こんにちは遺品整理士の三島です。

親の家を片づけるためには、体力と気力と忍耐、そして覚悟が必要です。

「いつかはやらねば…」と思っている程度では、このページに来てないはずですよね。早々にやるべき理由があるので情報収集をしていると思いますので、今まで多くの親御さんの家の片付けをお手伝いした経験をもとに遺品整理士という立場から「親の家の片付けるための9つの心得」をまとめます。

9つの心得でまずは現状を理解する

親の家の片づけは誰もが避けられない課題

親の家の片づけは突然やって来るため、準備ができていないことが多いです。高齢になると軽度の病気やケガがもとで、一人で暮らすことが困難になったり亡くなったりすることもあります。

現在は元気でも将来の保証はどこにもなく、親の家の片づけはいつ必要になっても不思議ではありません。

親の家の片づけは遺品整理もありますが、その他にもいろいろな理由で必要になります。例えば、残された親が一人暮らしをする場合、その家に住み続けるためには不用品を処分するために親の家の片づけが必要になります。

高齢者は家の中の片づけをせずにそのまま暮らし続けることが、病気やケガにつながることも。

親が一人で暮らすことができなくなった場合、介護施設・高齢者専用集合住宅・ケアハウスなどに入居する、引き取って同居する、親の家の同居する、のいずれかを選択することになりますが、どの場合も親の家の片づけが必要になります。

このように親の家の片付けは、誰もが避けて通ることができない課題だと認識すれば少しは気がまぎれるかもしれません

親の家の片付けを先延ばしにしてはいけない4つの理由

家の中の状態を冷静に総点検

親の家を片づけることが決まったら、まずは家の中の状態を把握して冷静に向き合いましょう。

納戸や押入れ、倉庫や物置などあらゆる収納スペースに物が詰め込まれていることが多いため、どこから着手すればよいのか悩むこともあります。

家の中を総点検して何が残されているかを把握して何が必要で何が不要なのかを判断しますが、大切な物を処分してしまったり後からトラブルになることも多くなっていますので注意が必要です。

親の家の片づけるためにはある程度の日程が必要で片づけの物量によっては何か月もかかることもあり、場所が遠方である場合は費用が多くかかることになります。

遺産相続で問題になってしまうこともありますので、できれば兄妹姉妹ととも行うと安心です。任せると言われた場合は何か欲しいものを聞き、後で問題にしないように話をしておきましょう。

不用品処分などに費用が発生するため、費用分担についても話合いが必要です。

親の家は物が溢れている


親世代にとって物は豊かさの象徴で、まだ使えるためもったいないからと不要と思われる物まで大事にとってあります。

使わないような物でもとっておくことは親世代の習性で、捨てることができないのです。

何十年もの間、処分できないものが溜まっているため物が溢れています。そのため、あらゆるスペースに物を詰め込み、どこに何があるのかやどれだけの物を持っているのかということさえ、自覚していないことが多いです。

また、親の体力と判断力の衰えにより物が多くなることもあります。

大量の物が整理整頓されずただ雑然と置かれていることが多いですが、これは整理整頓するために必要な的確な判断力と判断に応じて物を移動させる体力の衰えが原因と思われます。

ともあれ、高齢になった親世代は整理整頓されていない大量の物の中に住んでいることが一般的です。こうした大量の物を遺品として仕分けを行い、必要な物は残して不要なものは処分する必要があります。

