こんにちは遺品整理士の三島です。
命に関わる病気を発症した際には、急性期病院、回復リハビリテーション病院、地域包括ケア病棟、在宅療養などに順番で移ります。
このページでは各施設の主な役割と違いについて解説していきます。
目次
急性期病院
急性期病院とは、命を救うための治療を行う病院です。
脳卒中などを発症した場合は、直ちに急性期を専門とする病院で治療を受けます。
発症後約1ヶ月が経過し病状が安定すると、回復期リハビリ病院に転院となります。
回復リハビリテーション病院
回復リハビリテーション病院とは低下した能力を取り戻すために集中的なリハビリを行う病院で、各リハビリ職種(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)による個別の集中訓練を受けることができます。
最大のメリットは土日祝日も含めて毎日リハビリを受けることができることで、高密度なリハビリで早期自宅復帰を目指すことができます。
入院できる期間は疾患や傷病名により日数が定められています。
一般的に退院後も安心して療養することができるよう、医療と介護サービスを利用されています。
回復リハビリテーション病棟の対象患者
発症からの入院2ヶ月以内、入院期間150日
脳血管疾患、脊髄損傷、頭部外傷、くも膜下出血のシャント術後、脳腫瘍、脳炎、急性脳症、脊髄炎、多発性神経症、多発性硬化症、腕神経叢損傷などの発症後や手術後、義肢装着訓練を要する状態
発症からの入院2ヶ月以内、入院期間180日
高次脳機能障害を伴う重症脳血管障害、重度の脊髄損傷や頭部外傷を含む多部位外傷
発症からの入院2ヶ月、入院期間90日
多肢の骨折、大腿骨・骨盤・脊椎・股関節・膝関節の骨折
発症からの入院2ヶ月、入院期間90日
外科手術や肺炎などの治療時の安静により廃用症候群を有した手術後や発症後
発症からの入院1ヶ月、入院期間60日
大腿骨・骨盤・脊椎・股関節・膝関節の神経・筋・靭帯損傷後
発症からの入院1ヶ月、入院期間90日
股関節や膝関節の置換術後
地域包括ケア病棟
地域包括ケア病棟とは、一般病院で急性期の症状が安定すると早期退院となりますが、在宅での療養に不安がありもう少しの間入院治療を行いたい場合に利用することができるところです。
回復リハビリテーション病院は厚生労働省により入院可能な条件が細かく定められていますが、地域包括ケア病棟の条件は寛容となっており医師の判断により提案されます。
同じ建物内に一般病床と地域包括ケア病床がある場合も治療内容や料金体系が異なるため、移る際には部屋も変わります。
在宅復帰をスムーズに行うことが目的であるため、在宅復帰支援計画に基づきリハビリを行い最長60日以内でのタンインが原則となっています。
療養病床
高齢者の病気は長引き寝たきりになることも多く、症状は安定しているが長期療養が必要とされる場合は療養病床を利用することになります。
医療保険が適用される医療型、介護保険が適用される介護型があります。
ただし、国は高騰する医療費を削減するため、寝たきりの高齢者などが長期療養している介護型療養病床は廃止する予定で、その転換先として2018年度に介護医療院を創設しました。
2024年3月末までに介護型療養病床は介護医療院などに転換される予定です。
介護医療院
長期的な医療と介護のニーズを併せ持つ高齢者(要介護1以上)が対象の施設です。
日常的な医学管理や看取り・ターミナルケアなどの医療機能、生活するための施設としての機能が提供されます。
今後さらに増加が見込まれる慢性期の医療・介護ニーズへ対応するために、要介護者に対する長期療養のための医療と日常生活上の介護を、一体的に提供することを目的として創設されました。
介護医療院にはⅠ型とⅡ型があり、Ⅰ型(介護療養病床に相当)は重篤な身体疾患を有する者や身体合併症を有する認知症高齢者、Ⅱ型(老健施設以上に相当)はⅠ型に比べて比較的安定した容体の高齢者を利用者像とし、入居者に対する基準にも違いがあります。
介護サービスは65歳以上もしくは40歳以上で特定疾患などがあり、要介護認定を受けている人のみが受けられます。
要介護1~5と判定されても必ず入居できるというものではなく、要介護度が高いほど介護医療院への報酬が高いため入居を受け入れられやすいと考えられます。
「重篤な身体疾患を有する方や身体合併症を有する認知症高齢者の方等に長期療養等を行う」ことを目的としているため、要支援1、要支援2の高齢者が利用することはできません。
介護医療院を利用する場合の費用は、施設サービス費のほかに居住費・食費・日常生活費などがかかります。
施設サービス費は要介護度・施設形態・居室の種類・職員の人数などで異なり、利用者の負担割合は原則1割で一定以上の所得がある場合は2割または3割を負担します。
退院時ケアカンファレンスとは
退院時ケアカンファレンスとは、医療と介護の専門家が行う合同会議です。
親の退院後、在宅での療養方法やケア方法を具体的に考える必要があります。
入院医療を受けている間は投薬を行っていることも多く、病院主治医・薬剤師・看護師・医療ソーシャルワーカーなどの病院スタッフと、退院後に在宅介護を行うスタッフとの連携が重要です。
その連携をうまく実現するために行われるものが退院時ケアカンファレンスとなります。
ただし、全ての病院で積極的に退院時ケアカンファレンスが実施されているものではないため、病院の医療ソーシャルワーカーに依頼することも必要です。
病院の対応に不満があるときは、地域包括支援センターや入院前にケアマネージャーを利用していた場合は担当ケアマネージャーに相談しましょう。
退院時ケアカンファレンスの流れ
①入院
②退院の準備
医療相談室の医療ソーシャルワーカーにより家族に連絡があり、在宅療養に向けて要介護認定を申請します。
③ケアマネージャーと面談
地域包括支援センターに連絡してケアマネージャーを決定し、面談を行い退院後のケアプランを作成します。
④退院時ケアカンファレンス
病院側の医師・看護師・リハビリスタッフ・医療ソーシャルワーカー、地域側のケアマネージャー・訪問看護師による退院時ケアカンファレンスを実施し、今後の通院やリハビリなどの医療連携・住宅改修・福祉用具の必要性などについて会議をおこないます。
⑤退院
退院時に病院より家族に診療情報が渡されます。地域の主治医や訪問看護師、ケアマネージャーに診療情報提供書を提供される場合もあります。
⑥在宅療養
ケアプランに沿って介護保険で自宅を改修したり、訪問看護によりリハビリを継続します。
長期入院はできない
回復リハビリテーション病院の場合は入院期間が定められていますが、最初に入院することが多い急性期病院は入院期間が定められてはいません。
しかし、入院して最初の2週間は高い診療報酬がつきますが段階的に引き下げられて30日を超えると加算がなくなる仕組みになっているため、比較的早期の退院が一般的となっています。
入院期間は最長3ヶ月と言われますが、診療報酬に出来高払いと包括払いがあるためです。
出来高払いは診療行為ごとに料金を積み上げて計算する方法で、包括払いは入院基本料などについて診断群分類ごろに定められた定額で計算する方法で投薬・点滴・検査などを何度行っても病院の受け取る総額は変わらないというものです。
日本の医療費用は基本的に出来高払いとなっていますが、入院は包括払いが多くなっています。
一般病院でも90日を超えた患者は包括払いとなるため、病院側は長期入院を歓迎しません。
退院前に介護保険の申請を行う
病院に入院中は医療保険が適用されているため、介護保険のサービスを利用することはできません。
介護保険の認定までには日数を要するため、退院後に介護保険の利用を希望する場合は入院中に申請を行いましょう。