が発見した
亡くなったご遺体は死後数日から数週間経過しているため、当然ながら腐敗が進んでいます。したがって玄関のドアを開けた瞬間、悪臭が漂い、そこら中に蛆が発生しハエが飛び回ります。
マンションやアパートなどの集合住宅では、隣人やフロアの居住者から管理会社へ苦情が殺到します。
孤独死がニュースで報道されるたびに、私たちは痛ましい事件だと感じますが、まさか自分の身の廻りで遭遇することはないだろうと他人事のように捉えてしまいがちではないでしょうか。
しかしながら、近年の高齢化社会や生涯未婚率の増加、地域社会や隣人との繋がりを持たない人たちが急増する世の中に於いては、自身が孤独死を遂げる可能性はあり得ることです。また、孤独死の身内や関係者となることがないとは決して言い切れません。
◆身内が孤独死してしまったら
警察や賃貸物件の管理会社や大家さんなどから、まずは親族や保証人に一報が入ります。両親や実子など血縁関係の近い順に連絡が入ります。親族が見当たらない場合は、警察が戸籍や住民票を辿って、兄妹、姉妹、祖父母、孫など2親等、3親等……6親等までの遠い親戚まで探し当て連絡をすることがあります。
親族が連絡を受けたら、故人の居住地の警察署に訪問し、事件性があるかどうかを判断するために事情聴取を受けます。この時、第一発見者の方も関係者となって警察へ出向き事情聴取を受ける可能性があります。
事情聴取に数日間要することもありますので、遠方の親族の場合は警察署の近くに滞在しなければならないこともあります。
警察に出向いても、遺族が遺体や遺品の引き渡しなどはすぐにはできません。孤独死の死亡原因が特定されるまでの期間は、警察で遺体が管理されることになります。この期間は、故人の住居への入室は一切できなくなるのです。
そして、事件性がないないことが判明した後、ようやくご遺体を引き取ることができます。
▼原状回復の義務と特殊清掃
遺体の発見が遅れると、特に梅雨から夏の季節は気温や湿度の影響によって腐敗が早く進んでしまいます。床や畳が体液で汚れ、悪臭の匂いが身体中につき、蛆やハエ、ゴキブリや害虫などが発生している悍ましい光景を目の当たりにすることになります。
孤独死の多くは、アパートやマンションなど賃貸物件に住んでいるケースがほとんどです。集合住宅の隣人や居住者、近隣の住民まで悪臭や害虫の被害を被ることもあるほどです。
警察から入室許可が下りたら、遺族は少しでも早く故人の部屋の片づけをしたいと焦ることでしょう。
しかし、孤独死で発見された室内をきれいに清掃するのは、精神的にも肉体的にも非常にハードな作業となるのです。
▼部屋の明け渡しをする
孤独死をされた方の部屋は、管理会社や大家さんからしてみれば一日も早く荷物を片づけて明け渡しをしてもらいたいものです。契約者が死亡した場合でも、室内に家具や荷物があるうちは家賃が発生します。
本人が死亡した場合は、契約者の相続人と連帯保証人に家賃を払う義務が課せられます。
ここで、重要なのが汚れた室内を元通りにする「原状回復」の作業です。
孤独死の場合、一般的には体液や血痕などの汚染をきれいに落し、害虫を駆除し、悪臭を消臭して、部屋の荷物をすべて撤去すれば原状回復としてみなされます。
しかしながら孤独死などの現場では、血痕が染み付いた畳やフローリングの張り替え、悪臭が染み付いた壁紙や床などを全て取り替え、解体まで視野に入れた専門家による正しい知識と技術が必要になります。
◆特殊清掃業者の選び方
孤独死の部屋を原状回復して明け渡すには、経験のない素人には到底できないプロの技術が必要となります。特殊清掃は、孤独死や事故死、事件、自殺などの現場で遺体の腐乱や腐敗化が進んだ室内の原状回復を行うことです。
これらの作業は緊急性が問われるケースが多いため、24時間365日受付可能な業者が多いです。特殊清掃を業者に依頼する多くの遺族は、完全消臭して原状回復を望みます。
特殊清掃の主な作業は、
①血痕や体液を拭く
②薬剤を散布する
③オゾン燻蒸処理を行う
④畳やクロスを剥がす
⑤床の解体
などがあります。
1日も早く原状回復をして部屋を明け渡したい、と希望するのであれば、特殊清掃の一連の作業を駆使した実績を持ち、正しい専門知識と技術を誇る優良業者にお任せすることをおすすすめします。
現代は、超高齢化時代と言われています。一人住まいの方が増え、もしもの時は残された身の回りの生活用品の整理にご遺族は途方にくれることになります。遺品整理士として、専門的な知識と豊富な経験から、遺品の整理や生前整理などのお手伝いをさせていただきます。