しかし、廃棄物は住んでいる地域の廃棄物処理のルールに従って分別を行い、種類によっては廃棄可能な日まで保管してその都度搬出しなければいけません。

親の世代は物を処分したがらない

親の家にある多くの物は、何十年もの間処分することができなかった結果の集大成です。

残された親がいる場合は家の中にある物は本人には全部必要なものばかりで、処分についてその意向も尊重しなくてはいけません。

意見を聞きながら作業効率のためにある程度子ども世代が判断をして片づけを行いますが、不要な物を処分することは大変です。

貴重品や思い出の写真などわかりやすい残すべきものは残すことができますが、判断が難しいものについて親に尋ねると多くの場合は残しておくと言われます。

意見が対立すると作業が進まず、尋ねずに処分すると機嫌を損ねてしまうこともあり、親を説得するためにはさらに時間を要することになります。

高齢者が物を捨てれない年齢的な問題と心理的な問題

兄妹や親族というハードルがある

残された親の同意を得るだけでも難しいですが、両親とも亡くなっている場合でも親の家の片づけは自分の一存で行うことはできません。

トラブルを避けるために、両親の相続人でもある兄弟姉妹の同意が必要です。

さらに、兄弟姉妹の配偶者や両親の兄妹など、相続人ではない親族も関与してくることもあります。

費用がかかる

親の家の近くには兄妹や親戚などが住んでいることが多く、片付けの手伝いを依頼することもあると思います。

しかし、家族や親族でも無料で協力してもらうことは難しく、お礼が必要な場合が多いことなど自分たちで片付ける場合もある程度の費用は必要となります。

片づけそのものにかかる費用やお礼について、作業に協力しない兄妹や親戚にどの程度負担をお願いできるのかも了解を得ることが必要です。

片付けには期限がある

親が亡くなって親の家の片づけが必要だと理解している方も葬儀を終えてからなどと後回しにすることもありますが、実は時間的にそんなに余裕はありません。

遺言書や有価証券などは遺産相続に大きな影響を与えるため、相続手続きを行うためにこれらの確認が最優先です。

また、親の家で葬儀をする場合はもちろんですが、別の場所で葬儀を行う場合も親の家に弔問客が訪れることもあります。

親の家を売却する場合や親の家に移住する場合なども期限があり、親の家が借地に建てられていたり賃貸物件の場合は立ち退き期限があります。

親に文句を言いたくなったら自分を省みる

親の家を片づける際、どうしても親に文句を言いたくなる方もいるでしょう。そのような時には自分を省みて、自分自身が自分の身の回りの物について再確認してみましょう。

一度手に入れたものは誰もが捨てづらいものです。そのことを自分を省みることで再確認し、親の気持ちを十分に受け止めながら片づけましょう。

急がば回れの精神で

親の家の片づけはある程度日程が必要となりますので、自分のペースに合わせて無理のない計画を立て、達成できない場合は新たに計画を立て直すくらいの柔軟さが必要です。

根を詰めてもいいことは何もなく、モチベーションを維持するためにも余裕をもって片づけを行いましょう。

5W1Hでやるべき事を整理しよう

When(いつ)

「いつ」とは親と向き合うタイミングのことで、いつなのかということです。

まずは、親の変化に気が付いた時があります。しかし、親と離れて暮らしていると親の変化は気が付くのが難しくなります。

親は高齢になると動くことが面倒になり物を整理しなくなり、徐々に家の中に物が増えていきます。増え過ぎた物と大型ゴミなど、本人の意思としては片付けたいと思っても片づけることができなくなります。

帰省した際に何となく家に物が増えたと感じたり家が掃除されてなくて汚くなったと感じた時には、最近の様子などを聞いてみましょう。さらに、高齢者用施設に入りたいと相談があった際も、親と向き合うよいタイミングとなります。

また、親の70歳の誕生日のタイミングに、次回の帰省の際にお酒を飲みながらなど、子の方から計画的にタイミングを計って話をする方法もあります。親に話し合いを拒否されることがあった場合は、急がず時間をしっかりとかけて向き合いましょう。

Where(どこで)

「どこで」とは親と向き合う場所のことで、どこで向き合うかということです。

これは、親が一番リラックスできる家がいいでしょう。親の生きてきた証である持ち物の整理についての重要な課題についての話し合いのため、親が緊張することのない家で直接向き合って話をしましょう。

Who(誰が)

