形見分け

形見分けとは、故人の遺言や遺族の意志で死者が愛用していた遺品を親戚縁者に分配することです。昔から行われている日本独特の風習で、その遺品を通して個人の思い出を共有するために行われます。

概要

形見分けは故人が生前に愛用していた持ち物を、近親者や親しかった友人などに贈ることをいいます。

形見分けの始まりは、今から2500年ほど前、お釈迦様は遺品を売ってそのお金を等分に分けるように教えられたことからとされています。そして、遺品を受け取るということは亡き人の遺徳を偲び生前の善行や浄行を学んでいくこと、そうしなければ形見を分けてもらう資格はないとも言われたそうです。。
その証拠に、お釈迦様は実の息子ラーフラさんに形あるものを残されず、仏さまの教えだけをお残しになりました。

寛永3年に儒学者小瀬甫庵によって書かれた「甫庵太閤記」全20巻の中で、死期を悟った秀吉が行った形見分けの話も有名です。

お坊様はお師匠様が亡くなると、生前愛用の衣を形見分けとしていただきます。これは衣鉢をつぐという言葉が示す通り単に衣を遺品としてもらったということではなく、お師匠様の教えを継がせていただきましたという覚悟の表れであり、形見分けの意味をよく示しています。

その昔は、丈を直せば誰でも着ることのできる着物が代表的な形見分けの品物とされていました。肌にまとっていたものには魂が宿るという日本人の思想からきているともいわれています。
形見分けは衣類など身代りになるようなものを贈ることが多いためスソワケともいわれ、四十九日や百ヵ日以内に分けられるのが一般的です。着物のなかに死者の霊が宿ると考えられていた時代の名残りで、遺産分割の意味も含んでいます。

民法などの法令で決まっているわけではないので、必ず行わなければいけないものではありません。
しかし、ご高齢の親族や古くからのしきたりを大切にしたい方のために、きちんと形見分けを行うことも親戚付き合いのひとつです。

昔は「親から子へ、先輩から後輩へ贈るもの」とされ、目上の人には贈ってはいけないといわれていました。しかし最近では、親しい間柄であれば誰でも受けとってもいいという風潮となっています。
形見分けされる品物としては、故人の愛用品や愛読書、洋服や着物、アクセサリー、時計などが一般的で、将棋や囲碁、釣り道具、茶道具など故人の趣味の道具も対象になります。
形見分けには特にルールはありませんので、贈る相手の性別や年齢、好みなどに合ったものを贈るとよいでしょう。
受け取った品物を通して故人を忘れることなく思い出を偲ぶことが故人の供養にもつながる…というのが形見分けの目的なのです。

故人を偲ぶために、故人と親しかった方に形見分けはとても大切なことです。 しかし、形見分けはトラブルの原因になることも多く、形見分けでトラブルが起きると故人を偲ぶという本来の目的から外れてしまいます。高価すぎるものは不公平を生みますし、贈与税の対象になることもありますので注意が必要です。贈る相手のことも考えて実行しましょう。

また、故人の遺志で香典や遺品の一部を公共のために寄贈することもあります。蔵書などを学校や図書館に寄贈したり、美術品や骨董品を美術館などに寄贈することはたいへん意義のあることです。このように、香典の一部を社会福祉のために寄付したときは香典返しをしないこともあります。その際は会葬者全員にその旨を礼を尽くしてあいさつし、どこに寄付したのかを明確にします。

形見分けを行う時期

形見分けを行う時期は特に決まっているわけではありません。親族が集まる機会はそう持てるものでもありません。そのため、親族の集まる四十九日に済ませてしまうことが多くなっています。ただし、故人が信心深い方であった場合、その宗派によって決まりがあるため注意が必要です。

・仏教の場合
仏式では35日(三十五忌)か49日(四十九日忌)に行うのが一般的です。四十九日までは「忌中」となり故人を偲ぶ時期とされ、誰かに遺品を渡さないほうがいいともいわれています。

・神式の場合
神霊祭の五十日祭の日又は、三十日祭の日に行うこととされています。仏教でいうところの忌明け法要の日です。神道では法要にあたる儀式のことを神霊祭といいます。

・キリスト教の場合
キリスト教では形見分けというしきたりはありません。しかし、日本においては形見分けが行われることも多く、その場合は1ヶ月命日である追悼ミサにて行われます。

形見分けを贈る人

形見分けを行う相手は、基本的には親戚とごく親しい知人になります。

形見分けは、昔は目上の方に対しては失礼にあたると言われてきましたが、今では社会的地位や年齢に左右されなくなり、故人と親しかった方なら誰でも受け取れるような風潮になりつつあります。

しかし、そうはいっても相手方がどう思っているかはわかりません。目上の方には相手からの申し出があったときのみにとどめ、こちらから贈ることは控えることが無難です。

遺品を贈る人たちを決めたら、自宅に招いてお渡しします。場合によっては先方へ持参するようなこともあるようです。遺族から形見を受けて欲しいと言われたら、自分から受け取りに行くのが礼儀とされています。日時を相談した後で受け取りに行きましょう。

形見分けの品の選び方

大切なのは形見分け品の選び方です。

遺族で形見分けを行う場合は、親族同士でわかっている間柄なのでそう難しくはないと思います。
故人の友人の場合は相手がどのようなものが喜ばれるのか分からない場合が多く、そのような時には先方の年齢や性別などを考慮して慎重に選びましょう。

形見分けをする遺品には特に決まりがあるわけではありません。よくある品では、着物、衣類、貴金属、アクセサリー、時計などがあります。

贈るものとしては傷んでいるものや汚れているものはやめ、スーツやコートなどの衣類の場合はクリーニングに出し、アクセサリーや時計などはきれいに掃除してから贈りましょう。
着物を形見分けしたくても着る人がいない場合は、リメイクして巾着やお財布、ポーチなどの小物にして配ることもあります。

将棋や囲碁、釣り道具、ゴルフセットなどの趣味の道具は、同じ趣味を持っている人に贈らないと迷惑になってしまうこともありますので注意が必要です。
故人が作った陶芸品や絵画なども趣味の合わない人には重荷になってしまいますので、勝手に先方に押し付けず了解を得てから贈るようにするのが礼儀です。

形見分けをする際の注意点

故人の人間関係のすべてを知ることはできません。故人の友人だと言ってきて高価なものを持ち去るという詐欺まがいなケースもありますので、断り方をあらかじめ決めておきましょう。
「申し訳ありません、形見分けは親族のみとしております。」という言い方もあります。

・相続放棄の場合
相続放棄の場合には特に注意が必要です。
形見分けは相続にあたります。ある程度のものは形見分けも許されますが、価値がある物などは相続財産の隠匿とされ、相続放棄が認められなくなる可能性があります。相続放棄後の形見分けは専門家に相談しながら行う方がよいでしょう。

・遺産分割は済ませておく
遺品整理のときに価値のありそうなものとあまり価値のなさそうなものに分類し、あらかじめ鑑定をした後に遺産分割協議を行いましょう。
親族が形見分けで宝石や貴金属などの価値のあるものを取得するときには、きちんと鑑定して換価した場合の金額も合わせて遺産分割協議書に記載します。

・贈与税がかかる場合も
宝石や貴金属などの遺品を形見分けで貰うときには遺産分割協議書に記載します。高価なものを手に入れる場合、贈与税がかかる場合もありますので注意が必要です。
特に親族以外の方に形見分けするときは、あまり価値の高いものは贈らないようにしましょう。

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