健康寿命

健康寿命とは日常的・継続的な医療・介護に依存しないで、自分の心身で生命維持し自立した生活ができる生存期間のことです。

平均寿命のうち健康で活動的に暮らせる期間で、WHO(世界保健機関)が提唱した指標では平均寿命から衰弱・病気・痴呆などによる介護期間を差し引いたものとなっています。

●平均寿命と健康寿命

平均寿命は人が亡くなる年齢の平均値で、その中には大病をした人もいれば、認知症などで長期療養した人も含まれています。

健康寿命とは世界保健機関(WHO)が2000年に提唱した概念であり、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されています。
厚生労働省が定めた算定プログラムに基づいてデータが収集され、健康寿命が算出されています。

平均寿命と健康寿命の差が示すのは、何らかの治療や介護を要したり健康面の不具合から生活に支障が出たりしている期間ということになります。
「健康ではない=不健康」な期間ということです。

●数値の年別推移(男女)

2010年の厚生労働省の調査によると、男女ともに2001年から2010年までの平均寿命の延びに比べて、健康寿命の延びの方が小さいという結果が出ています。

平均寿命は今後も延びていくことが予測されています。
今後も平均寿命の延びに比べて健康寿命の延びが少ないということは、それだけ不健康な期間が増えるということです。
個人の生活の質の低下だけではなく、家族の負担や社会的な負担を減らすためにも健康寿命を延ばすことが必要とされています。

●健康寿命の算定プログラム

国民の健康寿命を算出するために用いらるのは、健康寿命の算定プログラムです。
健康寿命を正確に調べるためには人が生まれてから亡くなるまで約100年間の調査を行う必要がありますが、この調査を国民全員に行うことは難しいです。
目的や測定方法を定めて現時点で得られるデータを使って仮説的に算定、年齢や性別など基礎的なデータ、質問紙を用いた自己申告型のデータを収集して算定を行っています。

●健康寿命の英語

健康寿命の定義はWHOが提唱したものであるため海外でも用いられており、英語ではHealth expectancyやHealthy life expectancyという表現が用いられています。

●健康寿命を延ばす

政府が進めている健康増進計画である「健康日本21」の第2次計画に、健康寿命を延ばす目標が初めて入りました。
がん予防や、運動の促進、食生活の改善など、幅広い分野について改善を目指しています。

・生活習慣改善

栄養バランスの偏りが少なく、規則正しい食事、十分な睡眠など、基本的な生活習慣の改善が大切です。タバコも健康リスクが高いため、禁煙が望まれます。

・運動

運動習慣をつけることが運動器の健康の維持につながり、健康寿命の延伸も期待できます。
適度な運動は心肺機能の維持や肥満の予防にもなり、認知機能や心理面などへ良い影響も与えます。
運動器は若い頃から適度に運動する習慣をつけて大事に使い続けることが必要。筋肉、骨、軟骨や椎間板は運動やふだんの生活で身体を動かして負荷をかけることで維持されるためです。
しかし、過度な運動や体重超過により負担をかけすぎるのも、ケガや故障の原因になります。
やせすぎると筋肉や骨は弱くなりますので、適度な運動と適切な食生活で肥満ややせすぎにならないようにしましょう。

・ロコモティブシンドローム

近年注目されているロコモティブシンドロームは、骨や筋肉、関節、軟骨などの運動器問題が起こり、座る、立つ、歩くなどの基本動作や生活に支障が出てしまうことです。
ロコモティブシンドロームをそのままにしておくと、生活面だけではなく、外出や余暇活動にも影響を与えてしまいます。
運動によって、ロコモティブシンドロームを予防することも大切です。

・自立 働くことの重要性

健康寿命を延ばすために、できるだけ自立して過ごすということは非常に重要です。
仕事などを通して社会的な役割を果たすことも大切で、他者との交流が生まれる、頼りにされる、自立して生活をしていることへの張り合いや責任感も保たれます。
健康寿命を延ばすためには、身体の健康面、心理的な健康を保つことが大切です。

●健康寿命を縮める要因

健康寿命を縮める要因は様々ありますが、不規則な生活や暴飲暴食、運動不足等は、肥満や糖尿病などの生活習慣病に繋がります。
喫煙も健康被害は大きく、過度なストレスも避けたい要因です。
ロコモティブシンドロームの発症は日常生活の不便さだけではなく、これまで行っていた余暇活動の機会を狭めてしまいます。

●健康寿命と難聴

高齢になってくると徐々に衰えてくるのは運動機能だけではなく、加齢による難聴もあります。
年を重ねるにつれて聴覚に関係する細胞が、少なくなっていきます。
聴覚の衰えはコミュニケーションのしづらさやテレビの音が聞こえないなど生活の不便さ、認知面や心理面への影響も与えます。

・難聴と健康

聴覚が衰えてくると、テレビの音が聞こえない、会話が成立しづらい、相手の言っていることが理解できないなどコミュニケーションの問題が起こりやすくなるため、人との交流の機会を減らしてしまいます。

聞き返してばかりだと嫌な顔をされるのではないか、何を言われているかわからないから不安など、心理的な面にも影響を与えます。

厚生労働省の認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)で、難聴が認知症を発症させる危険因子の一つであるとされています。
記憶障害や認知機能の低下を予防するためにも、難聴をそのままにしておかない方がよいとされています。