「誰が」とは親の家を片付ける人のことで、誰が片付けるのかということです。親が住んでいる家なので親が片付ける、ということにはならないことが多くあります。

年齢的による問題で、気力や体力の低下、記憶力や判断力の低下、認知症やうつ病などの病気、ADHD(注意欠如多動性障害)や発達障害物などが原因で物を捨てることが難しくなることもあります。

心理的な問題で、物を大切にする文化、もったいないという思い、思い出に縛られるなどの原因で物を捨てることが難しくなることもあります。

親が片付けることができない状態になっている場合は子が片付けることになることが多いと思いますが、あくまでも「親」を中心に考えて片付けましょう。

What(何を)

「何を」とは片付ける品についてのことで、親が何を残したいのかということです。何を残して何を処分するのかなど単純な分別ではなく、親が残したいと思っている物を知ることが大切です。

必要であるか不要であるかという仕分け方ではなく、親がその物が好きなのかそうでもないのかで仕分けを行います。親が好きな物やこだわりがある物についてよく話を聞き確かめながら仕分けを行うと、処分してもいい物がわかります。

残す物やこだわりのある物など親にとってプラスの話題を先行させることで、親の気持ちもいい方向に向かいます。

また、親が残したいと希望する物から親が望むこれからの生き方がわかります。何を残して何を処分するかを考えることは、この先の人生を楽しく過ごすために何が必要であるかを考えることです。

親が残したいと希望する物の中には、親が今後どのように生きていきたいのかという将来への希望が詰まっており、親の人生観を知ることもできます。

Why(なぜ)

「なぜ」とは親の家を片付ける理由についてのことで、どうして片付けるのかということです。

高齢になると少しの段差で転びやすくなってケガにつながるため、親が一日でも長く健康で自分らしく生きるためには親の家の片づけが大切です。

高齢者は廊下や階段などに物を置きっぱなしにしていることが多いですが、東日本大震災後に防災意識が高まったことにより「地震が起きた時などに危険」という言葉に増しました。

家を片付けることのメリットを再認識してもらうためには、防災の観点から廊下や階段などの点検から始める方法もあります。

その際の主語は「親」で親のためという点を強調し、「お父さんが危険な目にあわないために」などの言葉は無理がなく説得力があります。

How(どのように)

「どのように」とは親との向き合い方についてで、極めて重要なことです。親と向き合う際の主語はあくまでも「親」となりますので、話題の中心は「親」で進めます。

深刻になることなく、親にその話をもっとしたいと思ってもらうことができるよう明るく楽しくを心掛けましょう。

ビデオや写真などを見て親のこれまでの人生について話を聞きながら話をすると、前向きに話し合いを進めやすくなります。親がどの物にこだわりがあり、今どこにどのように保管されているかを確認することができると、形見として残した方がいい物やいつかは処分してもいい物かを知ることができます。

また、最も注意しなければならないことは焦らないことです。自分の意見を聞いてすぐに親が家の片付けに賛成してくれるとは限りません。

親は身の回りの物とともに長い間生活してきましたが、全く不便を感じることなく今のままで十分と思っています。変なタイミングで片付けや捨てるなどの言葉を出すと、親は自分の生活が無理に変化させられるのではないかと不安に感じることもあります。

親と向き合う際には親の話をよく聞くことが大切です。現在の生活で困っていることを探すつもりで、親の話をよく聞き暮らしぶりを観察します。

時間をかけて「一緒に片付けよう」と呼びかけるようにじっくりと親の話を聞きましょう。親の家の片付けを成功させるためには、親のやる気をいかに起こさせることができるかが重要です。

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広島で遺品整理業をはじめて12年になります。遺品整理を通じで超高齢化社会の問題に日々直面していくなか、お客様のいろんな心配ごとを解決させて頂いています。同じようなトラブルに直面している方々の少しでもお役に立てればと考えこのサイトを立上げました。
取得資格
「遺品整理士」「特定遺品整理士」「不用品回収健全化指導員」「特定国際種事業者」「産業廃棄物処理業者」 「宅地建物取引業」