公正証書遺言

公正証書遺言とは公証人が遺言の法的有効性をチェックし、公証役場に保管するものです。

公正証書遺言は法律のプロである公証人のチェックを受けるため、遺言そのものが無効にならないこと、紛失や偽造の危険がないデメリットがあります。

しかし、作成するための条件や費用などのデメリットもあります。

●概要

公正証書遺言とは、公正証書として公証役場で保存してもらう遺言のことです。

・公正証書

公正証書とは、当事者に頼まれて第三者である公証人が作成した文書のことです。公文書として扱われるため、法的紛争の際に文書が真正であると強い推定が働きます。

公正証書遺言は依頼者が公証人に内容を伝え、それをもとに文書が作成されます。

・公証人

公証人は法務大臣に任免された公正証書を作成する人です。法律の実務に深くかかわった人から選ばれるため、法的有効性のある遺言書づくりのサポートを行います。

・公証役場

公証役場とは公証人が在籍する役所のことです。公証役場は全国にあり、出向けない場合は公証人に出張してもらうことができます。

●自筆証書遺言との違い

・公正証書遺言は全文を書かなくて良い

公正証書遺言は公証人に内容を伝えて、それをもとに公証人が作成します。

自筆証書遺言は「全文を」自筆で書かなければならないため、パソコンで書いたり代筆を頼んだりしてはいけません。

遺言書は遺書と違い書式や要件も厳格であるため、法律のプロの目を通すことが大切です。訂正の仕方が違うというだけで無効になる場合もあります。

・公正証書遺言は公証役場に保管される

自筆証書遺言書の場合は何らかの原因で紛失したり、破棄されることも考えられます。

公正証書遺言は公正証書として公証役場に保管され、公正証書遺言を確認するときも原本でなく写しを公証役場が発行します。

・家庭裁判所の検認が必要ない

公正証書遺言は公証人のチェックを受けているため法的有効性が認められます。しかし、自筆証書遺言を発見した時は家庭裁判所の検認を受ける必要があります。

●公正証書遺言作成の手順

【公証人と打ち合わせする前にすべきこと】

・遺言内容の整理をする

遺言は誰が何を相続するかを定める重要な書類であるため、その場ですぐに決めることは難しいと思われます。あらかじめ遺言内容を整理しておくことで公正証書遺言の手続きにかかる時間を短くすることができます。

遺言内容を整理するとともに、遺言者が持っている財産を余すことなく明確にすることも必要です。

・証人を見つける

公正証書遺言が認められるためには公証人だけでなく2人の証人が必要です。

証人は未成年者ではない、遺言によって財産を相続する人とその配偶者や直系血族ではない、公証人の配偶者と4親等以内の親族ではない、公証役場の書記官や職員などではない、遺言書に記載された内容が読めない人や理解できない人ではない人に依頼しなければいけません。

証人が見つからない場合は公証役場に有料で紹介してもらうことができます。

・必要書類をそろえる

遺言者の印鑑登録証明書、遺言者と相続人の関係がわかる戸籍謄本、受遺者(遺言によって財産を受け取る人)の住民票、不動産がある場合は登記簿謄本、固定資産の評価証明書などが必要です。

【公証人との打ち合わせ】

遺言内容の整理が終わり必要書類がそろったら、公証人との打ち合わせを行います。公証人との打ち合わせは公証役場での面談のほか、出張や電話打ち合わせも可能です。公証人は遺言者から内容を正確に聞き取り、法的な知識を補います。

打ち合わせの内容をもとに公正証書遺言の文案が作成され、この内容はメールやFAX、郵送にて送付されます。内容に問題がある場合は再打合せが行われ、問題がなければ遺言作成の手続きに進みます。

