法定相続分

法定相続文とは、被相続人の財産を相続する場合に各相続人の取り分として法律上定められた割合のことです。

被相続人が遺言書を残した場合は原則としてその内容に従うことになるため、相続人全員での話し合い(遺産分割協議)は行われません。

遺言がない場合は遺産分割協議が行われ、合意に至った場合はその内容に従い、合意に至らない場合は調停や審判で遺産分割方法が決定されます。

法定相続分はこの調停や審判の際に基準となるものです。

遺産分割協議では相続人全員が納得していればどのような割合で分割することも可能ですが、相続人の間で公平を保つという観点からは法定相続分を理解して正しく運用することで遺産分割協議における争いを避けられます。

●法定相続人の順位

・被相続人の配偶者…常に相続人
・被相続人の子(子が既に死亡している場合は孫)…第1順位
・被相続人の父母(父母が既に死亡している場合は祖父祖母)…第2順位
・被相続人の兄弟(兄弟が既に死亡している場合は兄弟の子)…第3順位

配偶者は必ず相続人となり、最も順位の高い人も併せて相続人となります。上の順位がいる場合には下の順位の人は相続人にはなれません。

被相続人に配偶者がいた場合は、配偶者と最も順位の高い相続人で遺産を分割します。配偶者がいない場合は、最も順位の高い相続人のみで分割することになります。

●法定相続人別の法定相続分

【配偶者の法定相続分】

配偶者は必ず法定相続人となり、法定相続分に婚姻の期間は関係ありません。婚姻期間が30年であっても1日であっても相続人となり、同じ法定相続分となります。

しかし、戸籍上配偶者となっている場合に限られ、事実婚や内縁関係の場合には法定相続人になることはできません。

・配偶者のみの場合…財産の全て
・配偶者と第1順位の法定相続人がいる場合…財産の1/2
・配偶者と第2順位の法定相続人がいる場合…財産の2/3
・配偶者と第3順位の法定相続人がいる場合…財産の3/4

【子供や孫など第1順位の法定相続分】

被相続人の子供は第1順位の法定相続人となります。実子のほか養子や認知した子や胎児も対象になりますが、胎児の場合は生きて生まれなければ相続権を失うことになります。

子も孫もいる場合には被相続人により近い世代である子が優先され、孫が相続人になることは原則としてありません。

複数いる子どものうち1人が既に亡くなっている場合、死亡した子の子(被相続人から見て孫)は相続人となります。(代襲相続)しかし他の孫は相続に関わることはありません。

・配偶者と第1順位の法定相続人がいる場合…財産の1/2、ただし第1順位の人が複数いる場合は1/2を均等に分割
・第1順位の法定相続人のみの場合…財産の全て、ただし第1順位の人が複数いる場合は均等に分割

【父母や祖父母など第2順位の法定相続分】

被相続人の父母や祖父母が第2順位の法定相続人となります。

被相続人が養子の立場の場合は、養親に加えて実親も相続人となり合計4人が対象者になります。

父母も祖父母も健在の場合には、被相続人に一番近い世代(父母の代)だけが相続人になります。

・配偶者と第2順位の法定相続人がいる場合…財産の1/3、ただし第2順位の人が複数いる場合は1/3を均等に分割
・第2順位の法定相続人のみの場合…財産の全て、ただし第2順位の人が複数いる場合は均等に分割

【兄弟姉妹など第3順位の法定相続分】

被相続人の兄弟姉妹が第3順位の法定相続人になります。兄弟姉妹の中に既に死亡している人がいる場合は甥姪が代襲相続人となりますが、甥姪も死亡している場合には再代襲はできません。

・配偶者と第3順位の法定相続人がいる場合…財産の1/4、ただし第3順位の人が複数いる場合は1/4を均等に分割
・第3順位の法定相続人のみの場合…財産の全て、ただし第3順位の人が複数いる場合は均等に分割

●法定相続分がない人

【内縁関係】

内縁関係など事実婚の配偶者は法定相続人になることができず、相続権もありません。しかし、遺言による贈与(遺贈)のうち包括遺贈を行うことで、包括遺贈者として法定相続人と一緒に遺産分割協議に参加できるようになります。

【離婚した元配偶者】

被相続人の子どもは両親が離婚した場合でも相続権がありますが、離婚した元配偶者は、離婚時点で配偶者としての相続権を失うことになります。
離婚後に事実婚状態で共に過ごしている場合であっても相続権は復活しません。
しかし、離婚協議中で別居していても法律上配偶者である限りは相続あります。

