兄弟の絆

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ある日、突然俺の携帯に電話が鳴った。
着信先は姉からだった。
お互い親元を離れて生活しており日頃連絡を取り合う事もなかったので少し驚いた。
電話に出ると姉が開口一番
「病院に行って検査をしたら入院することになった。家族を呼べって言われたので来てくれない?両親には絶対内緒で・・・」
普段俺なんかに頼ることのない姉が相談してくるという事は悪い話という事は想像できた。

すぐに病院に向かい姉から話を聞くと、
「どうもガンみたい。でも大丈夫。初期の状態だから手術をすればすぐに治るから。
今まで働いていたからお金の事も問題ないし、親には心配かけるから内緒にしといて。手術が終わったら私から報告するから、迷惑かけてごめんね」
と終始明るい声で私に話しかけてきた。
私は「迷惑じゃないよ」と姉に伝え私は少しホッとした。

しかし、医者から詳しい話を聞いてみると本当は末期の状態にまで進行しており、
手術をしても助かる見込みはないと宣告された。
姉は私に心配させまいと強がっていたのだと思う。

私は、両親に姉の事を伝える事にした。
二人はタクシーを呼び一目散に姉のいる病室に向かった。
姉は私を責めた。
「何で親に伝えたの?内緒にしておくっていったじゃない」
私は
「ごめん」
としか答えれられなかった。

死ぬかもしれない姉に両親を合わせてやりたかった、というのもあるが、
本当は姉の死を一人で抱え込むことが怖くなり両親に助けを求めてしまったのだと思う。
俺は本当に卑怯者だと思った。

それから半年後妹姉は死んだ。
特別仲がいい姉弟ではなかったが俺は仕事の合間を見て毎日病院に顔を出した。
姉は「何度も迷惑かけてごめんね」と
最後の最後まで私に気を遣っていた。

もうすぐ姉の命日になるが今でも後悔している。
もっと気の利いた言葉をかけてあげればよかった。
病気の事をもっと調べ理解してあげればよかった。

姉は強くて立派な女性だったと。
姉の分まで精一杯生きてやろうと心に誓った。

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