打ち合わせは口頭のほか筆談などでも可能です。

・公正証書遺言の作成は公証役場で行います

公正証書遺言を作成するため、証人とともに公証役場に向かいます。出張の場合は任意の場所に証人と待機します。遺言者は実印を、証人は認印を用意する必要があります。

遺言書の確認は公証人による読み聞かせによって行い、改めて遺言書を確認した後、遺言者・公証人・証人のそれぞれが署名押印します。

最後に費用を支払って完了です。

作成された遺言書は公正証書として公証役場に保管されます。

●公正証書遺言の費用

公正証書遺言の費用は手数料例という政令で定められており、財産の価額によって手数料が決まっています。
公証役場はこの手数料によって運営されています。

・100万円まで5,000円
・200万円まで7,000円
・500万円まで11,000円
・1,000万円まで17,000円
・3,000万円まで23,000円
・5,000万円まで29,000円
・1億円まで43,000円
・1億円超~3億円まで5,000万円ごとに13,000円を加算
・3億円超~10億円まで5,000万円ごとに11,000円を加算
・10億円超 5,000万円ごとに8,000円を加算

手数料は受遺者ごとに分けて支払う必要があります。例えば600万円の財産を1人に遺贈するのであれば手数料は17,000円となりますが、3人の受遺者にそれぞれ200万円ずつ支払うと7,000円×3=21,000円となります。

・公正証書遺言書交付の手数料

正本と謄本の交付については250円×枚数の手数料がかかります。

・出張によって公正証書遺言を作成した場合は手数料×1.5+交通+日当

公証人に出張してもらった場合は手数料が通常の1.5倍、さらに交通費と公証人の日当も発生します。日当は4時間以内であれば1万円、それ以上であれば2万円となります。

●公正証書遺言のメリット

公正証書遺言の最大のメリットは安全性と確立性です。公正証書であること、法的な強さを持っていることはこのような点につながります。

・遺言が無効にならない

遺言は書式が整っていないと無効になります。署名押印がないものや日付を定めていないものも無効で、「〇月吉日」といった表記も認められません。

また、訂正の仕方も面倒です。

遺言内容が不明確であることを理由に遺言書が無効になったケースもあります。

公証人が遺言書作成にかかわることで、細かいミスを防ぎ法的に有効な遺書を作ることができます。

・遺言を紛失しない

遺言書の怖い点は紛失で、いくら法的に有効でも見つからなければ意味がありません。破棄しようとする人もいるため、公証役場で原本を保管してもらうことができるのは大きなメリットです。

・偽造を防止できる

公正証書遺言は公証人が作成するため、偽造の心配がありません。自筆証書遺言で偽造が疑われる場合は筆跡などから判断しなくてはいけません。

・自分で書かなくて良い

公正証書遺言は自分で書く手間を省くことができ、文字を書ける状態でない人が遺言書を作成する有効な手段でもあります。

自筆証書遺言は、一言一句すべて自筆でなくてはいけません。一部でも他人が書いた形跡があると無効になります。

・すぐに遺産相続を開始できる

公正証書遺言は作成した時点でそれが真正であるのが前提です。法的な有効性も確認されているため、家庭裁判所の検認を受けることなく遺産相続を開始することができます。

財産の処分や財産における法的地位の確定を速やかに行うことができる点は、遺族の精神面においてもメリットとなります。

●公正証書遺言のデメリット

・手続きに時間がかかる

公正証書遺言は、証人を探し、公証人と打ち合わせをし、作成の手続きを行うためには手間と時間がかかります。

有効性の疑われる遺言書は、訴訟のもととなり遺産分割を大幅に遅らせることになります。

・手続きに費用がかかる

公正証書遺言の作成には費用がかかります。しかし、遺言の有効性を確保するためには必要な費用です。

・公証人や証人に内容を話さなくてはならない

公正証書遺言を作成するためには、公証人と2人の証人が内容を知ることが必要です。

人によってはプライバシーの観点から公正証書遺言をあきらめることもあります。

・秘密証書遺言もリスクが高い

秘密証書遺言は内容を一切明かさず、かつ自筆でなくてもよい遺言書です。これは、遺言書を封筒などに入れた状態で公証人及び二人の証人に存在のみを認めてもらう方法です。

しかし、この方法は内容の有効性については一切の補償がされない点や、家庭裁判所の検認が必要な点、自らで保管しなくてはいけない点がデメリットです。

日本ではほとんど利用されていません。

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