【再婚相手の連れ子】

再婚相手の連れ子(再婚相手とその元配偶者との間の子)は、被相続人と養子縁組をしない限り相続人にはなれません。
再婚相手には配偶者相続人として相続権があります。

【法に触れる行為をした者(相続欠格)】

相続人になるはずだった人(推定相続人)でも、以下のような行為をすると相続権が剥奪されます。

・故意に被相続人を死亡させた、もしくは死亡させようとして刑に処せられた者
・詐欺・脅迫による遺言の偽造や変造、遺言の取消や変更を妨げたりした者
・被相続人が殺害されたことを知りながら告発しなかった者

【被相続人によって相続権を奪われた人(相続廃除)】

被相続人は、生前や遺言によって推定相続人の相続権を剥奪する権利があります。(相続廃除、相続人廃除)
相続廃除は家庭裁判所の許可を得なければ行うことができませんが、被相続人への虐待もしくは重大な侮辱、その他著しい非行などの事情が客観的に認められて裁判所が許可する場合には、相続権が剥奪されます。

【孫は原則として相続権はない】

本来孫は推定相続人に含まれないため、孫から見て祖父母の相続には関係ないのが原則です。
しかし、被相続人である祖父母が包括遺贈をした場合や、被相続人の死亡以前に孫の親(被相続人の子)が死亡等を理由に相続権を失っている場合には、孫であっても相続に関わることになります。(代襲相続)

●遺産分割協議では、法定相続分に依らず自由に相続分を決めることが可能

遺産分割協議では相続人全員の合意があれば自由な割合で遺産分割を行うことができるため、法定相続分に従う必要はありません。

相続人全員の合意がある場合は、自由な割合で遺産分割を行うことができます。

被相続人が遺言をしている場合は基本的には遺言に沿った分割が行われますが、この場合でも相続人全員の合意があれば自由な割合で遺産分割を行うことができます。

●法定相続分の基準に従わないケース

【遺言書がある場合】

被相続人は遺言によって自己の死後の財産処分についての指定を行うことができ、法定相続分でない割合を指定して相続させることも可能です。

遺言は遺産相続においては最優先の規律となるため、相続人全員の同意がない限り被相続人が遺言で指定した割合で分割することになり、法定相続分どおりには分割はされません。

被相続人に配偶者と子ども2名がいた場合、法定相続分に従うと配偶者が1/2、子どもに1/4ずつの遺産分割になりますが、被相続人の遺言で配偶者や子どもそれぞれ1/3ずつといった公平な遺産分割も可能です。

【相続人の中に寄与分が認められる人がいる場合】

寄与分とは、被相続人の事業に従事するなど相続人の中で被相続人の財産の増加や維持に特別の寄与(働き)をした人がいる場合に、法定相続分または指定した相続分に加えて貢献した努力の程度に相当する財産を与えることで公平性を図ろうとする制度です。

しかし、寄与分が認められるのは相続人だけで、相続人でない人が被相続人の財産形成に寄与したとしても寄与分を請求することはできません。

寄与分は自動的にもらえるわけではなく、遺産分割協議で共同相続人の同意を得るか、家庭裁判所に額を定めてもらわなければ請求することはできません。

・共同相続人による寄与行為
・寄与行為が特別の寄与である事
・寄与行為と被相続人の財産の維持または増加との間に因果関係がある事

【生前贈与や特別受益を得ていた相続人がいた場合】

相続人の中に生前贈与を受けた人や婚姻費用や学資の贈与を受けていた人(特別受益者)がいる場合には、この人達が既にもらった財産の額を考慮して公平な遺産分割を行う場合があります。

遺産分割で他の相続人が納得していれば特に考慮しなくてもよいです。

調停や裁判の際にはこれらの利益を考慮し、特別受益や生前贈与を受けた額を相続開始時の財産に加えて(持戻し)、改めて出した遺産額を相続財産とみなし、その遺産額をもとに法定相続分を計算しなおして各相続人に配分することが多くなっています。

しかし、この場合でも被相続人が遺言などによって持戻し免除の意思表示をしている場合には、これに背いて持戻すことはできないとされています。

特別受益の価額の評価は相続開始時を基準になされるため、不動産など価値の変動する財産に関しては贈与時と相続開始時とで価格が異なる場合があります。

<特別受益の持ち戻しとなるもの>

・遺贈…すべてが持ち戻しの対象となります
・生前贈与…婚姻・養子縁組のための贈与 
      持参金・嫁入り道具・結納金・支度金など
・生計の資本としての贈与 …独立開業資金、住宅資金としてもらった場合
              生計の基礎として役立つような贈与すべて
              (教育費も多い場合には特別受益とされる可能性があります)

・生命保険金と死亡退職金

<特別受益者がいる場合の計算方法>

特別受益者の具体的相続分=(相続開始時の財産の価額+相続人が受けた贈与の額)×指定相続分又は法定相続分ー特別受益者の受けた遺贈又は贈与を受けた額

遺品整理マメ知識

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